神河資料 - 孤立的/Parasitic
開発部用語についての記事です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2016.11.8 開発部語辞典2016
https://mtg-jp.com/reading/mm/0017925/

孤立的/Parasitic
自身の存在するセットあるいはブロックに特有のものを参照するという性質。『神河物語』の《恩義ある侍》は孤立的カードの好例である。このカードを最大限活用するには、デッキには『神河物語』ブロックにしか存在しないクリーチャー・タイプである侍を大量に入れなければならない。これの反意語は後方互換である。


特定の次元にしかいないような部族に関しては、仕方ない部分もあると思います。無理矢理、既存のクリーチャー・タイプに押し込めてしまっては、フレイバーが台無しになりかねません。

他にも、連繋(秘儀)が孤立的なメカニズムの典型例でしょう。侍はまだ、多相もちを使うことで一応シナジーを発揮できます。しかし、秘儀は神河ブロック以外に存在しませんし、呪文タイプを持たせるようなカードも存在しません。

もっとも、孤立的であることが常にダメという訳ではないようです。『カラデシュ』のエネルギー・カウンターも他のブロックでは登場しません。しかし、スタンダード環境での活躍もあってか、人気を得ました。

連繋にとって幸運だったのは、連繋(インスタントかソーサリー)とできることです。モダンホライゾンで登場した連繋(インスタントかソーサリー)が人気を集めれば、また連繋を目にすることはあるかもしれません。孤立的だった点を改良できた貴重な例と言えるでしょう。
以前の日記(https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202001152127593862/)で引用した記事によると、「赤の人型種族は飛行を持たない」ことが、天狗を採用しなかった理由だそうです。

ただ、最近においては、赤の人型種族であるゴブリンにおいても、《短剣帆の飛空士》《ゴブリンの鳥掴み》のように飛行を持てるケースがあるようです。また、人間でも、《性急な太陽追い》というケースがあります。

そう考えると、少数であれば飛行を持つ赤のスピリットを作成するのも許容範囲ではないかと思います。

そこで、赤と青の天狗を数枚作って見ました。


天戸の峰の守り手  (2)(青)
クリーチャー ― スピリット アンコモン
飛行
~は、あなたが山をコントロールしているかぎり+1/+1の修整を受ける。
(赤):~はターン終了時まで速攻を得る。
2/2




扇動する天狗  (4)(青)
クリーチャー ― スピリット コモン
飛行
(2)(赤):~はターン終了時まで+2/+0の修整を受ける。
3/3



霜剣山の精鋭 (3)(赤)(赤)
クリーチャー — スピリット アンコモン
飛行
~が戦場に出た時、あなたがコントロールする山を好きな数だけ、オーナーの手札に戻す。クリーチャー1体を対象とする。~はそのクリーチャーに、これにより戻された山の数の2倍に等しい点数のダメージを与える。
3/1



天駆ける天狗 (3)(赤)
クリーチャー — スピリット コモン
~が攻撃しているかぎり、これは飛行を持つ。
3/2


今回は以上です。
神河資料 - 反転と両面の対立
2つの対立事項に関する記事です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2016.4.26 押して引いて
https://mtg-jp.com/reading/mm/0016838/

主席デザイナー vs ルール・マネージャー
私が分割カードというアイデアを初めて出した時、ルール・マネージャーはモードを持つカードとして作ることができると言った。カード2枚を描くような狂気じみたデザインにする必要はないと。私が両面カードを作ることを提案したときも、ルール・マネージャーは反転カード(『神河物語』ブロックに存在した、上下を反転させるカード)で作ることができると言ったのだ。私が何か新しいアイデアを出すと、ルール・マネージャーは既存の技術でそれを実現する方法を考えるのだ。

しかし、そこには問題がある。主席デザイナーとして、私は何かを行う新規な方法を探していることが多いのだ。反転カードをもっと作ることには興味はなかった。両面カードを作りたかったのだ。両面カードは、そのセットの大きな話題になる可能性があるとわかっていた。それまでと違うものにしたかったのだ。ルール・マネージャーにはまた違う目的がある。彼らはルールを作用させたいのだ。なにか新しいことを既存のルールで達成できる方法があるなら、その方がいい。新しい要素をルールに加えるということは、問題を起こしてしまう危険性に繋がる。ルール・マネージャーが新ルールを作ることに反対するというわけではないが、彼らは新ルールを作るのは他に手段がないときに限りたいと思っているのだ。


「新しいことを既存のルールで達成できる方法があるなら、その方がいい」というのも、それはそれで一理あります。

しかし、反転と両面では、まったく同じ挙動にはなりません。また、反転には様々な問題があり、両面だとそれが解決できる、というのも大きいところです。

また、キッカーも「多くのメカニズムはキッカーに置き換えられる」と言われます。かと言って、全部をキッカーで置き換えては、キッカーばかりで新鮮味に欠けるでしょう。これもまた、「新しいことを既存のルールで達成できる方法があるなら、その方がいい」が当てはまらない例だと思います。

河童について、ライブラリー破壊をメカニズムにした場合のバージョンを考えました。カウンター移動に比べれば枚数を作りやすいので、各レアリティに作っています。


蘇りし最初の河童、ナガレ (3)(青)(黒)
伝説のクリーチャー - スピリット レア
(X)(X):プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上からX枚のカードを自分の墓地に置く。
クリーチャー・カードがいずれかの墓地に置かれるたび、無色の1/1のスピリット・クリーチャー・トークンを1体生成する。
3/5

《最後の河童の甲羅》に対応するように、「最初の」と銘打った以上、同類を増やすことができる能力があった方がふさわしいと思ったので、トークン生成を付与しています。


神滝の溺れさせるもの  (2)(青)
クリーチャー ― スピリット アンコモン
あなたがコントロールするスピリットが戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上から1枚のカードを自分の墓地に置く。
2/2



赤城川の河童 (青)
クリーチャー ― スピリット  コモン
~が戦場に出るたび、プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上から2枚のカードを自分の墓地に置く。
1/1



竹沼に引きずり込むもの (3)(黒)
クリーチャー ― スピリット  アンコモン
(黒),(T):プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは、自分のライブラリーのカードを上からX枚、自分の墓地に置く。Xはあなたがコントロールするスピリットの数に等しい。
1/4



河童の手下 (1)(黒)
クリーチャー ― スピリット  コモン
~が戦場に出るか死亡するたび、プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上から2枚のカードを自分の墓地に置く。
2/1


今回は以上です。

神河資料 - メルカディアとウルグローサ
神河資料 - メルカディアとウルグローサ
次元の再訪可能性を表す「ラバイア値」についての記事です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2018.11.27 ラバイア値 その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0031406/

メルカディア
過去の訪問:『メルカディアン・マスクス』
人気:不評
『メルカディアン・マスクス』当時はまだ市場調査で次元について調べていなかった。もし調べていたら、これがもっとも評価の低い世界になっていた可能性はある。当時不評だったし、私はうまく熟成されたとも考えていない。神河やローウィンについてはソーシャルメディア上でときどき質問されることがあるが、メルカディアへの再訪についてプレイヤーが尋ねているのはほとんど目にしないのだ。

ウルグローサ
過去の訪問:『ホームランド』
人気:不評
既存の世界の中で、最も人気がない世界を神河と競うとしたら(メルカディア以外で)、おそらくウルグローサだろう。(『ホームランド』は、我々が市場調査で世界を評価するようになるより前の話である。)ここを舞台としたセットは(メカニズム的な理由で)非常に不人気で、そのフレイバーと商品を結びつけようというわずかな試みはファンの間で成功しなかった。


次元の人気については、メルカディアが最下位で、神河とウルグローサが2位争い、といったところでしょうか(ただし、人気と再訪可能性は無関係ではありませんが、別物であることは注意すべきです)。

少数とはいえ、神河(あるいは忍者)のファンがいるためか、特殊なセットにおいて、神河次元のカードが度々作られているだけでも、恵まれている方だと言えます。神河出身のプレインズウォーカーが現在のストーリーにも登場していることですし。

神河自作 - 英雄譚の再録
最近、公式で英雄譚を再録するのに必要なことが記事で言及されていました。

Making Magic -マジック開発秘話- 2020.1.7 死の扉にて その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0033613/

英雄譚
デザインの話の次の章に移る前に、初代『テーロス』ブロックからですらないもう1つの再録メカニズムについて語るべきだろう。英雄譚は『ドミナリア』で初登場した、特別なカード枠と物語というフレイバーを表す独自のルールを持った、エンチャントの新しいサブタイプだった。英雄譚は『ドミナリア』での大当たりで、これを(できればドミナリアを再訪する前に)再録する場所を探していたのだ。英雄譚を成立させるために必要だと考えていた条件はこうである。

物語を持つ世界
英雄譚は物語を表すものなので、語るべき物語がある世界でこそ意味がある。これは最終的に2つに分類される。1つ目が、再訪している世界。そこにはかつてのマジックの物語が存在する。2つ目が、ユーザーがすでに知っている物語がある元ネタを使ったトップダウン・デザインで作られた世界だ。

エンチャントを入れる余地があるセット
英雄譚は全体エンチャントである。ほとんどのセットには、全体エンチャントを大量に入れる余地はない。つまり、そのセットにはセット内の適当なカードであるという以上にそれらを入れる必要がなければならない。

絵画的世界
この最後の条件はそれほど重要ではないが、『ドミナリア』では描写されている物語がその世界の絵画性を通して語られるという英雄譚の絵画性を確立した。つまり、英雄譚は定義された絵画性を持つ世界でもっともうまくいくのだ。

開発部で最近流行りの冗談に、デザイン・リードはそのセットがなぜ英雄譚に最もふさわしいのかという理由を考え出すものだ、というものがある。『ラヴニカのギルド』や『ラヴニカの献身』は3回目の訪問なのですでに語ってきた物語が大量にあり、またギルド英雄譚のサイクルというのは素晴らしいだろう。『灯争大戦』は長大な物語のクライマックスで、渦中のプレインズウォーカーにはそれぞれ背景となる物語がある。『エルドレインの王権』はトップダウンのおとぎ話世界であり、文字通り有名な物語を元にして作られた世界である。しかし、『テーロス還魂記』はあらゆる提案の中で最高のものだった。

エンチャントを元にしたメカニズム的特徴があり、独特の絵画性で知られる文化に焦点を当てている、既知の物語を元にしたトップダウンの世界への再訪なのだ。どのセットにも英雄譚を採用するいい理由はあるが、『テーロス還魂記』ほどのものは存在しなかった。英雄譚を入れるべきだということは明らかだった。


これらを基に、神河を再訪した場合、英雄譚を再録するのは相応しいかを考えてみたいと思います。

エンチャントを入れる余地があるかは疑問です。特別、エンチャントにスポットを当てたようなセットでもありません。ただ、『ドミナリア』もエンチャントテーマではありませんが、エンチャントテーマの『テーロス還魂記』よりも、英雄譚の収録枚数は多いです(前者が14枚、後者が10枚)。

トップダウンのおとぎ話世界『エルドレインの王権』と同様に、日本神話・伝承・童話モチーフの神河も、モチーフにできる物語は豊富にあります。

神河物語は『ドミナリア』と同様に、伝説にスポットを当てたセットです。歴史的というルール用語の再登場と共に再録することで、伝説テーマに再挑戦することは可能でしょう。

また、現在のストーリーにおける、貴重な神河要素であるタミヨウが英雄譚と相性がいいです。彼女は物語が綴られた巻物を大量に所持しており、それを広げることで魔法を発動します。これは英雄譚そのものと言えるでしょう。

このように考えると、テーロスとはまた違った理由で英雄譚を入れることが出来ると言えます。

例えば、桃太郎を基にすれば以下のようなカードが考えられます。単純に作ると、トークンだらけになるのが難点ではありますが。


桃太郎伝説  (4)(白)(緑)
エンチャント ― 英雄譚 レア
I ― 先制攻撃を持つ白の2/2の人間・クリーチャー・トークンを1体と、警戒を持つ白の2/2の猟犬・クリーチャー・トークンを1体と、トランプルを持つ緑の3/3の類人猿・クリーチャー・トークンを1体と、飛行を持つ白の1/1の鳥・クリーチャー・トークンを1体生成する。
II ― 対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とする。あなたがコントロールするクリーチャーはそれにそれぞれ1点のダメージを与える。
III ― 宝物・トークンをX個生成する。Xはすべての対戦相手の墓地にあるクリーチャー・カードの枚数に等しい。


トークンを並べるのは再現性が高いですが、種類が多すぎます。その点を変えるため、別のバージョンも考えました。


桃太郎伝説  (3)(白)(緑)
エンチャント ― 英雄譚 レア
I ― 先制攻撃を持つ白の2/2の人間・クリーチャー・トークンを1体を生成する。あなたは3点のライフを得る。
II - あなたのライブラリーのカードを上から5枚見る。あなたはそれらの中からクリーチャー・カードを1枚公開し、それをあなたの手札に加えてもよい。残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。この手順を2回繰り返す。
III ― あなたがコントロールしているクリーチャー1体と、あなたがコントロールしていないクリーチャー1体を対象とする。その前者はその後者に、自身のパワーに等しい点数のダメージを与える。
IV ― 宝物・トークンをX個生成する。Xはすべての対戦相手の墓地にあるクリーチャー・カードの枚数に等しい。


カードは作成しましたが、今回のオリジナルエキスパンションにおいては、採用はしません。
神河資料 - ストーリーの語り手
神河資料 - ストーリーの語り手
英雄譚についての記事です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2018.5.8 英雄譚の英雄譚
https://mtg-jp.com/reading/mm/0030559/

英雄譚は最初メカニズムですらなく、テーマ要素だった。最初、ドミナリアは歴史の世界であるという発想に我々が集中していた中で、過去が現在を定義する世界においてはストーリーが重要でなければならないという考えが何度も私の頭をよぎっていた。マジックはカードの中でストーリーを伝えようとしてきたが(注目のストーリー・カードが最新の取り組みだ)、メカニズムを通してストーリーを伝えようという試みは非常に新しいものだ。

私は、カード・デザインの中でストーリーやそれを伝えることについてどれだけ触れてきたかを振り返ってみた。大量の本は作ってきたが、私はもっとストーリーそのものに注目することにした。

ストーリーを伝える人物を描いたカードも何枚かある。《遊牧の民の神話作家》(『ジャッジメント』)、《伝承の語り部》(『神河物語』)、《神河の歴史、暦記》(『神河救済』)、《ハートウッドの語り部》(『未来予知』)、《寓話の賢人》(『モーニングタイド』)。


「ストーリーが語られることそのものを再現したメカニズム」というものがなかったので、デザインした結果、英雄譚が生まれた、という記事です。

ここでの「ストーリーが語られる」というのは、MTGの背景物語がこの人物視点で語られる、というようなものではなく、その世界における物語(寓話や伝承)を語る設定、ということです。

神河ブロックにおいては、《伝承の語り部》《神河の歴史、暦記》がストーリーの語り手という設定になっており、フレイバーテキストからもその様子はうかがえます。


生あるものからは語られぬ言葉が、その多くの口からこぼれ落ちた。
《伝承の語り部/Teller of Tales》



暦記が死して後、僧たちは十年をかけて彼の体に刻まれた入墨や、彼と話をした者に語った物語を写しとった。かくして、今手にしている書ができあがったのだ。
――― 神河史書.
《神河の歴史、暦記/Reki, the History of Kamigawa》


特に暦記は、「あなたが伝説の呪文を唱えるたび、カードを1枚引く。」という効果なので、能力的にも伝説の語り手、というフレイバー通りです。伝説テーマの神河ブロックならではの能力と、設定が嚙み合っています。
日本三大妖怪は鬼・河童・天狗とされることがあります。

そのうち、鬼はデーモン・スピリットとして神河ブロックに存在しています。河童は絶滅こそしているものの、存在は示唆されています。そして、復活した河童をデザインしました。

では、天狗はどうか?と調べてみたのですが、まったく影も形もありません。『イニストラードを覆う影』に《死天狗茸の栽培者》という形で「天狗」という単語を見ることができる程度です。あとは天狗の由来である、《Moon-Eating Dog》が『Global Series: Jiang Yanggu & Mu Yanling』で登場したぐらいでしょうか。

まったく忘れられていた訳ではなく、神河での登場は検討されてはいたようです。

TRUTH IN FANTASY
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/truth-fantasy-2005-03-07

Shed a tear for the tengu: The akki beat out the other contender for the highly coveted red spot in the world of Kamigawa: the tengu. Tengu, the classic bogeyman of Japan, have a many-tiered society. The bottom ranks are long-nosed mountain men that look a bit like akki without shells, while the upper ranks are more birdlike, complete with beaks and wings. Ultimately, the tengu lost their bid for glory in Kamigawa because red humanoids in Magic have no business flying all the time, and they lack the akki’s natural charm.


これによると、「赤の人型種族は飛行を持たない」「悪忌の方が魅力的」ということから、天狗よりも悪忌を採用することになったようです。

しかし、天狗はメジャーな妖怪です。烏天狗、白狼天狗、鞍馬天狗など種類も豊富にあるので、まったく使わないのも勿体ないと思います。

そこで、天狗をデザインすることにします。河童と違って、存在した痕跡すらないのですが。そこは、人間が神になったもの、という理屈付けをします。現実世界でも、崇徳上皇などは天狗になったと言われますし、神河世界でも《確約の神主》という神に転生する人間がいます。これで一応の理屈はつけられるでしょう。

まず、考えるのは色です。上の記事では、赤のカラーパイを理由に天狗が不採用となっています。一方で、天狗は山伏(赤のシャーマン)の恰好をしており、山岳信仰と結びついており、山の神ともされているので、赤や山とは切り離しにくいものです。ただ、翼をもって飛翔したり、風を操ったり、知恵に富むものだったりといった側面は、赤よりも青のイメージと言えます

以上を元に考えると、赤青にすれば問題はなくなりそうです。河童が青黒、鬼が黒赤、とすると、ちょうど弧三色となり、キレイにまとまります。

そうして作ったカードがこれです。


天狗の元締め、アマギ  (3)(青)(赤)
伝説のクリーチャー ― スピリット レア
飛行、速攻
~が攻撃するたび、あなたがコントロールしていないクリーチャー最大1体と、あなたがコントロールするクリーチャー最大1体を対象とする。あなたは(1)(青)か(2)(赤)またはその両方を支払ってもよい。(1)(青)を支払ったなら、前者をオーナーの手札に戻す。(2)(赤)を支払ったなら、後者はターン終了時まで、+X/+0の修整を受ける。Xは、あなたがコントロールする山の数に等しい。
4/4


他にも作りたいところですが、神河は多色テーマという訳でもないので、赤青のカードを多数作るわけにはいきません。もし、それなりに枚数を作ろうと思うなら、山とのつながりを押し出した、飛行の無い天狗モチーフの赤単色のカードや、風を操る面などに注目した青単色のカードを作るでしょう。

先日、絶滅から復活した、河童のオリジナルカードをデザインしました。

神河ブロックには河童そのものは登場しませんが、河童をもとにした部族が存在します。それがゴブリンです。

TRUTH IN FANTASY Posted in Feature on March 7, 2005
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/truth-fantasy-2005-03-07

Kappa out of water: Magic card and concept artist Ittoku says that he created the akki to look like mountain-dwelling versions of a traditional Japanese creature, the kappa. Kappa are little child-sized humanoids that live in rivers and are said to be partial to sumo-wrestling, and eating people, not necessarily in that order. Their distinguishing characteristic is a bowl atop their head in which they can carry a little water to keep themselves properly moist should they have to leave their abode for any length of time.


これによると、イラストレーターの一徳が、神河におけるゴブリン=悪忌を、山に住む河童のように見えるものとしてデザインしたそうです。ただ、悪忌は河童らしい能力は特に持っていません。

また、絶滅したとは言え、かつては河童がちゃんと存在していた訳です。その時は、悪忌と河童どのような関係だったのか気になるところです。
和風ファンタジーと言えば妖怪は1つの定番です。中でも河童はメジャーな存在でしょう。人によっては「日本三大妖怪」の1つにいれています。

神河ブロックにおいては、《最後の河童の甲羅》から分かる通り、絶滅してしまったようです。ただし、オンスロート・ブロックにおいて、「激浪計画」がスリヴァーを復活させた前例があります。復活の目がまったくない訳ではありません。

ここでは、もし復活してカード化したなら、どんなカードか?を考えてみます。

河童の特徴と言えばいろいろあります。泳ぎが得意とか、頭の皿が乾くと力がなくなるとか、です。この辺りをカードの効果で表すと、「島渡り」や「島をコントロールしていないと生け贄に捧げる」といったものでしょうか。しかし、この手の効果は昔はよくありましたが、今では使わない傾向にあります。また、仮にこうしても、よくいる水棲生物と大差ないものになりそうです。ただ、効果はともかく、水辺の生き物であることから、青のクリーチャーが一番妥当でしょう。次点で黒も可能、といったところでしょうか。

「きゅうりが好き」というのは珍しい特徴と言えますが、カードの効果に落とし込むのは難しくなります。

「相撲が好き」であれば、格闘能力を持たせることで表現できますし、水棲生物としては珍しいので差別化できますが、青単色では難しいので、緑との多色になりそうです。

「尻子玉を抜く」を、カウンターの移動とするならば、これも水棲生物としては希少な効果です。《生体変化》(緑青混成)や、《命運の転送》(青黒混成)や《ヒル結び》(青単色)の例があるので、青単色でも大丈夫でしょう。カウンターの除去とすると、《吸血鬼の呪詛術士》《裏切りの対価》の例を見るに、黒の効果なので、黒になりそうです。

「人や馬を引きずり込んで溺れさせる」はどうでしょう。「溺れる」というのは、《溺れさせる者の信徒》《秘密を溺れさせる者》《ネファリアの溺墓》などを見ると、ライブラリー破壊という解釈もできます。ライブラリー破壊は青や黒のカラーパイなので、これも問題ありません。

鬼がデーモン・スピリットであることや、《雪女》がスピリットであることから、妖怪のクリーチャー・タイプはスピリットでいいでしょう。

以上をもとに、カードを考えました。


蘇りし最初の河童、ナガレ  (2)(青)(黒)
伝説のクリーチャー - スピリット レア
(青/黒):パーマネント1つを対象とする。それと共通のタイプを持つ別のパーマネント最大1つを対象とする。前者の上に置かれているカウンターを1個取り除くか、後者の上に移動する。
3/3


河童はメジャーな妖怪ですし、「~の神」というスピリットばかりなのもワンパターンです。他にも2~3枚程度はカードにするかもしれません。
神河資料 - コストがXXのカード
神河資料 - コストがXXのカード
神河資料 - コストがXXのカード
『マジック・オリジン』の記事からです。

Making Magic -マジック開発秘話- 2015.8.18 オリジンのスピン
https://mtg-jp.com/reading/mm/0015510/
《搭載歩行機械》[ORI]
マジックのデザインに関する歴史家として、私は奇妙な異常値にいつも魅入られる。たとえば、マジックの歴史上、{X}{X}のマナ・コストを持つアーティファクトはいくつあるか。その答えは2つ。
『ミラディン』の《虚空の杯》と、『神河物語』の《大蛇の孵卵器》だ。しかし《搭載歩行機械》は、この両者どちらとも違う特徴がある。そう、《搭載歩行機械》はクリーチャーなのだ。コストが{X}{X}の史上初のクリーチャーと言われても諸君はぴんと来ないだろうが、私は満足だ。これはアーティファクト・クリーチャーなので、このセットの舞台の1つであるアーティファクトをテーマとした世界カラデシュに位置づけられる。コストが{X}{X}のX/Xクリーチャーは弱い方なので、何かクールなものを付け加える余地があるということになる。死亡したときにX体の飛行機械を出すというのはこのカードをカラデシュらしくしてくれるし、魅力的な一ひねりを加えることにもなる。5/5クリーチャーを相手にするか、それとも5体の1/1飛行クリーチャーを出させるか、どちらが問題だろう?


コストがXXのカード、ということで神河物語の《大蛇の孵卵器》が挙げられています。後の『霊気紛争』の《搭載歩行機械》を入れても4枚しかないので、かなり貴重です。

残念ながら、他の3枚《虚空の杯》《搭載歩行機械》《搭載歩行機械》と比べて、目立った活躍はしていません。一応使っているデッキはあるようですが、その活躍ぶりは雲泥の差と言えます。
先日考察した、ドラゴン・ボーナスの類似である、スピリット・ボーナスのカードを作成しました。


明神の加護  (1)(白)
インスタント コモン
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+2の修整を受ける。
あなたの手札にあるスピリット・カードを1枚公開してもよい。そうした場合か、あなたがスピリットをコントロールしている場合、それはターン終了時まで、それは破壊不能と絆魂を得る。



敬虔な布教師  (1)(白)
クリーチャー - 狐・クレリック コモン
~が戦場に出たとき、あなたの手札にあるスピリット・カードを1枚公開してもよい。そうした場合か、あなたがスピリットをコントロールしている場合、あなたは6点のライフを得る。
2/1



鐘突きの見習い  (3)(白)
クリーチャー - 人間・クレリック コモン
~が戦場に出たとき、あなたの手札にあるスピリット・カードを1枚公開してもよい。そうした場合か、あなたがスピリットをコントロールしている場合、あなたがコントロールするクリーチャーをすべてアンタップする。
3/3



神託  (3)(青)
インスタント コモン
カードを2枚引く。
あなたの手札にあるスピリット・カードを1枚公開してもよい。そうした場合か、あなたがスピリットをコントロールしている場合、カードを2枚引いて2枚捨てる。



鏡の学者  (1)(青)
クリーチャー - 人間・ウィザード コモン
~が戦場に出たとき、占術1を行う。あなたの手札にあるスピリット・カードを1枚公開してもよい。そうした場合か、あなたがスピリットをコントロールしている場合、代わりに占術3を行う。
1/3



縁の切断  (2)(青)(青)
インスタント コモン
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。あなたの手札にあるスピリット・カードを1枚公開してもよい。そうした場合か、あなたがスピリットをコントロールしている場合、それのコントローラーは、自分がコントロールするクリーチャーを1体、オーナーの手札に戻す。



サイクルのように5色には作らず、白と青の2色に絞ろうと思います。と言うのも、「構築でのスピリットデッキは主に白青」「白はクレリックがスピリットを直接参照する」が主な理由です。
神河資料 - 《プロパガンダ/Propaganda》と《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》
神河資料 - 《プロパガンダ/Propaganda》と《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》
神河資料 - 《プロパガンダ/Propaganda》と《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》
霊気紛争のQ&Aからです。

Making Magic -マジック開発秘話- 2017.2.14 こぼれ話:『霊気紛争』 その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0018407/

Q.このセットに《プロパガンダ》を入れることは検討しましたか?
A.知らない諸君のために説明すると、《プロパガンダ》は『テンペスト』で初登場し、その後『統率者』セットで何度も再録されている。
『霊気紛争』で検討しなかった理由は、攻撃クリーチャーにコストを要求するメカニズムは既に青のものではなくなっているからである。何年も前に、コスト要求のほとんどを白に移動させていて、《プロパガンダ》の能力もその一環である。『神河物語』で初登場した《亡霊の牢獄》は白の《プロパガンダ》であり、この効果が新セットに必要であればこちらを使うことになるだろう。


MTGにおいては、色の役割の変更は何度も行われています。攻撃に対してマナを要求するのは、《プロパガンダ》はじめ青の役割でしたが、神河物語の《亡霊の牢獄》あたりから、白に変更されました。

ただし、《プロパガンダ》の効果をもつ白のクリーチャー《風生まれの詩神》が、神河物語よりも前(レギオン)に登場しています。神河物語の後に登場した派生カードの中にはクリーチャーもエンチャントも同程度いるので、こちらが最初の役割変更とも言えます。しかし、この時点では「白も青の役割を持てるようになったが、青に次ぐ二番手である」とも取れます。

《解呪》に対する《帰化》のように、全く同じ効果を違う色で行うことで、色の役割が変わったことを明確にする意図があったとするならば、《亡霊の牢獄》こそがターニングポイントとして相応しいと言えるのかもしれません。

先日、主要部族の扱いについて日記を書きました。

その中から、タルキール龍紀伝のドラゴンについて考えてみます。このセットでは、ドラゴン・ボーナス・カードと呼ばれるカードがあります。


忌呪の発動  (2)(黒)
インスタント
この呪文を唱えるための追加コストとして、あなたの手札にあるドラゴン(Dragon)・カードを1枚公開してもよい。
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはクリーチャーを1体生け贄に捧げる。あなたがこの呪文を唱えた時点でドラゴン・カードを公開したかドラゴンをコントロールしていたなら、あなたは4点のライフを得る。


手札のドラゴン・カードを公開するかドラゴンをコントロールしているとボーナスを得られる、ということです。

ドラゴンはコストが重い傾向にあるので、いつものような「~をコントロールしている場合」だけだと、なかなかボーナスを得られません。手札にあるだけでも有効にしたのは相応しいでしょう。

これと同様のことを神河のスピリットでもやってみようかと考えました。神河のスピリットは重いものだけではありません。それでも、重いものを中心に入れたデッキもあるでしょうし、軽いもの中心のデッキでも条件を満たしやすいならそれに越したことはありません。

ただ、文章がやや長いことが気になったので、短くできないのかと考えました。それが以下のテキストです。


あなたの手札にあるスピリット・カードを1枚公開してもよい。そうした場合か、あなたがスピリットをコントロールしている場合、~


ドラゴン・ボーナスは唱えた時点で条件判定をしますが、この場合は解決の間です。そのため、対応して除去呪文をうった場合や、カウンター呪文をうつかどうかの判断など、細かい違いはあります。テキストの長さは確実にこちらが短いですが、どちらが良いとは一概には言えないでしょう。

今回は考察のみで、具体的なカード作成は後日の予定です。
神河資料 - 発売されなかったジョークカード
実際には発売されなかったカード、それもジョークセットの話です。

『Unglued 2: The Obligatory Sequel(当然の結果)』としてデザインされていたものの多くは『Unhinged』で実際にカード化しました。その中でも、何らかの理由でカード化に至らなかったものの特集です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2013.8.22 アンの視点
https://mtg-jp.com/reading/mm/0004239/

〈注意喚起+意気消沈/Heads Up+Tail Spin〉

(1)(赤)(赤)
エンチャント
サイド1:
あなたのアップキープの開始時に、コイン投げを行う。裏が出たなら、このカードを180度回転させる。
あなたがコントロールするクリーチャーは+2/+2の修整を受けるとともに先制攻撃を得る。
サイド2:
あなたのアップキープの開始時に、コイン投げを行う。裏が出たなら、このカードを180度回転させる。
あなたのクリーチャーはすべて-5/-0の修整を受ける。

このカードは少し混乱するので、その動きを説明しておこう。このカードは違う向きのイラスト2つを組み合わせた形で配置されている。つまり、ある向きで見たら〈注意喚起〉、別の向きで見たら〈意気消沈〉になるのだ。そう、『神河物語』よりも何年も前に、私は反転カードを作っていたのだ(このときも、「ああ、それは『Unglued 2』でやったよ、と言ったはずだ)。

このカードは、毎ターンコイン投げをして、表だったら〈注意喚起〉、裏だったら〈意気消沈〉になるというものだった。〈注意喚起〉はいいことがあり、〈意気消沈〉は悪いことがある。そして、何年もの研究の結果、〈注意喚起〉はすごくいいことが起こり、〈意気消沈〉は問題ないことが起こるようにした。これによってどちらでも利益を得るが、その一方はより大きな利益を得る、というようになったのだ。やはり表の方がいいのは変わらないが、裏になってもそれほど嫌な思いをしなくて済むようになった。これでこのカードはより使われるようになることだろう。


2つのイラストを180度違う向きで配置しているので、正に反転そのものです。

これが実際に発売されていたら、その評価はどうなっていたでしょうか?コイン投げでランダム要素があることや、反転した後も元に戻ることは、反転ではやっていないことです。そうした点もあるので、一概に同じとは言えませんが、比較は興味深いところです。

ジョークセットのカードではありますが、反転は通常のセットである神河で収録され、その反省を活かした変身も登場し、人気メカニズムとして定着しています。

悪ふざけはある意味、斬新な発想の元なのかもしれません。
アンコモンの2色の侍を作ってみました。名前は未定です。決めたので追記しました。


指南役、白銀の尾  (1)(赤)(白)
伝説のクリーチャー - 狐・侍 アンコモン
~が戦場に出たとき、刀剣・トークンを2つ生成する。
あなたがコントロールするクリーチャーは、それが装備しているかぎり+1/+0の修正を受けるとともに、先制攻撃を得る。
1/4



戦いの螺旋、朱目  (黒)(赤)
伝説のクリーチャー - ネズミ・侍 アンコモン
~が戦場に出たとき、刀剣・トークンを1つ生成し、これにつける。
あなたがコントロールする他の侍か装備品を生け贄に捧げる:~はターン終了時まで+2/+2の修正を受けるとともに、接死を得る。
2/2




信念の刃、今田元親  (2)(白)(黒)
伝説のクリーチャー - 人間・侍 アンコモン
警戒、絆魂
~が戦場に出たとき、刀剣・トークンを1つ生成する。
~を生け贄に捧げる:あなたは~のパワーに等しい値のライフを得る。
2/4

神河資料 - ささいなこと
神河資料 - ささいなこと
トリビア・クイズです。

Making Magic -マジック開発秘話- 2018.10.23 ほんとにささいなこと
https://mtg-jp.com/reading/mm/0031277/

第15問 ― 2004年
問題 『神河物語』の総枚数を306枚だと言う人と、307枚だと言う人がいる。何故か。

選択肢
a.イラストが2種類あるカードが1枚あるから
b.当時、スターター・ゲームはセットの一部として扱われていたが、そこにしか存在しないカードが1枚存在するから
c.第2版で誤植が訂正されているから
d.通常のブースターには入っておらず、グランプリでだけ配られた『神河物語』のプロモ・カードが存在するから

正解
a.イラストが2種類あるカードが1枚あるから
《山崎兄弟》にはイラストが2種類あり、兄と弟が描かれている。このちょっとした冗談のせいで、印刷用シートを1枚まるまる追加しなければならなくなり、かなりの追加費用が必要になった。前もってそれがわかっていれば、このようなことはしなかったのではないかと思う。


《山崎兄弟》は2枚だけのときだけはレジェンド・ルールを無視できる、という効果を持っていました。伝説がテーマなので、こうしたメカニズムが生まれるのは自然なことでしょう。そのために兄弟の設定にして、別イラストを用意したのだと思います。印刷で不都合が生じてしまったので、再訪しても、やらない可能性は高いですが。

最近はこうした理由でなくとも、本来とは別バージョンのイラストを用意することが増えているようです。灯争大戦での日本語限定イラストはかなり大規模なものであり、イラストの雰囲気がいままでとは違った雰囲気のため、かなりの反響を呼びました。

山崎兄弟もこうした形で別バージョンのイラストを用意したのであれば、印刷上の問題も減ったでしょう。それはそれで、兄弟で似て無さすぎる、という問題がでそうではありますが。
今回は各セットにおける、主要部族の考察です。

神河物語におけるスピリット・クリーチャーは合計70枚です。クリーチャーカード152枚の46%、全カード291枚の24%を占めます。

エルドレインの王権における騎士・クリーチャーは合計46枚です。クリーチャーカード161枚の29%、全カード285枚の16%を占めます。

戦乱のゼンディカーにおけるエルドラージ・クリーチャーは合計51枚です。クリーチャーカード136枚の38%、全カード254枚の20%を占めます。

タルキール龍紀伝におけるドラゴン・クリーチャーは合計26枚です。クリーチャーカード135枚の19%、全カード254枚の10%を占めます。
※あくまでもサブタイプが該当するクリーチャーカードのみで、トークン生成のようなカードなどは除外しています。基本土地のように複数枚イラストがあるようなものは1枚としてカウントしています。

こうしてみると、神河におけるスピリットの割合は相当高いです。ゼンディカーにおけるエルドラージがそれに迫る、といったところでしょうか。もっとも、エルドラージは本来ゼンディカーにはいないもので、住民とは対立する存在です。神河のスピリットも、ストーリーで戦ってはいますが、本来は住民と対立するような存在ではありませんし、最初から神河次元にいる、という点で大きく異なっています。

部族ではありませんが、ミラディン包囲戦ではミラディン陣営とファイレクシア陣営の透かしが入ったカードが同数となっています。このように2つの陣営が対立する勢力である場合、それが同数になるのは自然なことです(片方の劣勢や優勢を描く場合は別ですが)。そして、片方の勢力が単一の部族であれば、セットにおけるクリーチャーカードのほぼ半分が単一の部族になる、ということでしょう。

エルドレインの王権における騎士やタルキール龍紀伝におけるドラゴンはそれらとは違うため、枚数がスピリットやエルドラージほどではないのでしょう。ドラゴンに関しては、小型や低レアリティのものを作りにくい、というのも関係するでしょうが。

そうすると、「神との対立がない」本来の神河次元を描く場合のスピリット比率はどれくらいが適正なのか?という点を考えています。神河次元は設定上、人の世界「現し世(うつしよ)」と精霊の世界「隠り世(かくりよ)」に分かれているため、どこまで神が人の世界に行き来しているのか、にもよると思うのですが。

ストーリーとの兼ね合いもあるので、それを決めていない現段階では何とも決めにくいというか、枚数は後で調整するのがいいのかもしれません。

アモンケットが神河物語の代わりに登場したかもしれない、という話です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2017.5.30 こぼれ話:『アモンケット』 その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0018990/

Q.デザインを終わらせてから今までの間、もっとも伝えたかった秘密は何でしたか?
A.一番伝えたかった秘密は、ついにトップダウンのエジプト風セットを作る、ということだと思う。15年以上の間、プレイヤーたちから求められていたのだ。『アモンケット』のデザインの話をする記事の1本目で語ったとおり、『神河物語』はトップダウンのエジプト風セットになる可能性があった。トップダウンのエジプト風セットというアイデアは何年も前に遡る話なのだ。

ここで、"『アモンケット』のデザインの話をする記事の1本目"とあるのは以下の記事です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2017.4.4 『アモンケット』に入ろう その1
https://mtg-jp.com/reading/mm/0018637/

この話は何年も前に遡る。トップダウンのブロックを作ること、文化に基づいた世界にすること、できうるならばその地域の古代の神話に紐付けられるものにすることは決まっていたが、どういった影響を選び取るべきかについては議論が続いていた。我々は現実世界のあらゆるものを調べた。古代スカンジナビアからネイティブアメリカン、オーストラリアのアボリジニーまで。最終的に、候補は2つに絞られた。日本と、エジプトである。

どちらの文化もポップカルチャーで存在感が非常に強かった。どちらにも強いイメージがあり、独特の外観を持っていた。どちらにも豊かな神話があり、そこから引用することでクールなマジックのクリーチャーが作れることもわかっていた。どちらにもファンがいて、長年に渡ってプレイヤーたちから要求されていたものだったので、我々はこの2つの選択肢の間で長い時間悩んでいたのだ。

最終的に、我々では決定できないということになり、決定は上層部へ送られ、ビル・ローズ/Bill Roseに委ねられた。ビルはどちらの選択肢も良いものだと言い、選ばなかった方もいつか作ってほしいと言ったが、ビルが熟慮の結果選んだのは日本だった。

そして、『神河物語』を作ることになったのだった。

以上の通り、日本神話とエジプト神話の2つから、前者が選ばれて神河物語が作られました。もし、最終的な決定がエジプト神話だったら、アモンケットはもっと早く登場していたことになります。

もっとも、ボーラスの計画にかかわる長期的なストーリーが、当時はなかったので、現在のようなアモンケットとは違った形にならざるを得ません。その場合、どのようなストーリーやメカニズムになっていたのか興味深いところです。

また、「選ばなかった方もいつか作ってほしい」とある通り、この場合も神河物語は作られたでしょう。その場合、トップダウンデザインのノウハウが蓄積された上で作成されることになります。今よりもずっと評判が良くなっているであろうことは想像に難くないです。

神河がアモンケットの代わりにボーラスの計画に巻き込まれるとしたら、ボーラスは一体どのような計画を立てるのでしょうか?現在のストーリーでも、神河とは少なからず因縁があるので、面白いものになりそうです。

アンコモンに2色のカード10枚のサイクルを作って、ドラフトの指針を与えることが最近の方針のようです。

以前の日記に書いた「忍者の方向性」に合わせて、2色の忍者を作ってみました。


暗躍するもの、静海  (2)(青)(黒)
伝説のクリーチャー - ネズミ・忍者 アンコモン
忍術(青)(黒)
あなたがコントロールしているクリーチャー1体がプレイヤーにダメージを与えたことによりあなたがコントロールするパーマネントの誘発型能力が誘発するなら、その能力は追加でもう1回誘発する。
~がプレイヤーにダメージを与えるたび、パーマネント1つを対象とする。あなたはそれをタップまたはアンタップしてもよい。
2/2


疾風の再蔵  (3)(緑)(青)
伝説のクリーチャー - 蛇・忍者 アンコモン
忍術(1)(緑)(青)
(1)(緑)(青),このカードをあなたの手札から公開する,あなたがコントロールするクリーチャーを1体手札に戻す:~を戦場に出す。この能力はクリーチャー1体があなたを攻撃している場合に起動できる。
(T):~をオーナーの手札に戻す。
4/4


毒手の参太夫 (2)(黒)(緑)
伝説のクリーチャー - 人間・忍者 アンコモン
あなたがコントロールするクリーチャーは2体以上のクリーチャーによってはブロックされない。
~がプレイヤーにダメージを与えるたび、次の終了ステップの開始時にそのプレイヤーはこのターンにそのプレイヤーが失ったライフの点数に等しい点数のライフを失う。
3/3


以上です。

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