神河当時 -《霧の用心/Heed the Mists》のメカニズム
神河当時 -《霧の用心/Heed the Mists》のメカニズム
神河当時 -《霧の用心/Heed the Mists》のメカニズム
昨日の記事の続きです。

メカニズムの用心
あなたのライブラリーの一番上のカードを…


《運命をかたどるエイヴン/Aven Fateshaper》

《霧の用心》は解決時にあなたのライブラリーの一番上のカードに注目します。あなたが帷の向こうから得たメッセージがゲームに勝利できるレベルのものなのか、それとも役立たずなのかは、そのカードが決めてくれるんです。そうなると、あなたがライブラリーの一番上のカードを調整できることは、実際に役に立ってきます。一番わかりやすい回答は《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》でしょう。同じ神河ブロックですしね。《物知りフクロウ/Sage Owl》も悪くないでしょうが、それなら《運命をかたどるエイヴン/Aven Fateshaper》の方が優秀でしょう。《霧の用心》で《運命をかたどるエイヴン》をめくれば7枚のカードに化けますしね。占術と《霧の用心》は非常によく噛み合います。他にも《未来予知/Future Sight》、《ダークスティールのペンダント/Darksteel Pendant》、《まごつき/Discombobulate》、《エイヴンの賢人/Sage Aven》、《あさりまわるウィザード/Rummaging Wizard》、《計略の魔除け/Trickery Charm》、《諜報網/Spy Network》、《長期計画/Long-Term Plans》なんかがオンラインにおけるライブラリー操作カードとして上がってきます。

(省略)

……あなたの墓地に置く……


《起源/Genesis》

注目してほしいのは、公開されたカードがあなたのライブラリーの一番上に戻るのではないことです。代わりに、そいつはあなたの墓地に落ちます。これは、例えばあなたがスレッショルドを目指そうとしてるとか、《起源/Genesis》や《憤怒/Anger》や《永遠のドラゴン/Eternal Dragon》や《血の語り部/Blood Speaker》や《刃の翼の虜/Bladewing’s Thrall》を使いたいなんてときに役に立つでしょう。その手の墓地が肥えることで喜ぶカードはどのブロックにもあります。

(省略)

……その後、そのカードの点数で見たマナ・コストに等しい枚数のカードを引く。


《軽蔑する利己主義者/Scornful Egotist》

ようやらここまで来ましたよ。ライブラリーを一生懸命操作して《霧の用心》を使って、1枚のカードを墓地に落としてやれうれしや、なんて話はありえませんね。《霧の用心》を使う理由は、カードを引きたいからです。たくさん、非常にたくさん、めちゃくちゃたくさんのカードです。実際、真剣にカードを引くことを考えたら、デッキに《軽蔑する利己主義者/Scornful Egotist》を入れるかすら検討する意義が出るでしょう。デッキのカードがでかければ、それだけ《霧の用心》の効果も大きく、となればデッキに6マナなり7マナなりそれ以上なりのカードを入れるのは必須でしょう。

引用元
電脳世界の用心 更新日 Feature on 2005年 1月 18日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/%E9%9B%BB%E8%84%B3%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E7%94%A8%E5%BF%83-2005-01-18


昨日の記事でのフレイバーに続き、メカニズムについて語られています。なお、引用箇所の後も、マナコスト、ソーサリー、秘儀、アンコモンといった要素にまで一つ一つ語っていますが、あまりにも長くなりすぎるので取り上げません。

ライブラリートップを参照することからライブラリー操作、公開したカードを墓地に落とすことから墓地シナジー、点数で見たマナ・コストを参照することから重いカード、といった具合に、相性の良いカードを考察しています。

ライブラリートップの点数で見たマナ・コストを参照すのカードのコンボと言うことで、《ドラコ/Draco》と《うつろう爆発/Erratic Explosion》を組み合わせた「ドラコ爆発」というデッキを思い出しました。基本的には同じパーツを活かすことができるでしょう。(銀枠を除けば現在でさえも)《ドラコ》は点数で見たマナ・コストが最大のカードですから、この手のコンボにはうってつけです。青にはライブラリー操作が多いので、《霧の用心》と無理なく組み合わせられるのは、「ドラコ爆発」にはない利点でしょう。


神河当時 -《霧の用心/Heed the Mists》のフレイバー
神河当時 -《霧の用心/Heed the Mists》のフレイバー
神河当時 -《霧の用心/Heed the Mists》のフレイバー
プレビューの週に何を書くかは毎度難しいところなんですけど、コラムがMagic Online絡みだとするとそれがなおさらの話になります。私はMagic Onlineのプログラマーのアラン・カマーとレイチェル・レイノルズに、今回のプレビューカードに関して何か面白い話があったか聞いてみました。答はノーでしたが、一方で神河謀叛そのものには興味深い話が多数あったようで、それは今後の週のお楽しみということです。なので、それまでは私と皆さんだけで、このカードの世界に跳びこんでいきましょうか。

《霧の用心/Heed the Mists》

行ってやろうじゃないですか!

(JMSは水泳帽をかぶり……

……芝居がかったように腕を振り回し……

点々渦巻く霧に跳びこんでいく。)

イメージに用心
先に言っときますけど、《霧の用心》という名前をつけたのは私じゃないですよ。かっこいい名前がそうじゃないってのは残念ですけどね。神河の物語をわかっている皆さんなら、滝の上に建つ水面院についてよく知っているでしょう。その滝は神の世界との接点で、「霧」とか「帷」とかの言葉はあちらの世界を示す言葉なんですよ。例えば、《霧中の到達/Reach Through Mists》は滝を抜けて不死の世界の知識へと到達するってことですし、《帷の切断/Part the Veil》は神が滝を抜けて自分の世界へ引っ込むことを暗示してるんです。《帷の切断》のフレイバーも見て見ましょう。ということで、《霧中の到達》も《帷の切断》も《霧の用心》も(人間世界じゃなくて)神の魔法とつながってるので、秘儀になるんです。

まあそれはそれとして、私は《霧の用心》の何たるかが好きですね――あなたはプレインズウォーカーで、神のつぶやきに耳を傾けようと思って、その結果古代の知識が与えられるのです。時にはあなたはラッキーで、非常に劇的な知識を送られることもあるでしょう(《語られざるもの、忌話図/The Unspeakable》の知識なんか得た日には、カード9枚という爆発的な知識を手に入れられますし)。

かつては霧から知識を得ようと目を向けたもの。今はただ理解できるを願うのみ。


はあ、《霧の用心》のフレイバーを書いたのも私じゃないんですよねぇ。ここで滝の帷の話をしているのは、水面院のお偉いさんの密師範です。

密が《不自然な速さ/Unnatural Speed》や《いましめの切断/Cut the Tethers》や《魂の裏切りの夜/Night of Souls’ Betrayal》のフレイバーで語っていた頃の“チキン・リトル”風の腰の引けっぷりから少し変わってくれたのは、私たちにとってはありがたいですね。それに、彼が最初の頃の予想をひっこめて、霧ばっかり見続けないようにしていたなら、彼は、《横殴り/Sideswipe》のフレイバーに書かれていたシチュエーションは回避できたんじゃないでしょうか。

真面目な話をすると、神河謀叛のフレイバー・テキストに書かれている神の乱の状況は実に絶望的です。密の口調が、(神河物語の頃の)心配から無力さへと変わっていくことには不思議はないです。

さて、ここでは密師範が帷の向こう側の神の声を聞こうとしています。クリストファー・ラッシュはうまい具合に霧自身を擬人化していますが、普通は神の姿ってのはこんな二つのまともな頭じゃなくて、もっと奇妙なやつですよね。まあ、このイラストの構成とか筆捌きについて一席ぶてるってんなら、しないでもないですが。一言で言うなら、こいつはかっこいいですし、青っぽいですし、密の顔も写真のように目を見張るほどリアルです。

え。何ですって? このカードの使い方について聞きたかったんですか?

引用元
電脳世界の用心 更新日 Feature on 2005年 1月 18日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/%E9%9B%BB%E8%84%B3%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E7%94%A8%E5%BF%83-2005-01-18


《霧の用心/Heed the Mists》のプレビュー記事です。最初にフレイバー面から解説されています。

「霧」というのは一般的な用語ですが、神河での霧は神の世界と関係が深い単語です。《霧中の到達/Reach Through Mists》もその一例として挙げられています。どちらも秘儀であることからもそれが分かります。

ただ、このイラストが「密師範が帷の向こう側の神の声を聞こうとしている」ということになっているのが不思議です。どうみても《水面院の師範、密/Hisoka, Minamo Sensei》とは似ても似つかないのですが……。フレイバーテキストにあるように「かつて」の姿なのかもしれませんが、そうだと考えられる材料もとくにありません。



2021/03/12 追記
以下の記事において、「イラストは密師範ではなく、その学徒の一人である」と訂正が入りました。
INTOTHEAETHER GOES GIANT HUNTING Posted in Feature on January 25, 2005
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/intotheaether-goes-giant-hunting-2005-01-25
また、人物のモデルはラストサムライでの真田広之(清麻呂の末裔は同作の福本清三)というツイートも見かけました。
https://twitter.com/tamatamafurufur/status/899478413072781315


神河当時 -《狡猾な山賊/Cunning Bandit》のスケッチ
神河当時 -《狡猾な山賊/Cunning Bandit》のスケッチ
Welcome to another edition of Sketches! Again we take a look at a Betrayers card previewed by Mark Rosewater. Cunning Bandit, as a flip card, is already a special challenge for an artist, in that the art must invert as the card is flipped. But Cunning Bandit has an additional dimension -- it starts out human and ends up as a rampaging, legendary kami. But first, some background on the previous work of the artist, Paolo Parente.

(省略)

Art Description
The first step of the creation of a card’s art is its art description. The art description tells the artist what the card will do, what its flavor is, and what the mood of the illustration should be. Here were the instructions given to Paolo for Cunning Bandit:

Color: Red
Location: none/doesn’t matter
Action: This is a special "flip card" that shows two different points in time (before and after) on the same card art. On one side we want you to show a rough-looking mountain bandit, and on the other side of the frame, we want to see his ghost after he has died. His ghost should be a large nonflying kami that barely resembles him. The two figures should "flow into" each other, forming a kind of backward N shape in the frame.
Focus: The bandit transforming into a disembodied tyrannizing spirit.
Mood: He’s an ambitious bandit with a great dominating spirit within him.


Next the artist submits one or more sketches with his vision of the art description.

Sketch

Here’s Paolo’s initial sketch submitted for Cunning Bandit:

Cunning Bandit sketch by Paolo Parente

We have the picture rotated to the spirit side, because that’s what changed the most from sketch to final art.

Since kami in Magic art are bizarre, alien creatures, the art team was looking for the bandit to change into something completely unrecognizable from his mortal self. Although the screaming mouth in the spirit’s chest is pretty weird, they wanted more options for that extreme transformation. So Paolo then submitted these:

Cunning Bandit sketches by Paolo Parente

Although you can see that, especially in the upper sketch, that it’s getting weirder and weirder, these still didn’t have quite the departure the art team was looking for. I mean, this is Azamaki, Treachery Incarnate we’re talking about! Paolo came through in the final art -- below you’ll see that Parente went all the way and lopped off the spirit’s head.

Final Art

Cunning Bandit final art by Paolo Parente

Here, the only thing left of Cunning Bandit is that ponytail-like appendage where Azamuki, Treachery Incarnate’s head might be. Now that is a Magic kami.

Finished Card
And here’s how you’ll see the card in its final state, in booster packs of Betrayers of Kamigawa. Get ready to flip out with ki counters (with a little help from Paolo Parente) at the prerelease!

引用元
SKETCHES: CUNNING BANDIT Posted in Arcana on January 18, 2005
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/sketches-cunning-bandit-2005-01-18


先日の記事(※1)でプレビューされた《狡猾な山賊/Cunning Bandit》のイラストに関する記事です。

反転カードは2つ分のカードを1枚に収めるという特殊さゆえに、アーティストにとっても、挑戦的なものだったようです。最初は2つのイラストを反転せずに並べてスケッチを描いたのは、当然といえば当然でしょう。

神河における神(スピリット)は異形であり、元の人間の形を留めていません。そのため、胸に大きな口をつけたり、頭を切り落とされたり、といった大胆な変化が加えられています。

最終的に、人間の時の面影は、ポニーテール(和風に言えば総髪)がスピリットの頭に付属品としてついていることだけになりました。



※1
神河当時 - 反転と他メカニズムとの組み合わせ
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202102122056011145/

神河当時 - 忍術がもたらすインパクト
神河当時 - 忍術がもたらすインパクト
昨日の記事の続きです。

神河謀叛からは忍術能力が神河ブロックに登場する。僕は調整に関わった2人のプレイヤーに、この新メカニズムのゲームに対するインパクトを聞いてみた。ランディ・ビューラーはその話に喜んで乗ってきた。彼は、マークが先週の月曜日に紹介したこのメカニズムに特に喜んでいるようだ。

「マジックの歴史において、攻撃クリーチャーを何かでブロックするよりは、えてして通した方が安全だった。相手の変異クリーチャーはデカブツかもしれない。通した方が無難だ。相手のマナが立ってるから、何かの戦闘トリックを食らうよりは2点通した方がいいだろう。相手は明らかに自爆っぽい突っ込み方をしている。何か持ってるのか? リスクを負うよりは……等々。私が忍術を気に入っている一番の理由は、プレイヤーがこの事実をもう一度考え直さなくちゃいけなくなったことにある。神河謀叛のテストの最中に一番嬉しかったのは、リスクを犯して攻撃クリーチャーをブロックするほうが正しいプレイングであることがほとんどだったことだ。私はいつでも、通ることで有利になる変異クリーチャーをもっと増やすべきだったと思ってたんだけど、忍者が十分いることで、これが現実的なものになったね(まあ、対戦相手が青か黒をプレイしてるときだけだけど)」

「神河謀叛のテスト中の別の話だけど、《戦に狂える浪人/Battle-Mad Ronin》が忍者と絡むとすごいことになるよ!」 ランディはにやりとしながら付け加えた。

引用元
プレリリースに謀叛を:秘密の暴露 更新日 Feature on 2005年 1月 17日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%AB%E8%AC%80%E5%8F%9B%E3%82%92%EF%BC%9A%E7%A7%98%E5%AF%86%E3%81%AE%E6%9A%B4%E9%9C%B2-2005-01-17


先制攻撃や接死、神河のメカニズム武士道など、クリーチャー同士の戦闘で有利になる能力は多数あります。特にリミテッドでは、コンバットトリックも警戒するべきです。しかし、そもそもクリーチャー同士が戦わなければいいのですから、攻撃してきてもブロックしなければいいだけとも言えます。能力を持っている分、サイズが小さいことがほとんどですから、通しても痛くないことが多いでしょう。最適な行動が明確なのはやりやすいですが、選択の余地が実質的に無くなるのは面白さを減らします。

忍術は、そうした傾向を変えた、という話です。特に重要なのは、忍術をもったクリーチャーは手札にいるかいないか、未公開情報だという点だと思います。今までもサボタージュ能力をもったクリーチャーはいました。それらでも上記の「とりあえず通す」は当てはまりませんが、それらを通さない方がいいことは目に見えています。それが、忍術だと、いるかどうかが分かりません。こうした点が、より面白さを増やしていると思います。記事で、「通ることで有利になる変異クリーチャーをもっと増やすべきだった」と語っているのも同様の理屈でしょう。

こうして新しいゲームプランを産んだことは、忍術の人気が高い理由の一端だと考えています。
神河当時 - 《百爪の一撃/Hundred Talon Strike》のプレビュー
土曜学校の担当のジョン・カーターは、神河謀叛入りのシールドを組む際にこんなアドバイスをしてくれている。「神河謀叛では連繋に新たなパターンが登場します。カードを読む際に、それが秘儀なのかどうかを確認し、呪文の宣言やコストの支払いのタイミングに気を払ってください」

おそらくジョンの頭の中には、この手のカードが浮かんでるんだろうね。

《百爪の一撃/Hundred Talon Strike》

このカードは、それ自身は除去ではないものの、今週末よく目にかけるであろう戦闘トリックカードのいい例だ——こいつは注意しなくちゃいけない。このカードの素晴らしさは、他の呪文のためにタップアウトしている状態でもこの呪文が使えることだ。戦闘中にいやらしい《苔の神/Moss Kami》を除去するためにタップアウトしながら《引き込み》を撃ちつつ、ブロックに参加している《古の法の神/Kami of Ancient Law》をタップしながら《百爪の一撃/Hundred Talon Strike》をそこに連繋し、相手の《浪人の犬師/Ronin Houndmaster》を撃ち落とすことが可能になる。

思うに、ジョンのアドバイスは、他にも連繋コストは様々なものがあって、神河物語だけのリミテッドでは起こりえなかった様々な可能性が開けることを意味してるんだろう。デッキを組む際は、じっくりとカードを読むことをお忘れなく。

引用元
プレリリースに謀叛を:秘密の暴露 更新日 Feature on 2005年 1月 17日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%AB%E8%AC%80%E5%8F%9B%E3%82%92%EF%BC%9A%E7%A7%98%E5%AF%86%E3%81%AE%E6%9A%B4%E9%9C%B2-2005-01-17


引用元の記事タイトルの通り、プレリリースに関する視点からの、『神河謀叛』のプレビュー記事です。基本的にリミテッドで行われるため、その基本的な情報を踏まえた上での話になっています。

リミテッドにおいても除去は重要ですが、構築ほど枚数が取れない以上、コンバットトリックで補うことが少なくありません。そこで、コストの軽さが問題になってきます。重いと、明らかに何かを構えているのがわかりやすいですから。

そこで、マナがかからない連繋コストを持った、《百爪の一撃/Hundred Talon Strike》の紹介です。連繋なので、完全にゼロコストで唱えるわけではなく、連繋元の秘儀呪文のコストは必要になります。それでも、予想よりも多くの呪文を唱えることによる奇襲効果は無視できないでしょう。

また、メカニズムの拡張という点で見ると、先日紹介した記事(※1)にあったパターン「コストの変化」に見事に当てはまります。単に変化させたというだけでなく、コストの軽重が重要なコンバットトリックでこの変化が使えたのは面白いところです。



※1
神河当時 - 反転の拡張
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202102112140166057/

神河当時 - 過小評価されたカード
神河当時 - 過小評価されたカード
The skills you need to be a top limited player are many and varied but the skill of card evaluation is one that is often over-looked by a lot of players. You only need to wait a week or two after a set is released to find people like me writing articles about which cards are better than others and what cards you should be looking to draft from the new set. You might even think you don’t really need good card evaluation skills really, as long as there are other people around to tell you what cards are good.

The problem there is that other people aren’t always correct, particularly when a set is new. And other people don’t necessarily have the same play style as you. There are usually cards that are universally good but if you’re most comfortable as an aggressive rather than controlling sort of player then your card valuations might differ from those of other people.

If you know straight away what makes a card good in limited you get a jump-start on everyone else. Early in the life of a format there are some cards that are under-rated by the majority of players. Everyone can usually figure out that cards like Blind with Anger are quite good, but with cards like Soratami Savant or Devouring Greed it isn’t as immediately obvious how powerful they are. I’m sure in the early days of Champions several players looked at the Savant and thought “Just a 2/2 for 4… and I have to return THREE lands just for a Mana Leak? Okay, but not great”. Or perhaps looked at Devouring Greed and thought “It doesn’t do anything much by itself and I’d have to sacrifice a bunch of creatures to get a decent effect and I might not even have that many Spirits to sacrifice. Don’t think I’ll play this.”

If you know straight away what makes a card good in limited you get a jump-start on everyone else.
The same applies at the opposite end of the scale too. Cards like Kami of the Waning Moon or Kami of Fire’s Roar were definitely underrated at the start of this block. Now they’re played in people’s main-decks regularly and often drafted quite highly in the appropriate decks too. On the other hand there may be some cards which look playable initially but which later turn out to not be so great. If you can see which of the late picks in a draft help round out your deck and which should be ignored you’ll have a much better overall deck than the player who can’t.

While everyone else is still figuring out which card to draft you get a few weeks worth of nice late picks in your drafts and you get to spend time figuring out which archetype is best. Then, when everyone else has caught up on the card knowledge you’re hopefully still ahead of the game as you’ve had more time to actually practice drafting the best decks.

引用元
CARD EVALUATION Posted in Limited Information on January 17, 2005
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/limited-information/card-evaluation-2005-01-17


リミテッドの解説記事です。

リミテッドにおいて、カードの評価を適切に見極めることは重要です。ただ、初めから的確に見極められるとは限らず、プレイを重ねることによって、始めてその強さが分かることもあります。あるいは、カードプールによって、その相対的な価値が変わることもあります。

今回は、そんな過小評価されたカードとして、《空民の学者/Soratami Savant》や《貪る強欲/Devouring Greed》が挙げられます。特に後者は、環境にいるスピリットの数、さらに言えばプレイアブルなスピリットの質にもよるので、初見でその強さを的確に評価することは困難でしょう。

もっとも、だからこそリミテッドが面白いのだとも言えるのですが。最初から最後まで、思った通りというのは、新鮮さや驚き、発見に欠けています。

なお、この後、リミテッドにおいて優秀なクリーチャーやスペルの基準が語られているのですが、そこは省略します。

神河当時 - 《大蛇の守護神/Patron of the Orochi》の「顔」
Patron of the Orochi, as previewed on Saturday by John Carter, is a hulking 7/7 kami representing the spirit of the snakefolk race.

As you can see in the art detail below, Christopher Moeller painted orochi faces and bodies right into the structure of the Patron’s body -- a cool and somewhat creepy depiction of the relationship of the race to the legendary spirit.

The illustrations of the other Patrons, as you’ll see when Betrayers releases, have this same feature. Check out the wallpaper of Patron of the Akki for a nice closeup of the bony-shouldered akki integrated into the red Patron’s back.

引用元
FACES IN THE PATRON Posted in Arcana on January 17, 2005
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/arcana/faces-patron-2005-01-17


すでにプレビューされた《大蛇の守護神/Patron of the Orochi》のイラストの解説記事です。

守護神のイラストを拡大して見ると、その体には、顔がびっしり書き込まれていることが分かります。これは、オロチ(蛇)です。守護神とその対象である種族との関係を表すものであり、他の守護神サイクルも共通している、とのことです。

守護神をその種族にそのまま似せるよりも、少しひねった形で面白いと思います。
神河当時 - 反転と他メカニズムとの組み合わせ
昨日の記事の続きです。

ぐるっと回して
神河謀叛の反転カードが異なった反転条件を持つとしたらどうだろうか?

様々な選択肢を探ってみた結果、マイクは最後の方法に引かれていったようだ。反転カードを使う新しい方法は無いか? その答えとしては、カードのキーになる部分を変更する方法を見つければいい——反転条件だ。神河物語においては、カードはある目的を達成すると反転した。それじゃ、神河謀叛の反転カードが異なった反転条件を持つとしたらどうだろうか? そんなわけで、マイクは新しいタイプの誘発を考え始めた。最終的に、彼が採用したのは時間だった。必要な時間が経過したら反転するカードというのはどうか? そこで、新たなバージョンの反転カードが作られた。これらのカードは毎ターンカウンターを得て、カウンターが3個たまると反転する。そして、これらのカウンターが、反転後のカードにおいて資源として用いられるのだ。

このカードには二つの問題点があった。第一に、時間のバージョンは能動的じゃない。プレイヤーがこのカードの反転に働きかける方法が無いんだ。第二に、これはセット内の他のカードとシナジーを持たない。そこでマイクは、「他のメカニズムとの組み合わせ」作戦に戻ってみた。セットに使えるメカニズムで、変更を行わせる能力をプレイヤーに与えるものはあるか? その答えはイエスだった。秘儀/スピリット誘発だ。そこでマイクはカードを変更し、毎ターンカウンターを得つつ、秘儀かスピリット呪文のプレイでも誘発するようにした。こうすれば、通常と同様に進化もできるし、速度を意図的に速めることもできるだろう。

テストプレイの結果、マイク(ともう一人のデザインのメンバーのランディ)には、秘儀/スピリット誘発だけで十分であることが伝えられた。そうすれば、プレイヤーたちはマイクがやりたかった時間の経過も感じられるし、よりセットに有機的に組みあうだろう。そして、新しいバージョンを同じ程度の時間枠で実現するため、必要なカウンター(最終的に“気カウンター”になった)は3個から2個にへらされた。

そして、最終的に神河謀叛の反転カードのサイクル(そう、これはそれぞれの色にあるんだよ)が完成したんだ。で、ここまでメカニズムの紹介を読ませた上で実際のカードを見せないのは意地悪すぎるだろうから、ここらで《狡猾な山賊/Cunning Bandit》の紹介をしよう。

反転天満の天神さん
そんなわけで、これが神河謀叛の反転カードができるまでだ。今回の旅もお楽しみいただけただろうか。

それではまたお会いするときまで。来週はまた開発部の頭の中身を覗きに行こう。

それまでの間、君の人生の何かを進化させる方法を見つけることを祈念しつつ。

マーク・ローズウォーター

引用元
反転免許 更新日 Making Magic on 2005年 1月 17日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/making-magic/%E5%8F%8D%E8%BB%A2%E5%85%8D%E8%A8%B1-2005-01-17


反転メカニズムをどう拡張するか?過去のメカニズムのパターンを検討した結果、「新たな使い方を見つける」パターンから、「反転条件を変更する」というアイデアが出されました。

最初は時間経過が条件でしたが、それではアクティブさに欠け、他のカードとのシナジーも発生しません。そこで、「メカニズムの組み合わせ」パターンから、スピリットクラフト(秘儀/スピリット誘発)になった、という経緯のようです。

ここでは明言されていませんが、反転後がスピリットになったのも、その兼ね合いでしょう。ただ、気になるのは、反転前がスピリットでないことです。『神河物語』では反転前後が両方とも神でない住民だけでした。反転条件がスピリット側のメカニズムなのですから、反転前後が両方とも神である方が自然です。神でない住民が神になることがあるのは分かりますが、それとは別に作られても良さそうなものです。こういう場合、単純に枚数の都合で作られなかった、という理由なのかもしれません。

他のメカニズムとの融合という点では、『神河物語』でも反転後の《冷酷なる者、謙造/Kenzo the Hardhearted》が武士道を持っていますが、ただそれだけです。反転前の《新参の武士/Bushi Tenderfoot》の反転条件は、それと関連性が薄いと言うか、むしろそれを反転前にこそ持っているべきものですから。そういう点からみても、反転条件が反転後の能力にも活かされている、スピリットクラフトとカウンターは、見事な融合と言えるでしょう。

神河当時 - 反転の拡張
神河当時 - 反転の拡張
神河謀叛のプレビュー第2週へようこそ! 君が私のコラム命名の秘密の暗号を解読できるのなら、今週は神河謀叛の反転カードの話になることがわかるだろう。今回それにあたり、君たちを私のコラムではめったに訪れない場所へと連れて行こうと思う——神河謀叛のリードデザイナー、マイク・エリオットの頭の中だ。

一言注意をしておくけど、今回のコラムで語るのは、マイクのデザインに関して私が全力で推測をしたものだ。以前にも言ったかもしれないけど、私が自分のデザインに関して話をする最大の理由は、私は自分の創造の過程をよくわかっているからだ。しかし、デザイナーはそれぞれ別々のやり方をしているから、私が他のデザイナーの話をする場合、私は自分のデザイナーとしての本能で、彼だが取り上げられたカードをどうデザインしているかを論理的に推測していかなくちゃいけない (私はデザイナー同士で話をするけど、ほとんどのデザイナーは自分の作業の過程について言葉にしづらいみたいだ)。端的にいって、今回のコラムはあくまで僕の推測だ。

ところで、今回のコラムにはプレビューカードがある。でも、今回は面白くするためにそいつをコラムの後ろのほうにおいてある。お望みならスクロールしていってもらってもかまわないけど、コラムを一通り見て気分が盛り上がるまで待っていたほうが面白いと思うよ。

反転側で逢いましょう

そんなわけで、マイクは席について神河謀叛のデザインを始めた。最初にすべきことは、神河物語をながめることだ。彼がしなくちゃいけないことは何か? マイクが神河物語のデザインを受け継ぐとしたら、どのメカニズムをいくべきか? さらに言えば、神河物語の中でマイクがその数を増やすことを期待されているのは何なのだろうか? ファイルをざっくり眺めていくと、反転クリーチャーに目が留まった。反転カードは神河物語で新しく導入されたカードタイプだ。こいつはユニークだ。しかもかっこいい。しかもこれはかなりの人気を得ている。一言で言うなら、マイクにはこれを何とかする義務がある。

しかも、単にその続きを作ればいいわけじゃない。大衆は新しいものを望んでいる。新たなひねり、新たな方法だ。それは神河物語に無かった何かだ。その理由は? それはデザイナーにとって、ブロックのシステムというものに刻まれているものだからだ。ブロックのメカニズムは、ブロックが先に進むにつれて成長し進化していく。プレイヤーがブロックの第二、第三のセットに求めているのは、単なる“同じ物の追加”じゃない。彼らが求めているのは“さらに違う何か”なんだ。

他のデザイナーの過程について書くことの難しさの一つは、それぞれのデザイナーの創造の仕方が異なることにある。でも、私はマイクが、私がブロックメカニズムを拡張する際にしばしばとっかかりにするところから始めたと思う——それは基本事項だ。まずは我々がこれまでにやったことのおさらいから始めるわけさ (他のやり方もまだまだ大量にあるけど、全部教えることはしないよ)。

コストの変化
こいつはブロックメカニズムの進化の大先祖さまだ。まずはコストつきのメカニズムを作る。最初のセットでは、マナによる起動だけを使う(できるんなら汎用マナがいい)。そして第二と第三のセットでは、他のコストを検討する。バイバック、フラッシュバック、双呪バック……それぞれのメカニズムがこのパターンだ。残念なことに、反転カードはマナによる起動では無いので、このカテゴリーではうまくいかない。

複雑化
こいつはおそらく二番目に多く使われているものだ。開発部が新しいメカニズムを導入するとき、我々はまず最も簡単なバージョンを最初に持ってくる。そうすれば、以降のエキスパンションで、そのメカニズムに関するもっと複雑なものが持ってこれるだろう。例えば、刻印はミラディンで導入されたけど、そこには最初に出たときに刻印するものしかなかった。ダークスティールでは、他のタイミング(通常は起動型能力)で刻印する刻印カードが登場した。反転カードはもともと複雑なんで、その方法の進化ではあまり余地が残っていない。さらに言えば、文章欄の枠の狭さがデザイン領域を大幅に妨げているね

新たなトリックを加える。
ブロックメカニズムの進化において、新たなメカニズムをこれまでに長いこと使われているマジックのメカニズムと組み合わせるというものがある。 最も一般的な追加が「場に出たとき」の誘発型能力だ。例えば、エコーではこれを使っている。場に出たときの誘発型能力をウルザズ・レガシーのエコー・クリーチャーに付け加えることで、エコー・コストを支払わなくてもソーサリーとして問題の無いものができ上がったんだ。ただしここでも、文章欄の枠の狭さが醜い鎌首をもたげてくるんだな。

関連するカードを作る
進化の中には、メカニズム自体を変えるんじゃなくて、そのメカニズムを取り巻く世界を変えるって方法もある。サイクリングを例としよう。我々がオンスロートにサイクリングを戻したとき、我々はサイクリングに誘発するカードを何枚か作った。これはサイクリングを活用するデッキの数を基本から変えてしまった。おそらくマイクが何かのカードを反転することで誘発するカードを考えたのは間違いないだろうけど、それでは問題は真に解決されたとはいえない。プレイヤーが神河物語の反転カードを気に入っているのは、そのレイアウトも一つの理由だ。だから、神河謀叛にそのレイアウトを使わない反転カードを入れても、失敗は目に見えているだろう。

ブロックの流れに従う
たまに、ブロックのメカニズムの進化は、セットにメカニズムをあわせればいいというだけの簡単なものになることもある。一番いい例が分割カードだ。デザイナーにとって、アポカリプスが敵対色のセットになることが決まった時点で、敵対色の分割カードはわかりやすい選択肢だ。マイクにとって不幸だったのは、神河ブロックでは反転カードにとって簡単な回答がなかったということだ。

領域の変更
何かがある領域で動いているなら、別な領域を試してみるのも手だ。サイクリングではこのトリックを使った。ウルザズ・デスティニーにおいて、我々は「場からのサイクリング」として《ヤヴィマヤの古老/Yavimaya Elder》といったカードを作った。(ところで、このやり方の問題点は、我々がそれをカードで明示しなかったために、おそらく君たちの1%ほどしか進化に気づかなかったことだろう。)しかし、反転クリーチャーは他の領域ではうまくいかない。

メカニズムの組み合わせ
メカニズムの見栄えを良くする興味深い方法は、それらを混じり合わせることだ。後述するけど、この方法は他ほどすぐには却下されなかった。

新たな使い方を見つける
メカニズムの進化の方法の一つとして、それの違った用途を見つけることだ。例えば、フェイジングは当初はクリーチャーの弱点だった。しかし、デザインが進むにつれ、それを利用するあらゆる方法が見つかってきた。マイクが進めたのはこれのようだ。

引用元
反転免許 更新日 Making Magic on 2005年 1月 17日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/making-magic/%E5%8F%8D%E8%BB%A2%E5%85%8D%E8%A8%B1-2005-01-17


『神河謀叛』のレビュー記事ですが、まずはそれが出来るまでの過程です。

ブロックを通じて登場するメカニズムは、ただ何度も登場させるだけでなく、新しいバリエーションを見せることがあります。エコーで言えば、《なだれ乗り/Avalanche Riders》のようなETB能力を持たせることで、呪文のように使うことができます。先日紹介した《卑血の芙巳子/Fumiko the Lowblood》の武士道Xもその一例と言えるでしょう。

そこで、反転をどう拡張するか、過去のパターン「コストの変化」「複雑化」などから検討されています。ただ、反転はすでに複雑であり、なおかつテキスト欄が小さいことがネックとなっており、なかなか簡単にはいかないようでした。最終的には、「新しい使い方を見つける」ことでどうにかなったようです。具体的にどうなったかは翌日取り上げることとします。

それにしても、このようなメカニズムの拡張というのは、ブロック制だったからこそでしょう。また、このようなメカニズムの拡張方法のパターンは、オリジナルエキスパンションを作る上で、なかなか勉強になりそうです。

神河当時 - 《大蛇の守護神/Patron of the Orochi》のプレビュー
今日の献身
以前に、この土曜学校でこっそりプレビュー・カードを公開したことがあります。とりわけ守護神、そしてその献身能力について取り上げるのは、どこでとりあげてもあまりにも大きな内容であり、困難な問題を伴います。まず、守護神とは何でしょうか? この名前は既に神河謀叛についての記事の中でご覧になっているかもしれません。ここに一枚の守護神のカードがあります。じっくりご覧ください。

《大蛇の守護神/Patron of the Orochi》

これについての戦略的考察は専門外なのであなたご自身、あるいは他の執筆者に任せるとして、ここではこの献身能力が呪文のプレイにどのような影響をもたらすのかについて説明しましょう。

Q:え、あ、え??

A:献身能力がどう働くのかを聞きたいのでしょうか?
 呪文をプレイするのは、複数のステップに分けて処理されます。そして、献身能力はこの一部を別の方法で処理させるわけです。関連する場所だけ取り上げると、以下のようになります。
* 呪文のプレイを宣言し、呪文をスタックに置く[CR 409.1a]。以前はこのステップで行なうのはこれだけでしたが、献身能力を使う場合、この時点でカードに書かれているパーマネントを生け贄に捧げます。
* 総コストが決定された時点で、それは「固定」される。[CR 409.1f]。この、総コストの決定に際しては、「マナ・コスト+追加コスト−コスト減少 = 総コスト」という数式を思い出してください。献身はコストを減少させる能力です。減少させる量は、生け贄に捧げられたパーマネントのマナ・コストに従います。その減少を考慮して、足りない分だけを支払うことになります。なお、このマナ・コストには色が含まれます。もう少し詳細に見ていきましょう。

引用元
謀叛はすぐそこに 更新日 Feature on 2005年 1月 15日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/%E8%AC%80%E5%8F%9B%E3%81%AF%E3%81%99%E3%81%90%E3%81%9D%E3%81%93%E3%81%AB-2005-01-15


毎週更新のQ&A記事です。『神河謀叛』についての質問もさっそく来ていますが、ここでは取り上げません。

このルール解説記事でも、『神河謀叛』の《大蛇の守護神/Patron of the Orochi》をプレビューしています。

もっとも、このカードをデザインした経緯や、仮想デッキの構築ではなく、新しいキーワード能力「献身」の解説がメインです。そもそも、献身が複雑な能力というのもありますが、この点は、さすがルール解説記事だと言うべきでしょうか。
神河当時 - 《語られざるもの、忌話図/The Unspeakable》秘儀連繋デッキ
神河当時 - 《語られざるもの、忌話図/The Unspeakable》秘儀連繋デッキ
神河当時 - 《語られざるもの、忌話図/The Unspeakable》秘儀連繋デッキ
At any rate, let’s take a look at the deck:

BUILDING ON A BUDGET: SILENT STICK (ABOUT 30 TICKETS)
Creature (5)
3 Hikari, Twilight Guardian
2 The Unspeakable

Sorcery (2)
2 Solar Tide

Instant (24)
3 Candles’ Glow
3 Dampen Thought
3 Ethereal Haze
4 Peer Through Depths
4 Psychic Puppetry
4 Reach Through Mists
3 Sift Through Sands

Artifact (8)
4 Isochron Scepter
4 Talisman of Progress

Land (21)
15 Island
6 Plains

60 Cards


This deck plays out by just building its mana base for the first turn or two, perhaps with the aid of a Talisman. You play a lot of mana sources and card drawing, so you should have no problem ramping up to five or six. In the early turns of the game you often can play a card drawer like Peer or Reach and splice on a Puppetry tapping your opponent’s land during their upkeep. Your goal is to get a Scepter down with a Peer or Reach on it, unless you are playing against aggro, where a Haze or Candles’ Glow may be more appropriate.

Simply keep control of the game and win with an Unspeakable, a Hikari, or by decking them with Dampen Thought. It is somewhat difficult to deck someone unless you have 2 Thoughts, or are able to splice it twice per turn. Still, in the longer control matchups it comes in very handy. Many times the board will fill up with creatures since you can lock down a few with Puppetry. The Solar Tides act as a reset button for the board, making your Puppetries even stronger.

引用元
SILENT STICK Posted in Building on a Budget on January 14, 2005
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/building-budget/silent-stick-2005-01-14


『神河謀叛』プレビュー期間ですが、《語られざるもの、忌話図/The Unspeakable》をテーマにしたデッキ紹介の記事です。

以前(※1)紹介したコンボデッキとは異なり、秘儀との連繋をメインにしています。《語られざるもの、忌話図/The Unspeakable》によって秘儀は何度でも回収して唱えられるので、《天空のもや/Ethereal Haze》によってロックが完成することもあるでしょう。

多くの秘儀が入っているので、《思考の鈍化/Dampen Thought》を何度も連繋するライブラリーアウト戦略がとれます。《語られざるもの、忌話図/The Unspeakable》が間に合わなくても、サブプランがあるのは心強いでしょう。



※1
神河当時 - 《語られざるもの、忌話図/The Unspeakable》デッキ
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202007302120093968/

神河当時 - おまけのエピソード
昨日の記事の続きです。

おまけのマルチバース
さて、今回のコラムは私が担当なんですから、あとでアーロンの得意技を拝借して、ファイルを眺めている中から見つけた色々をお分けしましょう

(まあ、私はそれが面白いと思いましたし、みんなも私と同意見でしょう。ですよね? なら、そいつを悪用させてもらいましょう)。

AF 4/27: リミテッドじゃ、こいつは「X, T:対象の対戦相手にX点のダメージ。」みたいなプレイのされ方をされちゃうよ。
ps 4/28: 元々そういう意図が無いカードだとしたらそうかもね。
WW 4/30: ポールの意見はまったくもって正しいね。


Del 5/7: 《哀れみの壁/Wall of Tears》が強すぎるって意見があったのは面白いね。そもそもテンペストブロックに強すぎないものなんか無かっただろう? (・∀・)
bs 5/11: 《森の賢人/Wood Sage》はまあまあだと思うんだけどね。
PB 5/24: いやあ、あれもぶっ壊れてたよ。


WW 4/6: 無用の逸話的データ:こいつは俺がここしばらく見てきたどのカードよりも多く相手を投了に追い込んだぞ。


そして、イラストの質に関する某氏のコメント。

4/30: すんごい。ジョン・エイヴォンに土地を描かせたら右に出るものいないね。


そうですね。確かにいないね。

もうひとつおまけ
以下は神河謀叛に関して、あったかもしれないしなかったかもしれないことです。
1.[第二案] というニックネームで調整に回ってきた4マナのカードは、途中で6マナになり、7マナになり、8マナになり、さらにやる気のあったテストプレイヤー数名のおかげで10マナになってしまいました。
2.ある時期、攻撃クリーチャーを手札に戻す代わりに生け贄に捧げなければいけないゴブリンの忍者がいましたが、忍者が赤から外されたことで却下になってしまいました。
3.ヘンリー・スターンは会議で、後にマルチバースのコメントで予言をしました:ある種のコモンの、で1/1でどう見ても並みの能力のカードはブロック構築に入りえるんだそうです。
4.一時期、忍術のコストはかなり過激で、そのため「忍和」と呼ばれるデッキがフューチャー・フューチャー・リーグにおいてトップクラスでした。これは《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》ベースの親和デッキに軽い忍者を何枚か仕込んだものです。
5.青にマナ加速を与えるクリーチャーが調整を抜ける寸前まできましたが、最後の最後で脱落しました。
6.調整チームは白ウィニーを強くする方向に向かわせようと、白のレアに《ハルマゲドン/Armageddon》を追加しましたが、10日ほどでテストプレイヤーから反対意見が上がってきたことで、セットから排除になりました。
7.このセットの中には、現在のスタンダードにおいて1ターンキルの可能性が否定できないために途中で何回も落ちそうになりながらしぶとく生き残り、そのまま今でも残っているカードがあります。

今回はこれで終わりです。それではまた来週(か来月か来年にでも)

引用元
材木襲来 更新日 Latest Developments on 2005年 1月 14日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/latest-developments/%E6%9D%90%E6%9C%A8%E8%A5%B2%E6%9D%A5-2005-01-14


新カードのプレビューは終わりましたが、コラムにおまけが2つついています。2つ目のおまけの方に注目してみましょう。

1は、コストや記事の画像から《星の揺らぎ/Sway of the Stars》と分かります。

2で、赤の忍者が検討されていたのは意外でした。あまり隠密・工作という印象ではないからです。オリジナルエキスパンション『神河新生』では忍者を緑にも拡張していましたが、今度作るエキスパンションでは、赤に広げる実験をしてみるのも面白いかもしれません。

4の旧バージョンの忍術において、羽ばたき飛行機械/Ornithopter》と忍術が組み合わされたのは、後に『神河救済』が出てから「エラヨウ忍者」として実現したことを考えると、何とも不思議な因縁です。

5の青いマナ加速については、おそらく《涙の神/Teardrop Kami》のことでしょう。調整前では、どのパーマネントもアンタップできたとのことです。

7の1ターンキルについては、《猛火の群れ/Blazing Shoal》のことでしょう。スタンダードでこそ大成しませんでしたが、後のモダンにおいて、感染とのコンボが速すぎることから禁止を受けています。さすがに、そのことをこの時点で予測しようもないので、責められるようなものではありません。

神河当時 - 《思考の鈍化/Dampen Thought》と《蝋燭の輝き/Candles’ Glow》のデザイナー
神河当時 - 《思考の鈍化/Dampen Thought》と《蝋燭の輝き/Candles’ Glow》のデザイナー
昨日の記事の続きです。

セットの調整
私が仕事をしていく中で一番びっくりしたのは、様々な変更のすべてに関して行われる考察の量や、ここのチームが考慮する要素の種類のものすごさです。これは信じて欲しいのですが、あなたがどんなカテゴリーのプレイヤーであろうと、どんな些細な点を重視するプレイヤーであろうと、チーム内の誰かが何らかの視点であなたのために戦っているはずです。セットをまとめるのは誰でもできると思っている人もいるかもしれませんが、実際ここにいる人はそのための経験をものすごい量積んでいます。彼らが仕事をするのを見ればわかるでしょう。私は彼らの言うことすべてに同意するわけではない(事実、開発部における議論はもう伝説となっています)ですが、私はそれに敬意を表していますし、その進行の中から多くを学んでいます。

また、神河謀叛の中には私のカードも若干入っています。それがどんなものかは(まだ)言えないですけど、神河物語に入った私の2枚のカードが、最近になってドラフトで 20 点のダメージを与える方法以外で勝利することで注目を浴びていることに、感動を隠し切れませんね。私がウィザーズ社で仕事を始めてまだ間もないころ、連繋呪文のデザインの支持が出て、私も何枚かのカードをデザインしました。そのうち2枚、《思考の鈍化/Dampen Thought》と《蝋燭の輝き/Candles’ Glow》が生き残ったのです(もっとも、後者は[ダメージ吸収]と言うカードで、当初はダメージを2点軽減するだけだったのですが、ありがたいことに調整リーダーのブライアン・シュナイダーの目に留まり、もっと強くなったんです)。とにかく、私のカードが世界中で勝利に貢献していることはうれしい限りです。

引用元
材木襲来 更新日 Latest Developments on 2005年 1月 14日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/latest-developments/%E6%9D%90%E6%9C%A8%E8%A5%B2%E6%9D%A5-2005-01-14


『神河謀叛』のプレビュー記事ですが、『神河物語』の話です。というのも、筆者であるPaul Sottosantiが、《思考の鈍化/Dampen Thought》と《蝋燭の輝き/Candles’ Glow》のデザイナーであることが明かされています。

《思考の鈍化/Dampen Thought》と言えば、公式記事でも何度も登場し、この日記でも何度も取り上げたカードです。自分のデザインしたカードが活躍し、人気を得ていることは、デザイナーとして何よりの喜びでしょう。

神河当時 - 源獣サイクルの調整
神河当時 - 源獣サイクルの調整
皆さんは僕の手から逃れたと思ってたかもしれないですけど、そうはいかないんですね。アーロンはお休みを取っているので、コラムを書くという重責が僕のところに回ってきたんです。うまいこといっていたら、僕はお手軽デッキ のコラムで、オンスロートの《謎めいた門/Cryptic Gateway》と神河物語の5体のドラゴンを組み合わせた「竜の門」デッキを紹介してたところなんですけどね。

しかし今回は、無駄に長い情報の日じゃなかったみたいです。

皆さんがここにきている理由もわかってますし、ここでとっとと物を見せないと、すぐにスクロールして下に行っちゃうってのもわかってます。なので、すぐいってしまいましょう。

《香杉の源獣/Genju of the Cedars》

いいですねえ。

「源獣」は神河謀叛に登場する6枚のカードのサイクルで、土地の精霊が生命を得て恐ろしい怪物になったことを表しています。この精霊が1体戦いに敗れても、それは同じタイプの新たな土地へと移って生命を得るのです。カードを見てもらえばわかると思いますが、こいつは根性無しの樹の精なんかじゃありません。こいつは森全体が立ち上がって、目の前にあるものすべてをなぎ払っているのです。

源獣の歴史

このカードは当初、マイク・エリオットによる以下のようなカードとして生を得ました。

森の精
2G
エンチャント(土地)
GG:ターン終了時まで、エンチャントされている土地はトランプルを持つ4/4のスピリットとなる。エンチャントされている土地が場を離れた場合、[カード名]という名前のカードをあなたの墓地から手札に戻す。


その二ヵ月後、チームのもうひとりのメンバーのランディ・ビューラー(彼のことは聞いたことありますよね)が、このカードを5/5のトランプルに変更しました。これ以上の変更は入らなず、このカードはそのまま調整チームに回ってきました。

チームのメンバーはヘンリー・スターン、デヴィン・ロウ、ランディ、私で、後にランディが定例会議に参加できないとなって以降、マット・プレイスが入ってきました。そうなんです。神河謀叛は私が公式に参加した初めてのマジックのチームで、私の力を私が長いこと好きだったゲームを形作ることの機会を得たのです。

我々はまずは伝統に従ってファイルのカードを1枚ずつやっつけていったのですが、そこで初めて源獣が出たときに、我々は全部の源獣をホワイトボードに書き、サイクル全体が見えるようにしました。以下はその一覧です。

平地の精
W
エンチャント(土地)
W:ターン終了時まで、エンチャントされている土地は0/4のスピリットとなる。エンチャントされている土地が場を離れた場合、[カード名]という名前のカードをあなたの墓地から手札に戻す。

島の精
1U
エンチャント(土地)
1U:ターン終了時まで、エンチャントされている土地は飛行を持つ2/2のスピリットとなる。エンチャントされている土地が場を離れた場合、[カード名]という名前のカードをあなたの墓地から手札に戻す。

沼の精
1B
エンチャント(土地)
2B:ターン終了時まで、エンチャントされている土地は畏怖を持つ3/3のスピリットとなる。エンチャントされている土地が場を離れた場合、[カード名]という名前のカードをあなたの墓地から手札に戻す。

山の精
2R
エンチャント(土地)
1R:ターン終了時まで、エンチャントされている土地は4/2のスピリットとなる。エンチャントされている土地が場を離れた場合、[カード名]という名前のカードをあなたの墓地から手札に戻す。


私たちがすぐに気がついたのは、例えば皆さんが森に[沼の精]をくっつけて街までお出かけすることが可能だってことが気に入らないという点でした。これはイメージ的に間違っている,気がしたしたので、我々はそれぞれを特定の土地にしかエンチャントできないことにしたのです。

次に我々が同意したのは、マナ・コストは白のやつがいいってことでした。マナが1個だけなら源獣は簡単に打ち消し呪文をかいくぐることができますし、起動にマナがかかることで、初期のコストが軽くても強力な数値を与えることができるようになるんです(白のやつの数値は強いとはまったく言えないですが、それについてはまた後ほど)。さらに我々は、特定の土地にしかエンチャントできない事実がすでに色制限となっていることから、起動コストを無色マナ2個に統一することにしました。

その後、我々は個別のカードをまとめ、理路整然とした数値と能力の組み合わせにすることでサイクルを興味深いものにし、それぞれの土地が持つイメージをそのまま持つようにしたのです。《香杉の源獣/Genju of the Cedars》に関して言えばトランプルは適切に思えましたが、最終的に緑のものには能力がいらないということに決めたのです。その“能力”は特段に巨大であることであり、我々はトランプルを除いてクリーチャーの数値を5/5にしたのです。

それ以外の変更として、私たちは誘発条件を土地が墓地に行ったときに変えました。こうすることでテンプレートはより明確になり、プレイヤーは手札戻しなどでこれに対抗する新たな手段を得るのです。ということで、以下のようなカードが出来上がりました。

森の精
G
エンチャント(森)
{o2}:ターン終了時まで、エンチャントされている森は緑の5/5のスピリット・クリーチャーになる。それは土地でもある。エンチャントされている森が墓地に置かれたとき、[カード名]をあなたの墓地からあなたの手札に戻す。


まあ、見たとおり、これは当初のものにかなり近いですね。最後の変更は、以下のマルチバースのコメントを見ていただきましょう

(注:私がここで働く前までは、私がここのコラムで好きだったのはマルチバースからの引用でした。まあそんな人は私だけだったのでしょう。でも、みんなが私みたいだったら、できるだけこの新たな優位を悪用していくでしょうね。)


AF 3/12: こいつは4/4が正しいと思うな。5/5だとしょっちゅう「ゲーム終了」って気分になるよ。
ps 3/12: 確かにこのカードはばかげている。4/4がいい線だという点は同意。
HS 3/15: 4/4に下げた。


このカードは攻撃型の緑デッキにおいて強すぎることがわかりました。マナ加速が無い状態でも、これにより速攻の5/5クリーチャーを4ターン目に出すことができますし、そういったデッキが源獣を出し続けることはそんなに難しいことではありません。なんとかして相打ちに持ち込んでも次のターンには出てきてしまいますし、すぐに捨てブロックも尽きて死に向かっていくことになるでしょう。私たちは数値を4/4に下げることにしました。それでもこのカードは非常に強かったですが、まだ何とかなりそうな気がしたのです。

そんなわけで、《香杉の源獣》が誕生することとなりました。

さて、白の話もする約束でしたよね。


HS 2/9: すべてのスピリットに関してコストと能力を修整。統一と調整を行おう。
MP 2/24: ほぉ!
BD 2/26: もう、そう? どうしよう?


へへっ。ご覧の通り、私たちは時々馬鹿っぽいことをしますけど、マット・プレイスが最初にこのカードを見たときのコメント(彼はこれまでチームに入っていませんでした)の台詞は、まあ感想の率直なところでしょう。このカードはその後の調整の間も代わりませんでした。なので、皆さんのお手元に届くのは、0/4よりはもうちょっといいカードだと思いますよ!


引用元
材木襲来 更新日 Latest Developments on 2005年 1月 14日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/latest-developments/%E6%9D%90%E6%9C%A8%E8%A5%B2%E6%9D%A5-2005-01-14


《香杉の源獣/Genju of the Cedars》のプレビュー記事です。もっとも、内容は源獣サイクル全般ですが。

今回は特に、開発においてどのような調整をたどったのか、という話がメインです。最初の時点で、コンセプトは完成されており、あとはパワーやフレイバー面の調整が主だったように見えます。その内容も極めて妥当かつ自然なものです。実際、構築でもそれなりに採用実績があることからもそれが伺えます。

なお、ここでは言及されていませんが、元々は《世界の源獣/Genju of the Realm》1枚だったのが、その人気からサイクルになった、という経緯があり、その点は以前の日記(※1)で取り上げました。



※1
神河当時 - CARD OF THE DAY 《世界の源獣/Genju of the Realm》
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202101042228293074/
神河当時 - 《脂火玉/Tallowisp》と《狐の賢者、秋之尾/Autumn-Tail, Kitsune Sage》
神河当時 - 《脂火玉/Tallowisp》と《狐の賢者、秋之尾/Autumn-Tail, Kitsune Sage》
Tallowisp (a Betrayers card previewed today by Mark Gottlieb) is the spirit of a candle’s flame. According to the art description provided to Ron Spears, it once lit the scrolls and tomes of the legendary kitsune wizard, Autumn-Tail, Kitsune Sage, as indicated by the scrolls in Tallowisp’s art. In addition, the shape of Tallowisp’s flames are intended reflect the shape of a kitsune’s ears.

Of course, Tallowisp probably only helped Autumn-Tail before the kami went to war with the mortals. It looks a bit angrier now than the quiet tapers shown in the art of Kitsune Mystic.

引用元
THE MASTER’S CANDLE Posted in Arcana on January 13, 2005
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/arcana/masters-candle-2005-01-13


昨日の記事とは異なりますが、昨日と同じく《脂火玉/Tallowisp》を取り上げた記事です。今回は、イラストについて語られています。

イラストで燃やしているのは、《狐の賢者、秋之尾/Autumn-Tail, Kitsune Sage》の巻物や秘本であるそうです。その炎の形は、狐の耳の形を反映した、という意図があるそうです。

カードの能力的にはシナジーを形成しているのに、こういう背景があるというのは、皮肉と言えるでしょう。
神河当時 - 《脂火玉/Tallowisp》とサンプルデッキ
神河当時 - 《脂火玉/Tallowisp》とサンプルデッキ
昨日の記事の続きです。

そのままで
君のプレイするクリーチャーが全部《シヴの使者/Shivan Emissary》だったらどうなるだろう? こいつはそれにかなり近い。《脂火玉/Tallowisp》が出てれば、君はクリーチャーをプレイするごとに《平和な心/Pacifism》なり《拘引/Arrest》なり《手の檻/Cage of Hands》なりをひっぱってこれる。そうすれば、あと(1)(白)なり(2)(白)なり払うだけで、君がクリーチャーを1体出すごとに、相手のクリーチャーが1体封じられてくんだ。最悪、相手にクリーチャーがいなくても、デッキからエンチャントを抜ききってしまえばそれいこう引くことは無くなるだろうね。

そのまま
クリーチャー (20)
4 Angelic Page
4 Hikari, Twilight Guardian
4 Kabuto Moth
4 Kami of Ancient Law
4 Tallowisp
インスタント (4)
4 Otherworldly Journey
エンチャント (12)
4 Arrest
4 Cage of Hands
4 Pacifism
土地 (24)
19 Plains
4 Blinkmoth Nexus
1 Eiganjo Castle
60 カード


答え無き質問

《脂火玉》について思いをはせるとき、僕はとある人生の大いなる疑問を頭から追い払うことができなくなる。その質問とは、「「の」の字はどこにいったんだ?」ってことだ。脂火「の」玉。「脂」+「火「の」玉」。脂火の玉。文字は名前に織り込まれてるのかもしれないけど、それを把握しろっていうのはそっちの勝手だ。例えば「かさかさでぼろぼろの巻物とか書物を、裸火とか踊ってる蝋燭の脇に置いといてるやつは誰だ?」なんてのは、単なるいちゃもんつけだろう。もっとも……保険金詐欺を狙ってるんじゃなければね。水面院の黒幕め。考えてるねぇ。

ウォンバット出現注意報
《脂火玉》は、もちろんこの手のやつで初めてってわけじゃない。個別エンチャントの弱点を埋め合わせて使えるものにしようとしてきたクリーチャーは他にもいる。《伝承の紡ぎ手ハキーム/Hakim, Loreweaver》。《玉虫色のドレイク/Iridescent Drake》。《ルートウォーターのシャーマン/Rootwater Shaman》。《アカデミーの研究者/Academy Researchers》。《スランのゴーレム/Thran Golem》。《アカデミーの事務局長レイン/Rayne, Academy Chancellor》。《遊牧の民の神話作家/Nomad Mythmaker》。《狐の神秘家/Kitsune Mystic》。それと、僕が文章を書くにおいて先に言い訳しとかなくちゃいけないんだろうけど、僕はこれまで《狂暴ウォンバット/Rabid Wombat》についてどれだけ触れてきたんだろう?!?!? おやおや。

《脂火玉》は非常に多芸なカードだ。そもそも繰り返しカードを探せる効果は多芸なもんだしね。これに絡んだデッキを組もうと思ったら、ある程度は限定される(スピリットとエンチャントを満載しなくちゃいけない)けど、そこからの方向性はいくつもある。例えば、《支配魔法/Control Magic》型。例えば、純然たる多機能型(例えば、《刺青の護法印/Tattoo Ward》は探してくることのできるエンチャント破壊だ)。例えば、バカっぽいビートダウン型。次に何がくるかわかるかい?

《またたくスピリット/Blinking Spirit》は「精霊術」能力を持つどのクリーチャーとでもばかばかしいぐらいのコンボになっていて、《脂火玉》も例外ではない。《またたくスピリット》を戻しては出し続ければ、手札はカードで満載になるだろう。《脂火玉》で探してくるべきエンチャントがあって、そいつが《脂火玉》なり《またたくスピリット》なりと同じ色をしてるんなら、手札が満載になることはすばらしいことだろうね。いやあ。《浄火の鎧/Empyrial Armor》があったらねぇ。いや、待てよ……あるじゃん! 素晴らしいじゃないか!

《浄火の鎧》と《またたくスピリット》の時代まで遡るんなら、制限は天井無しだ。エンチャントの数をアドバンテージにするなら、《祖先の仮面/Ancestral Mask》はどうだ? エンチャントが《象の導き》でも《アルマジロの外套/Armadillo Cloak》でもいいじゃないか? それに、この手のタフネス強化カードを入れるなら、ジャッジメントの“幻影”シリーズだってデッキのスピリットの数に入るだろう? 《幻影の遊牧の民/Phantom Nomad》が自分で引っ張ってきた《浄火の鎧》を着込むなんてのはいいんじゃないかな。

炎の幻影
クリーチャー (21)
4 Blinking Spirit
4 Eternal Dragon
2 Kitsune Mystic
1 Nomad Mythmaker
2 Phantom Centaur
2 Phantom Nantuko
2 Phantom Nomad
4 Tallowisp
エンチャント (16)
2 Ancestral Mask
2 Armadillo Cloak
1 Coalition Flag
2 Elephant Guide
4 Empyrial Armor
3 Indomitable Will
1 One with Nature
1 Pariah
土地 (23)
6 Plains
5 Forest
4 Brushland
4 Elfhame Palace
4 Windswept Heath
60 カード


それではまた来週。それまで《脂火玉》の使い道を計画しておいてくれたまえ (すぐに現実になるよ……)。

引用元
パンツを買いに 更新日 Feature on 2005年 1月 13日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%84%E3%82%92%E8%B2%B7%E3%81%84%E3%81%AB-2005-01-13


《脂火玉/Tallowisp》を使ったデッキがさっそく提案されています。

1つは《手の檻/Cage of Hands》などの(疑似)除去系のオーラを、もう1つは《不退転の意志/Indomitable Will》などの強化系オーラを詰め込んでいます。後に《脂火玉/Tallowisp》でも、両方のタイプのオーラが使われていましたので、どちらの方向性でも悪くないでしょう。



余談
脂火玉の英語名「Tallowisp」が「Tallow-Wisp」ではないのか、という原文の話が、日本語訳では「の」の有無として翻訳されています。こういったところにも、言語の違いをどうするかの工夫が見て取れるのは面白いところです。

神河当時 - 《脂火玉/Tallowisp》とオーラ強化計画
先日の午後、僕は地元の支援団体、「ローカル・エンチャント・アノニマス(無名の個別魔術依存症者の会)」のメンバーの話を伺ってきた。そしてこの場合の「話を伺う」ってのは、個別魔術を「小突き回す」ってことになるのかな?! 誰だって、個別エンチャントがこのゲームにおける最悪のカードだってのを知っている。こいつらみたいなバカを除いてはね。

「《灰色熊/Grizzly Bears》が殴る直前に《聖なる力/Holy Strength》をつけるのがすきなんだよねぇ」といったのは、乳首ひねりの犠牲者のルイス・フリューゲルビッフルだ。

「1体のクリーチャーに5枚もエンチャントをくっつけるのはやめられないわね」と大声を上げるのはフランシーン・オルジポンモで、彼女は自分を殴り続けるのもやめられないみたいだ。

こいつらは「カードアドバンテージの損失」って単語を聞いたことが無いのか? クリーチャーに個別エンチャントをつけたとすると、相手に1枚のカード、例えば《肉体の奪取/Rend Flesh》とか《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》とかで両方をふっ飛ばさせるチャンスを持たせることになるんだから。これはいい考えじゃないね。

個別エンチャントの中には、これらの内包された不均衡を独自に解決しているものがある。例えば、自分のじゃなくて相手のクリーチャーの上につくものとか。こいつは2対1交換を食わないし、この手のエンチャントはたいてい除去能力を持っている。他には、インスタントとしてプレイできるエンチャントがある。《聖なる力》は攻撃前にプレイしなくちゃいけなくて、ブロックに関する最終決定は相手が行うことになる。一方、《不退転の意志/Indomitable Will》は相手のブロックが決定した後や、相手が焼き呪文をプレイしようとした直後に使うことができて、相手の計画をかわす奇襲的な効果が期待できる。その後も残り続けるのはおまけみたいなもんさ。最後に、自分の弱点を自分でどうにかしている個別エンチャントもある。《象の導き/Elephant Guide》はクリーチャーが死んだときに3/3のトークンを産んでくれる——なんで、個別エンチャントは失っても、クリーチャーは残るんだ。《怨恨/Rancor》とその仲間は勝手に戻ってくるから、長い目で見ればそのカードを失うことはない。《疑いなき権威/Unquestioned Authority》はカードを引けるから、今後に出るであろうアドバンテージの損失を補填してくれる。わかったかな? 個別エンチャントも悪いもんじゃない。ご愛読感謝。それじゃまた来……。

何?

何か忘れてないかって?

いいだろう。いくよ。

《脂火玉/Tallowisp》

個別エンチャントのアドバンテージの損失をどうにかしたいのかい? それなら、毎ターン1枚なり2枚なりをタダで探してこれるようにしたらどうだい? そうなれば、個別エンチャントは純粋にアドバンテージだから、ひどいことになっても君はカードの無アドバンテージに戻るだけだ。プラスマイナスゼロバンテージ。いこーるばんてーじ。えーと、何かいい言い回しはあるかい?

引用元
パンツを買いに 更新日 Feature on 2005年 1月 13日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%84%E3%82%92%E8%B2%B7%E3%81%84%E3%81%AB-2005-01-13


《脂火玉/Tallowisp》のプレビュー記事です。

オーラの問題点である「アドバンテージの損失」を補うことが出来るのは、オーラ好きプレイヤーにはたまらないでしょう。実際、スピリットが多めのデッキで、《不眠の晒し台/Pillory of the Sleepless》《アルマジロの外套/Armadillo Cloak》などをサーチしてくる活躍を見せていました(例:ゴースト・ダッドやファントム・メナスなど)。

次のラヴニカブロックにて、《門番の猟犬/Gate Hound 》のような「これがエンチャントされているかぎり、〜」というタイプのオーラ強化計画がありますが、そちらよりも活躍していたと言っていいでしょう。やはり、サーチのアドバンテージや柔軟性が大きいのでしょうか。また、オーラの欠点である、「クリーチャーとオーラが揃わないと役に立たない」を、解消する点もあるかもしれません。デザインの多様性という観点からみても、「支援するテーマ」に対して修整を与えるのは定番ですが、ワンパターンすぎるきらいもあるので、このようなタイプのテーマ支援カードもまた必要でしょう。

後に、このようなオーラをサーチするクリーチャーとして、《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》《ヘリオッドの巡礼者/Heliod’s Pilgrim》などのが登場しています。オーラであればクリーチャーでなくてもよくなったのは利点です。その分、コストは上がり、サーチは1発限りなので、上位互換でも下位互換でもありません。また、神河特有のメカニズムであるスピリットクラフト要素がなくなったので、再録もしやすくなりましたし、実際に再録されています。

このようなタイプのオーラ支援カードが何度も登場するキッカケとなったのが《脂火玉/Tallowisp》ではないかと考えています。
神河当時 - 《梅澤俊郎/Toshiro Umezawa》とインスタント
神河当時 - 《梅澤俊郎/Toshiro Umezawa》とインスタント
昨日の記事の続きです。

正しいタイミング
世の中にはものすごい枚数のインスタントがある。事実、これまでに897種類ものインスタントが作られている。ありがたいことに、どのインスタントが使うに値するかを調べるためには、全部のインスタントを見るには及ばない。見つけるための簡単なコツがいくつかある。

軽いもの――クリーチャーはありえないタイミングで死ぬこともある。こいつは人生における真実であり、頭にくることでもあるが、その瞬間のために準備をしておかなくちゃいけない。君がの手元に軽いインスタントたくさんあるなら、準備ができているということだ。一つ把握していなくてはいけないのが、相手のクリーチャーが死んだときに、《梅澤俊郎》の能力の適切な対象となるインスタントはすでに墓地になければいけないということだ。対象の選択は、誘発した能力がスタックに置かれるときにしなくてはいけない。

殺しまくれ——すでに触れてきているが、インスタントの除去は優秀だ。《梅澤俊郎》の能力は血を見ることで動き出すので、殺しのためのカードは、能力を誘発する元として、また彼の能力の対象として、優秀なカードとなる。

より深く——ライブリーを掘り進めるカードは、それがカードを探すものであろうと引くものであろうと、この場合は通常より優秀である。基本的に、この手のカードは共にデッキのキーとなるものを見つけるためのものであり、その中にはさらに掘り進むためのインスタントなどが含まれる。さて、ここまで来ると、君たちの中にもかつての“殺人的”アイデアに思い至った人がいるんじゃないだろうか。

墓穴深く
インスタントを墓地に送り込む方法は、三つのカテゴリーに分かれる。自然型、加速型、積極型だ。

自然型のいい例は、マイク・フローレスの「きしむ車輪」デッキで(Dojo 時代の文章を見たければここへ)、ノルウェーの我らが友、シュトゥーラ・ビンゲンのプレイングで好成績を収めた。基本的に「きしむ車輪」は赤黒の《ヨーグモスの意志》デッキで、カードを引きながら墓地を埋めてそれをプレイするものだ。若干のサイクリングを除いては、積極的にカードを墓地に置くことはしない。そこには自然に積みあがっていくのだ。

で、この車輪を加速させていくと、加速型のデッキになる。この例となる私のお気に入りのデッキは、当時マイク・ドネとシェイヴ・ネヴィルによってデザインされた「はぐれ陰謀団」デッキだ。ブライアン・コワルはそのデッキを磨き上げ、後にウルザのエクステンデッドの初期の段階でこれを使い、デッキも実にすばらしい動きをした(ただし、ウルザズ・レガシーの発売までの話)。参照のために、リストを掲載しよう。

(省略)

最後に、積極型だ。やりたければ《トレイリアの大海蛇/Tolarian Serpent》や《心の傷跡/Traumatize》でドカドカいってもいいんだが、よりまともな方法は、《留意/Mental Note》、《直観/Intuition》、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》などだ。こうすれば、自分の墓地に特定のカードを埋めつつ、カードを手にすることができる。さらに、他の方法とは異なり、これら自身も再利用可能なインスタントなのだ。

まとめ
このカードを使うやり方は数多くあるが、今回は“間に合わせ”をそこはかとなくベースにして進めていこうと思う。願わくば、若干のカナダ人以外にも、このリストが面白いものであることを。これは新しいレガシーのフォーマットのものだ。お試しを。

引用元
《梅澤俊郎》 更新日 Feature on 2005年 1月 12日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E3%80%8A%E6%A2%85%E6%BE%A4%E4%BF%8A%E9%83%8E%E3%80%8B-2005-01-12


《梅澤俊郎/Toshiro Umezawa》の活用方法の考察の続きです。

誘発条件を満たしたあとは、どんなインスタントを使うか?そのインスタントを墓地にどうやって送り込むか?という点が課題になります。

やはり、本命は除去呪文でしょう。盤面に干渉する、カードアドバンテージが優秀、誘発条件を再び満たせる、黒に多い、など、好材料が多いです。

墓地に送り込む手段については、どのスペルを使い回すかによるでしょう。先述の除去呪文の場合は、コントロールに寄せていけば、自然と墓地にカードが溜まっていくのでそれでも十分です。コンボというよりは、アドバンテージ獲得手段として機能します。瞬殺コンボやチェインコンボのような場合は、より積極的に墓地送りにする必要があるでしょう。

神河当時 - 《梅澤俊郎/Toshiro Umezawa》とコンボパーツ
神河当時 - 《梅澤俊郎/Toshiro Umezawa》とコンボパーツ
昨日の記事の続きです。

英雄と野獣
《梅澤俊郎》は血に飢えた侍の一人だ——彼は何かが死んだときでなければ、君に力を分け与えてはくれない。相手に殺すべきクリーチャーがいるならこいつは素晴らしい。即座にそいつらを殺しにかかればいいんだから。しかし、簡単に死にそうにないクリーチャーを相手が出したいと思った場合はどうしたらいいだろうか? さらに、もっと恐ろしい考えだが、相手のデッキにまったくクリーチャーがいないとしたら? ありがたいことに、世の中にはその辺を回避してくれるカードがある。

最もわかりやすいカードは、おそらく最近のタイプ1でよく見る例のカードだろう。《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》だ。《禁忌の果樹園》は、この目的のためには様々な理由で素晴らしいカードだ。土地であるがゆえに、その能力はめったに打ち消されない。さらに、このカードはクリーチャーをタダで、実質いつでも生むことができる。そして、《禁忌の果樹園》のどの色のマナでも出すことのできる能力は、簡単にデッキを3色以上に広げられる点において素晴らしく使いでのあるカードとなるだろう。

(省略)

大虐殺
さて、クリーチャーは出た。となれば殺さなくちゃいけない。しかしこの命題の面白いところは、ほとんどのデッキはそもそもクリーチャーでっきとあたるに違いないと決め込んで、すでにデッキにクリーチャー除去を仕込んである点にある。それ以外のデッキの多くは、さまざまな戦略を用いてこの問題を回避する方法をとっている。しかし、《梅澤俊郎》の場合は何かが殺されないと満足できないので、血を流す方向で行かなくちゃならない。となると、かなりの枚数のインスタントのクリーチャー除去を入れるか、何か場に出っぱなしになっていてクリーチャーを殺してくれるものが必要になる。

クリーチャーを殺し続けていくものとなると、選択肢は山ほどある 《Drop of Honey》や《選別の秤/Culling Scales》はクリーチャーをゆっくりと、一定のペースで殺し続けていってくれる。特に《選別の秤》は、《梅澤俊郎》がなくてもそこそこの働きをする使い勝手のいいカードだ(あまりにも使い勝手がいいものだから、コラムCulling Scalesを一本書いてしまっている)。他にも《拷問室/Torture Chamber》や《花崗岩の破片/Granite Shard》や《呪われた巻物/Cursed Scroll》なども悪くないが、これらで何かを殺すにはマナが必要だ。何かを殺すときにコストがかかるとなると、能力により使えるインスタントが制限されてしまう分、問題となりかねない。

引用元
《梅澤俊郎》 更新日 Feature on 2005年 1月 12日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E3%80%8A%E6%A2%85%E6%BE%A4%E4%BF%8A%E9%83%8E%E3%80%8B-2005-01-12


《梅澤俊郎/Toshiro Umezawa》の活用方法が考察されています。

まず、「対戦相手のクリーチャーが死亡する」という条件です。ビートダウン同士であれば自然と達成されますが、クリーチャーの少ないデッキもありますので、能動的に達成させる方法を探っています。

恒久的に相手にクリーチャーを出すという点では、《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》が最上級でしょう。5色土地ゆえに色を選びませんし、妨害されにくく、出すコストも、起動するコストも不要です。さらに、オース系のデッキにおいて採用された実績もついています。

次に出したクリーチャーを死亡させる番ですが、なぜかここで《魂の裏切りの夜/Night of Souls’ Betrayal》が出てきません。《梅澤俊郎》と色が同じで、一度貼ってしまえばあとはマナなしで自動的に殺し続けられます。相性は抜群のはずですが。また、対戦相手にトークンを出す手段として《Varchild’s War-Riders》を投入した場合にさらに良いシナジーが発生します。ターン毎に相手に与えるクリーチャーが増えるので、再利用できる呪文も毎ターン増えていくことになり、圧倒的なアドバンテージを稼ぐことができるでしょう。

また、《梅澤俊郎》《禁忌の果樹園》《魂の裏切りの夜》と、同じ神河ブロック内でコンボが成立するのが、非常に美しいと思います。

神河当時 - 《梅澤俊郎/Toshiro Umezawa》と《ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will》
神河当時 - 《梅澤俊郎/Toshiro Umezawa》と《ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will》
今回のプレビューカードはものすごく面白い。その名は《梅澤俊郎/Toshiro Umezawa》と言い、信じがたい力を持つ伝説の悪者だ。今週のレイ・ナカザワの特集記事を読んでるんなら、この人物がどうして特別なのかはわかってもらえるだろう。実際にそのカードがどんなものなのかを見れば、この人物がどれだけ尊敬に値するかをより理解してもらえるだろう。

今まで magicthegathering.com のコラムニストが受け取ってきた様々なプレビューカードの中でも、こいつは最高にぶっ飛んでいる。どうしてこのプレビューカードの担当が私になったのかはよくわからないが、そんな予感はしていた。スコット・ジョンズは私のことをよくわかっているし、彼は私がこれまでに、《梅澤俊郎》によく似たとあるカードでいくつものデッキを作ってきたことを知っているのだ。

《梅澤俊郎》はおそらく歴代の《ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will》を復活させようとしたカードの中でも一番近いもので、私は彼の名前が「Yawgmoth’s Will」のアナグラムじゃない点に驚きを隠せない。《梅澤俊郎》には多くの力が隠されているが、このカードが実際に動くようにするためには、いくつかのものが必要になってくるだろう。墓地にはインスタントを置かなければいけないし、相手のクリーチャーも殺さなくちゃいけない。今回はこの二つの問題に取り掛かることにする。まずは後入れ先出しの原則にしたがって。

引用元
《梅澤俊郎》 更新日 Feature on 2005年 1月 12日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E3%80%8A%E6%A2%85%E6%BE%A4%E4%BF%8A%E9%83%8E%E3%80%8B-2005-01-12


いよいよ、主役である《梅澤俊郎/Toshiro Umezawa》のプレビューです。

何よりも目を引くのはその能力が《ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will》を彷彿とさせることです。さすがにまったく同じというわけにはいきません。かたやスペルで、かたやクリーチャーですから。ましてや、もととなったカードは歴代屈指の壊れカードです。あれこれ条件を付与しなければなりません。

その調整の結果、あまり使われなかったのは残念です。しかし、この手のカードは、《死の国からの脱出/Underworld Breach》《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》《隠された手、ケシス/Kethis, the Hidden Hand》のように、禁止にされたものも少なくありません。膨大なアドバンテージを生み出すため、調整が難しいのではないでしょうか。

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