『神河物語』12日目の記事です。
A KAMIGAWA GLOSSARY, PART 1 Posted in Arcana on September 14, 2004
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/arcana/kamigawa-glossary-part-1-2004-09-14
『神河物語』の固有名詞についての説明があります。独特なネーミングなので、発音も紹介されています。
ただ、日本語訳を見つけることが出来ませんでした。
『神河謀叛』『神河救済』とまとめて、MTG wikiに固有名詞一覧が作られているので、そちらを見る方がいいでしょう。
http://mtgwiki.com/wiki/%E7%A5%9E%E6%B2%B3%E5%9B%BA%E6%9C%89%E5%90%8D%E8%A9%9E%E5%AF%BE%E8%A8%B3
基本的にはカード化されているものが載っています。ただ、フレイバーテキストや小説には登場するもののカード化はされていないものもあります。そうしたキャラクターをカード化することはあるでしょうか。
追記
webアーカイブに、日本語訳の記事があるのを発見しました。
神河用語集
https://web.archive.org/web/20041112101328/http://www.hobbyjapan.co.jp/magic/articles/files/20040928_01.html
A KAMIGAWA GLOSSARY, PART 1 Posted in Arcana on September 14, 2004
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/arcana/kamigawa-glossary-part-1-2004-09-14
『神河物語』の固有名詞についての説明があります。独特なネーミングなので、発音も紹介されています。
ただ、日本語訳を見つけることが出来ませんでした。
『神河謀叛』『神河救済』とまとめて、MTG wikiに固有名詞一覧が作られているので、そちらを見る方がいいでしょう。
http://mtgwiki.com/wiki/%E7%A5%9E%E6%B2%B3%E5%9B%BA%E6%9C%89%E5%90%8D%E8%A9%9E%E5%AF%BE%E8%A8%B3
基本的にはカード化されているものが載っています。ただ、フレイバーテキストや小説には登場するもののカード化はされていないものもあります。そうしたキャラクターをカード化することはあるでしょうか。
追記
webアーカイブに、日本語訳の記事があるのを発見しました。
神河用語集
https://web.archive.org/web/20041112101328/http://www.hobbyjapan.co.jp/magic/articles/files/20040928_01.html
『神河物語』12日目のプレビュー記事です。
定番の赤の無作為エンチャントです。最近だと《鏡の行進/Mirror March》が一部界隈で人気でしょうか。
構築においてあまり結果を出さないのもお約束ではありますが。そもそも、トーナメントプレイヤー向けのカードでなく、無作為要素が好きなプレイヤー向けなので、関係ない話です。
定番とは言いましたが、最近のカードと比べると、すべてのプレイヤーに平等に効果をもたらすのが当時らしさを感じます。自分はこのカードに合わせたデッキを組めるから、その分有利ということでしょうか。
今週は真っ先にカードから行こう。
長いこと読者をやってるやつなら、俺がコイン投げカードがそんなに好きじゃないのは知ってるよな。俺はこのメカニズムが、赤の“無作為に公開”ってメカニズム(《うつろう爆発/Erratic Explosion》とか)の陰に隠れて消えていくのを見るのが好きだ。しかし、ウィザーズの奴らもそれで俺が喜んでいるのを知ってて、俺に“タイプじゃない”プレビューかードを割り当てやがった。だけど、俺は喜んでそれを受けたさ――なぜだかわかるかい? こいつは俺の多人数ゲームの哲学にほとんどぴったりだからさ! 小ざかしいウィザーズめ! それじゃ、本物のカードを見るとしよう。
(中略)
それじゃ、戦略的な視点からして、このカードを多人数ゲームで使うと何が起こるのか? ここに素晴らしい三段システムがある。
1.みんなは君らがバカをやりそうなんでうめき声を上げる。バッカじゃねーの? コイン投げだとさ。イカレてるねぇ。しかし、それはすべて予想済みだ――このカードが愛らしい理由だな。
2.みんなはカードを実際に読む。邪魔するものは何もない――君はそいつを場に出し、そいつは効果を発揮する。となれば、やつらも何が起こってるか知っといたほうがいいだろう。やつらは大量のテキストを読んで、そいつを隣に回すだろう。
3.みんなはそいつが何をするかを理解しだす。ちょっと待てよ――俺がブロックしたら、俺の全軍が吹っ飛ぶかも知れないってのか? 俺がブロッカーに向けて突っ込んで行ったら、やっぱり俺の全軍が吹っ飛ぶかも知れないってのか? そいつは攻撃でもブロックでも同じだってのか?
この時点から、状況はマジになる。《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》と《ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus》の争いは、どっちがどっちをブロックしようと50%の確率になるのさ。意気地なしは強腰になる。強腰は意気地なしになる。松ぼっくりはグレープフルーツになる。オーストラリア人はアイスランド人になる。木曜日のmagicthegathering.comのライターは火曜日のmagicthegathering.comのライターになるのさ! 最高だね。
《戦いの潮目》がマジックに持ち込んだものはほとんど類がない。こいつはあらゆるウィニーを攻撃的にさせ、あらゆる9/9の爆弾を家に抑えつけっぱなしにする……どっちかって言うと、ベッドの下かな。君がラッキーなら、コイン投げなんかしない事になるかもしれない。
となれば、こいつでデッキを組む気になるよな。
引用元
波のプールにコイン投げ 更新日 Serious Fun on 2004年 9月 14日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/serious-fun/%E6%B3%A2%E3%81%AE%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AB%E3%82%B3%E3%82%A4%E3%83%B3%E6%8A%95%E3%81%92-2004-09-14
定番の赤の無作為エンチャントです。最近だと《鏡の行進/Mirror March》が一部界隈で人気でしょうか。
構築においてあまり結果を出さないのもお約束ではありますが。そもそも、トーナメントプレイヤー向けのカードでなく、無作為要素が好きなプレイヤー向けなので、関係ない話です。
定番とは言いましたが、最近のカードと比べると、すべてのプレイヤーに平等に効果をもたらすのが当時らしさを感じます。自分はこのカードに合わせたデッキを組めるから、その分有利ということでしょうか。
昨日の記事の続きです。
フラッシュバックを元にしたため、最初は墓地で使う能力でした。しかし、墓地絡みの他の能力(転生)とのダブりを避けるために手札から使う能力になった、ということです。
墓地から唱えるままだったならどうなっていたか?というのはやや気になるところです。手札から使う方が奇襲効果がある一方、墓地肥し(セルフライブラリー破壊やルーティング)との相互作用がなくなってしまいました。
もし、墓地から使うままだったなら、連繋評価も多少は上がったのかもしれません。
カードパワーやフレイバーではなく他のメカニズムとの兼ね合いが理由なので、そうしたリメイク・メカニズムをオリジナルエキスパンションで採用することもありでしょう。
第四章――墓地の事情
初期のテストプレイで、私は非常に面白いことがわかった。しかし、完璧ではない何かがあった。父の上司の上司(開発部の副部長のビル・ローズ)がその問題を指摘してきた。このセットには墓地に着目している異なる二つのメカニズムがある(もう一つは転生だ――デザイン当時は“不死”という名前だった)。ローズ氏は、墓地をテーマにしていないセットとしては、これは多すぎると感じていたのだ。そして彼は、思い切った提案をしてきた。墓地からではなく、手札からプレイ可能としてはどうだろうか? 誰もがそのアイデアを気に入り、開発部は私の調整を行った。
私が最初の頃からどこまで来たかを示すために、[狙って撃て]がどんなカードになったを示すのも面白いだろうと思う。
ご覧の通り、呪文の本質は時間がたってもそれほど変わってはいない。最も大きな変更は墓地が手札になったことで、その結果として使用方法やカードを使うタイミングが変わってきた。さらに、手札バージョンの私は、墓地バージョンよりも奇襲効果が大きいのも特徴だ。
第五章――安住の地
メカニズムにとって最大の興奮は、開発部がブロックの中でどのようにあるメカニズムを変えていくかを見ることだろう。私を使った面白いカードは神河物語の中に何枚も登場するが、神河謀叛や神河救済にどんなカードが出るのかにも注目していて欲しい。
さて、私がいかに無名のメカニズムから大規模なキーワードメカニズムとなったかを、数章を使って語ってきた。ご覧の通り、キーワードメカニズムとなるには、時間と変わる意欲が必要だ。しかし、信念を貫き続ける限り、そこに限界は無い。そして、開発部がメカニズムを使い捨ての資源ではなく道具として見ていくことで、復活のチャンスもどんどん増えていっている。
私がお見せした舞台裏に、皆さんが喜んでくれることを願っている。
来週の父のコラムでは、反転の仕方を語られる予定だ。
それまでの間、変身の楽しみを理解してくれることを祈念しつつ。
スプライス・ローズウォーター
引用元
連繋的な人生 更新日 Making Magic on 2004年 9月 13日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/making-magic/%E9%80%A3%E7%B9%8B%E7%9A%84%E3%81%AA%E4%BA%BA%E7%94%9F-2004-09-13
フラッシュバックを元にしたため、最初は墓地で使う能力でした。しかし、墓地絡みの他の能力(転生)とのダブりを避けるために手札から使う能力になった、ということです。
墓地から唱えるままだったならどうなっていたか?というのはやや気になるところです。手札から使う方が奇襲効果がある一方、墓地肥し(セルフライブラリー破壊やルーティング)との相互作用がなくなってしまいました。
もし、墓地から使うままだったなら、連繋評価も多少は上がったのかもしれません。
カードパワーやフレイバーではなく他のメカニズムとの兼ね合いが理由なので、そうしたリメイク・メカニズムをオリジナルエキスパンションで採用することもありでしょう。
神河当時 - 枚数と秘儀と連繋
2020年4月29日 Magic: The Gathering
昨日の記事の続きです。
『神河物語』以前に『フィフスドーン』でも採用が検討されたようです。この時は少ない枚数のメカニズムを求めていた、ということで、連繋は入りませんでした。ただ、その直後のセット『神河物語』に入ることになった訳ですが。
ちなみに、「10枚かそこら」ということからして、代わりに入ったのは占術だと思います(フィフスドーンの占術カードは9枚)。
さて『神河物語』に入ることになった訳ですが、先に入ったのは神独自の呪文であることを表す呪文タイプ「秘儀」でした。その時に、連繋を復活させ、連繋先として秘儀のみとした、ということです。
個人的に、これは意外な話でした。というのも、先に連繋メカニズムができて、どの呪文とも連繋できると思わぬ相互作用がおきる危険性を考えて、秘儀呪文に限定したのではないかと思っていたからです。
結果的には、秘儀に限定したことは「対象が狭くなりすぎる」という問題点の方が大きかったようですが……。
さて、この手の融合能力と言うと、最近では「変容」が登場しました。これも、対象が限定されたものです。その理由はフレイバー的な物だそうですが(※1)。
少し気になったのは、変容(人間でない)とせず、変容のみとしている点です。連繋は、連繋(秘儀)が対象を限定しすぎたことから、連繋(インスタントかソーサリー)に拡張されました。変容だとこうはいきません。
「人間でない」というのは幅が広いので、連繋のように対象が狭すぎるいうことはありません。しかし、将来的に人間も変容させたくなった場合に困りそうな気もします。エコーのように書式を変えるだけかもしれませんが(※2)。
※1
Making Magic -マジック開発秘話- 2020.4.6 『イコリア』に出会う以上に
https://mtg-jp.com/reading/mm/0033923/
※2
ウルザ・ブロックの時点では単に「エコー」とのみ表記され、エコー・コストは自身のコストと同じ、としていました。時のらせん・ブロックで再録されたときに、エコー・コストも記載する書き方に変わりました。
第二章――夜明けの中断
そして、棄却メカニズムとしての人生を送っているある日、私は倉庫から引きずり出された。父はフィフス・ドーンのデザインチームをやっていて、呪文のメカニズムが必要になったのだ。特に、インスタントやソーサリーに使える単色のメカニズムだ。そこで父は私を披露したのだ。チームは私を気に入ったが、私は彼らが必要としたものとしてはしっくりこなかった。彼らは 10 枚かそこらの穴を埋めるものが欲しかったのだが、私は明らかにブロック全体にまたがる大きさを持っていた。
ここでちょっと、サイズに関する余談を語ろうと思う。メカニズムに関して言えば、サイズは非常に重要な事項だ。デザイナーはそこからどのぐらいのカードが生み出せるかを把握する必要がある。作れるカードが5枚だけなら、サイクルのメカニズムになるだろう。8枚から 15 枚ほどまでいけるのなら、小型セットの第一候補になるだろう。しかし、16 枚以上のカードが作れるとなれば、デザイナーは大型エキスパンションを念頭にし始めることになる。私が父の頭の中に戻された基本的な理由がこれだ。私はフィフス・ドーンが必要とするものより大きかったのだ。最終的に、その栄誉は占術なるちょっとしたメカニズムが勝ち得た。
またそれに関連して、どれだけのメカニズムがセットとは無関係にデザインされるかも記しておこう。私は自分をフィフス・ドーンのメカニズムと呼んでいる。それはつまり、私が最初に考慮されたのがそのセットだからだが、デザインチームが私に与えていた日付はそれを数年遡る。フィフス・ドーンの議論において最も重要だったのは、私が父の同僚の何名かの注目を受けたことだ。ランディ・ビューラーとアーロン・フォーサイスの両名は、このメカニズムに目を通す機会を得た。これが後に重要な事項となってくる。
第三章――アースの結線
そんなわけで、私はさらに数ヶ月を父の頭の中で過ごした。クリエイティブな人物が何を追求しないかを選ぶことを知るのは面白いことだろうと思う。父は頭の中に何か奇妙なものが回っているようだ。しかし、私には私の運命があった。父は同じアイデアを数年にわたってはまる場所が無いか探すことで知られていたのだ。
話を自分に戻して、開発部は神河物語(当時はアースというコードネームだった――次はウィンドとファイヤーだ)のデザインを始めていた。その開始の時点で、デザインチームは日本の神話のイメージをセットの背景とすることにしていた。その世界では、自然界の生き物が別世界の精霊と戦争をしている。これはつまり、セットには何通りかの“現実世界”と精霊との違いが必要だということだ。
この考えを突き詰めていくうちに、面白い考えに至った。精霊が独自の魔法を持っているとしたらどうだろうか? それがどうなるかを考えていくことは、実際にはより大きな問題を招くことになった。その結果、当時は“神秘”と呼んでいた秘儀への道筋となった(詳しくは、父の先週のコラム秘儀的才能をお読みいただきたい)。もう一つ興味深かったのは、父はこのデザインチームには関わっていなかったのだ。しかし、ビューラー氏は(マジック開発部ディレクターとして)たびたび訪れていたし、彼は面白い呪文のメカニズムを常に見張っていたのだ。
ある日、ビューラー氏は父に私を復活させてはどうかと尋ねてきた。父はファイルを見ながら一つの提案をしてきた。私を秘儀呪文と直接結び付けてはどうか? あらゆる呪文に融合するのではなく。秘儀カードにのみ融合が可能にするのだ。ランディは喜んだ。父も喜んだ。そして神河物語のデザインチームも喜んだ。しかし、私の話はこれで終りではなかった。
引用元
連繋的な人生 更新日 Making Magic on 2004年 9月 13日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/making-magic/%E9%80%A3%E7%B9%8B%E7%9A%84%E3%81%AA%E4%BA%BA%E7%94%9F-2004-09-13
『神河物語』以前に『フィフスドーン』でも採用が検討されたようです。この時は少ない枚数のメカニズムを求めていた、ということで、連繋は入りませんでした。ただ、その直後のセット『神河物語』に入ることになった訳ですが。
ちなみに、「10枚かそこら」ということからして、代わりに入ったのは占術だと思います(フィフスドーンの占術カードは9枚)。
さて『神河物語』に入ることになった訳ですが、先に入ったのは神独自の呪文であることを表す呪文タイプ「秘儀」でした。その時に、連繋を復活させ、連繋先として秘儀のみとした、ということです。
個人的に、これは意外な話でした。というのも、先に連繋メカニズムができて、どの呪文とも連繋できると思わぬ相互作用がおきる危険性を考えて、秘儀呪文に限定したのではないかと思っていたからです。
結果的には、秘儀に限定したことは「対象が狭くなりすぎる」という問題点の方が大きかったようですが……。
さて、この手の融合能力と言うと、最近では「変容」が登場しました。これも、対象が限定されたものです。その理由はフレイバー的な物だそうですが(※1)。
少し気になったのは、変容(人間でない)とせず、変容のみとしている点です。連繋は、連繋(秘儀)が対象を限定しすぎたことから、連繋(インスタントかソーサリー)に拡張されました。変容だとこうはいきません。
「人間でない」というのは幅が広いので、連繋のように対象が狭すぎるいうことはありません。しかし、将来的に人間も変容させたくなった場合に困りそうな気もします。エコーのように書式を変えるだけかもしれませんが(※2)。
※1
Making Magic -マジック開発秘話- 2020.4.6 『イコリア』に出会う以上に
https://mtg-jp.com/reading/mm/0033923/
※2
ウルザ・ブロックの時点では単に「エコー」とのみ表記され、エコー・コストは自身のコストと同じ、としていました。時のらせん・ブロックで再録されたときに、エコー・コストも記載する書き方に変わりました。
『神河物語』11日目のプレビュー記事です。
今回の記事はマローではなく、「連繋」の視点から書かれています。この手の擬人化は、マローの記事では何度かあるものです。
まず、連繋の起こりは、キッカーとフラッシュバックを組み合わせてみたらどうなるか?という発想でした。インベイジョン・ブロック+オデッセイ・ブロック期のスタンダードでしょう。
その結果、キッカーのように呪文を唱える際に追加でマナを支払い、フラッシュバックのように墓地のカードを唱える、という最初のバージョンができました。
数あるメカニズムの中でも、特に人気が高く、再録回数も多いキッカーとフラッシュバックが元になった訳ですが、そこから生まれたメカニズムがあまり人気を獲得できなかったのは意外な結果です。もっとも、作った当時としてはキッカーもフラッシュバックも登場したばかりですから、そんな考えすらなかったでしょうが。
人気メカニズムを「元にしたのに」と言うよりは、人気のメカニズムを「変に弄ってしまったために」、そうした結果になったのかもしれません。
キーワードメカニズムの自伝
スプライス 著
まず最初に、今回のコラムが、いつもの真実や気品を犠牲にしてメカニックのすべてを暴露する類のものではないことを表明しておく。今回この本を書いているのは、私が自分の物語を世界中と分かち合いたいからだ。ここで説明するのは、フィフス・ドーンのちょっとしたデザインが、どうやって神河物語のキーワードメカニズムになったかという話だ。私の文章が、デザインファイルの中でいつか偉大なるゲームにたどり着くことを夢見ているメカニズムたちに訴えるところがあることを願っている。
第一章――二つのメカニズムの出会い
私の物語は、私がまだ父親の目の輝きだった頃から始まる。話を先に進める前に、まずは微妙な問題を語っておこう。そう、我が父とはマーク・ローズウォーターだ。確かに彼は多くのメカニズムの生みの親だが、多くの味気の無い本で語られているそれらの物語は、真実の上辺でしかないのだ。そう、彼はメカニズムを作るのが好きだが、彼はそれをしばしば意識の奥底にしまいこむ。しかし、彼が求めるものを探そうとする際には、いつもこれがゲームに最良のものとなる。記憶の曲がり角の陰に隠れているメカニズムを見つけてふさわしい場所を与える記録に関しては、誰も追いつけていないのだ。しかし、父親の話はもういいだろう。話を自分に戻そう。
私はとあるプロツアーのフィーチャー・マッチ・エリアで生まれた。父はその時ジャッジであった。マッチの観戦中、彼はあるプレイヤーが、あるカードをキッカーつきで使い、次にあるカードをフラッシュバックで使ったのを見た。これを見た彼は、この二つのメカニズムを組み合わせたら何が起こるかを考えたのだ。彼がなぜこの接点に思い至ったかは定かではないが、そうでなかったとしたら私はここで物語を語ってはいないのだ。とにかく、その瞬間に私はぼんやりと姿を現した。彼は考えた。あるカードについたフラッシュバック風のコストで、別なカードにキッカー効果を付け加えるとどうなるだろうか、と。本質的に、それは墓地にいる携帯型キッカーだろう。
彼はやる気になり、サンプルのカードを書きつけた。その時、私は自分の名前を得た――それは“抱き合わせ”という名だった。狙って撃て
{R}
インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。[カード名]はそれに2点のダメージを与える。
抱き合わせ ― 1R(このカードが墓地にある場合、あなたは抱き合わせコストを支払ってこの効果をプレイしている呪文につけてもよい。)
私の最初の姿について、いくつか興味深い点がある(後に明らかになるが、私は成長に従って数多くの変更を受けた)。第一に、最初の段階から基本の効果と融合させる効果が同じだった点だ。この二つは明らかに別々にすることが可能だが、それが美的観念をめちゃめちゃにすることを父も理解していた。第二に、この呪文は、第二の呪文としてスタックに乗るのではなく、存在する呪文に付け加える呪文としてデザインされている。その理由は、これがキッカーから思い浮かんだというのが主だ。さらに、これまでのどのメカニズムも他の呪文に融合することはなかったので、私をこのように作ることで新たな領域の開拓ができるだろう。
プロツアーから飛行機で帰ると、父は私のために数枚のカードを作った。それから? 彼は私を意識の奥にしまいこんだのだ。確かに人聞きは悪いかもしれないが、これは皆さんが思うほど孤独なことじゃない。父は多くのメカニズムをそこにしまっていた。私は“染色”という名のテンペストの却下されたメカニズムや、単に“毒”として知られているメカニズムと親友になった。毒は一晩中かけて父が自分のために考えている計画について語るのが好きだった。「いつか、さ」と彼はいつも言っていた。「いつかだよ。」
ただ、父が非常に多くのメカニズムをつぶしてきていることに対して皆さんが騒ぎ出す前に、デザインの命中率は皆さんが考えているよりも遥かに低いことを言っておきたい。その理由は二つ。第一は、多くのメカニズムは、ありていに言って、面白くないことが判明するから。第二は、私のようなよいメカニズムは、入るべき正しいセットが必要になるからだ。十分面白いだけでは十分ではないのだ。君の周りのメカニズムにも納得していただきたいものだ。そんなわけで、私は“裏小屋”に格下げされた時も、恐れはしなかった。自分には特別な何かがあったし、父はいつか私に完璧な居場所を見つけてくれるだろうと信じていたのだ。
引用元
連繋的な人生 更新日 Making Magic on 2004年 9月 13日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/making-magic/%E9%80%A3%E7%B9%8B%E7%9A%84%E3%81%AA%E4%BA%BA%E7%94%9F-2004-09-13
今回の記事はマローではなく、「連繋」の視点から書かれています。この手の擬人化は、マローの記事では何度かあるものです。
まず、連繋の起こりは、キッカーとフラッシュバックを組み合わせてみたらどうなるか?という発想でした。インベイジョン・ブロック+オデッセイ・ブロック期のスタンダードでしょう。
その結果、キッカーのように呪文を唱える際に追加でマナを支払い、フラッシュバックのように墓地のカードを唱える、という最初のバージョンができました。
数あるメカニズムの中でも、特に人気が高く、再録回数も多いキッカーとフラッシュバックが元になった訳ですが、そこから生まれたメカニズムがあまり人気を獲得できなかったのは意外な結果です。もっとも、作った当時としてはキッカーもフラッシュバックも登場したばかりですから、そんな考えすらなかったでしょうが。
人気メカニズムを「元にしたのに」と言うよりは、人気のメカニズムを「変に弄ってしまったために」、そうした結果になったのかもしれません。
神河当時 - 『神河物語』のプレリリース
2020年4月27日 Magic: The Gathering
プレリリースの案内記事です。
内容の大半は、どのセットのプレリリースでも言えるようなことなのですが。
ただ、日本をイメージした世界に対する期待は見て取れます。返す返すも、それに応えられない評価となったのが惜しい所です。
今週末の神河物語のプレリリースに参加すべき10の理由!
8 位――アーティストに会うこと!
神河物語は、このゲームの歴史の中でも最もイラストが美しいセットの一つだ。物語の日本的な背景や、一徳やロブ・アレクサンダーやその他このデザインに関わった面々が、このセットを新しい高みに到達させたといえるだろう (ところで、一徳の素晴らしさを把握できていないとしたら、このセットが出るまでの辛抱だ。彼の仕事はとんでもないよ)。
トーナメント主催者の中には、新セットに登場するアーティストをプレリリースに呼んでくれるところもある。例えば、あなたが幸運にもコロンバスやピッツバーグに住んでいるなら、今回のイベントでマット・カヴォッタやクリス・メラー(二人とも僕のお気に入りだ)に会えるだろう。地元の主催者に、アーティストが参加するかを確認してみて欲しい。そうすれば、サイン用のカードを準備できるだろうからね。
(中略)
3 位――日本の世界!
今回のブロックの背景は日本の神話で、見た目も感触もマジックの歴史のどのセットとも異なっている。今回は、その世界にどっぷり浸かって、新しい種族やストーリーや発音なんかに浸りきる最初のチャンスだ。ところで、日本風の名前にびびらないように。発音はすべて綴りどおりだ。英語のような複雑で直感に反する文字の並びは存在しない。コツをつかんだら、その発音は非常に易しいはずだよ。
2 位――ドラゴン!
デカくて、飛んでて、死んでもかなりのことをしてくれる。引いたら使わなきゃね!
1 位――1ゲーム目にはアーティファクト除去をサイドボードに外せる!
ミラディンがバックミラーの彼方に消えてしまえば、メインデッキにアーティファクト除去を入れるためにマナを無理やり調整することもなくなるだろう。アーティファクトは前のブロックほどどこにでもあるものじゃなくなるからね。それはつまり、あなたの派手なアーティファクトに対して、どこにでも《粉砕/Shatter》や《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》や《供犠台の光/Altar’s Light》がある状況を気にしなくてもいいってことだ。
こいつは文字通り新しい世界だ。今週はあなた自身の目でそれを確かめて、このイベントがなぜ人気があるかを理解して欲しいね!
引用元
神河物語のプレリリースに参加すべき10の理由 更新日 Feature on 2004年 9月 10日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E7%A5%9E%E6%B2%B3%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%AB%E5%8F%82%E5%8A%A0%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%8D10%E3%81%AE%E7%90%86%E7%94%B1-2004-09-10
内容の大半は、どのセットのプレリリースでも言えるようなことなのですが。
ただ、日本をイメージした世界に対する期待は見て取れます。返す返すも、それに応えられない評価となったのが惜しい所です。
昨日の記事の続きです。
当時のレジェンド・ルールの変更があってこそ、《今田家の猟犬、勇丸》のようなカードを作ることができた、ということです。勇丸は伝説を参照する訳ではありませんし、むしろただのバニラです。だからこそ、伝説がテーマのセットにふさわしく、それに伴うルール変更の象徴とも言えるのでしょう。
すべき時
話をちょっと先に進めて、神河物語のデザインに移ろう。セットがまとまってくるにつれ、このセットの中の大部分をレジェンドが占めることが明らかになってきた。そして、さらに明らかになってきたのが、我々は強くて、攻撃的で軽いレジェンドが本当に真剣に必要だったが、「レジェンド・ルール」の存在がそれを骨抜きにしていた。
そこに助けに現れたのがズヴィだった!
我々は絶対的に必要なとき以外、ルールを変更するのは好きではないが、今回はあまりにもパスするにはタイミングが良すぎた。「レジェンド・ルール」をちょっといじるだけで、我々はサブタイプ/特殊タイプの問題を修正し、“隠れたルール付きクリーチャー・タイプ”の問題を修正し、より強いカードを作ることができるようになるのだ。で、そうしたわけだ。変更点は以下の通り。1. クリーチャー・タイプの“レジェンド”は今後は存在しない。代わりに、クリーチャーは他のパーマネントのタイプと同様に、特殊タイプ「伝説の/Legendary」を持つ。これまでクリーチャー・タイプに「レジェンド/Legend」が含まれていたクリーチャーは、代わりに「伝説の/Legendary」の特殊タイプを持つ。今後は、クリーチャーのタイプを変更してレジェンドにすることはできない。
こうすればレジェンドのクリーチャーと伝説のアーティファクトや土地がうまい具合にまとまるし、クリーチャー・タイプやタイプ変更効果に「レジェンドは除く」とか書かなくて済むようになる。2. レジェンド・ルールは変更される。新しいルールは以下の通り。
420.5e 2つ以上の同名のパーマネントが「伝説の」の特殊タイプを持っている場合、それらすべてをそれぞれのオーナーの墓地に置く。これは「レジェンド・ルール」と呼ばれる。伝説のパーマネントが1つだけの場合、このルールは適用されない。
これは大きな機能的な変更だけど、それは我々に多くのものをもたらしてくれる。ゲームではプレイヤーが“死にカード”を引くことを無くしてくれる。相手の場にいるレジェンドと同じカードを引いてきたら、それが何もせずに手札で腐る代わりに、いい効果を狙ってプレイすることが可能なのだ。
しかし、今回の変更で私が一番気に入っているのは、これにより多くのデザイン上の“開かずの間”が開かれることで、その結果我々はさらに多くの軽くて強力なレジェンドを作ることができるようになるだろう。その証拠がこれだ。
《今田家の猟犬、勇丸》
我々は確かに強いレジェンドを作ったし、それらはデッキに入るようになった。いいかい、新しいセットには多くの強力な伝説のクリーチャーが登場するよ。そいつはまるで《悪辣な精霊シルヴォス/Silvos, Rogue Elemental》のクラスの同窓会並みさ!
引用元
伝説のルール変更 更新日 Latest Developments on 2004年 9月 10日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/latest-developments/%E4%BC%9D%E8%AA%AC%E3%81%AE%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%A4%89%E6%9B%B4-2004-09-10
当時のレジェンド・ルールの変更があってこそ、《今田家の猟犬、勇丸》のようなカードを作ることができた、ということです。勇丸は伝説を参照する訳ではありませんし、むしろただのバニラです。だからこそ、伝説がテーマのセットにふさわしく、それに伴うルール変更の象徴とも言えるのでしょう。
神河当時 - レジェンド・ルールの提唱者
2020年4月25日 Magic: The Gathering
『神河物語』10日目のプレビューです。
レジェンド・ルールの変更については、すでに他の日記でも扱っています(※1)。
ここでの新しい情報というと、その変更を提案したのが「ズヴィ・モショウィッツ/Zvi Mowshowitz」だということでしょうか。
※1
神河資料 - レジェンド・ルール
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202001072218452110/
神河当時 - レジェンド・ルールの変更
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004032034023059/
話は1年半ほどさかのぼる。2003年3月23日。イタリアはベネチア。フォーマットはオンスロートブロック構築。プレイヤーはビリー・ジェンセンと、最終的にこのトーナメントを勝ったオシップ・レベドヴィッチ。プロツアー準決勝。ジェンセンは《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath》を手札に何枚も抱えたまま、相手の天使の前に沈んでいった。
観客の中にいたマジック開発部の面々はうなり声をあげた。
「レジェンド・ルール」は新しいクリーチャー・タイプ――レジェンドをサポートするために、マジックのかなり初期の段階で生み出されたルールだが、こいつは長いこと開発部の悩みの種だった。そのルールは、イメージ的な側面からはかなりうまくいっている――すでに戦場にいるレジェンドを召喚しようとしても、その呪文は失敗する――のだけれど、イメージではルールほどバスを先に走らせられない。レジェンドが強すぎた上に出すのが簡単すぎる場合、ゲームはしばしばどちらがそれを先に出すかの競争になってしまう。この問題は、メルカディアン・マスクスブロック構築の《果敢な勇士リン・シヴィー/Lin Sivvi, Defiant Hero》ですでに鎌首をもたげていて、最終的にこのカードはブロック構築では禁止になってしまう。我々はそれ以降、軽くて強力なレジェンドを作るのをやめたが、それで問題が無くなったわけではない。実際にプロツアーは、一方が8マナの天使を出して、相手の手札にある同じカードをがんじがらめにしたことで決まったんだ。
解法
その日のこと、イベントが終わった後で、マジックのデザイナーでありプロツアーの顔役のマーク・ローズウォーターは何人かのプレイヤーを連れて、「レジェンド・ルール」とその問題点、特にトーナメントにおける問題について議論しあった。ジャスティン・ゲイリーとズヴィ・モショウィッツはアイデアや有効そうな修正をいくつか出していったが、ローズウォーターはそれら全部にダメ出しをしていった。しかし、ズヴィは金鉱を掘り当てたのさ。
「2枚目のレジェンドが出たら、両方が墓地に置かれるようにしたら?」と彼は尋ねた。
「ほぉ……そいつはすばらしいね。」とローズウォーターは言った。
別な邪魔者
話をさらに、オンスロートの開発までさかのぼろう。そのセットには、《映像の造形者/Imagecrafter》など数多くのクリーチャー・タイプを変更するカードが入っていた。しかし、ほんのいくつかのタイプ――名指しするならレジェンドと壁なんだが――にはルールがくっついているため、我々はそのカードに、プレイヤーがそれらのタイプを選べないようにするためのおまけを付けなくちゃいけなくなった。そのため《映像の造形者》は、「{T}:クリーチャー1体を対象とする。クリーチャー・タイプを1つ選ぶ。ターン終了時まで、そのクリーチャーのクリーチャー・タイプは選ばれたタイプになる。」となる代わりに「{T}:クリーチャー1体を対象とする。レジェンドでも壁でもないクリーチャー・タイプを1つ選ぶ。ターン終了時まで、そのクリーチャーのクリーチャー・タイプは選ばれたタイプになる。」となったんだ。この制限はカードに何回も出てきて本当にうっとうしかった。そんな余計な文章は、この「ルール上の障害」のついているクリーチャー・タイプがあるべきなのかどうかという議論に発展した。
開けたブースターパックから出てきたのがレジェンドだった場合、それが1体しか場に出られないって言うことはすぐにはわからないし、クリーチャー・タイプだけではそのカードが他とどう違うのかわからないだろう。壁も同じだ……第4版の頃、多くのプレイヤーは《人喰い植物/Carnivorous Plant》で攻撃を行っていた。その巨大なクリーチャーが攻撃できないということは直感的ではなかったからだ。我々は壁の問題(の一部)を注釈文をつけることで修正したが、ルールの関係してくるタイプという問題は残ったままだったし、レジェンドもそのままだった。
さらに言えば、“レジェンド”はクリーチャー・タイプだが“伝説の”――“伝説の土地”や“伝説のアーティファクト”などの――は特殊タイプだ。この奇妙さはレジェンド時代から引き継がれてきたもので、現在のシステムでサブタイプや特殊タイプを扱う際に、統合性をもてていない状況だった。
引用元
伝説のルール変更 更新日 Latest Developments on 2004年 9月 10日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/latest-developments/%E4%BC%9D%E8%AA%AC%E3%81%AE%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%A4%89%E6%9B%B4-2004-09-10
レジェンド・ルールの変更については、すでに他の日記でも扱っています(※1)。
ここでの新しい情報というと、その変更を提案したのが「ズヴィ・モショウィッツ/Zvi Mowshowitz」だということでしょうか。
※1
神河資料 - レジェンド・ルール
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202001072218452110/
神河当時 - レジェンド・ルールの変更
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004032034023059/
『神河物語』9日目のプレビューです。
当時を知る人であれば、間違いなく記憶に残っているであろう、強力なカードです。後には、《未知な領域》というリメイクも登場しました。イラストまで似せているほどです。
このプレビュー記事では、さらに過去の名カード《直感》《嘘か真か》と比較がされています。今からふり返って比較すると、デッキにおいて中心的役割を果たす、という点も違いだったと言えます。その名前を冠した「けち○○」というデッキを多数作り出すほどでした。
補足1
その他、詳しいことを語ろうとしても「MTG wiki」と被るので、そちらへのリンクを貼ります。
http://mtgwiki.com/wiki/%E3%81%91%E3%81%A1%E3%81%AA%E8%B4%88%E3%82%8A%E7%89%A9/Gifts_Ungiven
補足2
今日紹介した記事では、引用した文章の前に、《骨齧り》がまた登場するのですが、省略しています。
補足3
同日、大蛇人のアートの記事も上がっているのですが、例によって画像のリンクが切れているので、取り上げません。
OROCHI ART PREVIEWS Posted in Arcana on September 9, 2004
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/arcana/orochi-art-previews-2004-09-09
バック・トゥ・フューチャラマ
君も繰り返し登場するキャラクターってのは聞いたことがあるだろう……じゃ、繰り返し登場する血統ってのは? フユーチャラマのあまりにも短い放送の中で、三人のへんてこなヒッピーのキャラクターが、それぞれの一人ずつ登場していた。毎回毎回、それらはその回が終わる前に死んでしまう。一人はオミクロン・ペルセイ・8の支配者ラーーーに食われ、一人はペンギンに撲殺され、一人はドデカポディアンの移動型抑圧宮殿に踏み潰された。それらのピースをつなぎ合わせて事実を見つけるまで、再放送を何年も見続けなくちゃいけなかったよ。この三人のヒッピーは直接関係があって、我々は彼らと逆順に出会ってきてるんだ。我々が出会った最初の一人は、菜食主義者で麻薬常習者のフリー・ウォーターフォール二世。二人目は、ペンギン保護論者のペンギンハンター、フリー・ウォーターフォール一世。そして最後が一夫多妻主義者の弁護士、ウォーターフォール老師だ。ここからわかることは、どんなvfdjlkthヴいxckjうぇrhtやめろrlkhjkhvhくsけんtrkbzxlcvスコットdんけwrmんbzxdytfkjwんrgcすgあううううううううううえkrsjhtんkjzbvぎゅdすぇrjkhそっちの耳fqけjfrhさdくぁwせdrftgyじげんlprそれじゃ今週のプレビューカードに行こうか。これが僕からの贈り物だ。
こいつは《嘘か真か/Fact or Fiction》ってわけじゃない。こいつは《直観/Intuition》ってわけでもない。これはその間の狭くて興味深い隙間をえぐったものだ。こいつは必然的に両方のカードと比べられるだろうから、違いを見てみることにしよう。
比較対照
《けちな贈り物》 vs 《嘘か真か》
コストも同じ、スピードも同じ。《けちな贈り物/Gifts Ungiven》がめくれるのは1枚少ないカードで、どっちが手札に入るかを決めるのは君じゃなくて相手だ。しかし、《嘘か真か》でめくれるカードがランダムであるのに対し、《けちな贈り物》のカードは君がコントロールできる。そういうわけで、これはインベイジョンのカードほどは強くない(それでも僕の中じゃ十分だけどね)けど、だからってひどいカードってわけじゃない。一番重要なのは、これは同じような選んで分ける風のミニゲーム的な雰囲気を持っているし、カードの総枚数も増えるってことだね。
《けちな贈り物》 vs 《直観》
《けちな贈り物》は1マナ重くて、その分1枚多く公開でき、手に入るカードも1枚多い。どちらのカードでも、最後の選択は相手が行う。はっきりした違いは“名前の異なるカード”ってとこで、この違いが《けちな贈り物》の存在意義だ。驚くべきことじゃないだろうけど、このカードはテスト中は“修正版直感”って呼ばれていた。《直観》は本当は青のインスタント版《Demonic Tutor》(ライブラリーの中に欲しいカードが3枚あるなら、《直観》は間違いなくそれを持ってきてくれる)を意図していたわけじゃない。そして《けちな贈り物》は、確かに変わったやり方でカードを探し出してはくれるけど、それとははっきり違う。
どうやって《けちな贈り物》の内部の仕組みを利用してやるか? どうやってその制限を無効化してやるか? どうやって相手にぐうの音を言わせるような質問を与えるのか? こいつはマジックにおけるコバヤシマル(訳注:映画「カーンの逆襲」の中のシミュレーションテストに登場する、危機的状況に陥っている船の名前)になるかもね。だけど、今週はコンボを見逃さないように、きちんと順番にいかないとね。
引用元
恍惚の贈り物 更新日 Feature on 2004年 9月 9日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E6%81%8D%E6%83%9A%E3%81%AE%E8%B4%88%E3%82%8A%E7%89%A9-2004-09-09
当時を知る人であれば、間違いなく記憶に残っているであろう、強力なカードです。後には、《未知な領域》というリメイクも登場しました。イラストまで似せているほどです。
このプレビュー記事では、さらに過去の名カード《直感》《嘘か真か》と比較がされています。今からふり返って比較すると、デッキにおいて中心的役割を果たす、という点も違いだったと言えます。その名前を冠した「けち○○」というデッキを多数作り出すほどでした。
補足1
その他、詳しいことを語ろうとしても「MTG wiki」と被るので、そちらへのリンクを貼ります。
http://mtgwiki.com/wiki/%E3%81%91%E3%81%A1%E3%81%AA%E8%B4%88%E3%82%8A%E7%89%A9/Gifts_Ungiven
補足2
今日紹介した記事では、引用した文章の前に、《骨齧り》がまた登場するのですが、省略しています。
補足3
同日、大蛇人のアートの記事も上がっているのですが、例によって画像のリンクが切れているので、取り上げません。
OROCHI ART PREVIEWS Posted in Arcana on September 9, 2004
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/arcana/orochi-art-previews-2004-09-09
神河自作 - 一区切り
2020年4月23日 Magic: The Gathering
エキスパンション作成も、その考察・反省も一通り終わりました。
次回作の構想はありますが、どれにするかを絞り切れていません。
よって、次回作の方針が決まるか、また考察することがあるか、といったことが起きるまでは神河自作は休みます。
神河当時のほうはこれまで通り毎日更新する予定です。
次回作の構想はありますが、どれにするかを絞り切れていません。
よって、次回作の方針が決まるか、また考察することがあるか、といったことが起きるまでは神河自作は休みます。
神河当時のほうはこれまで通り毎日更新する予定です。
神河当時 - 反転のメリット
2020年4月23日 Magic: The Gathering
昨日の記事の続きです。
反転カードと言えば、タップ状態では反転か否かが混乱の元ということが理由で不評でした。
この記事ではむしろ、「だからこそ、みんなが正しい向きでプレイするようになる」というメリットとして、最大のお気に入りポイントと言われています。
正直なところ、こういう考えはありませんでした。まさに逆転の発想と言えるでしょうか。
結局は、前述のような不評に終わったことを考えると、向きを正す強制力とはならなかったようですが。
私は《鼠の短牙》が本当に気に入っています。トーナメントで戦えることが証明されているカードとの相似性とか。そのネズミっぽさや仲間の害獣とのシナジーとか。それが反転して伝説のネズミ・シャーマンとなり、歴代最強ネズミ2体が合体した姿として《ボール・ライトニング/Ball Lightning》よろしく噛み付く様とか。
しかし、これらは私が《鼠の短牙》を本当に気に入っている理由ではありません。
これまで数え切れないほどの哀れな魔法使いがエイドリアンのカードをひっくり返して、彼から見て正しい方向に直すのを見てきました……しかしエイドリアンは――極めて当たり前ですが――カードを再びひっくり返し、こっちのカードは自分が好きなように並べられるんだ、お気遣いどうも、とでも言わんばかりなのです。彼はカードのタップ状態ははっきりと区別しますし、ライブラリーとか墓地とかその他諸々はとにかく普通なのです。それは相手に対しての礼儀であり、相手に自分がどんなカードを使っているかを理解してもらうための行為なのです。そうですとも。
ぐしゃぐしゃの髪や長い顔と、それに比較すれば害の無いこの技術は、長い間をかけて蓄積されてきたものです。対戦相手は、《鼠の短牙》が自分に対して《破裂の王笏/Disrupting Scepter》よろしく頭をボコボコやってくる間、その動きにターンに渡って混乱し、やる気がなくなってくるでしょう。こいつは本当に悲しいことです。エイドリアンが一人でゲームをやるなり、翌週の「カード戦術」のコーナーのあらすじを考えるなり間に想定する典型的な相手は、ごちゃごちゃの状況でむなしくもがいている望みの無い相手なのでしょう。
特に悲しむべき事態は、マジックの偉大なる戦術コラムニストであるエリック・テイラーがエイドリアンとひどい戦いをしたときに起こりました。エリックは自分でもカードを逆さまにして、この本気プレイヤー同士の戦いで巻き返そうとしたのです……しかし、それは役に立ちませんでした。かわいそうなエリックは自分のカードにも混乱してしまい、ついにはゲーム半ばで、少なくともボードの半分だけ我慢すればいいように、カードを直さざるを得なくなったのです。ついでに言うと、彼は非常に頭がよく、かの比類なきパット・チャピンの師匠で、ついでにグランプリのチャンピオンなんですよ!
しかし、今や《鼠の短牙》のようなカードが出ることで、堕落せしマジックマニアの犠牲者となった多くの無力なプレイヤーが、ついにその正当性を主張できるようになるんじゃないかと思います。エイドリアンもようやく他のプレイヤーと同様にプレイすることを強いられるでしょう。混乱の種ですからね。《鼠の短牙》は相手の手札を全部捨てさせますが、その時には正しい方向を向かなくちゃいけません。カードをすべて正しい向きに並べること――そうしなければ本当はいけないはずなのですがーーで、この痛めつけられてきた魂が、ついには今まで我慢していた紙っぺらで行うべきことを行えるようになるのです。もちろん、その時には手札も無ければ選択肢もほとんど残ってないでしょうが、それはエイドリアンの問題でもなければ、《鼠の短牙》にもまったく関係のないことです。
引用元
憎まれ者の短牙 更新日 Feature on 2004年 9月 8日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E6%86%8E%E3%81%BE%E3%82%8C%E8%80%85%E3%81%AE%E7%9F%AD%E7%89%99-2004-09-08
反転カードと言えば、タップ状態では反転か否かが混乱の元ということが理由で不評でした。
この記事ではむしろ、「だからこそ、みんなが正しい向きでプレイするようになる」というメリットとして、最大のお気に入りポイントと言われています。
正直なところ、こういう考えはありませんでした。まさに逆転の発想と言えるでしょうか。
結局は、前述のような不評に終わったことを考えると、向きを正す強制力とはならなかったようですが。
神河自作 - 考察:次回作の候補
2020年4月22日 Magic: The Gathering『神河新生』は試作品の意味合いが強く、ストーリー性もテーマ性も薄いものでした。その分、次回作はもう少しテーマやストーリーを持たせたいところです。
以下は、次回作(それ以降)の候補です。
[1] 『神河救済』直後の小型エキスパンション。神河ブロックで名前が出たがカード化されなかったキャラクターのカードや、『神河物語』ブロックのストーリーを(後世に語り継ぐものとして)表現したカードを作る。カードの作成方針は当時に近づける(例:2色アンコモン10枚サイクルはない、プレインズウォーカーはない)。
[2] 特殊セットで新規に作られた神河のカードを再録するセット。特に、《大蛇の大魔導師、かせ斗》や《静刃の鬼》のように、『神河物語』ブロックになかった色やクリーチャー・タイプの組み合わせのカードから、ストーリーを考える。
[3] 公式で言及済みの、神河で起きた出来事(例:ジェイスとテゼレットの対決、タミヨウとアジャニの交流)を取り扱う。プレインズウォーカーが中心で小規模な話なので、その他のカードにどのような意義を持たせるかがポイント。
[4] タミヨウがプレインズウォーカーに覚醒する出来事を扱う。その点は公式設定がまったく明かされていない(or作られていない)ので、すべて自分で考えることが「できる」とも、「必要がある」とも言える。キッカケとなる出来事の規模によっては[3]と同様の問題がおきる。
[5] スピリットのうち、妖怪にスポットを当てるセット。信仰を失った神の成れの果て=妖怪を、倒すべき存在と捉えるかどうかで勢力を分ける。妖怪は大小さまざまな種類のものがいるので、バリエーション豊富なものが作れそう。
[6] 侍と忍者にスポットを当てたセット。各色の勢力の覇権争いを描く。日本の戦国時代をモチーフにしたカードを出す。神をどういった形で関与させるかは未定。
[7] 日本神話モチーフにスポットを当てたセット。『神河物語』ブロックのストーリーは“腐敗した神道”に基づいたものなので、"本来の神道"に基づいたものを描く。
どれを作るかは特に決めていません。
以下は、次回作(それ以降)の候補です。
[1] 『神河救済』直後の小型エキスパンション。神河ブロックで名前が出たがカード化されなかったキャラクターのカードや、『神河物語』ブロックのストーリーを(後世に語り継ぐものとして)表現したカードを作る。カードの作成方針は当時に近づける(例:2色アンコモン10枚サイクルはない、プレインズウォーカーはない)。
[2] 特殊セットで新規に作られた神河のカードを再録するセット。特に、《大蛇の大魔導師、かせ斗》や《静刃の鬼》のように、『神河物語』ブロックになかった色やクリーチャー・タイプの組み合わせのカードから、ストーリーを考える。
[3] 公式で言及済みの、神河で起きた出来事(例:ジェイスとテゼレットの対決、タミヨウとアジャニの交流)を取り扱う。プレインズウォーカーが中心で小規模な話なので、その他のカードにどのような意義を持たせるかがポイント。
[4] タミヨウがプレインズウォーカーに覚醒する出来事を扱う。その点は公式設定がまったく明かされていない(or作られていない)ので、すべて自分で考えることが「できる」とも、「必要がある」とも言える。キッカケとなる出来事の規模によっては[3]と同様の問題がおきる。
[5] スピリットのうち、妖怪にスポットを当てるセット。信仰を失った神の成れの果て=妖怪を、倒すべき存在と捉えるかどうかで勢力を分ける。妖怪は大小さまざまな種類のものがいるので、バリエーション豊富なものが作れそう。
[6] 侍と忍者にスポットを当てたセット。各色の勢力の覇権争いを描く。日本の戦国時代をモチーフにしたカードを出す。神をどういった形で関与させるかは未定。
[7] 日本神話モチーフにスポットを当てたセット。『神河物語』ブロックのストーリーは“腐敗した神道”に基づいたものなので、"本来の神道"に基づいたものを描く。
どれを作るかは特に決めていません。
昨日の記事の続きです。
次は反転後の話です。反転前でハンデス、反転後で《拷問台》という明確なシナジーを形成しています。ハンデス+《拷問台》というと《虚石の探索》《はぐれ影魔道士、ダブリエル》も同様です。このように自己完結した強力なデザインは、実にレアあるいは伝説のカードらしいと思います。
もちろん、ネズミをどんどん出していき、《鼠の短牙》を起動し続けていけば、必然としてこうなります。
私は《憎まれ者の傷弄り/Stabwhisker the Odious》のシナジー的なところが非常に気に入っています。
数年前、“ポックス”と呼ばれていた恐ろしいデッキがありました。“ポックス”デッキは(なんとなんと)《悪疫/Pox》を《Hymn to Tourach》や《Demonic Consultation》と共に使うデッキです。これらのカードは一緒になって対戦相手の手札を破壊し、相手をあっという間に死の淵に追い込みます。なんでそんなに早く死ぬのかって? まあ、《悪疫》使いは相手を《鋼のゴーレム/Steel Golem》や《ミシュラの工廠/Mishra’s Factory》で殴ったりするかもしれませんし、《呪われた巻物》でカードを見せてくるかもしれませんが、一番恐ろしい要素は《拷問台/The Rack》です。
おお、《拷問台》に捕らえられし者が逃げ出すことの何と難しきか。それが複数出てるなんてことになったらまさしく悪夢ですね(2枚目の《Hymn to Tourach》を引けないときに、まあ大抵はそうなんですけど、《Demonic Consultation》を使ってお手軽に見つけてくるんですよ)。問題は、対戦相手があなたの手札を破壊する番になったときです。あなたはすでに相手のアーティファクト・クリーチャーを止めるのに必死になっているような状況で、手札にカードが1枚も無いとしたら、《剣を鍬に/Swords to Plowshares》も撃てるわけないですよ。ですよね? そしてその上に《拷問台》まであろうものなら、相手が自分を倒そうと一所懸命になっている状況でそこから抜け出すのはほとんど不可能でしょう。手札が無ければ、あなたはそれに殺されるでしょう。手札が無ければ、手札を改めて復活させる手段もおそらく持っていないでしょう。《拷問台》を止めるために手札をためるようだと、相手は手下であなたを殺しにかかるか、もっと侮辱的に、それらをとにかく捨てさせるかのどれかで来るでしょう。
そんなわけで、どっちにせよ最悪なんです。
私は、《憎まれ者の傷弄り》が単なる《拷問台》みたいな物だから好きだって言ってるわけじゃありません。私が《憎まれ者の傷弄り》を好きなのは、それが《拷問台》2枚分として働くようなものだからです。1枚の《拷問台》で3ライフを奪うのも十分ひどい話ですが、それが3/3の身体と一緒だとすると、カードを捨てることは2倍のダメージになります。
《鼠の短牙》はそれだけでも多くのゲームを勝ちに導いてくれます。《陰謀団の取調官》と異なり、《鼠の短牙》はインスタントとして働くので、ドロー・ステップに起動し続けることで、理論的には相手の手札をいつまでも0枚にロックすることができます。これも悪くはない状況ですが、勝利を保証してくれるわけではありません――すくなくとも、他の本気プレイヤーに対しては。一方で、《憎まれ者の傷弄り》はそんなでたらめはしません。彼がちょっとバク宙を見せれば、場の状況に素晴らしい一撃をお見舞いします。対戦相手が《鼠の短牙》いささか控えめな1/1よりも大きなクリーチャーを持っていたとしても、彼が《憎まれ者の傷弄り》を抑えられる保証はありません。その場合、《憎まれ者の傷弄り》氏は1ターンに6点なり何なりを直接顔面に叩きつけることになります。
しかし、この計画で行くのは簡単だなどと言うつもりはありません。《鼠の短牙》が《憎まれ者の傷弄り》に反転したら、強制捨て札の能力はなくなってしまうのです。そして、《鼠の短牙》と《憎まれ者の傷弄り》が1体ずついて、《鼠の短牙》の能力で相手の唯一の手札を捨てさせてしまった場合、あなたの場には突然2体の《憎まれ者の傷弄り》が現れてしまい、(新しいレジェンド・ルールにより)あなたの下には1体も《憎まれ者の傷弄り》が残らなくなってしまうのです。なので、あなたはほんのちょっとだけ注意深く行かなければいけませんが、それもこれだけ強力な効果を扱わなければいけない状況では妥当なところだと思います。
引用元
憎まれ者の短牙 更新日 Feature on 2004年 9月 8日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E6%86%8E%E3%81%BE%E3%82%8C%E8%80%85%E3%81%AE%E7%9F%AD%E7%89%99-2004-09-08
次は反転後の話です。反転前でハンデス、反転後で《拷問台》という明確なシナジーを形成しています。ハンデス+《拷問台》というと《虚石の探索》《はぐれ影魔道士、ダブリエル》も同様です。このように自己完結した強力なデザインは、実にレアあるいは伝説のカードらしいと思います。
神河自作 - 考察:おとぎ話と英雄譚
2020年4月21日 Magic: The Gathering
以前の日記では、おとぎ話を元ネタにした、英雄譚を作るのもありだと考えていました。
神河自作 - 英雄譚の再録
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202001162052021947/
しかし、今ではやや否定的な考えになりました。
というのも、作成の難易度が高いのではないかと思うからです。
まず、英雄譚は3~4章ぐらいからなるものです。それで1つの物語をすべて表現できるのか?という問題があります。要所のみをピックアップして納めることもできますが、それでフレイバーを台無しにしては何のためのトップダウンデザインか分かりません。
また、英雄譚はコモンで出たことがありません。おそらくは複雑さの問題でしょう。2章までの英雄譚とすることでコモンでも可能、とも考えられます。その場合、先述の問題がより深刻になりますが。
西洋のおとぎ話モチーフである『エルドレインの王権』を見ると、1つの物語に出てくる色々な要素を複数のカードで表現しています。
ジャックと豆の木:《交換される牛》《伸びゆく豆の木》《巨人落とし》《巨大な好機》《豆の木の巨人》《黄金の卵》など。
シンデレラ:《カボチャ変化》《フェアリーの導母》《僻森の追跡者》《意地悪な後見人》《敬愛される王女》《水晶の靴》《真夜中の時計》《自然への回帰》《魅力的な王子》《魔法の馬車》など。
枚数をたくさん作ったほうが、よりテーマが伝わり易いでしょう。特に、コモンでも多く作れることは重要です。
以上から、おとぎ話モチーフで英雄譚を作ることにはやや消極的な考えになりました。
かと言って、英雄譚を使う気がない訳ではありません。
『テーロス還魂記』を見ると、英雄譚はモチーフであるギリシャ神話関係よりも、MTG上のストーリー再現であることの方が多いです。
『神河物語』ブロックでは、数々の伝説のクリーチャーがいて、その掌編小説が公式サイトでも公開されていました。『テーロス還魂記』に倣うように、そのストーリーを表現する英雄譚を作成するかもしれません。
神河自作 - 英雄譚の再録
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202001162052021947/
しかし、今ではやや否定的な考えになりました。
というのも、作成の難易度が高いのではないかと思うからです。
まず、英雄譚は3~4章ぐらいからなるものです。それで1つの物語をすべて表現できるのか?という問題があります。要所のみをピックアップして納めることもできますが、それでフレイバーを台無しにしては何のためのトップダウンデザインか分かりません。
また、英雄譚はコモンで出たことがありません。おそらくは複雑さの問題でしょう。2章までの英雄譚とすることでコモンでも可能、とも考えられます。その場合、先述の問題がより深刻になりますが。
西洋のおとぎ話モチーフである『エルドレインの王権』を見ると、1つの物語に出てくる色々な要素を複数のカードで表現しています。
ジャックと豆の木:《交換される牛》《伸びゆく豆の木》《巨人落とし》《巨大な好機》《豆の木の巨人》《黄金の卵》など。
シンデレラ:《カボチャ変化》《フェアリーの導母》《僻森の追跡者》《意地悪な後見人》《敬愛される王女》《水晶の靴》《真夜中の時計》《自然への回帰》《魅力的な王子》《魔法の馬車》など。
枚数をたくさん作ったほうが、よりテーマが伝わり易いでしょう。特に、コモンでも多く作れることは重要です。
以上から、おとぎ話モチーフで英雄譚を作ることにはやや消極的な考えになりました。
かと言って、英雄譚を使う気がない訳ではありません。
『テーロス還魂記』を見ると、英雄譚はモチーフであるギリシャ神話関係よりも、MTG上のストーリー再現であることの方が多いです。
『神河物語』ブロックでは、数々の伝説のクリーチャーがいて、その掌編小説が公式サイトでも公開されていました。『テーロス還魂記』に倣うように、そのストーリーを表現する英雄譚を作成するかもしれません。
神河当時 - ネズミの特徴
2020年4月21日 Magic: The Gathering
昨日の続きです。
神河物語が発売されたころは、《貪欲なるネズミ》《騒がしいネズミ》などのハンデスつきで強力なネズミが多く、ネズミデッキで活躍していました。《鼠の短牙》も、その系譜にあり「齧歯類的」と評価されています。
ネズミは現実や創作物でも目にするためか、様々な特徴づけがなされています。そして、それをマジックに置き換えたイメージが確立しています。書物などを齧ることからハンデス、ネズミ算とも言われる繁殖力からトークン生産力、病気の媒介者であることから接死、色々なモノを漁ることから墓地追放、などです。
特にハンデスは、黒の基本的戦略であり、コモンでも採用しやすいこともあって、一番印象強いものです。神河においても、ハンデスを持つネズミは《鼠の短牙》以外にも何体かいます。ゲームバランス上、ムーンフォークの飛行&土地を戻す起動型能力のように、必須とまではいきませんが。
《骨齧り》のようにネズミを参照するのとは違った形で、ネズミらしさを表したカードです。
私が《鼠の短牙》を気に入っているもう一つの理由は、そのネズミっぽさにあります。彼はとにかく齧歯類的じゃないですか。私が最初にこのカードを見たとき、私はこれが《貪欲なるネズミ/Ravenous Rats》のバリエーションじゃなくて、《陰謀団の取調官/Cabal Interrogator》のだと思ったものです。
私の心には《貪欲なるネズミ/Ravenous Rats》の懐かしい思い出があります。1999年、私が最初のマジックの全米選手権に出たとき、私は自分の黒単のビートダウンデッキからありきたりの《強迫》を抜いて代わりに《貪欲なるネズミ》を入れたのです。《貪欲なるネズミ》はぱっと見は《鼠の短牙》と同様の強力な妨害カードです。それは《鼠の短牙》と同様にで1/1です。それは(私がサイドに落とした)《強迫》ほどの破壊力はありませんが、《強迫》とは違って、仕事を終えた後にこれだけの物が残るのです。当時はご存知の通り、最強デッキはクリーチャーベースであるか、《強迫》に耐性があるか、その両方でした。例えば《適者生存/Survival of the Fittest》デッキの場合、あなたは1ターン目に《強迫》で《適者生存》を落とせなければ、(おそらく2ターン目に)それが場に出て負けてしまうのです。同様に赤単バーンデッキの場合、《強迫》は非常に弱いカードです。あなたが《強迫》で相手の手札を落とそうにも、相手の手札にあるのはせいぜい《ショック/Shock》で、いずれにせよこの《ショック》はあなたに向かって飛んでくるのです。さらに悪いことに、対戦相手が《呪われた巻物/Cursed Scroll》を出していたら、《強迫/Duress》で相手の焼き呪文を取り除くというどころか、相手の焼き環境の構築を早めてしまうだけなのです。
一方で、《貪欲なるネズミ》の相手の手札に対する妨害は微々たる物ですが、相手の手下に対する妨害にもなるのです。これは《ジャッカルの仔/Jackal Pup》と比べて最強のクリーチャーと言えるでしょうか? 全然でしょうね。《ジャッカルの仔》は《貪欲なるネズミ》に比べてマナが半分でパワーが2倍ですからね。でも、それは確実に《ジャッカルの仔》の妨害をしてくれるのです。《鼠の短牙》もこれと同じようなものです。彼は道場で一番の壊し屋ってわけじゃないですが、彼は相手の前に立ちふさがり、そこを離れる前に一、二枚のカードを抜いてくれるでしょう。《鼠の短牙》は、単体除去の無い、状況をコントロールデッキに対しては最適でしょうが、小型クリーチャーが突撃をかけてくるデッキに対しても、少なくとも速度を遅らせる効果があります。本気プレイヤーが、突進に焦点を置いたデッキに対して速度を遅らせるものを置くことで、どれだけのゲームを勝ちに持っていっているか、おそらく驚かれるかと思います。
つまり、このネズミ・ならず者は他のネズミと組み合わせることでも強いカードだということです。
あなたが《鼠の短牙》を2ターン目に出せれば、その後に続くネズミはすべて相手にとってはさらなる痛手となります。単に《鼠の短牙》の起動で毎ターン1枚ずつのカードを落としたり、《騒がしいネズミ/Chittering Rats》でちょっとしたカードアドバンテージを得たりするのではなく、立て続けのターンで二重の二対一交換を迫るのです。この手のならず者齧歯類は同時に地上を混乱に陥れるので、ネズミをどんどん出すこと(そして相手の手札を叩き落すこと)で相手の選択肢を減らし、さらに場の状況を複雑にしていくわけです。
引用元
憎まれ者の短牙 更新日 Feature on 2004年 9月 8日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E6%86%8E%E3%81%BE%E3%82%8C%E8%80%85%E3%81%AE%E7%9F%AD%E7%89%99-2004-09-08
神河物語が発売されたころは、《貪欲なるネズミ》《騒がしいネズミ》などのハンデスつきで強力なネズミが多く、ネズミデッキで活躍していました。《鼠の短牙》も、その系譜にあり「齧歯類的」と評価されています。
ネズミは現実や創作物でも目にするためか、様々な特徴づけがなされています。そして、それをマジックに置き換えたイメージが確立しています。書物などを齧ることからハンデス、ネズミ算とも言われる繁殖力からトークン生産力、病気の媒介者であることから接死、色々なモノを漁ることから墓地追放、などです。
特にハンデスは、黒の基本的戦略であり、コモンでも採用しやすいこともあって、一番印象強いものです。神河においても、ハンデスを持つネズミは《鼠の短牙》以外にも何体かいます。ゲームバランス上、ムーンフォークの飛行&土地を戻す起動型能力のように、必須とまではいきませんが。
《骨齧り》のようにネズミを参照するのとは違った形で、ネズミらしさを表したカードです。
神河自作 - 考察:モチーフの再現方法
2020年4月20日 Magic: The Gathering
テーロスはギリシャ神話のトップダウンデザインの次元です。『テーロス』ブロックと『テーロス還魂記』では、同じモチーフでも違うカードでデザインされています。
ナルキッソス 《宿命的心酔》 → 《魅了された者、アリリオス》
イーカロス 《性急な太陽追い》 → 《傲慢の翼》(と、その作り手《驚異の造り手、ダラコス》)
ミノタウロスと迷宮 《迷宮での迷子》 → 《スコフォスの迷宮守り》《スコフォスの迷宮》
ネメアーの獅子 《羊毛鬣のライオン》 → 《青銅皮ライオン》
『神河物語』ブロックや『神河新生』ですでに使ったモチーフでも、このように再利用することは可能でしょう。
また、フレイバーを再現するために、セット固有のメカニズムを使ったり(ジャックと豆の木の《交換される牛》)、複雑な効果を持たせたり(物語の結末の《めでたしめでたし》)することもありますが、それができる枚数には限度はあります。そうでなくても、よくあるような効果を少し捻ってもフレイバーを表現することも可能です。
『白雪姫』など 「口づけで呪いが解ける場面」 《真実の愛の口づけ》
『ガラスの棺』 《ガラスの棺》
『ラプンツェル』 《塔への閉じ込め》
もちろん、過去のカードをそのまま再録しても可能です。この点は、以前も考察しました。
神河自作 - 考察:カードの再録
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004012026157101/
特に、「フレイバーを再現しようとして、複雑・冗長なカードになる」というのは、初心者がやりがちな失敗として公式記事が取り上げています。
今後は、こうした点も注意しておきたいと思います。
ナルキッソス 《宿命的心酔》 → 《魅了された者、アリリオス》
イーカロス 《性急な太陽追い》 → 《傲慢の翼》(と、その作り手《驚異の造り手、ダラコス》)
ミノタウロスと迷宮 《迷宮での迷子》 → 《スコフォスの迷宮守り》《スコフォスの迷宮》
ネメアーの獅子 《羊毛鬣のライオン》 → 《青銅皮ライオン》
『神河物語』ブロックや『神河新生』ですでに使ったモチーフでも、このように再利用することは可能でしょう。
また、フレイバーを再現するために、セット固有のメカニズムを使ったり(ジャックと豆の木の《交換される牛》)、複雑な効果を持たせたり(物語の結末の《めでたしめでたし》)することもありますが、それができる枚数には限度はあります。そうでなくても、よくあるような効果を少し捻ってもフレイバーを表現することも可能です。
『白雪姫』など 「口づけで呪いが解ける場面」 《真実の愛の口づけ》
『ガラスの棺』 《ガラスの棺》
『ラプンツェル』 《塔への閉じ込め》
もちろん、過去のカードをそのまま再録しても可能です。この点は、以前も考察しました。
神河自作 - 考察:カードの再録
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004012026157101/
特に、「フレイバーを再現しようとして、複雑・冗長なカードになる」というのは、初心者がやりがちな失敗として公式記事が取り上げています。
カードにフレーバーの「アドオン」が多すぎる - この失敗は、フレーバーを添えてくれるようなルールテキストをカードに加えたものの、それがめったに働かないせいでややこしくなってしまうというものだ。例として、「普通」のドラゴンの能力に加えて、場に騎士がいたらアンタップしないという能力を持ったドラゴンのカードを思い浮かべてほしい。この能力にはフレーバーがある。ドラゴンは騎士を恐れて「隠れる」というわけだ。だけどこの能力が意味を持つことはほとんどないだろう。さらに、この能力には振れ幅が大きすぎて、ごくまれにひどい目にあうことがあるというだけのものになってしまっている。
上で述べてきたように、過度に冗長な文章は悪いものだ。だから、ゲームプレイに十分に貢献するのでない限り、デザイナーはそういった「アドオン」を使うべきじゃない。これをうまくやるシンプルな方法は、カードをプレイテストする際に、その能力に気をはらい続けることだ。もしある能力がまったくあるいはほとんど効果を発揮しないのであれば、それは大抵の場合、カードのスペースを占有するに値しない。
引用元
デザイン101 (以下の「DESIGEN 101」の非公式翻訳)
http://iwasgame.tumblr.com/post/99309803191/101
DESIGN 101 Posted in Making Magic on April 21, 2003
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/design-101-2003-04-21-0
今後は、こうした点も注意しておきたいと思います。
『神河物語』8日目のプレビューです。
今回は主にトーナメントプレイヤー視点での話になっています。
ハンデスはもともと軽い方が効果がでるものですが、《鼠の短牙》は継続的なハンデスであるため尚更でしょう。実際に、ミラディン+神河ブロック期のスタンダードにおいても、黒単ネズミデッキで活躍しました。
私がこのカードを好きな理由はたくさんあります。
鼠の短牙
好きな理由の一つ目は、このカードが機能的に私が気に入っているとあるカードと同じものを与えてくれることです。陰謀団の取調官
クリーチャー — ゾンビ・ウィザード
{X}{B}, :プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札にあるカードをX枚選んで公開し、あなたはその中の1枚を選ぶ。そのプレイヤーはそのカードを捨てる。この能力は、あなたがソーサリーをプレイできるときのみプレイできる。
《陰謀団の取調官/Cabal Interrogator》はコントロールデッキ相手には素晴らしいカードで、特に個別除去が少しとかまったく無い青白や緑白にはよく効きます。この手の青白や緑白のコントロールデッキは今日の最も成功しているデッキの一つです。そして《陰謀団の取調官》はそれらに対して素晴らしい役割を果たします。青白や緑白は神河物語がオンスロートブロックと入れ替わるときに、真剣に入れ替えの聞かない中核たるカード、《アクローマの復讐/Akroma’s Vengeance》を失います。これは《鼠の短牙/Nezumi Shortfang》にとっては朗報です。
《鼠の短牙》のようなカードが白の除去をベースとしたコントロールデッキに対してそこまで有効な理由は、そのコストにあります。先攻の場合、あなたは《鼠の短牙》を2ターン目に出すことができて、青白デッキも緑白デッキも、それに対応してできることは顔をしかめるぐらいです。後攻の場合、青白プレイヤーは《卑下/Condescend》なり《マナ漏出/Mana Leak》なりが唯一の回答となりますが、それも2枚の土地が立っている場合(メインに《血清の幻視/Serum Visions》なりを撃たなかったんでしょうね)で、少なくとも1枚は青マナでなければいけません。どちらのデッキに対しても、このネズミ・ならず者が場に出たら、相手はこの使い勝手のいいクリーチャーに対して少なくとも2ターンは無力でしょう。
白のプレイヤーの選択肢その一は、大抵そのまま4ターン目の《神の怒り/Wrath of God》へと行くことになるでしょうが、そのためには4ターン目まで完璧に土地を置いた上で《神の怒り》を引いてこなくてはいけません。《神の怒り》が無い場合は、あなたは彼に数ターンは捨て札を強いることができるでしょうし、その間相手は基本的に何もできません。《陰謀団の取調官》にはさらに追加ボーナスとして、対戦相手の手札をターンに渡って《強迫/Duress》式にボロボロにできることがあります。多くの場合、これはすなわち相手が《神の怒り/Wrath of God》を持っていても、4ターン目以前に追加のマナを少々支払ってそれを捨てさせ、基本的にゲームを《陰謀団の取調官》1体だけで勝つことができるようにします。
《鼠の短牙》には4ターン目までに同様の捨て札をさせるような能力はありませんが、2ターン目にこれを出すことができるなら、あなたは白ベースのデッキの勝利のための能力に多大なダメージを毎回与えることができるでしょう。相手の手札で大事にされているカードにこの早い段階からプレッシャーをかけることは、相手が本来望まないはずのプレイを強制させ、適切な防御や状況の組み立て無しに相手の脅威を送らせ、相手のパーミッション式の計画を完全に無効にします。《鼠の短牙》が全力を出せば、相手の手札を破壊するだけでなく、相手が何かを“隠そう”とすることにより、相手の土地の流れにも混乱をもたらすことができるのです。このような効果は、より重いクリーチャーには、サイズの大小に関わらず存在しないものです。
引用元
憎まれ者の短牙 更新日 Feature on 2004年 9月 8日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E6%86%8E%E3%81%BE%E3%82%8C%E8%80%85%E3%81%AE%E7%9F%AD%E7%89%99-2004-09-08
今回は主にトーナメントプレイヤー視点での話になっています。
ハンデスはもともと軽い方が効果がでるものですが、《鼠の短牙》は継続的なハンデスであるため尚更でしょう。実際に、ミラディン+神河ブロック期のスタンダードにおいても、黒単ネズミデッキで活躍しました。
神河自作 - 考察:モチーフの選択肢
2020年4月19日 Magic: The Gathering神河次元は和風の世界であり、『神河物語』ブロックはトップダウンデザインのブロックです。
同様にトップダウンデザインのブロックは、ギリシャ神話のテーロス、エジプト神話のアモンケットなどがあります。それらに比べると、神河のモチーフはやや雑然としていると思います。
そもそもは、数ある神話の中から日本神話が選ばれたことが発端です(※1)。そして、種族の決定には民俗伝承が一因になっています(※2)。
世界観の構築は、日本の戦国時代がモデルです(※3)。侍や忍者は分かり易い一例でしょう。さらには、雪女やのっぺらぼうのような妖怪も存在しています。
和風ファンタジーで使えるような要素が全部ごちゃ混ぜになっている状態です。もっとも、「元ネタの世界を丸ごとコピーするのではなく、あくまでもMTG風にアレンジしなければならない」(※4)ということなので、そうしたアレンジの結果、ということでもあるのでしょう。
また、これだけごちゃ混ぜになっていると、何か1つの要素にスポットを当てたストーリー(エキスパンション)ということも考えられるので、柔軟性は高いとも言えます。
以前考えた(※5)、妖怪にフィーチャーするのもその1つです。他には、戦国時代要素から侍同士の戦いにスポットを当てて、『ポータル三国志』のような覇権争いの物語にすることもできるでしょう。
民俗伝承やおとぎ話は、登場キャラクターの数などから言ってメインに据えるにはもう一捻り必要かもしれません。『エルドレインの王権』はおとぎ話の世界ですがメインストーリーはアーサー王伝説がベースでした。それに倣って、和風ファンタジーの創作物を中心にするのが一つの手でしょう。
※1
神河当時 - 日本神話が選ばれた理由
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004022151296061/
※2
神河当時 - 土地と種族のコンセプトアート
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004182050076337/
※3
神河当時 - 神のイラスト
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004171913478375/
※4
神河当時 - 最初のトップダウン・デザイン・ブロック
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004011930164120/
※5
神河自作 - 考察:スピリットとの関わり方
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202003162036009784/
同様にトップダウンデザインのブロックは、ギリシャ神話のテーロス、エジプト神話のアモンケットなどがあります。それらに比べると、神河のモチーフはやや雑然としていると思います。
そもそもは、数ある神話の中から日本神話が選ばれたことが発端です(※1)。そして、種族の決定には民俗伝承が一因になっています(※2)。
世界観の構築は、日本の戦国時代がモデルです(※3)。侍や忍者は分かり易い一例でしょう。さらには、雪女やのっぺらぼうのような妖怪も存在しています。
和風ファンタジーで使えるような要素が全部ごちゃ混ぜになっている状態です。もっとも、「元ネタの世界を丸ごとコピーするのではなく、あくまでもMTG風にアレンジしなければならない」(※4)ということなので、そうしたアレンジの結果、ということでもあるのでしょう。
また、これだけごちゃ混ぜになっていると、何か1つの要素にスポットを当てたストーリー(エキスパンション)ということも考えられるので、柔軟性は高いとも言えます。
以前考えた(※5)、妖怪にフィーチャーするのもその1つです。他には、戦国時代要素から侍同士の戦いにスポットを当てて、『ポータル三国志』のような覇権争いの物語にすることもできるでしょう。
民俗伝承やおとぎ話は、登場キャラクターの数などから言ってメインに据えるにはもう一捻り必要かもしれません。『エルドレインの王権』はおとぎ話の世界ですがメインストーリーはアーサー王伝説がベースでした。それに倣って、和風ファンタジーの創作物を中心にするのが一つの手でしょう。
※1
神河当時 - 日本神話が選ばれた理由
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004022151296061/
※2
神河当時 - 土地と種族のコンセプトアート
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004182050076337/
※3
神河当時 - 神のイラスト
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004171913478375/
※4
神河当時 - 最初のトップダウン・デザイン・ブロック
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004011930164120/
※5
神河自作 - 考察:スピリットとの関わり方
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202003162036009784/
『神河物語』7日目のプレビューです。
この時点で既に、トーナメントプレイヤーからの『神河物語』の評判があまり良くないということが伺えます。この評判は発売後から現代にいたるまでそう変わらないと思います。《砂の逆流》も低評価カードの1枚でしょう。
しかし、これはそもそも多人数ゲーム用カードだ、と言われています。そして、スタンダード以外の、多用な楽しみ方を提供するのも重要なことでしょう。特に最近だと、統率者戦向けのカードは毎年恒例となっているほどです。
8マナというのはマジックの多人数ゲームでは境界線になっている。《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath》は、おそらく間違いなくゲームで最も恐ろしいクリーチャーだ (《新緑の魔力/Verdant Force》ってやつもいるだろうが、こっちも8マナだ)。《暴動/Insurrection》や《強奪する悪魔/Reiver Demon》といったゲームをひっくり返す巨大な効果 も同じ点数で見たマナ・コストを持っている。
そして、今回のコラムの最も重要な目的であるオンスロートの緑のレア、《生命の律動/Biorhythm》も、8マナで劇的にライフを調整するカードだ。
で、なんでこんな話になったかって? つまり、次に見せるカードが出たら、多人数ゲームのプレイヤーは8マナに近づきつつある白使いに特に注意を払いたくなるだろうなってことさ。
(中略)
白の生命吸収?
俺はこのカードにすぐさま感動したしやられちまった。そんなわけで、俺はこいつがセットに入るのが嬉しい――ウィザーズのスタッフには、俺たちをここまで混乱させるような革新的なアイデアに、ぜひともきちんとした給料を受け取るべきだな。
最初に、こいつの気に入らないところを言っておく。こいつは序盤や中盤でうまくやったプレイヤーを手ひどい目にあわせる。そいつは唯一の減点だが、そいつが俺をどれだけ厄介なことだか、過小評価するつもりはないぜ。序盤や中盤は、俺の対人数ゲームにおける哲学の基礎だ。プレイヤーは序盤から強く出て、それを強力なインスタントでフォローし、緩やかに状況を従えていくんだ。しかしこのカードがあることで、白使いは8ターンの間土地を置く以外何もしないでいい……そして突然、20点と1点のライフが入れ替わるんだ(他のプレイヤーを計算に入れなければな)。暦が変わるまでの間、俺が少なくとも1ダースはこのカードに呪いの言葉を吐くこと、保証してもいいね。それに、俺の仲間の中でどの三人がこのカードをプレイするかも正確にわかっている。くそったれが。
皮肉なことがあるとすれば、その三人のくそったれのうち一人は俺なんだけどな。どうしてかって? このカードは面白いじゃないか? その理由は(少なくとも)六つある。
1) こいつは明らかに多人数ゲーム用レアカードだ。俺はトーナメントプレイヤーがあっちでもこっちでも神河物語のレビューを見て嘆いているのを面白く見させてもらっているね……「なんでウィザーズはこうかなぁ?……使えないじゃん!……こんなのシールドデッキで引くなんて信じられねぇよ……このクソレアが!……」等々、うんざりだね。この類の輩が、世界が彼の周りを回るのに目が眩んでるのを見るのはぞくぞくするな。だから、戦術的な可能性を語る前から、おれはこいつに点をやるのさ。
2) こいつは強烈で、印象的で、ゲームを変える効果だ。ゲームに真のインパクトを与えるカードを好きにならないのは難しいことだ。マジックをプレイする楽しみの一部は、とんでもないことが起こった昔のゲームを覚えていることだ。今から数年後、とある台所のテーブルの周りについた小さなグループが、何某が4人のプレイヤーから80点ばかりのライフを奪って、他のほとんど死に掛けていたはずの4人のプレイヤーに与えた話なんかを思い出すかもしれない。そうだとしたら素晴らしいことだ。なにせ、《砂の逆流/Reverse the Sands》はこの手の効果をいつでも保証するってものじゃない(席についた全員が5ライフだの10ライフだのだったりとか)からだ――なので、ここまでとんでもないことが起こったら、そいつは最高に面白いだろう。
3) 目的のあるライフの獲得だ。《集い/Congregate》よりも《魂の消耗/Consume Spirit》の方が俺の悩みの種にならないのはなぜか? それは、《魂の消耗》のライフ獲得が起こるのと同じタイミングで、誰かがゲームを先に進める行為を行っているからだ。《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》、《スパイクの飼育係/Spike Feeder》、《賛美されし天使/Exalted Angel》――これらはみんな勝ちに向かう手段で、ついでにライフの獲得がついてるやつらだ。《砂の逆流》も同じことが可能だ――こいつは安定している状況を揺さぶり、多くのやつらに脅威を復活させ、新たなプレイヤーを死の寸前の危機まで追い込むのさ。
4) こいつはチーム戦では化け物だ。ある種の多人数ゲームマニアにとっては。このカードはでたらめな一枚に見えるだろうが、こいつは実際はチーム戦での貴重な道具だ。俺はぐちゃぐちゃの多人数ゲームが大好きだが、チーム戦の多人数ゲームもそれ以上に大好きだ。これまで、俺はここで堂々と、ウィザーズはある種のチーム戦を認定すべきだと圧力をかけてきている。正直言って、そこにどれほどのインパクトがあったかはわからない――しかし、ウィザーズは多人数ゲームのルールをまとめようとしているし、それに明らかにチーム戦に特化した強さを持ったカードも出している……まあ、俺はこの流れを楽しんで、そいつに従うことにするぜ。
5) こいつはライフの獲得を痛めつける。こいつがくだらないライフ獲得カードだなんて勘違いするなよ。かつての《生命の律動》のように、みんなが揃いも揃って5ライフ以下って状況を、うざったいライフ獲得野郎が732ライフの後でニヤニヤ笑っているようになるまで、《砂の逆流》は待っている……そこに止めの一撃が飛んでくるのさ。《対抗呪文/Counterspell》が無ければ、白使いにできることは実に少ない……何だって、対応して《集い》? 何でもいいけどさ。テーブルには他にもライフが3なんて奴もいるだろうから、みんなはそのライフ獲得野郎がそのお大事を引き継いでいくのを死ぬほど見たいだろう。
6) そいつは力の格差を埋めてくれる。多人数ゲームにおける白の効果ってのは、ここ数年は《神の怒り/Wrath of God》のバリエーションをあまり出るものじゃなかった (《怒りの天使アクローマ》と《栄光》は重要な例外だ)。俺の“多人数ゲームの殿堂”じゃ、白は最も印象に乏しい色だ。白にはいいお役立ちカード(ダメージ軽減とか)がある――だが、あまり興奮するような選択肢は無いんだな。《砂の逆流》は多人数ゲームにおける、興味深く、尋常じゃなく、強力な白の効果だ。こいつはマジックのためにいい事だな。
引用元
大量蘇生兵器 更新日 Serious Fun on 2004年 9月 7日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/serious-fun/%E5%A4%A7%E9%87%8F%E8%98%87%E7%94%9F%E5%85%B5%E5%99%A8-2004-09-07
この時点で既に、トーナメントプレイヤーからの『神河物語』の評判があまり良くないということが伺えます。この評判は発売後から現代にいたるまでそう変わらないと思います。《砂の逆流》も低評価カードの1枚でしょう。
しかし、これはそもそも多人数ゲーム用カードだ、と言われています。そして、スタンダード以外の、多用な楽しみ方を提供するのも重要なことでしょう。特に最近だと、統率者戦向けのカードは毎年恒例となっているほどです。
神河自作 - 考察:メカニズムの作り方
2020年4月18日 Magic: The Gathering『神河新生』ではセットを作る前に、メカニズムを決めていました。そうではなく、メカニズムを最初に決めない、という作り方はありなのか、と考えています。
メカニズムの候補として思いついた能力を持つカードを数枚だけつくってセットに入れていきます。そのようにして10前後のメカニズム候補を入れて、直接対決あるいは協力させるためにテストプレイをやってみます。その上でメカニズムを選別し、候補が絞り込めたら、メカニズムとして本採用するというやり方です。
以前書いた、過去のメカニズムを数枚だけ再録する、というやり方の逆とも言えます(※1)。
ただし、この場合は(エネルギーなどの)線形メカニズムは作りにくいでしょう。
別に、このやり方が良いという確信も何もない、単なる思い付きです。
※1
神河自作 - 考察:メカニズムの隠れた再録
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004041652099191/
メカニズムの候補として思いついた能力を持つカードを数枚だけつくってセットに入れていきます。そのようにして10前後のメカニズム候補を入れて、直接対決あるいは協力させるためにテストプレイをやってみます。その上でメカニズムを選別し、候補が絞り込めたら、メカニズムとして本採用するというやり方です。
以前書いた、過去のメカニズムを数枚だけ再録する、というやり方の逆とも言えます(※1)。
ただし、この場合は(エネルギーなどの)線形メカニズムは作りにくいでしょう。
別に、このやり方が良いという確信も何もない、単なる思い付きです。
※1
神河自作 - 考察:メカニズムの隠れた再録
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202004041652099191/