神河資料 - ミラディンと神河のパワーバランス
インフレに関する、デベロップメントの記事です。

Latest Developments -デベロップ最先端- 2013.8.19 カードパワーのインフレに対処する
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0004146/

適正なバランスを見つけ出す
我々がここ数年で試みていることは、マジックを全体的に、少なくともスタンダードを考慮して同じパワーレベルにすることです。これにより、1つのセットや1つのブロックがスタンダードにある他のセットよりも(例えば『ミラディン』ブロックと『神河物語』ブロック期の『ミラディン』ブロックや、『ローウィン』ブロックと『アラーラの断片』ブロック期の『ローウィン』ブロックのように)突出せず、また単純により多くのデッキが存在し以前の時代よりもはるかに多様性のある環境が作り出されました。もちろん我々はいくつかのカードで「強すぎ」たり「強さが十分でない」方向に向かうこともありますが、パワーレベルを安定させることによって、このフォーマットはそのようなカードの被害をそれほど受けないでしょう。


新しく発売されたセット程、カードパワーが高くなる、いわゆる「インフレ」はトレーディングカードゲームにはつきものです。商品販促を考えれば、そうなるのも自然なことではあります。

ただ、時として新しいセットの方が古いセットのパワーに劣る場合もあります。その一例として、神河ブロックやアラーラブロックの名前が出されました。

もっとも、カードパワーのインフレが行き過ぎれば、どこかで下方調整をせざるを得ないので、ある意味ではインフレと同様につきものとも言えます。

興味深いのは、神河ブロックはミラディンブロックよりカードパワーがほぼ純粋に下である一方で、アラーラブロックはローウィンブロックとはまた違った形でオーバーパワーなカードが多かったことです。ぶっ壊れでぶっ壊れを抑えていたが、ローテーションで片方が落ちたことで、残った方が暴れ回る、という構図だったとは何度か聞いたことがあります。

パワーカードの方向性を変える形で、インフレを起こさず、新セットも旧セットも使われるようにあってほしいものです。

今回は、アーティファクトのコモンに足りないと思う物を追加しました。


ぜんまい人形の試作機  (1)
アーティファクト・クリーチャー — 構築物  コモン
~が攻撃かブロックしたとき、戦闘終了時にそれを生け贄に捧げる。
顕現2 - (2)
2/2



破れた傘  (2)
アーティファクト・クリーチャー — 構築物・スピリット  コモン
(2):ターン終了時まで~は飛行を得る。
2/1



立ちふさがる壁  (2)
アーティファクト・クリーチャー — 壁・スピリット  コモン
瞬速、防衛
0/4



お守り運びの人形  (3)
アーティファクト・クリーチャー — 構築物  コモン
~が戦場に出るか、プレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、占術1を行う。
2/2



英雄の記念碑  (3)
アーティファクト・クリーチャー — 構築物  コモン
顕現4 - (7)
2/2



農作物を見守るもの  (4)
アーティファクト・クリーチャー — カカシ  コモン
警戒
~が戦場に出たとき、あなたは4点のライフを得る。
2/4



永岩城の塁壁  (5)
クリーチャー — 壁  コモン
防衛
(5):あなたがコントロールする他のクリーチャー1体を対象とする。その上に+1/+1カウンターを1個置く。
4/4



ぜんまい仕掛けの像  (6)
クリーチャー — 構築物  コモン
~のコンドルはその上に+1/+1カウンターが6個置かれた状態で戦場に出る。
~が攻撃かブロックするたび、戦闘終了時にその上から+1/+1カウンターを1個取り除く。
0/0



老いたる探検者の地図 (2)
アーティファクト  コモン
(2),(T),~を生け贄に捧げる:あなたのライブラリーから基本土地カードを最大1枚まで探し、それらを公開してあなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切り直す。カードを1枚引く。



宝物のつづら (1)
アーティファクト  コモン
(1),(T),~を生け贄に捧げる:宝物・トークンを1つ、タップ状態で生成する。カードを1枚引く。


今までアーティファクトは殆ど作っていなかったので、枚数が多くなりました。アンコモンについては後日とします。
神河資料 - 『From the Vault: Lore』の《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
『From the Vault: Lore』についての記事です。

翻訳記事その他 2016.8.16 『From the Vault: Lore』
https://mtg-jp.com/reading/translated/0017352/

梅澤の十手/Umezawa’s Jitte
《梅澤俊郎》、通称俊(トシ)は神河次元のはぐれ者の侍でしたが、その旅の中で彼は犯罪組織の用心棒から闇の精霊のしもべ、そして神の乱の英雄となりました。彼は「漢字の魔術」を振るい、強力なアーティファクトを保持し、世界のあらゆる影の中を渡り歩くことができました。『神河謀叛』に収録されている彼の十手は、マジックでも最も珍重される装備品のひとつとして、私達に彼の狡猾さと多芸さを垣間見せてくれます。


このセットでは、マジックの全歴史から15枚の記念すべきカードが選ばれて収録されています。

その選出されたカードには、人により、いろいろ思うところはあるでしょう。ただ、《梅澤の十手》に関しては文句は少ない方だと思います。良くも悪くも強い印象を残したカードであることには間違いありません。

十手のぶっ壊れっぷりは方々で語られているので、そちらに任せます。

十手について最近気になるのはむしろ、ぶっ壊れでありながら結局スタンダードでは禁止されなかったこと。それどころか、ぶっ壊れカードがありながらも、神河ブロック+ラヴニカ・ブロック期のスタンダードが過去最高にいい環境だった、とする声が少なくないことです。

「ネクロの夏」「MoMaの冬」、最近では「オーコの秋」など、特定のカード(やデッキタイプ)が環境を支配することは(残念ながら)珍しくありません。十手がそうならなかったのはなぜなのか?という点について考えると色々な仮説が浮かぶので、考えていて楽しいです。

個人的には、十手のようなカードが二度と出ないことより、十手のようなカードがあっても楽しいと言えるような環境がまた来て欲しい、と考えています。
今回は、緑のコモンとアンコモンに足りないと思う物を追加しました。


鐘突きの僧侶 (緑)
クリーチャー - 人間・モンク コモン
~が攻撃に参加するたび、このターンに呪文が唱えられていなかった場合、~はターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。
1/1



桜族の春の巡礼者  (1)(緑)
クリーチャー — 蛇・シャーマン コモン
~が戦場に出たとき、(緑)(緑)を加える。あなたは、このマナを呪文を唱えるために支払うことはできない。
2/2



花の香りの神  (2)(緑)
クリーチャー — スピリット  コモン
(2)(緑):このターン、~をブロックできるすべてのクリーチャーはそれをブロックする。
3/2



大樹の神  (3)(緑)(緑)
クリーチャー ― スピリット  コモン
到達
(4)(緑)(緑):~の上に+1/+1カウンターを1個置く。
4/4



古札の奉納  (1)(緑)
ソーサリー  コモン
アーティファクト1つかエンチャント1つを対象とし、それを破壊する。あなたは3点のライフを得る。



飯綱落とし  (2)(緑)
インスタント  コモン
あなたが忍者をコントロールしているなら、この呪文を唱えるためのコストは(2)少なくなる。
飛行を持つクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。



儀礼的一戦  (2)(緑)
ソーサリー  コモン
あなたがコントロールするクリーチャー1体と、対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とする。その前者がスピリットであるなら、それの上に+1/+1カウンターを2個置く。その前者はその後者と格闘を行う。



種子の神  (緑)
クリーチャー ― スピリット  アンコモン
(X)(緑),~を生け贄に捧げる:クリーチャーX体を対象とする。それらの上に+1/+1カウンターをそれぞれ1個置く。この能力は、あなたがソーサリーを唱えられるときにのみ起動できる。
1/1



森の深部への案内者  (1)(緑)
クリーチャー ― スピリット  アンコモン
接死
~が攻撃するたび、あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは接死を得る。
2/2



静寂の守り手  (1)(緑)(緑)
クリーチャー ― スピリット  アンコモン
あなたのターンの間、あなたの対戦相手はクリーチャーでない呪文を唱えられない。
3/3



懐かしい光景  (3)(緑)(緑)
ソーサリー  アンコモン
あなたの墓地にあるクリーチャー・カード最大1枚と土地・カード最大1枚とクリーチャーでも土地でもないカード最大1枚を対象とする。それらをあなたの手札に戻す。~を追放する。


神河資料 - リミテッドの《思考の鈍化/Dampen Thought》デッキ
神河資料 - リミテッドの《思考の鈍化/Dampen Thought》デッキ
Latest Developments -デベロップ最先端- 2014.4.14 デザイナー、デベロップをする
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0008795/

『Modern Masters』のデベロップ時に、我々はフェアリーやストームのような構築フォーマットで人気のあったアーキタイプを作りたかったのだけど、いくつかの色のペアで戦略を見つける必要があった。私はドラフトの変なアーキタイプが大好きなので、『神河物語』3つのドラフトにあった、クリーチャー0体の《思考の鈍化》デッキを試してはどうかと提案した。すでに《木霊の手の内》や《深遠の覗き見》のようないくつかの秘儀が必要だと分かっていたので、この戦略は適応し、プレイヤー達に史上最もユニークな戦略のうち1つを再び体験させることを可能にしたんだ。


ドラフトの変なアーキタイプということで、『神河物語』の《思考の鈍化》デッキが挙げられています。

ライブラリー破壊デッキは、どのエキスパンションでも毎回のように登場しますが、クリーチャーがゼロ(は極端にしてもごく少数)でも成立するのはかなり珍しいでしょう。リミテッドにおける定石からは完全に外れています。

特殊なメカニズムに大きく依存したアーキタイプなので、他のセットでマネするのは難しいでしょう。それだけに、神河物語ならではの特殊な体験になるのです。

今回は、赤のコモンとアンコモンに足りないと思う物を追加しました。


護摩行の天狗  (2)(赤)
クリーチャー ― スピリット  コモン
飛行
(赤):~はターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。この能力は、あなたのターンにのみ起動できる。
1/2



過去の棄却  (1)(赤)
ソーサリー  コモン
カード最大4枚を捨て、その後その枚数に等しい枚数のカードを引く。



世界の分断  (2)(赤)
ソーサリー  コモン
このターン、スピリットであるクリーチャーは、スピリットでないクリーチャーをブロックできない。
このターン、スピリットでないクリーチャーは、スピリットであるクリーチャーをブロックできない。



古札の神  (赤)
クリーチャー — スピリット  アンコモン
速攻
~か他のクリーチャーが死亡するたび、あなたはカード1枚を捨ててもよい。そうしたなら、カードを1枚引く。
1/1



火刑  (赤)
インスタント  アンコモン
伝説でないクリーチャー1体を対象とする。~は、それに4点のダメージを与える。



鬼火の襲撃  (2)(赤)
インスタント  アンコモン
このターンにクリーチャーが死亡していた場合、この呪文を唱えるためのコストは(2)少なくなる。
クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。~はそれに3点のダメージを与える。



合戦の合図  (2)(赤)
インスタント  アンコモン
ターン終了時まで、あなたがコントロールするクリーチャーは+2/+0の修整を受ける。
ターン終了時まで、あなたがコントロールするクリーチャーは、それにつけられている装備品1つにつき+1/+0の修整を受ける。


神河資料 - 《接合者の技法/Splicer’s Skill》
神河資料 - 《接合者の技法/Splicer’s Skill》
神河資料 - 《接合者の技法/Splicer’s Skill》
『モダンホライゾン』についての記事です。

翻訳記事その他 2019.5.23 マジック:ザ・ギャザリングについてのマジックのセット
https://mtg-jp.com/reading/translated/0032554/

他にも、僕の2枚目のプレビュー・カードのように、キーワードやキーワードでないメカニズムを含む合成もあるんだ。《接合者の技法》は、『新たなるファイレクシア』に、戦場に出たときにゴーレム・トークンを生成する接合者というクリーチャーがいたことを元にした、カードの形をとったダジャレだ。これらのカードはどれも「splice」という単語を使っていて、これは神河ブロックの連繋(秘儀)メカニズムと同じ単語なんだよ。

神河のカードと違って、《接合者の技法》はどんなインスタントやソーサリーにも連繋できる。これはとても強力な相互作用を生み出すかも(例えばストーム・メカニズムと組み合わせるとか)。


すべてのインスタントやソーサリーに拡張した、連繋についてはこれまでも何度か触れてきました。

この記事では、ストーム・メカニズムとのシナジーについて言及されています。

とはいうものの、例えば《接合者の技法》をストーム呪文に連繋する手間とマナを考えると、普通に致命傷になりえるストーム呪文を使うのではないでしょうか。

普通に呪文と呪文を連繋しても、そのままだと条件付きバイバックと大差ありません。

まとめて1つの呪文扱いなので、呪文カウントが増えず打ち消しに弱くなる一方、コピー呪文1つで複数分コピーできるのは大きなリターンです。また、ストームのような呪文が持つキーワード能力とのシナジーも連繋ならではのシナジーです。

ただ、どの道かなり限られた状況だと思います。それを実用性に乏しいとみるか、ロマンとみるかは意見が分かれるところでしょう。
今回は、黒のコモンに足りないと思う物を追加しました。アンコモンについては、一通りは揃っていて大丈夫だと思います。


暴力的な鬼  (3)(黒)
クリーチャー ― スピリット・デーモン  コモン
進撃
~が戦場に出たとき、あなたは2点のライフを支払っても良い。そうした場合、~の上に+1/+1カウンターを1個置く。
4/3



執念深い鬼  (1)(黒)
クリーチャー ― スピリット・デーモン  コモン
~が死亡したとき、他のクリーチャー1体を対象とする。あなたは2点のライフを支払ってもよい。そうした場合、そのクリーチャーはターン終了時まで-2/-2の修整を得る。
2/1



沼底の河童  (2)(黒)
クリーチャー ― スピリット  コモン
クリーチャーを1体、生け贄に捧げる:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは、自分のライブラリーのカードを上から3枚、自分の墓地に置く。
2/2



竹沼での溺死  (2)(黒)(黒)
インスタント  コモン
クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それのコントローラーは自分のライブラリーの一番上から2枚のカードを自分の墓地に置く。



凶刃  (黒)
エンチャント ― オーラ  コモン
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは+1/+0の修整を受けるとともに接死を持つ。



霧遁の術  (黒)
インスタント  コモン
霧遁の術を唱えるための追加コストとして、(2)を支払うか、あなたがコントロールしていてブロックされていない攻撃クリーチャー1体を手札に戻す。
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-3/-3の修整を受ける。



新たなる魂  (黒)
ソーサリー  コモン
以下から1つを選ぶ。
・あなたの墓地からクリーチャー・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
・あなたの墓地からスピリット・カード2枚を対象とし、それらをあなたの手札に戻す。


今回は以上です。
神河資料 - ワーム
マジック特有のクリーチャー・タイプについての記事です。

Savor the Flavor 2011.8.19 マジックの独自クリーチャーたち
https://mtg-jp.com/reading/translated/stf/0004329/

ワーム:入っている
そして我々は彼らを実に様々な異なる次元で見てきた(大雑把に数えてドミナリア、ラヴニカ、アラーラ、ゼンディカー、ミラディン、シャドウムーア。神河以外の、最近舞台となったほぼ全ての次元だ)。


記事中では他にもスリヴァーやヘリオン、ヴィダルケンなどが、マジック独自のクリーチャーとして紹介されています。ただ、これらは毎セット必ずいる、というほどではありません。

それらに比べると、ワームの登場率は圧倒的に高いです。しかし、そんなワームでも登場しないことはあり、その1つが神河ということです。

神河(or元の和風ファンタジー)は、MTGの基本である西洋ファンタジー的世界観とは登場するものが違いすぎます。定番種族であるエルフも出ません。象徴的クリーチャーとされる、天使やスフィンクスも和風世界にはそぐわない存在です。

そのためか、神河はマジックの中でもかなり特殊なクリーチャー・タイプの構成になっています。一応、侍を戦士、忍者をスカウトとすることは出来ますが、フレイバー的魅力は半減するでしょう。

今回は、青のコモンとアンコモンに足りないと思う物を追加しました。


氷遁の術  (1)(青)
エンチャント — オーラ  コモン
エンチャント(クリーチャー)
瞬速
氷遁の術を唱えるための追加コストとして、(2)を支払うか、あなたがコントロールしていてブロックされていない攻撃クリーチャー1体を手札に戻す。
エンチャントされているクリーチャーは、それのコントローラーのアンタップ・ステップにアンタップしない。



旋風の忍び (2)(青)(青)
クリーチャー ― 人間・忍者 アンコモン
飛行
~が戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
2/2



孤高の学者 (3)(青)(青)
クリーチャー - ムーンフォーク・ウィザード アンコモン
飛行
あなたの手札のカードの枚数がどの対戦相手よりも多いかぎり、~は+1/+1の修整を受けるとともに呪禁を得る。
2/4



隠蔽の神 (2)(青)
クリーチャー - スピリット アンコモン
~を生け贄に捧げる:クリーチャー1体を対象とし、それをゲームから取り除く。ターン終了時に、そのクリーチャーをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。
1/4



些末  (1)(青)
インスタント  アンコモン
点数で見たマナ・コストが3以下の呪文1つを対象とし、それを打ち消す。



信仰の揺らぎ  (2)(青)(青)
エンチャント — オーラ  アンコモン
エンチャント(スピリットでないクリーチャー)
あなたはエンチャントされているクリーチャーをコントロールする。


神河資料 - マロー
神河資料 - マロー
神河資料 - マロー
各種のトップ8ランキングについての記事です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2014.11.25 トップ8と半分の話
https://mtg-jp.com/reading/mm/0011526/

プレイヤーが私にサインを求めてくるカードトップ8
イベントで、あるいは郵送で(この場合、住所を書いて切手の貼ってある返信用封筒が同梱してある)、サインを頼まれて、数多くのカードにサインをしてきた。私がもっとも多くサインしたカードのトップ8は以下のようになる。

5) 各種「マロー」(《マローの魔術師ムルタニ》《マローの魔術師モリモ》《初めて欲したもの、仇麻呂》《初めて夢見たもの、空麻呂》など)
数枚の伝説の「マロー」や『神河救済』の「マロー」サイクルなど、各種のマローにもサインを求められることがある。

1) 《マロー》[9ED]
このカードは私にちなんで名付けられた(私のファーストネームの最初の2文字とラストネームの最初の2文字だ。気付いていない諸君のために特別に書いておこう)。私は《マロー》にサインする場合、必ず顔に絵を描くことにしている。《マロー》の顔にはいろいろなものを描いてきたので、さまざまなバリエーションが存在することになる。


プレイヤーがサインを求めてくるカードについてのランキングで、神河ブロックのマローサイクルが登場します。これは、1位であるマローの派生カードです。

《マロー/Maro》の名前は、Mark Rosewaterの愛称マローがそのまま元ネタになっています。マローにサインを求めるなら、これが一番人気になるのは当然と言えるでしょう。

マローお気に入りの1枚であるためか、何度も派生カードが作られており、『神河救済』では手札が小テーマになったこともあって、麻呂サイクルが作られました。そうした派生カードもまた、サイン用として人気があるようです。

白のアンコモンについても、足りないと思う役割のカードを作りました。


献身的な巫女 (2)(白)
クリーチャー — 人間・クレリック アンコモン
あなたがスピリットをコントロールしているかぎり、これを唱えるためのコストは(1)少なくなる。
~を生け贄に捧げる:あなたがコントロールするスピリット1体を対象とする。それはターン終了時まで破壊不能を得る。
2/2



武器庫の神 (4)(白)
クリーチャー - スピリット アンコモン
飛行
~が戦場に出た時、刀剣・トークンを2つ生成する。
2/4



命の集計者 (2)(白)(白)
クリーチャー - スピリット アンコモン
飛行
あなたがライフを得るたび、ターン終了時まで~は得たライフ1点につき+1/+1の修正を受ける。
2/2



封印の神札  (3)(白)
エンチャント アンコモン
~が戦場に出たとき、対戦相手がコントロールしている土地でないパーマネント1つを対象とし、~が戦場を離れるまでそれを追放する。
~が戦場に出たとき、あなたは4点のライフを得る。


また、白のコモンにエンチャント除去が足りないと思ったので、以下も追加します。


厄除け  (1)(白)
インスタント  コモン
エンチャント1つを対象とし、それを破壊する。
顕現2 - (白)(白)

神河資料 - 白青の強さ
『モダンマスターズ 2017年版』についての記事です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2017.3.14 振り返ってみると その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0018484/

《スフィンクスの啓示》
我々が最初にギルドを作りあげたとき、完全に把握するのに時間がかかったギルドがあったが、アゾリウスはそうではなかった。白青は大会でもよく組み合わせられていて、非常に明白な特徴を持っている。この2色はコントロールの色で、ゲームをひどく遅くするのだ。『ディセンション』をプレイしたことがある諸君は、アゾリウスはその方向性を取らなかったことを思い出すかもしれない。飛行クリーチャーに焦点があり、過去の白青デッキよりもいくらかアグロ寄りだったのだ。

この変化の理由は、元祖『ラヴニカ』ブロックの直前の『神河物語』ブロックで白と青を非常に強く推していたことだった。遅いコントロール・デッキで大会を支配していたので、『ディセンション』ではアゾリウスを別の方向に向ける必要があったのだ。デザイン・チームの誰もこの判断を喜んではいなかったが、セットのデザインで大きなゲームプレイ上の問題に対処する必要があることがあることは理解していた。


神河ブロック当時は、青の《けちな贈り物》を主軸にしたコントロール系がメタゲームの中心にいました。そのため、次のラヴニカブロックでは白青の一般的なイメージであるコントロールからはズレた方向性でデザインされたようです。

このように、前のブロックで強かったデッキタイプを抑制するように、次のブロックのパワーバランスが調整されることがあるようです。

神河で白青のコントロールが強かったのも、さらにその前のブロックで高速ビートダウンの親和が暴れ回った影響が少なくないかもしれません。

これまでに作った白のコモンについて見ていたところ、スピリットや飛行持ちクリーチャーが少ないと思いました。

そこで、1~5マナまでの飛行持ちスピリットを作ってみました。


送り火の神  (白)
クリーチャー - スピリット  コモン
飛行、絆魂
1/1



薬箱の神  (1)(白)
クリーチャー - スピリット  コモン
飛行
~が死亡したとき、あなたは3点のライフを得る。
1/3



御膳の神  (2)(白)
クリーチャー - スピリット  コモン
飛行
~が戦場に出たとき、あなたは2点のライフを得る。
2/2



鎧兜の神  (3)(白)
クリーチャー - スピリット  コモン
飛行
~が攻撃するたび、他の攻撃クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+0/+2の修整を受ける。
2/4



飛躍の神  (4)(白)
クリーチャー - スピリット  コモン
飛行
~が戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+1/+1の修整を受けるとともに飛行を得る。
3/3


今回は以上です。
神河資料 - 第一印象
神河資料 - 第一印象
神河資料 - 第一印象
メカニズムの「悪い」第一印象についての記事です。

プレビューなどでパッと見た時に、「うーん」「イマイチ」という否定的な反応を(一部であれ大勢であれ)もたれる理由について述べています。

Making Magic -マジック開発秘話- 2014.10.21 第一印象
https://mtg-jp.com/reading/mm/0011422/

「破るべきでないルールを破っている」
例:ピッチスペル(『アライアンス』)、分割カード(『インベイジョン』)、両面カード(『イニストラード』)、反転カード(『神河物語』)、Lvアップ(『エルドラージ覚醒』)

マジックのようにルールを破り続けるゲームでも、どこかで線を引く必要がある。やりすぎというものはあり、そしてこの新メカニズムはその境界線を踏み越えていた。

「全てタップ状態のときに呪文を唱えられるなんてありえない」

「マジックのカード枠は変えるべきじゃない」

「マジックのカードの裏面に印刷するとかおかしい」

私はしばしば、マジックが変化のゲームであること、そして人間はその本質において変化を恐れるということについて語ってきた。この分類は、境界線を踏み越えると、プレイヤーの一部は不快になるということを示している。これは問題だ。マジックは境界線を踏み越えなければならない。マジックは境界線を越えていくものだし、マジックの境界線に挑戦することこそが我々の仕事そのものなのだ。

1つ前の分類と同じように、これも時間が解決してくれるものだ。プレイヤーは危惧していても、いざそのメカニズムが楽しい(そして強い)となれば、プレイヤーは近づいてくるものだ。最初はプレイヤーを震撼させたが、今となってはマジックの古典と扱われるようになっている《Force of Will》などはその好例である。


ここに挙げられた中では、ピッチスペルを除けば、すべてが特殊なレイアウトのメカニズムです。その中に、神河ブロックの反転カードが登場しています。

メカニズムの内容を理解する前に、カードをパッと見ただけでも、今までにない異質なことが分かるので、拒否感のある人が出てくるのは自然なことでしょう。

そこさえ乗り切れば、あとはメカニズム本来の楽しさや強さが評価されてくる様です。残念ながら反転はそこも今一つだったようですが……。

最近は、分割、両面、英雄譚、出来事など、特殊なレイアウトのカードをほぼ毎回のように見ている気がします。伝説のカードは、必ず名前枠が装飾されるようになりました。

特殊なレイアウトのカードが珍しくなくなって、拒否感も薄れつつあるのかもしれません。


余談
オリジナルエキスパンションにおいては、第一印象が地味だが使ってみたら強い・面白いメカニズムよりも、パッと見て面白そうなメカニズムである方がいいでしょう。
こう言っては何ですが、公式製品と比べればオリジナルエキスパンションのカードを使って遊ぶ人はごくわずかでしょう。
遊んで楽しいエキスパンションではなく、鑑賞して楽しい、あるいは、オリカ作成が楽しい、ものであればいい、という考え方もアリかもしれません。

例えば、エネルギーは全く新しい機軸なので、面白そうです。
既存の効果に、ただサイクリングを付けたカードで面白くするのは難しいでしょう。

もっとも、プレイする側だけでなく、カードを作る側にもいろいろな人があり得ます。
オリジナリティの高いカードを作るのが好きな人もいれば、バランス調整が好きな人がいても、おかしくないです。
インパクト重視も一つの考え方でしかありません。


オリジナルエキスパンションとしてまとめる場合、どのセットを枚数や色毎のバランスの参考にするか、考察しました。

ここ最近のセットは2色カードのアンコモン10枚サイクルをはじめとして、多色テーマでなくても多色カードが入ることが珍しくありません。特にプレインズウォーカーが多色であることが多いせいでしょうか。

そして、その色のバランスが均等でないことも多いです。もっとも、別に均等である必要性はありません。ただ、「なぜそのバランスなのか?」が分からないまま、そのバランスを参考にするのもどうかと思います。

特に理由がなければ、なるべくすべての色(の組み合わせ)が均等になるようにするのが望ましいとも思います。

そうした観点から、各セットの枚数のバランスを調べていきました。

その結果、最近のセットの中でバランスが取れていると思ったのが『エルドレインの王権』です。
各種カードのコモン・アンコモン・レア・神話レアの枚数は以下の通りです。

白 = 17+10+7+3 = 37
青 = 17+10+8+2 = 37
黒 = 17+10+8+2 = 37
赤 = 17+10+8+2 = 37
緑 = 17+10+8+2 = 37
多色 = 0+20+6+4 = 30
アーティファクト = 11+9+2+0 = 22
土地 = 5+1+6+0 = 12
基本土地 = 20

合計は、37×5+30+22+12+20=269となります。

各単色の枚数配分はほぼ同じで、白だけレア1枚分が神話レアになっているのがわずかな違いです。

多色はすべて2色です。アンコモンは金色と混成とがそれぞれ10枚サイクルで20枚あります。神話レアはプレインズウォーカー3枚と《荒くれたちの笑い声》、レアはそれら以外の各2色に1枚ずつです。よって、神話レアとレアを合わせると各2色に1枚ずつ合計10枚です。

ほぼ均一のバランスで分かりやすいため、枚数を調整する場合は、これを1つのモデルとしたいと思います。
神河資料 - マジックのデザインにおける第3の時代
1年のマジックを振り返る、『デザイン演説』の2011年版です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2011.8.31 デザイン演説2011
https://mtg-jp.com/reading/mm/0030976/

まず最初に、例年同じ質問をすることにしている。「マジックのデザインにおいて、去年はどんな年だったか」。これに答えるにあたって、最初のデザイン演説コラムで語った内容をもう一度語ることにしよう。その中で、マジックのデザインは3つの時代に分類できて、ラヴニカ・ブロックからは第4の時代が始まると書いている。なぜここでこれを持ち出したかというと、ミラディンの傷跡ブロックからは第5の時代に入ったと信じているからである。それについて、説明しよう。

第1の時代(アルファ版からアライアンスまで):この時代は、カード一枚一枚のデザインに重点が置かれていた。デザイン上の決定は、カード1枚単位でなされがちであった。

第2の時代(ミラージュからプロフェシーまで):この時代は、ブロックという概念の導入と、一年を単位としてのマジックを考えることにデザインの重点が置かれていた。

第3の時代(インベイジョンから神河救済まで):この時代は、ブロックのテーマが導入された時期である。ただ漠然とメカニズムを集めるだけでなく、ブロックのテーマを輝かせるために選ばれたものが含まれるようになった。

第4の時代(ラヴニカからエルドラージ覚醒まで):この時代は、ブロック計画の導入が行なわれた。テーマ1つを取り上げてブロックを通して使うのではなく、ブロックでどう進化させていくかという計画がなされるようになった。この計画によって、テーマはよりよく開始し、完結するようになった。

第5の時代(ミラディンの傷跡から???まで):そして去年に至る。傷跡ブロックにおいて、メカニズム的なテーマの選択と使用によってデザインは新時代に移行できたと確信している。第4の時代と第5の時代では、テーマはブロックを構築するための基礎として用いられている。ミラディンの傷跡から、メカニズム的なテーマはブロックを統合するための道具として考えられるようになった。喩えて言うなら、これまでキャンバスであったテーマが、絵画になったと言えるだろう。


これによると、マジックのデザインは、数年単位で変化を繰り返してきたようです。カード単体のデザインだった第1の時代から、ブロックが導入された第2の時代、ブロックのテーマが導入された第3の時代……といった変遷を経ています。

神河ブロックは、その中で第3の時代のラストを飾っています。

残念ながら、そのような変化の過程で、神河ブロック(に限らないのですが)はどのような意味を持っていたのか、これ以上の言及はありません。

その後も、ブロック制度は大型小型のバランスを崩したり、2セット1ブロックになったりと、様々な変化を経てきました。それだけに、各セットがどのような影響をもたらしたのかが気になるところです。
各色の、コモン+アンコモン+レア+神話レアの枚数を集計してみました。

白 = 17+11+8+1=37
青 = 20+5+2+1=28
黒 = 15+11+4+0=30
赤 = 15+8+5+0=28
緑 = 11+9+6+0=26
多色 = 0+6+2+0=8
アーティファクト = 1+1+0+0=2
土地 = 1+0+0+0=1

合計160枚です。
セットの枚数は、テーロス還魂記が全254種類、エルドレインの王権が全269種類、他にも259だったり279だったりで、あまり統一されていません。
どのあたりの枚数を目指すかは追々考えます。

ただ、どのセットの枚数を参考にするにせよ、半分を少し超えたぐらい、という状況と言えます。
神河資料 - 暗号と刻印と連繋
神河資料 - 暗号と刻印と連繋
神河資料 - 暗号と刻印と連繋
ギルド門侵犯・プレビュー、ボロスとディミーアの記事と、ディミーアのデザインの記事です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2013.1.16 パーティー侵犯 その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0004212/

デザイン中の仕事の1つに、各ギルドに第1、第2の2つの勝利手段を与えることがある。当初、ディミーアの第1の手段はライブラリー破壊で、第2の手段は回避能力を使ってこっそりととどめを刺すような遅いコントロール・デッキであった。そのため、ディミーアにはセット内の他のギルドに比べて少し多くの回避能力が与えられていた。元々青や黒には回避能力が多いので、これは簡単なことだった。研磨をキーワード能力でなくす前に、我々はこの第1と第2を入れ替えることに同意していた。つまり、ディミーアには強力な回避テーマが与えられるということだ。これに有利を与える方法はあるだろうか?

私ははっとミラディンのデザイン、そして刻印を思い出した(旧ミラディンのことであり、ミラディンの傷跡のことではない)。私がデザインしたカードの中に、インスタントやソーサリーを手札から刻印できるクリーチャー・カードがあった。その後、そのクリーチャーが戦闘ダメージを与えるたび、刻印された呪文が発射されるのだ。このカードがなぜ印刷されなかったかは覚えていないが、このデザインはずっと気に入っていた。そして、私は同じようなものを作ろうと思ったのだった。

しかし、私は別の方向から始めた。クリーチャーに呪文を刻印できる能力を与えるのではなく、呪文のほうに戦闘ダメージを誘発条件として自分自身をクリーチャーに刻印できる能力を与えたらどうなるだろうか? 私は神河ブロックで連繋メカニズムを作った時に同じような空間を探っていた。連繋メカニズムは(秘儀というサブタイプを持つ)インスタントやソーサリーに自身を埋め込むものだった。今回、私は呪文をクリーチャーに埋め込もうと思った。つまり、刻印と連繋の合わせ技みたいなものである。


Making Magic -マジック開発秘話- 2013.3.27 ディミーアのデザイン
https://mtg-jp.com/reading/mm/0004222/

ここで取り上げたのは、私の移植愛が無数のメカニズムをデザインさせてくれたからである。もっとも有名なものを2つ挙げるなら、ミラディンの刻印と、神河物語の連繋である(「連繋(秘儀)」だ)。

これら2つのメカニズムから、暗号が生まれたと言っても過言ではない。説明しよう。ギルド門侵犯のデザインが始まったとき、私は「研磨」というプレイテスト名のライブラリー破壊メカニズムを強く推していた。研磨がセットにあった間に、私たちはディミーアのキーワードにふさわしい他のメカニズムが必要だと判断し、私は新しい代替品を考えることになった(研磨の創造と、ギルド・キーワードからの消滅についての細かい話は既に記事にまとめている)。


神河ブロックの連繋が、暗号の発想の元になっていた、という話でした。

連繋は「それ自身を他のカードに埋め込ませる」性質の能力であり、暗号も同様です。

ただし、連繋は呪文に呪文を埋め込むものです。暗号はクリーチャーに呪文を埋め込むものなので、その点は刻印に近いと言えるでしょう。というか、《呪文縛りの杖》という、ほぼ同様の挙動ができる装備品があります。

もっとも、埋め込まれるものと、埋め込むものと、どちら側に持たせるメカニズムか、というのもパワーバランスの点において重要な事です。埋め込むものは繰り返し使うことが出来る、というのが恩恵である以上は、そちらに合わせてバランスをとるべきであり、埋め込むものの方にメカニズムをあてる、連繋方式が無難でしょう。
思いついたカードをメモしておきます。


狛犬  (3)
アーティファクト・クリーチャー ― 猟犬 アンコモン
~が戦場に出るか、あなたがそれを顕現したとき、あなたは2点のライフを得る。
顕現2 - (3)
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