神河での赤の部族である、ゴブリンや人間についても、旧神河同様メカニズムは特にありません。また、オーガもいますが、これは黒のオーガと違って、元々デーモン信仰メカニズムがなく、これもそのままです。

それと、神河物語で「このクリーチャーは攻撃できない」が「防衛」というキーワード能力にされたように、既存の能力をキーワード能力にしようと思います。「進撃」 = 「このクリーチャーではブロックできない」です。旧神河の赤と黒には《鼠の殺し屋》や《上位の人間、焔村》など、この能力をもつクリーチャーが何体かいました。また、《すさまじい吹雪》や《火の咆哮の神》はそれを付与する能力と言えます(細かい挙動は変わります)。
防衛と対になることもあって、キーワード能力にして簡略化します。

防衛を参照するカードはいくらかありますが、同様のカードを作る予定は今のところありません。


進撃 (赤)
エンチャント — オーラ
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは進撃を持つ。


《絆魂》《飛行》《畏怖》《警戒》のように、同名のキーワード能力を与えるオーラがあるので、それに倣ったカードです。

今回は以上です。
神河資料 - 《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》
神河資料では、公式コラムなどから、神河について触れられた部分を善悪問わず取り上げていきます。

まずは、神河ブロックでの良デザインカード、《鏡割りのキキジキ》についてです。


鏡割りのキキジキ (2)(赤)(赤)(赤)
伝説のクリーチャー — ゴブリン・シャーマン
速攻
(T):あなたがコントロールする、伝説でないクリーチャー1体を対象とする。それが速攻を持つことを除き、それのコピーであるトークンを1体生成する。次の終了ステップの開始時に、それを生け贄に捧げる。
2/2


Making Magic -マジック開発秘話- 2012.3.14 トピカル・ジュース #4
https://mtg-jp.com/reading/mm/0004170/

教訓2:楽しめ
マジック:ザ・ギャザリングのデザインも同じである。セットをまとめたら、基礎をカバーしていることを確認しなければならないが、一方で楽しいものにし上がっているかどうかも確認しなければならない。伝染するような楽しみをもたらす要素を二、三含まなければならない。そのための方法はいくつもあるが、その1つはカード・デザインにもある。

神河ブロックのカードは、まさにその楽しみを体現しているカードだ。愛さずにはいられないような、そんな魅力に満ちたカードは――これだ。

※《鏡割りのキキジキ》の画像

このカードは私がデザインしたもので、2つのお気に入りのデザインを組み合わせたものだ。1つは、何かをコピーするというもの。もう一つは、《騙し討ち》のような効果――つまりカードが出て何かをして消える、というものだ。何千というカードをデザインしてきたが、《鏡割りのキキジキ》のように本当に楽しかったといえるものはそうそうあるものではない。

デザイナーは自分の成功を振り返り、どうすればもう一度その成功を得られるものかと考えるものだ。しかし、《鏡割りのキキジキ》のようなカードは、自然発生するものである。全てのパーツが集まり、そしてその合計以上のものをもたらす。まさに「ピンとくる」という奴だ。何をどうしてこうなったかは分からないが、この完成品はすばらしいものだと自負している。楽しさをもたらし、マジック:ザ・ギャザリングそのものを高いレベルに導いてくれたのだ。


Making Magic -マジック開発秘話- 2013.6.5 感謝のトークン
https://mtg-jp.com/reading/mm/0004231/

《鏡割りのキキジキ》(神河物語)
ここまでのカードの中にもあったが、デザインは一時的なトークンをどんどん掘り下げていった。《鏡割りのキキジキ》の場合、一時的トークンとコピーの組み合わせによって無限の柔軟性が生まれている。このカードは私のデザインした中でも十指に入るお気に入りのカードだ。


カードデザインとして優れているだけでなく、《侵入警報》や《修復の天使》などと組み合わせて無限コンボを形成し、構築でも実績を残しています。

また、このキキジキのように、速攻を持ち、ターン終了時に消えるコピートークンを出すカードはそれ以降も何度か登場しています。
特に、《欠片の双子》や《サヒーリ・ライ》などはキキジキ同様に無限コンボが環境を席巻したことで禁止カードが出ることになるほど強力でした。
神河での黒の主要部族は、ネズミでした。これは特に共通したメカニズムもありません。今回もそのままで行こうと思います。人間に関しても同様です。

また、オーガが一定数いて、これはデーモンを信仰していました。オーガはデーモンを、デーモンはオーガを、お互いに参照しあうメカニズムを持っています。

2種類だけの信仰関係を廃止します。どちらも主要部族に比べて多くありません。また、神河の頃に比べて最近のセットの枚数は約40枚も減っています。よって、有効に機能させづらい、というのが理由です。

直接参照することはしませんが、メカニズム的にシナジーが発揮しやすい、程度のことは意識して作成するかもしれません。

今回は以上です。

神河教訓 - 総括
約1週間にわたって、神河の多数のしくじり要素を見てきました。
と同時に、そこから得られた教訓が活かされた事例も多いです。

伝説テーマでの大失敗から得られた「テーマがコモンに存在しないなら、それはテーマではない。」はすべてのエキスパンションにおいて適用されています。

再び伝説を扱ったドミナリアでは、「歴史的」メカニズムやブースターパックに伝説を必ず封入する技術などで、成功しました。

一時期は忌避されるほどだったトップダウンデザインは、イニストラード、テーロス、アモンケットなど何度も行われています。

反転カードの多数の欠点を改良した両面カードは大人気メカニズムとなり、多数のセットで再録されました。

神河が失敗・不人気だったのは事実です。
しかし、そこから多くの成功を生んだ、偉大なる母であったこともまた事実だと思います。
神河自作 - ムーンフォークのメカニズム「知恵カード」
神河自作 - ムーンフォークのメカニズム「知恵カード」
神河自作 - ムーンフォークのメカニズム「知恵カード」
かつてのムーンフォークは「自分がコントロールする土地をコストに持つ起動型能力」(と飛行)を持っていました。
このようなコストは非常にユニークですが、一方でこの種族のゲーム上の方向性がハッキリしません。ムーンフォークを集めたデッキを作りたくなるような能力とも言えないです。また、このような起動型能力をもったクリーチャーが並ぶと、盤面を複雑にしかねません。現在も登場するムーンフォーク、タミヨウと特にシナジーがないのも難点です。
以上の理由から、メカニズムは変更することにしました。

そこで代わりとなるメカニズムとして、知恵カード(手札の枚数が多いと有利になるカードの総称)を採用します。
神河救済では様々な色・種族が持っていました。しかし、知恵カードと相性のいい掃引が登場したものの青には1枚もなく、知恵カードのテーマデッキは青ではなく赤黒でした。ドローが得意な青の種族であるムーンフォークが持つ方が自然です。また、過去のムーンフォークのメカニズムともシナジーがあるので、ムーンフォークデッキが成立するかもしれません。空民は高い知性を持つことから、フレイバーも合致しています。

知恵カードには、「1.手札の枚数に比例する効果」「2.手札が7枚以上あるときに発揮する効果」「3.手札の枚数がどの対戦相手よりも多いと発揮する効果」とがあります。1.の場合、デザインできる効果が限られます。2.は(特にリミテッドにおいて)達成するのが難しくなりそうです。3.であれば、達成は比較的用意です。ただし、常にチェックするのと面倒なので、(特に低いレアリティにおいて)誘発型能力や起動型能力の条件などにタイミングを絞るかもしれません。


朧宮の下働き (青)
クリーチャー - ムーンフォーク・ウィザード
飛行
~が戦場に出た時、カードを1枚引き、その後カードを1枚捨てる。
1/1



空民の考古学者 (3)(青)(青)
クリーチャー - ムーンフォーク・ウィザード
飛行
~が戦場に出た時、あなたの手札のカードの枚数がどの対戦相手よりも多い場合、あなたの墓地にあるインスタント・カード1枚かソーサリー・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
2/2


余裕があれば、旧メカニズムの名残が見られるカードを作るかもしれません。

神河教訓 - 伝説の扱い方
神河教訓 - 伝説の扱い方
神河教訓 - 伝説の扱い方
神河の伝説の扱い方の失敗から生まれたのが、ドミナリアの歴史的であることは話しました。今回はその補足です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2018.5.15 こぼれ話:『ドミナリア』 その1
https://mtg-jp.com/reading/mm/0030568/

Q.神河での伝説関連の扱い方は、このセットにどれぐらい影響しましたか?

A.『神河物語』ブロックの伝説テーマの扱い方は、いろいろとすべきでないことを教えてくれたという意味で非常に有意義だった。

1.「開封比(そのテーマがブースターから出てくる割合)」を低くしすぎないこと。
『神河物語』は、「テーマがコモンに存在しないなら、それはテーマではない」という私の有名な言葉の元になっている。テーマが主にレアに存在するというだけでは、すぐに気がつけるものにはならず、リミテッドではほとんど存在しないようなものになる。『ドミナリア』はこの教訓を踏まえており、このセットを成立させるために歴史的と「ブースターに必ず1枚の伝説のクリーチャー」を組み合わせることが重要だった理由になっている。

2.アンコモンの伝説のクリーチャーの扱いに気をつけること。
『神河物語』ブロックにもアンコモンの伝説のクリーチャーはいたが、その数は非常に少なく、デザイン的にも単純過ぎるものだった。テーマを作用するようにするために、そのテーマをプレイすることにかなりの深みを与えることができるようにレアの中から何枚かをアンコモン枠に引き下げるのだ。

3.伝説を助けるカードがテーマ以外でも働くようにすること。
『神河物語』ブロックには、充分な伝説のクリーチャーがいた場合にだけ役に立つカードが多すぎた。『ドミナリア』には、伝説のカード、多くは伝説のクリーチャーと組み合わせることで強化されるが、組み合わせなくても働くカードが、特に低いレアリティに、大量に存在する。

4.伝説テーマを他のテーマと無関係なものにしないこと。
『神河物語』ブロックには他にもメカニズム的テーマが存在したが、ほとんどの部分で、それは伝説テーマとうまく噛み合うものではなかった。それと対照的に、『ドミナリア』では他のあらゆるメカニズムがこのテーマとシナジーをもたらす助けになるようになっており、セット全体がこのテーマを際立たせるためのものになっているのだ。

私は、失敗は成功の母、という話をよくする。この場合、特にすばらしい母ということになる。

Q.あなたや開発部は、また伝説関連にするという発想が出たとき、『ドミナリア』が『神河物語』のような大失敗になることを危惧しませんでしたか?

A.成功したセットにあるすべてが良いものではないし、成功しなかったセットにあるすべてが悪いものではない。上述の通り、ここで重要なのは好評になる可能性があるとわかっているテーマ(そう、『神河物語』ができた当時は統率者戦はまだフォーマットとして生まれたばかりだったのだ)を取り上げることと、それを成立させるために現代のデザイン感覚を用いることである。『ドミナリア』に関して言えば、単に伝説の存在だけでなく歴史的を用いることでテーマを拡張し、他の要素もテーマを成立させるために用いることができるようにしていることが大きい。


Making Magic -マジック開発秘話- 2018.5.29 こぼれ話:『ドミナリア』 その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0030596/

Q: 伝説のクリーチャーをすべてのパックに入れることで、「テーマがコモンに存在しなければ、それはテーマではない」という決まりを回避することができていますか?

A.私の「テーマがコモンに存在しなければ、それはテーマではない」は決まりではなく、そのセットのやっていることをユーザーが理解できるようにするための格言である。実際、それは「テーマが充分な開封比で存在しなければ、それはテーマではない」と言うべきだが、それはキャッチーではないし、開発部語がわからなければ理解できないものになってしまう。私が初めてそれを口にしたとき、レアリティ以外にテーマが確実にプレイヤーの目に触れるようにするために使える道具はあまりなかったのだ。

テーマを各ブースターパックに並べ入れることができる新しい技術のおかげで、デザイナーがテーマを簡単に目に触れ、気づかれるようなものにする選択肢が大きく増えたのである。

Q.『神河物語』の売れ行きの悪さを踏まえて、なぜ「伝説関連」のブロックをもう1度作ろうと思ったのですか?新しい統率者戦フォーマット、ブロールの影響はどれぐらいありましたか?

A.統率者戦の人気によって「伝説関連」テーマの価値がかなり変わり、もう1度挑戦する価値があると感じるようになった。『ドミナリア』は『神河物語』ブロックの教訓を踏まえており、いくつかの変更を加えている。その中でも大きな2つが、より広い「歴史的」テーマを使ったことと、全体の開封比を高めるための新しい包括技術を使ったことである。

ブロールというフォーマットは『ドミナリア』のセットデザインがほぼ終了するころまで社内で検討されていなかったので、『ドミナリア』に影響を与えたと言うよりも、『ドミナリア』が影響を与えたと言うべきだろう。



Making Magic -マジック開発秘話- 2018.8.21 デザイン演説2018
https://mtg-jp.com/reading/mm/0030991/

『ドミナリア』
良かったところ
伝説というテーマはうまくいった
『神河物語』ブロックは、伝説というテーマに挑み、そして大失敗した。『ドミナリア』ではそのテーマに再び挑み、うまく実装することができることを示す必要があった。伝説のクリーチャーの開封比を上昇させ、各ブースターに必ず1枚入るようにしたことで、このテーマが常に存在する目立つものにすることができたのだ。歴史的メカニズムも、このテーマをこの世界の歴史感とメカニズム的につなぐ助けとなっている。


神河の伝説テーマの問題の1つが「開封比の低さ」です。

それを解決する方法の1つが、伝説と他の要素を包括した「歴史的」でした。こうすることで、コモンでも伝説を扱うことができるようになりました。
さらに、技術の向上により各ブースターパックに必ず「伝説のクリーチャー」を入れることができるようになったこと、伝説に関係するメカニズムを複数作ったことも、伝説がテーマであることを伝える上で重要な役割を果たしたと言えます。
神河自作 - 忍者の色の拡張とメカニズムの調整
前回の記事について、「忍者を緑に拡張してはどうか?」というコメントを頂きました。


確か旧神河におけるメカニズムの偏りは

武士道が白黒赤
転生が黒白緑
忍術が青黒
で後はほぼ均等に分散していましたね。

なので忍術を拡張するなら楔で揃えるという意味で
三色目は擬態と保護色と接死の緑ではないかと。
『戦場に出たときの格闘』とか『プレイヤーに戦闘ダメージを与える度+1/+1カウンターを得る』とか忍術と組み合わせると面白そうですが.


「赤は忍者のイメージに合わない」と前回は書きましたが、緑なら違和感がないと思います。
そこで、忍者を緑にも作成することにします。緑ならではの回避能力や、サボタージュ能力を持たせることで、新しいデザイン空間が開けました。


林間の忍び (緑)
クリーチャー ― 蛇・忍者
このクリーチャーは、飛行を持つクリーチャーによってしかブロックされない
1/1



蔵への侵入者 (3)(緑)
クリーチャー ― 人間・忍者
忍術(1)(緑)
蔵への侵入者がプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーがコントロールするアーティファクト1つを対象とする。あなたは、それを破壊してもよい。
2/3



また、前回の記事で提案したメカニズムを調整します。
膠着しやすいリミテッドでは、条件が満たせず唱えられないまま手札に抱えるのはストレスです。
そこで、《銀エラの達人》サイクルを参考にして、追加コストに選択肢を加えました。


調整前:この呪文を唱えるための追加コストとして、あなたがコントロールしていてブロックされていない攻撃クリーチャー1体を手札に戻す。
調整後:この呪文を唱えるための追加コストとして、(2)を支払うか、あなたがコントロールしていてブロックされていない攻撃クリーチャー1体を手札に戻す。


また、このメカニズムの新カードを、さっそく緑でも作ってみました。


土遁の術  (1)(緑)
インスタント
土遁の術を唱えるための追加コストとして、(2)を支払うか、あなたがコントロールしていてブロックされていない攻撃クリーチャー1体を手札に戻す。
あなたのライブラリーから土地カードを1枚探し、そのカードを戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。


創作のヒントになるコメントをもらえて良かったです。
ありがとうございました。
神河教訓  - トップダウン・デザインの手法
神河教訓  - トップダウン・デザインの手法
神河ブロックはマジック最初のトップダウン・デザイン・ブロックです。
その結果は(これまでも話した通り)失敗だらけで、「しばらくトップダウン・デザインをやりたくない」と思わせたほどでした。

Making Magic -マジック開発秘話- 2014.2.19 神啓を受けて その1
https://mtg-jp.com/reading/mm/0008492/

『神河物語』ブロックは我々の初めて挑んだトップダウン・デザインであり、そのトラウマから何年もトップダウンのデザインを忌避してきたのだ。


しかし、その失敗からデザイン上の教訓を多数を得ました。

Making Magic -マジック開発秘話- 2014.2.26 神啓を受けて その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0008604/

『神河物語』ブロック
『神河物語』は、今日「トップダウン」デザインと呼ばれる、この手法をブロック全体を貫く神啓として用いようという初めての試みであった

(中略)

結局の所、我々はこのブロックのデザインにおいて多くの失敗を犯し、それらの失敗全てが何年も後に『イニストラード』で再びトップダウン・デザインに挑むときの教訓になっている。デザイン面から見た大きな誤りを2つあげるとしたら、次のものになる。

1.メカニズムを棚に上げてフレイバーにこだわりすぎた
ビルの戦略は、メカニズムの決定前にクリエイティブ・チームに世界を作らせるというものだった。この戦略の問題点は、メカニズムがフレイバーに比べてずっと硬直したものになってしまうことである。その結果、メカニズムはこじつけめいたものになり、また寄生的なデザインになってしまった(寄生的なデザインとは、そのセットのカードと組み合わせてしか使えないメカニズムのこと)。

2.雰囲気よりも正確さを重視してしまった
クリエイティブ・チームは日本神話の再現には素晴らしい成果を発揮した。問題は、ユーザーの多くが詳しくない様々な要素に注目していたことである。新しい知識を与えるのは悪いことではないが、それは高いレアリティに少数だけあるべきである(『テーロス』はこの点をうまくこなしたと思う。例えば《百手巨人》はコモンではなくレアになっている)。実世界の神啓を使う時には、ある一定量の予想を守るのは大切なことなのだ。

私は、失敗は学習の元だと考えることにしている。思い返してみると、このブロックは大成功だったとは言えないが、『イニストラード』や『テーロス』のようなブロックを作る手法を学ぶことはできたと言えるだろう。


Making Magic -マジック開発秘話- 2017.5.23 こぼれ話:『アモンケット』 その1
https://mtg-jp.com/reading/mm/0018873/

Q.『アモンケット』では、『神河』ブロックで失敗したどんな課題を乗り越えていますか?
A.『神河物語』ブロックでは、トップダウン・デザインに関して様々な重要なことを学んだ。

1.楽しさは正確さよりも重要である
『神河物語』は日本神話そのものではなく、『アモンケット』はエジプト神話そのものではない。我々はそれらに触発されたマジックの世界を作っているのだ。つまり、元ネタに忠実な道とより良く楽しいセットを作る道があったなら、その後者の道を選ぶべきなのである。

2.共感に従え
ユーザーは長年ポップカルチャーなどを通して元ネタと触れ合ってきたことによって先入観を持っている。ユーザーの先入観を理解し、プレイヤーがその世界に特定の影響を求めている理由を満足させられるだけのものを提供しなければならない。

3.コモンはわかりやすく
最も知識を持ったユーザーに焦点を当てたわかりにくいものを少し仕込むのは問題ないが、そうする量は制限し、頻度を抑えるために高いレアリティにするべきである。

4.マジックらしくする方法を探れ
トップダウンのマジックのセットで最もクールなことの1つが、元ネタをマジックの要素と組み合わせることである。マジックらしさを感じさせるように元ネタの影響を描く方法を見つけることが大切なのだ。

5.名付けに注意せよ
『神河物語』の最大の失敗の1つは、その名付けにあった。日本の名前らしさを再現しようとして、カード・タイプをわかりにくくしてしまい、プレイヤーがカード名を覚えることも難しくなっていた。世界観を描く中でも、カード名は実用的でなければならない。


まとめるなら、「元ネタではなく、プレイヤーのイメージに忠実であるべき」と言えます。これは他のコラムでも繰り返し述べられているからです。

Making Magic -マジック開発秘話- 2013.10.2 テーロス、それは赤き者(とか白とか青とか黒とか緑とか) その1
https://mtg-jp.com/reading/mm/0004245/

神河ブロックで得た大きな教訓の1つに、元ネタに忠実であることと芳醇であることの間には大きな隔たりがある、ということがある。一方で、ほとんどのプレイヤーがトップダウン・デザインを楽しんでいる理由は、彼らの知っているものだと認識しているからだ。そう、彼らは少し学ぶことが好きだが、セットの中核が想像と違うものだったなら、トップダウンは崩れて真っ平らになってしまうのだ。

神河ブロックでは、クリエイティブ・チームは神道の神話を理解するのに多大な時間を費やした。問題は、受け手のほとんどが神道に馴染みがなかったため、芳醇だと感じるのではなく異質だと感じられてしまったのだ。ここからの教訓は、セットの基礎を馴染みあるものにすることが必要だということ、その後で、正確だけれどもよく知られていないことを風味付けに使うべきだということである。前者はコモンやアンコモン、後者はレアや神話レアに関する話ということになる。


Making Magic -マジック開発秘話- 2013.10.16 テーロス、それは赤き者(とか白とか青とか黒とか緑とか)その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0004247/

『神河物語』ブロックで得た教訓の1つに、元ネタそのものではなく、プレイヤーがそうだと思っているネタを供給すべきだということがある。実際にどうかということよりも、どう認識されているかということのほうが重要なのだ。「タイタンの戦い」によって、クラーケンはギリシャ神話の一員となった(ちなみに、海蛇はギリシャ神話の存在なので、ほとんどの部分では言葉の選択に過ぎない話なのだ)。そこで我々はクラーケンを使うことにしたのだ。

《百手巨人》のような、ギリシャ神話のマイナーな存在を無視するというわけではない。しかし、それらはより高いレアリティに入れられることになる。


神河はトップダウン・デザインをやりたくなくなるほどの大失敗でしたが、その次に作られたトップダウン・デザインのイニストラードは大成功となりました。さらにテーロスも成功し、トップダウン・デザインに対するトラウマは払拭されたと言えます。

Making Magic -マジック開発秘話- 2012.9.6 デザイン演説2012
https://mtg-jp.com/reading/mm/0004195/

多くのセットに芳醇さのかけらはあるが(たとえばゼンディカーには冒険世界を再現する罠、探索、同盟者といった要素がある)、過去にトップダウン・デザインで作られたブロックは1つしかない。神河物語である。デザイン上の観点からいうと神河ブロックは失望するようなものなので、イニストラードは未踏の地に踏み入ったことになる。

私はデザインのこの変化に非常に満足している。望み通りのことをやってくれたと感じている。イニストラードは諸君らみんなにトップダウン・デザインが可能であることを示した。マジックの未来にはさらなるトップダウン・デザインがあることだろう。これも合格、二重丸だ。


Making Magic -マジック開発秘話- 2013.9.4 デザイン演説2013
https://mtg-jp.com/reading/mm/0004241/

2014年度目標#1:トップダウン・デザインの方法を理解していることを示す
マジックはこれまでに2回、トップダウン・デザインによるブロックを経験してきた。『神河物語』と『イニストラード』である。1つは大成功を収め、1つは――『神河物語』だった。この目標はつまり、「トップダウン・デザインの方法を理解したのか、それとも『イニストラード』が特別だったのか」ということである。

この目標で合格するとは、単に人気のあるブロックを作るというだけではなく、その元ネタの感覚を再現していると顧客が感じるようなブロックを作るということである。これまでもこれからも言う通り、トップダウン・デザインとは、何か現実世界のものを元にしたマジックの世界を作るということである。単にもう一度作るというのではなく、その元ネタを元にした自分たちの何かを作るのだ。例えば、今回、ギリシャ神話の神々(ゼウス、ポセイドン、ハデスなど)を使うのではなく、カラー・ホイールに従った我々の神々を使っている。


Making Magic -マジック開発秘話- 2014.8.19 デザイン演説2014
https://mtg-jp.com/reading/mm/0011020/

トップダウン・デザインで成功した
『テーロス』のデザインを始めたとき、私の意識には『イニストラード』があった。『イニストラード』でのトップダウン・デザインの出来映えには満足していたが、同様に芳醇なトップダウン・デザインをもういちどできるかどうかには少しばかり不安があった。また、ギリシャ神話はゴシックホラーよりもずっと複雑だ。ホラーというジャンルに関する人々の経験は映画やテレビから来ており、プレイヤーの持っている世界観は共通のものだった。ギリシャ神話に関しては、経験は本から来ていることが多く、本というメディアは読者によって世界の理解が違ってくるものである。つまり、人によって期待しているものが違うことがありえるのだ。

また、マスメディアでゾンビや吸血鬼を見れば、その動きは理解できるが、ギリシャ神話ではそうはいかない。ゾンビの群れがどう動くかは誰もが知っているが、ケンタウルスの生態はそれほど明確ではないのだ。

これはつまり、今回は違う手法でトップダウン・デザインをしなければならないということである。非常に喜ばしいことに、我々はこれに成功したと言えると思う。神々は大成功だった。フレイバーに富んだメカニズムもほとんどは成功だった。神話を連想させる個別カードも非常に評判が良かった。様々な期待がある中で、我々はそれらのテーマを推し進めるようなプレイとなるセットで、そのほとんどを達成したのだ。


トップダウン・デザインは人気となり、これ以降も何度も行われるほどです。
神河の教訓の中でも、特に大きな影響を与えたと言えます。
忍者のメカニズムを考えます。

以前の記事にも書いた通り、忍術は人気があり、再録を望む声もあって、何度も新規カードが作られています。リメイクとは言え、成功した要素はできるだけ残した方がいいでしょう。忍者といえば忍術、というイメージも強いので、元のままでいくことにしました。


決死の忍者 (2)(黒)(黒)
クリーチャー ― ネズミ・忍者
忍術(1)(黒)
決死の忍者がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーがコントロールするクリーチャー1体を対象とする。あなたはこれを生け贄に捧げてもよい。そうした場合、それを破壊する。
2/2


モダンホライゾンで「忍者は忍術を必ず持つ」縛りが緩くなりました。今回のリメイクでもその方針を踏襲します。


抜け道の忍者 (3)(青)
クリーチャー ― 蛇・忍者
抜け道の忍者は、それが単独で攻撃しているかぎりブロックされず、呪禁を持つ。
2/2


また、忍者が使う術を呪文として作成中です。


水遁の術  (青)
インスタント
水遁の術を唱えるための追加コストとして、あなたがコントロールしていてブロックされていない攻撃クリーチャー1体を手札に戻す。
あなたの対戦相手がコントロールするクリーチャーは、あなたの次のターンまで-4/-0の修整を受ける。


これは別人物のオリジナルカード《火遁の術》の発想を借りたものです。そちらはカード名の通り、赤のカードでした。赤は忍者のイメージが湧かなかったので、青黒でも似たようなことができないかと考えた結果、以上のようなデザインになりました。ただ、唱えるタイミング、青黒のカラーパイ、○○の術というネーミングとの調和、などを考えると、デザインできるカードは多くないと思います。

今回は以上です。
神河教訓 - 反転
神河教訓 - 反転
神河教訓 - 反転
神河の失敗の1つに反転カードがあります。

マロー曰く「日本の神話の共通するテーマが変身」、ということで作られたようです。

反転動転驚天動地――神河物語 の反転カードのデザイン
https://web.archive.org/web/20041217003145/http://www.hobbyjapan.co.jp/magic/articles/files/20040922_01.html

興味のある人たちのために言っておくと、チームはこの辺に大きな影響を受けたとのことだ。
・宮崎駿の映画、特に「千と千尋の神隠し」と「もののけ姫」
・ビデオゲーム「鬼武者」シリーズ
・アニメ「獣兵衛忍風帖」
・アニメ「犬夜叉」
そして、すぐに明らかになったのが、日本の神話の共通するテーマが“変身”だということだった。この環境のイメージを反映するため、ブロックにはいくつかの変身っぽい要素を含んだメカニズムが必要になった。


しかし、この発想自体、プレイヤーからの賛同はあまり得られなかったようです。

また、カードデザインやゲーム進行の観点からも、イラストも文章も詰め込んだものになったこと、タップした状態だとどちら側なのかわかりづらいこと、などの理由により不評でした。

ホラーがテーマのイニストラードでも、変身を表すために再録を検討されたのですが、上記の難点により採用されませんでした。
そして、生まれたのが両面カードでした。

翻訳記事その他 2011.9.21 狼男、猛る
https://mtg-jp.com/reading/translated/0003997/

プレイヤーから、なぜ両面カードを神河のような反転カードにしないのかという質問を受けましたが、もちろん私たちは狂気のデザイナーたちを何とか引き留めようと努力したのです。神河ブロックの要素の中で時を経て進化していったものがありますが、反転カードはその中には入っていませんでした。反転カードには現時点で以下のような問題があります。

・イラスト枠が狭く、その中にある存在の2つの状態を描く必要がある。その結果、どれだけ完璧に仕上げても落ち着きの悪いものになる。
・各側の文章欄が非常に狭くなる。
・タップ状態の時に、どちらの側なのかがわかりにくい。
・変身前と変身後を同じ絵の中に入れるのは難しい。



翻訳記事その他 2011.10.24 未回答問題:イニストラード
https://mtg-jp.com/reading/translated/0004003/

Q.両面カードはなぜ反転カードではなかったんですか?
A.最初の大騒動が一段落ついて、私は両面カードに関する多くの反響を受け取った。プレイヤーの大多数は、両面カードを楽しんでいるようだ。両面カードを反転カードでは作れなかったのかという質問は沢山寄せられている。反転カードを使えば、両面カードで生じた外部的な問題を起こさずに済んだだろう。

この問題に対しては、すでに一度答えているが、なおもこの質問は絶えない。今回は、これについてもう少し完全な回答を提示することにしよう。なぜ反転カードではないのか、その理由には次のようなものがある。

1)開発部は反転カードを失敗作だと思っている
ゴッドブック研究や市場調査といったものについて語ってきた。それはつまり、セットを後になってから見直し、プレイヤーからの反響を聞くということである。何かが成功したかどうかを知りたいのは、成功していたならそれをもう一度戻すことができるし、失敗していたなら二度と使わないか、あるいはその問題点を克服する方法を見つけることができるからだ。
反転カードは市場調査の結果、非常に評価が低かった。プレイヤーは反転カードを嫌いなのだ(理由? これから推測するとも)。失敗したと分かっているものをなぜ繰り返す必要があるのか? 現在、両面カードが失敗したと仮定してみよう(実際にはそうでないと調査結果は物語っているが)。それでさえも、すでに失敗したことをそのまま繰り返すより、まだ成功するかどうか分からない新しいものに取り組む方がいいに決まっている。

2)反転カードは美しくない
なぜ反転カードの評価が低いのか? 私は、メカニズムによるものではないと考えている。なぜなら、「カードが他のカードに変化する」というメカニズムは他にもあり、それらは反転カードのように評価が低くはないからである。反転カードが不評な理由は、単にそれの見た目が悪いからだと確信している。
(添付画像1枚目を参照)

デザインにおける美学については常々語ってきた。この問題は、ゲーム上の美学と言うよりも見た目上の美しさに起因しているが、どちらもそう遠い話ではない。詰め込みすぎなのだ。たとえば、両面カードを反転カードで作ってみよう。すぐに分かるとおり、場所が足りなくなるので、コモンの「バニラ」狼男である《苛まれし最下層民》/《猛り狂う狼男》を作ってみることにする。
(添付画像2枚目を参照)

反転カードの形だと、こうだ。
(添付画像3枚目を参照)

枠に入るように、いくつかの要素が削られている。イラストは切り取られ、両面カードでは見て取れる物語が消えた。場所がないのでフレイバーを重視することができないのだ。スペース的に可能なのは、人間形態と狼男形態を描くことだけで、それ以上のことは全て取り払われた。文章欄の問題で、フレイバー・テキストもなくなった。そして、もう一つ、パワー/タフネスの欄を作るために、クリーチャー・タイプにあった戦士も取り除かれた(訳注:英語では。日本語ではたまたま文字数が少ないため、クリーチャー・タイプは入ったままになっています)。
この問題は機能の問題ではなく、形の問題である。反転カード版は重要なフレイバーを失っただけでなく、カードに全てを詰め込まなければならないので狭苦しくなるのだ。

3)必要なスペースが足りない
先ほど例示したのは「バニラ」の狼男だ。ほとんどの狼男は「バニラ」ではなく、より多くのルール文章が書かれている。他の両面カードにしてもそうだ。まして《情け知らずのガラク》/《ヴェールの呪いのガラク》に至ってはなおのことである。反転カードを使わなかった理由の一つには、カードに文章が入りきらないということがある。
文字を小さくすればいい? 確かにそれで入るものもあるが、そうなると読むのも難しくなり、またなおさら狭苦しい感じになってしまう。ものによっては、それこそ《情け知らずのガラク》/《ヴェールの呪いのガラク》などはどうやっても入らない。

これが、反転カードを使わずに両面カードを使った理由の説明になっていれば幸いだ。



翻訳記事その他 2011.8.31 両面それぞれの物語
https://mtg-jp.com/reading/translated/0003989/

反転カードのルールを、戻ることもありうると変更する必要が出てくるが、さして問題ではないと。問題は2つあった。

まず、反転カードは狙っていたようには受け入れられなかったと言うこと。最大の問題は、このカードはほとんど2つ分の特性を持つのであまりにごちゃごちゃ詰め込んだ形になってしまうのだ。両面カードならこの問題は解決できる。人間の時は、このカードは完全に人間である。狼男の時は、このカードは完全に狼男である。また、両面カードなら、タップ状態の時にどっちなのか混乱することもなくなる。

2つめの問題は、文章の長さである。反転カードは文章欄が狭く、狼男メカニズムの複雑な文章を書くのには場所が足りないと思われた。両面カードの話が長すぎるので狼男メカニズムについては置いておくが、これからのプレビューの間に必ずお話しすることを約束しよう。

結局のところ、昼夜カードよりも両面カードの方がうまく行くということが明らかになったので、両面カードで話を進めることにした。この先に待ち構えている困難のことはまだ誰も知らなかったのだ。


両面カードは大人気のメカニズムとなり、イニストラードを覆う影で再訪した際も再録され、イクサランやマジック・オリジンや基本セット2019など多くのセットで登場しています。

Making Magic -マジック開発秘話- 2012.9.6 デザイン演説2012
https://mtg-jp.com/reading/mm/0004195/

両面カード
あらゆることを踏まえて、両面カードには多くのデザイン空間がある。つまり、今回の成功によってマジックの未来に資産を残すことが出来たのだ(いますぐ使えるものではないが)。全体として、私は両面カードがこの年の大成功の1つだと感じている。


Making Magic -マジック開発秘話- 2017.3.28 ストーム値:『イニストラード』『イニストラードを覆う影』
https://mtg-jp.com/reading/mm/0018619/

変身 (『イニストラード』『闇の隆盛』『イニストラードを覆う影』『異界月』、『マジック・オリジン』)

人気: 大好評
市場調査の際に我々が尋ねているのは、変身メカニズム単体ではなく両面カードについてである(変身は両面カードの一部である)。これまで全ての両面カードは変身メカニズムを使っているので、両面カードの評価と変身メカニズムの評価は同一視しても問題ないだろう。プレイヤーは変身(と両面カード)を大好きなのだ。これよりも人気があったのは、フルアートの土地とギルド、混成マナ、多色カードだけである。つまり、これは「マジック史上最も愛されたメカニズム」のリストの最高位に位置付けられるものである。

(中略)

ストーム値: 3
まず、このストーム値は両面カードではなく変身の値であると言っておこう(両面カードなら2だ)。変身は、間違いなく再び登場するであろう両面カードの一部であるが、(両面カードという)カードの道具ではなくメカニズムの分類ということになると、落葉樹メカニズムというよりは人気があって何度も再録されるであろうメカニズムだと私は考えている。変身は非常に人気が高く、メカニズムとして考えられる限りのデザイン空間を持っている。ただし同時に平均的なメカニズムよりも問題は多く、その問題のせいで使い続けるということはできないでいるのだ。変身のファン諸君、恐れるなかれ。このメカニズムは必ずや何度も再録されることになるだろう。


反転も両面も「変身」を表したものなのですが、その人気は対極的と言えます。

また、カード2枚分のテキストを入れる、という点では、分割カードがあります。そちらは何度も再録されるほどの人気で、融合や余波などの専用メカニズムも獲得したほどです。
ただ、余波はレイアウトだけは嫌われているようです。

Making Magic -マジック開発秘話- 2019.3.26 ストーム値:『カラデシュ』と『アモンケット』
https://mtg-jp.com/reading/mm/0032250/

余波(『アモンケット』『破滅の刻』)
人気:普通
プレイヤーは全体として余波のゲームプレイは気に入っているが、ほとんどはこれらのカードのレイアウトを嫌っている。再録するとしたら、新しいカード枠を考えることになるだろう。


そう考えると、反転もカードのレイアウトを工夫すれば、もっといい評価だったかもしれません。
新しいレイアウトの反転カードを見てみたいとは思いますが、両面カードが人気である以上、そこまでして反転カードをリメイクする可能性は低そうです。

余談
反転カードに比べていいことづくめのように見える両面カードですが、構築済みデッキに中々入れてもらえない、という欠点があります。おそらくは印刷の都合かと思います。

補足
マロー曰く、「神河のデザインをやり直せるなら、反転じゃなくて変身を使う」とのことです。
http://markrosewater.tumblr.com/post/51088614030/if-you-could-re-design-the-kamigawa-block-would-you
侍のメカニズムを考えます。
前の記事もある通り、武士道は名前だけが悪く、メカニズムそのものは問題ありません。名前を変えて武士道を収録することも考えましたが、ここでは別のメカニズムを収録することにします。

というのも、武士道のメカニズムは健全そのものですが、「侍」であることを表現できているか?という点に疑問があるからです。「クリーチャー同士の戦闘に強い」というだけだと、別に格闘家でも騎士でもいいので、侍であることとの関係性は弱いと思います。

では、侍の特徴は大きな何か?と考えた場合、「刀」が相応しいと思います。日本には他にも武器は色々ありますが、和風ファンタジーにおいては刀が一番目にすると思います。それを、トークンと言う形で直接的に表現することにしました。

刀剣・トークン
「装備しているクリーチャーは+1/+0の修整を受ける。」と装備(1)を持つ、無色の装備品・アーティファクト・トークンである。


先陣の侍  (白)
クリーチャー ― 人間・侍
先陣の侍が戦場に出たとき、刀剣・トークンを1つ生成する。
1/1


ネーミングは武士道での反省を踏まえて、やや一般的な名前にしました。「武器」だと一般的すぎて、「刀」を持っている感じがしません。刀を含めた刃物の武器、ということで「刀剣」というネーミングにしました。

現状、このメカニズムについて考えていることは以下の通りです。

1.「戦場に出たとき、刀剣・トークンを生成し、それをこのクリーチャーにつける」までを1つの能力にするか?
最初はこれで考えていました。しかし、ネーミングで悩みました。「帯刀」だと日本刀以外には使いづらいですし、「武装」では一般的すぎます。かと言って、丁度いいネーミングが思いつかなかったため、トークンだけをメカニズムとしました。
もし、いい名前が思い浮かべば、そうするかもしれません。

2.装備コストは1か2か
アグレッシブなデッキに入るであろう能力なので、あまりマナを喰う能力だと弱くなります。かと言って、軽いと強すぎないか、心配です。

3.侍全員に持たせるか?
かつて侍は全員が武士道を持っていました。忍者もかつては全員が忍術を持っていましたが、モダンホライゾンでその縛りが解かれました。あまり縛りを設けると、カードがデザインしにくくなるので、侍も同様の方針で行くかもしれません。

今回は以上です。
神河教訓 - 武士道のネーミング
神河教訓 - 武士道のネーミング
神河の失敗点には、メカニズムのネーミングも挙げられます。

Latest Developments -デベロップ最先端- 2014.9.20 Mファイル『タルキール覇王譚』編・パート1
https://mtg-jp.com/reading/ld/0011203/

《ジェスカイの風物見》
SM 4/18/13: 新しい功夫だ。
TML 5/30/2013: 君の新しい功夫は素晴らしい! たくさん修行したな!
果敢は最初「功夫/kung fu」と呼ばれており、より楽しい名前だったのですが、
現実世界のバージョンに近すぎ、そしてこのメカニズムを他のセットで印刷不可能にしていました――我々が武士道で犯した失敗です。


http://mtgwiki.com/wiki/%E6%AD%A6%E5%A3%AB%E9%81%93

武士道(ぶしどう)/Bushido
名前のせいで他の次元/Planeで使いづらくなってしまったため、忍術とともにキーワード能力の命名における反省点としてしばしば話題に上る。


http://mtgwiki.com/wiki/%E6%9E%9C%E6%95%A2

果敢(かかん)/Prowess
デザイン初期の名称は中世中国をモチーフとするジェスカイ道に合わせて功夫/kung fuだったが、武士道や忍術の反省からどの次元/Planeでも通用する名前に再設定された。


名前のせいで、他の次元では使いづらいことが問題だったようです。
その教訓が果敢では活かされました。果敢は他の次元でも使われるメカニズムになれたのです。

ただし、まずかったのはネーミングであり、能力そのものは全く問題ありません。
実際、動作は単純明快であり、ゲームバランスを崩壊するような危険性もありません。
再録の難しさを表すストーム値は、名前を変えないままだと8で、再録可能性がかなり低いです。
しかし、名前さえ変えれば4となり、再録可能性が果敢と同程度になります。

https://markrosewater.tumblr.com/post/36582463488/bushidos-ranking-on-the-storm-scale-with-or

Q.malbeam asked: Bushido’s ranking on the storm scale. (with or without name change)
A.I’d say it’s a 4 with a name change and an 8 without.


プレイヤーの方からも、「名前を変えてでも再録してほしい」という声はあるようです。

Making Magic -マジック開発秘話- 2016.3.8 おしえてあなたの望むこと
https://mtg-jp.com/reading/mm/0016593/

要求#2:再録してほしいもの
マジックのプレイヤーたちは、過去のセットにいい思い出がある。そのため、要求の多くはかつて楽しんだものを再録してほしいというものになる。

......特定のメカニズム
多くのメカニズムについて問い合わせを受けているが、その中でも多いものを挙げれば次のようになる。

武士道、忍術 ― プレイヤーたちはこれらのメカニズムが好きだが、その一方でこの名前ではほとんどのセットに入れられないということも認識している。よくある質問は、名前を変える必要があるならそうしてでも再録してほしいというものだ。


そして実際、武士道の名前を変えたものや、その調整版が、『エルドレインの王権』での収録を検討されていました。

Making Magic -マジック開発秘話- 2019.11.12 『エルドレインの王権』展望デザインの提出物 その1
https://mtg-jp.com/reading/mm/0033429/

騎士のフレイバー
戦闘を中心においたゲームで、アーサー王伝説らしさを再現するために重要なのが騎士です。私たちは複数の方法でそれを表しています。

戦闘のメカニズム
騎士の第1の特徴は強い戦士であることなので、すべてではないにせよほとんど騎士に焦点を置いたセットでは戦闘のメカニズムがあることが重要だと考えました。私たちは様々なメカニズムを試しました。

騎士道N/Chivalry N(このクリーチャーがブロックするかブロックされた状態になるたび、ターン終了時まで、これは+1/+1の修整を受ける。)

これは、武士道の名称変更です。これは攻撃時に弱すぎ、防御時に強すぎました。

統制N/Discipline N(このカードがブロックされた状態になるたび、このカードの上に+1/+1カウンターをN個置く。)

この最後の戦闘メカニズムは、武士道の調整版です。これは攻撃時にのみ働きますが、効果は永続的です。このメカニズムはプレイテストでもうまく働き、またセットに成長と+1/+1カウンターのテーマを追加しました。


残念ながら、『エルドレインの王権』での再録はなりませんでした。
しかし、いつかどこかで生まれ変わった武士道を見る可能性は低くないと考えています。
神河自作 - スピリットのメカニズム「顕現」
神、つまりスピリットのメカニズムを考えます。
テーロスやアモンケットの神は、レアリティが高く、少数で、破壊不能などの除去耐性を持つ傾向があります。
一方、神河の神は、コモンのような低いレアリティにもあり、数が非常に多く、除去耐性は必須ではありません。
むしろ死亡することが前提の誘発能力「転生」が主要なメカニズムになっています。
さらには、自分自身を生け贄に捧げるような能力を持つこともあります。

日本的フレイバーにふさわしいのは、死亡誘発や自己生け贄能力よりは、数が多い・普遍的に存在する、という点を強調するメカニズムの方だと思います。
前者は日本の神の特徴としてはピンときませんが、後者はいわゆる「八百万の神々」ということで納得しやすいです。
これを「コモンにも多く存在する」以外の方法で表現するメカニズムとして「顕現」を考えました。

顕現N[コスト]
「[コスト], このカードをあなたの墓地から追放する:無色の0/0のスピリット・クリーチャー・トークンを1体生成し、その上に+1/+1カウンターをN個置く。この能力は、あなたがソーサリーを唱えられるときにのみ起動できる。」を意味する。


古びた万華鏡 (3)
(T):好きな色1色のマナ1点を加える。あなたが5つ以上の土地をコントロールしている場合、これを生け贄に捧げる。
顕現2 - (3)

大地震  (X)(赤)(赤)
ソーサリー
大地震は、飛行を持たない各クリーチャーと各プレインズウォーカーにそれぞれX点のダメージを与える。
顕現4 - (2)(赤)(赤)(赤)


これは、どのカードタイプでも持つ能力とします。
生物、道具、自然現象など様々なものに宿る神、ということを表現するためです。

以下のように、顕現で誘発する能力を持たせることも考えています。
能力は、主に通常時の効果と関係づけたものになります。


忠犬 (2)(白)
クリーチャー - 猟犬
先制攻撃
顕現1 - (2)
あなたが忠犬を顕現したとき、他のクリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで先制攻撃を得る。
2/2


こうした能力を考えたのには、他にも理由があります。
次元やエキスパンション、勢力の特徴を表すのに、特殊なトークンやカウンターを使うことがあるからです。
エルドラージ・落とし子・トークン、ファイレクシアの毒カウンター、イクサランの海賊の宝物・トークン、エルドレインの王権の食物・トークンなどです。
そうしたこともあり、神河であれば、スピリット・トークンを生成するメカニズムを作るのがいいのではないか?と考えました。

現状、このメカニズムについて考えていることは以下の通りです。
1.コストはどれくらいが適正か?
カードアドバンテージが取れるので、あまり軽すぎる訳にもいきません。

2.パワータフネスは固定するか?
その方が管理がしやすくなるのは確かです。どの神もサイズが同じ、ということになりますが。
また、その場合はどの値で固定するか?も問題です。永遠に倣うなら、4/4が良さそうに見えますが。

3.Nで変化するのは、パワータフネスではなく、トークンの数にするか?
この場合、パワータフネスは1/1で固定します。
盤面がトークンであふれ過ぎないよう調整が必要になります。。

4.ネーミングはこれでいいのか?
類語辞典で調べたところ、権化、発現など、他にも候補はありそうです。
ネーミングは、これが一番いい、と言える基準は明確ではありません。
強いて言えば、「顕現」は公式サイトでも使われている単語である点が特徴でしょうか。言葉の解釈違いという危険性も否定はできませんが。
https://magic.wizards.com/ja/story/planes/%E7%A5%9E%E6%B2%B3-0

伝説のクリーチャー - 奪われし御物
大口縄と神は定命の者の世界に顕現し、それを探し求める中で人間たちを次々と殺めていきました。


5.顕現はスピリットに関する能力であって、スピリットが持つ能力ではないこと
転生がスピリットが持つ能力だったのに対して、顕現はむしろスピリット以外が持つ能力です。
八百万の神々という特徴を表してはいるのですが、スピリットに何か共通の能力を持たせなくていいのか?とも思います。
ただ、日本の神に共通した特徴として良いものが思いつかないのが現状です。

今回は以上です。
神河教訓 - ドミナリアの歴史的
前回の日記で見た通り、神河の伝説テーマの扱い方は大失敗でした。
では、伝説はどのように扱うべきだったのでしょうか?
その点の反省が特に生かされたのがドミナリアの歴史的でした。


Making Magic -マジック開発秘話- 2018.4.2 懐かしの地に
https://mtg-jp.com/reading/mm/0030471/

ドミナリアは間違いなく大量の有名な人物がいる世界なので、伝説をテーマにするのはそれよりはドミナリアにふさわしい。しかし、伝説をテーマにするのは以前『神河物語』ブロックで試みており、問題があることが証明されていた。伝説のパーマネントは高いレアリティに偏っており、特にリミテッドにおいてメカニズム的に意味を持たせるには開封比(ブースターパックに含まれるそのカードの割合)が低すぎるのだ。

全体のテーマとしての「エンチャント関連」はドミナリアには合わず、テーマとして扱えるようなエンチャントの一部分という分け方はほとんどない。どれも使い物にならないと思われた。

そんなとき、私はある提案をしたのだ。「歴史的」というような単語を作って、それを特殊タイプとして使うというのはどうだろうか。歴史的なものを示すものなら何でもこのラベルをつけるだけだ。歴史的クリーチャー、歴史的アーティファクト、歴史的エンチャント、歴史的土地。我々はプレイテストをしたが、この計画には2つの問題があった。

1つ目に、欠色で学んだ通り、プレイヤーの多くは開発部語で言う「目印」を嫌っている。目印とは、他のカードで参照するためという以外にメカニズム的意味を持たない単語のことである。2つ目に、そのメカニズムには全く後方互換性がない。ドミナリアを再訪して、過去のドミナリアのカードと組み合わせられないようなメカニズムを作るというのは間違っていると思われた。

ここで、アーロンからある提案があった。アーティファクトと伝説のパーマネントをひとまとめにしたらどうだろうか、と。マジックにおいて歴史を表している2つのものを組み合わせることで、メカニズム的に歴史を表現するというのはどうか、と。

私が歴史的という特殊タイプでやろうとしていたことに近かったので、私はそのアイデアのことを非常に気に入った。私は、プレイヤーがデッキを構築する間に別の考え方をしなければならなくするようなテーマが大好きなのだ。私は、複数の分類のものをまとめる方法を探していたが、アーロンのアイデアはそれと同じことを別の角度からしていたのだ。

プレイヤーは、アーティファクトをテーマとしたデッキを作ったことがある。伝説のパーマネントをテーマとしたデッキを作ったことがある。しかし、それらのテーマを混ぜ合わせたデッキを作ったことはないのだ。これは、新しい分類を作らずに新しいものを作り出す方法だった。

また、それは『神河物語』にあった伝説のカードの開封比問題を解決する助けにもなった。伝説のパーマネントは、それ単体では、開封比の問題がある。しかし、低いレアリティに編み込むことができるアーティファクトと組み合わせれば、回避方法になるのだ。(そのセットのリード・デザイナーであったデイブ・ハンフリー/Dave Humpherysは、開封比問題に対応するため、パックに1枚伝説のクリーチャーを入れる枠を作った。)



Making Magic -マジック開発秘話- 2018.4.9 歴史的な話
https://mtg-jp.com/reading/mm/0030487/

問題は伝説にあり
先週、我々が歴史という概念をメカニズム的に再現しようとしたという話をした。アーロン/Aaronが、アーティファクトと伝説の存在を参照することを提案し、私はすぐにその発想を受け入れたのだ。私が語っていなかったのは、その理由である。

アーティファクトと伝説の存在の組み合わせが、単に伝説の存在だけよりも良かったのはなぜか。それを理解するために、ここで、かつて伝説の存在に意味を持たせようとした『神河物語』ブロックに立ち戻らなければならない。そのブロックでどのような多くのデザイン上の失敗がなされたかという話をしたことがあるが、その中の1つが「伝説の存在関連」テーマだった。ここで、この問題の基本について説明させてもらおう。

#1 ― 開封比問題
開封比が問題なのは、伝説のカードは高いレアリティに多い傾向にあるからである。ほとんどのセットでは、それらはレアと神話レアにだけ存在する。『神河物語』ブロックでは、レアのクリーチャーはすべて(当時は神話レアはまだ存在しなかった)伝説のクリーチャーであったが、それでもほとんどのプレイヤーにとっては意味を感じられるほどにはならなかったのだ。我々はさらにアンコモンの伝説のクリーチャー(めったにやらないことだ)を加えたが、それでも開封比はリミテッドでそのテーマを成立させるにはあまりにも低い値だったのだ。

開封比を充分高くするために特定の条件を満たすコモンのカードがどうしても必要で、しかしコモンの伝説のクリーチャーを作るのは伝説のクリーチャーのフレイバー(1つしか存在しないもの)を無視する行ないなのだ。『ドミナリア』のリード・セットデザイナーであったデイブ・ハンフリー/Dave Humpherysは、(イーサン・フライシャー/Ethan Fleischerのアイデアに基づき)すべてのパックに伝説のクリーチャーが1枚ずつ入るようにすることにした。これは間違いなく助けにはなったが、それでさえも開封比は我々の望むほどの値にはならなかったのだ。

#2 ― 点数で見たマナ・コスト問題
点数で見たマナ・コストとは、呪文にかかる合計のマナの数のことである。{1}{U}{U}が必要な呪文の点数で見たマナ・コストは3で、{5}{R}が必要な呪文の点数で見たマナ・コストは6である。点数で見たマナ・コストは色を参照せず、単にどれだけの量のマナが必要かだけを見る。

伝説の存在は、レアリティの高い方に集まっているのと同じように、点数で見たマナ・コストでも高い方に集まっているのだ。大抵の場合、伝説のクリーチャーは他のクリーチャーに比べて、大きく、多くの能力を持ち、ゲームに大きな影響を与える。そのため、我々はそれらを重くすることになる。何か「関連」のテーマを扱う場合、それを大量にプレイする必要がある。その何かが重くなる傾向にあると、それを大量に1つのデッキに入れるのは難しくなるのだ。また、マナ・カーブを埋める(何かを毎ターンプレイできるようにするため、コストがお互いに異なるカードを充分に入れる)のも本当に難しい。

#3 ― 色問題
また、伝説のクリーチャーは、複数の色を持つ傾向にある。フレイバー、デザイン、統率者といった理由から、伝説のクリーチャーのマナ・コストには色を追加する方向の圧力がかかるのだ。つまり、1つのデッキに大量の伝説のクリーチャーを入れる場合、そのデッキの色は多くなる傾向にあるということである。問題をさらに悪化させているのは、色を安定化させるために使うようなカード自身は伝説のカードではないことが多いということである。

#4 ― 実用性問題
伝説のアーティファクトやエンチャント、土地、プレインズウォーカー(そして『ドミナリア』ではさらにソーサリー)を作って入るが、伝説の存在といえばその大多数はクリーチャーである。また、伝説の存在は比較的大きく派手なものにする傾向がある。そのため、伝説の存在を詰め込んだデッキは、ほとんどのデッキに比べて柔軟性が低くなる。つまり、必要な実用性を得るためにはテーマを破らなければならない傾向があるということである。

ここで、アーティファクトを追加することが魅力的に見えた理由がわかることだろう。開封比を引き下げる(訳注:正しくは「引き上げる」)助けとなる、コモンやアンコモンのアーティファクトを印刷することができる。マナ・カーブを埋める助けとなる、軽いアーティファクトを作ることができる。アーティファクトは、重い多色カードをプレイする助けとなる、ランプや色の追加に有用である。そしてアーティファクトはあらゆる実用性をもたらすことができるのだ。アーティファクトは単にテーマ的にいい組み合わせだと言うだけではなく、伝説の存在の大きな問題となる隙間を埋める助けとなるのだ。

私がメカニズムについて話すとき、そこにはさまざまなものがある。派手さを加えるもの。フレイバーを加えるもの。実用性を加えるもの。しかし、メカニズムの中には、私が接着メカニズムと呼んでいるものが存在する。それらは、セットを成立させるものである。それらは、あらゆるものを繋ぎ合わせるものである。デザインの観点から言うと、接着メカニズムは大黒柱なのだ。



伝説を再び扱うにあたり、重要だったのが、アーティファクトなどと伝説をひとまとめにすることでした。
これにより、伝説だけを扱う場合の問題点をクリアすることができました。

神河ブロック全体で伝説であるコモンは1枚もなく、伝説を参照するコモンは《狐の癒し手/Kitsune Healer》ただ1枚だけです。
これがプレビュー・カードだったので、伝説テーマであることを示唆したかったようですが……。
一方、ドミナリアでは歴史的であるコモンは11枚、歴史的か伝説を参照するコモンは9枚にまで増えました。
神河での教訓を活かせたと言えます。
神河自作 - 中心的テーマ
次元をリメイクするにあたり、変えることと変えないことを検討しました。いくら失敗したとはいえ、何もかもを変えてしまっては、「それはもう神河ではない」というものになりかねません。かといって何も変えなければ、ただ二の轍を踏むだけです。

まず検討したのがテーマです。神河のテーマは「伝説」でした。

元々は1.トップダウンの1.日本的フレイバー、2.人間と神の戦い、3.部族要素(主にスピリット)、4.伝説関連テーマと色々な要素がありました(詳細は前回の記事を参照)。その中から中心的なテーマとして、「4.伝説関連テーマ」が選ばれました(そしてその扱い方で大失敗をしました)。

神河をリメイクするにあたり、中心的テーマを伝説関連から切り替えようと考えています。単に伝説テーマで失敗したから、というだけではありません。「テーマがコモンに存在しないなら、それはテーマではない」という重要な教訓の通り、中心的テーマにするならコモンでもそれが分かるようにすべきです。単純に伝説のみをテーマとする場合、それを扱ったコモンを十分な枚数用意することは難しいと考えています。

次に、他のテーマを中心的なものにする場合、何が適当かを検討します。
「1.日本的フレイバー」や「3.部族要素(主にスピリット)」はコモンでも扱いやすいでしょう。「2.人間と神の戦い」も、コモンで扱うことは十分可能です。
しかし、この戦いはそもそもイレギュラーなことであり、神河を定義するようなことではありません。この戦いをテーマにするのは、ゼンディカーのテーマを「エルドラージとの闘い」にするような違和感があります。

今回は、残りの2つから「1.日本的フレイバー」を選びます。「3.部族要素(主にスピリット)」は、そのフレイバーを表現するための道具(サブテーマ)という扱いとします。イニストラードのテーマが「ホラー」であり、墓地メカニズムや部族はそのテーマのために存在するようなものです。

メカニズムを決めるにあたっては、「日本的フレイバー」という点から検討したいと思います。
神河教訓 - テーマがコモンに存在しなければ、それはテーマではない
神河教訓 - テーマがコモンに存在しなければ、それはテーマではない
神河は「伝説」をテーマにしたエキスパンションです。
しかし、その扱いで大失敗を犯してしまいました。

その反省点は「テーマがコモンに存在しないなら、それはテーマではない。」という大きな教訓となりました。

Making Magic -マジック開発秘話- 2013.6.26 モダンばなし その1
https://mtg-jp.com/reading/mm/0004234/

神河ブロック
私はこのコラムを通じて自分の成功についてよく語るが、この話は私の最大の失敗の1つだ。面白いことに、これはモダンの10ブロックの中で唯一、デザイン・チームに私が1つも所属していなかったブロックの間に起こったことである(連繋などこのブロックで使われたいろいろなものをデザインしていたのでクレジットには名前があるが、デザイン・チームには所属していなかったのだ)。私は神河物語のデベロップ・チームに所属していた。そして、そのときに事件は起こったのだ。

『神河物語』はトップダウンでデザインされた初のエキスパンションであった(大型セットについては。おそらく、最初に作られたトップダウンのエキスパンションとなると『Arabian Nights』だろう)。このセットは、日本、そして日本の神話の雰囲気を再現しようとして作られたのだ。話の筋となるのは、人間と世界の精霊である神との対立だった。

いくつものデベロップ会議の中で、私は、このセットには焦点がないと感じていると主張した。日本の神話から触発された要素が存在する。人間と精霊との戦が存在する。伝説のパーマネントというテーマが存在する。このセットはいろいろなことをしているが、広がりすぎているのだ。1つの要素を取り上げ、それをセットの中心に据えるべきだ。その要素が何であるにせよ、何か1つを選ばなければならないと私は主張した。

長い議論の後、デベロップ・チームは伝説のパーマネントという一面に焦点を当てることにした。「オーケー。それなら、それが焦点だとわかるように充分強調する必要があるな」私は言ったのだ。そのために、私はいくつかのことを提案した。アンコモンの伝説のクリーチャーを作ること、伝説のパーマネントのデザイン範囲を広げること(バニラの伝説のクリーチャーを作れる、という例として《今田家の猟犬、勇丸》を作った)、レアについてはさらにそれ以上。そこで私は言ったのだ、レアのクリーチャーは全て伝説のクリーチャーにすべきだ、と。

後で見ると、これは酷い判断だった。この判断の結果、我々は平均以下の伝説のクリーチャーを量産するしかないという状況に陥ったのだ。全てのレアのクリーチャーを強くしたり、魅力的にしたりすることはできないので、綺羅星のようには輝かない伝説のクリーチャーを作らざるを得なくなり、価値を落とすことになったのだ。

さらに、レアでのそれ以上というのは、全体としてはほとんど意味を持たなかった。先週言ったとおり、テーマの重要性は開封比で評価されるが、伝説のクリーチャーのあまりにも多くがレアだったので開封比は非常に低い値になった。これが私のよく言う、「テーマがコモンになければ、それはテーマではない」という教訓の元になったのだ。

結果として非常に価値の高い教訓を得ることができたにせよ、全てのレア・クリーチャーを伝説に、というのは大きな誤りだった。



Making Magic -マジック開発秘話- 2016.5.10 塩が失敗を美味しくするから
https://mtg-jp.com/reading/mm/0016961/

『神河物語』ブロック
面白いことに、私は『神河物語』のデザイン・チームには所属していなかったが、デベロップ・チームに所属していた。トップダウンの日本的フレイバー、戦、部族要素(主にスピリット)、「伝説関連」テーマ。デベロッパーとして私が気になったのは、このセットは充分に集約できていないので、どの一面を中心にして押し出すかを決めなければならない、ということだった。

私はデベロップ・チームの回答が定まるまでこの質問を投げかけ続けた。そして、その答えは伝説関連に集約したいというものだった。何と言っても、これは『神河物語』なのだ。それなら、もっとテーマを強化しなければならない、と私は言った。まだ充分に目立っているとは言えなかったのだ。問題は、「伝説の」は低いレアリティには存在しないものだということだった。当時は、ほとんどレアにしか存在しなかった(神話レアはまだ存在していない)。

私の考えは非常に思い切ったものだった。それなら、すべてのレア・クリーチャーを伝説のクリーチャーにしたらどうか。さらには、アンコモンの伝説のクリーチャーを作ることも提案した。そうすれば、テーマを強く押し出すことができる。この考えは大災害だと証明されることになった。

伝説のクリーチャーの数を限っているのには理由がある。特別なものにしたいのだ。レア・クリーチャーすべてを伝説のクリーチャーにすれば、すべてのレア・クリーチャーを強くすることはできないので、必ず弱い伝説のクリーチャーを作らなければならなくなる。

さらに悪いことに、それによって問題は解決されていなかった。大量の『神河物語』のパックを開けても、伝説関連がテーマであるということはなんとなく分かる程度だったのだ。

このことから、次の教訓が得られた。

テーマがコモンに存在しないなら、それはテーマではない。

これは単純な考えだが、私もこの大失敗をするまではこの問題に気づいていなかったのだ。開発部は望むテーマをセットのメインテーマとして提示できるが、プレイヤーがそうだと気づかなければ意味がない。テーマはただ作る側が考えるだけでなく、受け手が認識しなければならないのだ。我々が考えていたテーマが隠れていたら、プレイヤーは何か目に止まったものを取り上げ、それがテーマだと考えることになる。それで? それこそが、テーマなのだ。



この教訓はよほど大きなものだったらしく、神河に言及していないコラムでも度々見られます。

翻訳記事その他 2012.12.24 新世界秩序
https://mtg-jp.com/reading/translated/0004040/

たとえば、私は「もしテーマがコモンで見られないなら、それはテーマではない」としばしば言っています。


Making Magic -マジック開発秘話- 2014.6.18 よりよい罠の作り方
https://mtg-jp.com/reading/mm/0010769/

私のデザイン上の格言の1つに、「テーマがコモンに存在しなければ、それはテーマではない」というものがある。


Making Magic -マジック開発秘話- 2016.6.14 20の年、20の教訓 その3
https://mtg-jp.com/reading/mm/0017039/

マジックにおける私の座右の銘の1つに、「テーマがコモンに存在しなければ、それはテーマではない」というものがある。


Making Magic -マジック開発秘話- 2018.5.15 こぼれ話:『ドミナリア』 その1
https://mtg-jp.com/reading/mm/0030568/

『神河物語』は、「テーマがコモンに存在しないなら、それはテーマではない」という私の有名な言葉の元になっている。



Making Magic -マジック開発秘話- 2018.5.29 こぼれ話:『ドミナリア』 その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0030596/

私の「テーマがコモンに存在しなければ、それはテーマではない」は決まりではなく、そのセットのやっていることをユーザーが理解できるようにするための格言である。



「基本根本」という、エキスパンションの作り方を解説したコラムでも取り上げられています。

Making Magic -マジック開発秘話- 2013.2.20 基本根本:初期プレイテスト
https://mtg-jp.com/reading/mm/0004217/

私のデザイン上の格言の一つに、「テーマがコモンに存在しなければ、それはテーマではない」というものがある。



神河の大失敗はひどい物だったようですが、そこから得られた教訓は広範囲に影響を及ぼしています。
失敗は成功の元、の好例と言えるかもしれません。
神河自作 - 方針
神河に関する公式コラムなどを読み進めるうち、「もし神河をリメイクするならここはどうなるのか?」ということを何度も考えるようになりました。

「神河自作」と題した日記では、そうした考えのもとに出来上がった自作のメカニズム、カードなどを書いていきます。

まず、制作上の方針をいくつか決めました。

1.和風要素の取り入れ方を変える
神河は日本、特に日本神話をモチーフにしています。しかし、プレイヤーには馴染みの薄いモチーフであり、人気が得られませんでした。そこで、もっと親しみのあるモチーフ(おとぎ話など)を使います。日本神話も、有名なもの(三種の神器など)は使っていく予定です。

2.メカニズムの刷新
神河にはメカニズムにおいてはも反省点が多いです。大半のメカニズムは作り直す予定です。忍術は人気も実績もあるので、そのまま採用するかもしれません。元の神河要素が何もない、というのも寂しい話ですし。

3.短期決戦
オリジナルカードを作っていき、ゆくゆくは1つのエキスパンションとしてまとめることを考えています。できる限り完成したいのは当然ですが、完成できなかった場合は明確に打ち切りを宣言するようにします。モチベーションのあるうちに作れるだけ作る予定です。

具体的なカードやメカニズムは明日以降書いていきます。
神河教訓 - ブロック全体
神河ブロックは、売り上げが低い、人気がない、メカニズムは反省点だらけ、など悪い点が公式コラムで教訓や反面教師として名前があがります。

「神河教訓」と題した日記では、そうした公式コラムを取り上げて、内容を分析します。

まずは、ブロック全体を俯瞰した話であるラバイア値から見ていくことにします。

Making Magic -マジック開発秘話- 2018.11.13 ラバイア値 その1
https://mtg-jp.com/reading/mm/0031380/

神河
過去の訪問:『神河物語』『神河謀叛』『神河救済』

人気:不評
すべての投票の中で、これが最も評価の低かった世界である。近年になって昔の世界について尋ねたときでさえ、神河は最低かその付近に位置する。つまり、神河には少数だが非常に情熱的で主張の強いファンが存在するので、私のブログやソーシャルメディアではよく話題になることがある。

メカニズム的特徴:貧弱
『神河』ブロックは、強いメカニズム的特徴を作る上で素晴らしい働きはしなかった。このセットはトップダウンにデザインされたものだが、『イニストラード』のようなメカニズム的まとまりはなかった。神(スピリット)まわりに最も明確な要素があったが、それはブロックの鍵となる対立である戦争を扱うものであり、再訪時には重要な役割は果たさないだろう。

クリエイティブ的特徴:平均
神河はその元ネタに非常に忠実だったが、ユーザーの多数にとって芳醇だとは言えない空間を多く扱っていて、セットをまとまったものというよりも「奇妙な」ものに感じさせていた。もちろん独自の外見を持っていたが、それは市場調査でいい評価を受けるものではなかった。時が流れて、統率者戦ができたことで、いくらかの新しいファンがつくようになっている。

拡張の余地:中等
『神河』ブロックは物語的には千年以上前の話であり、再訪時には多くのことを変化させることができる。最大の問題は、どんな新しいものが入れられるかではなく、どんな古いものが期待されているかである。再訪時に何が望まれているのか、時間をかけてソーシャルメディアで情報を集めたが、その返事は非常に広範なものだった。最も望まれていたのは、それぞれに問題があるさまざまなクリーチャー・タイプの再録だった。

物語の継続性:小さな物語
『神河』の物語はほとんど終わりを迎えているが、拾うことができる伏線はいくつか残っている。ただしどれも現在の物語にそれほど関わるものではない。物語的に最大の可能性があるのは、神河出身のプレインズウォーカー、タミヨウの周辺である。現在の物語において神河の話が出てくるのはほとんどがタミヨウを通してなので、再訪はおそらく彼女に焦点を当てる必要があるだろう。

ラバイア値:8
ソーシャルメディアで何度も表明したとおり、この再訪は最初の訪問がどれだけ悲惨なものだったかということが内部的な障壁になっている。再訪を妨げる最大の要素は、どれだけのものを変えて、それでいて神河であり続けるようにすることができるかである。このセットで再録したいメカニズム空間は限りなく小さく、元ネタから始めるのであればクリエイティブ的選択も多くが違うものになるだろう。再訪の機会がまったくないとは言わないが、大きいものではない。


以上の通り、神河次元への再訪はかなり厳しい状況です。

ただし、再訪を望む声があるのも確かです。

Making Magic -マジック開発秘話- 2016.3.8 おしえてあなたの望むこと
https://mtg-jp.com/reading/mm/0016593/

要求#1:作ってほしいブロック
プレイヤーは舞台になる世界に非常に興味があるので、将来のブロックの舞台としていろいろな提案を投げてくる。

......お気に入りの世界に戻りたい
『ミラディンの傷跡』、『ラヴニカへの回帰』、『戦乱のゼンディカー』、『イニストラードを覆う影』を見ると、我々は一度訪れた世界を再訪するつもりがあるということは明らかだ。したがって、これまで訪れたことがあるあらゆる場所への再訪を求める声がある。その中でも特に多かったものとして、以下のものが挙げられる。

神河 ― 統率者戦の人気からか(『神河物語』ブロックのすべてのレア・クリーチャーは伝説のクリーチャーである)、日本をモチーフにしていることからか、神河への再訪を求める声は多い。



Making Magic -マジック開発秘話- 2019.3.12 それは「どこ」にある
https://mtg-jp.com/reading/mm/0032157/

Q.来年実際に再訪する中で、ファンが最も再訪を望んでいる次元はどこですか?

A.私のブログで、時々、「好奇心から知りたい」と銘打って、反響を求めるための質問をすることがある。1月に投稿した質問(リンク先は英語)はこれだ。

今日の情報収集では、スタンダードで使える今後のセットでどの次元を訪れてほしいか、を知りたい。返事は次のような書式にしてくれたまえ。1位から順に最大5つまで、お気に入りを並べてほしい。5つまで選ばなくてもいいが、最大でも5つまでにしてもらいたい。1つ目に書くのは、将来一番訪れて欲しい次元にすること。

この質問を私が使っているすべてのソーシャルメディアで投稿し、Redditのような場所からもいくらかのリンクを得た。(Tumblrで回答できない場合はメールでの回答も受け付け、それらすべてを数えたのだ。)これによって得た大量の回答を、これから諸君に公開しよう。その前に、3つ説明しておくことがある。

1.私のソーシャルメディア・アカウントは、マジックに熱心なプレイヤーが多い。より多くのマジック・プレイヤーを対象に、市場調査で行なったなら、これとは少しばかり異なる結果になっていたことだろう。

2.各人に、好きな順番で最大5つの次元を選ぶように頼んでいる。以下のデータは重み付けがなされたものである(1番目が5点、2番目が4点、以下同様)。

3.この質問をしたのは1月であり、『ラヴニカの献身』が出たところであった。最近訪れた次元の点数が下がっているのは明らかである。これを3年前に聞いていれば、おそらく回答はいくらか違うものになっていたことだろう。

上位30位の回答は、以下の通りである。
1.ローウィン/シャドウムーア (969)
2.神河 (819)
3.タルキール (690)
4.テーロス (682)
5.ミラディン/新ファイレクシア (560)


マロー個人レベルでの話ですが、神河ブロックをやり直したいモチベーションはあるようです。

Making Magic -マジック開発秘話- 2015.11.17 「何」の話
https://mtg-jp.com/reading/mm/0016021/

Q.やり直したいと思っているセットやブロックを1つ選ぶとしたら何ですか?
A.私が個人的にデザインに関わったものの中から選ぶなら、『シャドウムーア』だ。そうでなくてもいいなら、『神河物語』ブロック。


こうしたこともあってか、新規カードが作成され、特殊セットに収録されています。
例:統率者2017の《復讐の神、大口縄》

特に、忍者は新規カードが何度も作られており、その中には構築で目にするものもあるほどです。
例:プレインチェイス2012の《逆嶋の学徒》、統率者2018の《虎の影、百合子》、モダンホライゾンの《巧妙な潜入者》
万が一、公式に再訪することがあっても、忍術はそのまま残されるかもしれません。

冒頭に書いた通り、神河の反省点を活かした事例は非常に多いです(詳しくは追々書きます)。
そうした意味では、作る価値があったセットだったと言えます。
また、そうした教訓を生かして、オリジナルエキスパンションを作成する予定です。
神河ブロックについてのコラムの調査や、神河次元のオリジナルエキスパンションを考察しています

以下、カードリストなどをまとめています

ビジュアルギャラリー
『神河物語/Champions of Kamigawa』
https://gatherer.wizards.com/Pages/Search/Default.aspx?output=spoiler&method=visual&action=advanced&set=%5B%22Champions+of+Kamigawa%22%5D
『神河謀叛/Betrayers of Kamigawa』
https://gatherer.wizards.com/Pages/Search/Default.aspx?output=spoiler&method=visual&action=advanced&set=%5B%22Betrayers+of+Kamigawa%22%5D
『神河謀叛/Saviors of Kamigawa』
https://gatherer.wizards.com/Pages/Search/Default.aspx?output=spoiler&method=visual&action=advanced&set=%5B%22Saviors+of+Kamigawa%22%5D
『神河:輝ける世界/Kamigawa: Neon Dynasty』
https://gatherer.wizards.com/Pages/Search/Default.aspx?output=spoiler&method=visual&action=advanced&set=+%5b%22Kamigawa%3a+Neon+Dynasty%22%5d

CARD GALLERY
『神河物語』のカード
https://mtg-jp.com/products/card-gallery/0000009/
『神河謀叛』のカード
https://mtg-jp.com/products/card-gallery/0000007/
『神河謀叛』のカード
https://mtg-jp.com/products/card-gallery/0000060/
『神河:輝ける世界』のカード
https://mtg-jp.com/products/card-gallery/0000223/
『神河:輝ける世界 統率者デッキ』のカード
https://mtg-jp.com/products/card-gallery/0000226/

読み物 カードリスト(個別) 2013.12.9
神河物語
https://mtg-jp.com/reading/cardlist/list/0002398/
神河謀反
https://mtg-jp.com/reading/cardlist/list/0002399/
神河救済
https://mtg-jp.com/reading/cardlist/list/0002400/

Magic: the Gathering. Informations カードリスト
= Champions of Kamigawa Card List = 神河物語 カードリスト
http://www.jfkmagic.sakura.ne.jp/mtg/CHK_list.txt
= Betrayers of Kamigawa Card List = 神河謀叛 カードリスト
http://www.jfkmagic.sakura.ne.jp/mtg/BOK_list.txt
= Saviors of Kamigawa Card List = 神河救済 カードリスト
http://www.jfkmagic.sakura.ne.jp/mtg/SOK_list.txt

Wisdom Guild カードリスト
神河物語
http://whisper.wisdom-guild.net/cardlist/ChampionsofKamigawa/
神河謀叛
http://whisper.wisdom-guild.net/cardlist/BetrayersofKamigawa/
神河救済
http://whisper.wisdom-guild.net/cardlist/SaviorsofKamigawa/
神河:輝ける世界
http://whisper.wisdom-guild.net/cardlist/KamigawaNeonDynasty/
神河:輝ける世界統率者デッキ
http://whisper.wisdom-guild.net/cardlist/KamigawaNeonDynastyCommander/

Wisdom Guild カードリスト テキスト形式
神河物語
http://whisper.wisdom-guild.net/cardlist/CHK.txt
神河謀叛
http://whisper.wisdom-guild.net/cardlist/BOK.txt
神河救済
http://whisper.wisdom-guild.net/cardlist/SOK.txt
神河:輝ける世界
http://whisper.wisdom-guild.net/cardlist/NEO.txt
神河:輝ける世界統率者デッキ
http://whisper.wisdom-guild.net/cardlist/NEC.txt

MTG wiki
神河/Kamigawa
http://mtgwiki.com/wiki/%E7%A5%9E%E6%B2%B3/Kamigawa
神河ブロック
http://mtgwiki.com/wiki/%E7%A5%9E%E6%B2%B3%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF
神河固有名詞対訳
http://mtgwiki.com/wiki/%E7%A5%9E%E6%B2%B3%E5%9B%BA%E6%9C%89%E5%90%8D%E8%A9%9E%E5%AF%BE%E8%A8%B3
無頼の徒/Outlaw: Champions of Kamigawa
http://mtgwiki.com/wiki/%E7%84%A1%E9%A0%BC%E3%81%AE%E5%BE%92/Outlaw%EF%BC%9AChampions_of_Kamigawa
KamigawaTrivia
http://mtgwiki.com/wiki/KamigawaTrivia
背景世界/読み物
http://mtgwiki.com/wiki/%E8%83%8C%E6%99%AF%E4%B8%96%E7%95%8C/%E8%AA%AD%E3%81%BF%E7%89%A9
カード個別評価:神河物語
http://mtgwiki.com/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89%E5%80%8B%E5%88%A5%E8%A9%95%E4%BE%A1%EF%BC%9A%E7%A5%9E%E6%B2%B3%E7%89%A9%E8%AA%9E
カード個別評価:神河謀叛
http://mtgwiki.com/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89%E5%80%8B%E5%88%A5%E8%A9%95%E4%BE%A1%EF%BC%9A%E7%A5%9E%E6%B2%B3%E8%AC%80%E5%8F%9B
カード個別評価:神河救済
http://mtgwiki.com/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89%E5%80%8B%E5%88%A5%E8%A9%95%E4%BE%A1%EF%BC%9A%E7%A5%9E%E6%B2%B3%E6%95%91%E6%B8%88
カード個別評価:神河:輝ける世界
http://mtgwiki.com/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89%E5%80%8B%E5%88%A5%E8%A9%95%E4%BE%A1%EF%BC%9A%E7%A5%9E%E6%B2%B3%EF%BC%9A%E8%BC%9D%E3%81%91%E3%82%8B%E4%B8%96%E7%95%8C
カード個別評価:神河:輝ける世界統率者デッキ
http://mtgwiki.com/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89%E5%80%8B%E5%88%A5%E8%A9%95%E4%BE%A1%EF%BC%9A%E7%A5%9E%E6%B2%B3%EF%BC%9A%E8%BC%9D%E3%81%91%E3%82%8B%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%B5%B1%E7%8E%87%E8%80%85%E3%83%87%E3%83%83%E3%82%AD
神河物語
http://mtgwiki.com/wiki/%E7%A5%9E%E6%B2%B3%E7%89%A9%E8%AA%9E
神河謀叛
http://mtgwiki.com/wiki/%E7%A5%9E%E6%B2%B3%E8%AC%80%E5%8F%9B
神河救済
http://mtgwiki.com/wiki/%E7%A5%9E%E6%B2%B3%E6%95%91%E6%B8%88
神河:輝ける世界
http://mtgwiki.com/wiki/%E7%A5%9E%E6%B2%B3%EF%BC%9A%E8%BC%9D%E3%81%91%E3%82%8B%E4%B8%96%E7%95%8C
Kamigawa - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Kamigawa


公式でブロック全体まとめ
KAMIGAWA BLOCK VIGNETTE ROUNDUP Posted in Arcana on June 7, 2005
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/arcana/kamigawa-block-vignette-roundup-2005-06-07

神河掌編リンク一覧
https://mtg.fandom.com/wiki/The_Kamigawa_Vignettes
https://hopelessly-vorthosian.tumblr.com/post/158403099875/kamigawa-short-stories
https://askkrenko.tumblr.com/post/158395341225/kamigawa-short-stories/amp
https://imakethecard.tumblr.com/post/158383861873/kamigawa-short-stories

神河掌編リンク個別URL

『神河物語』
山の秘密
https://web.archive.org/web/20090201101321/http://www.wizards.com/Magic/TCG/Article.aspx?x=magic/chk/kumano
何もかも
http://web.archive.org/web/20070826054319/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/chk/azami,,ja
義務の縛め
https://web.archive.org/web/20070910235211/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/chk/takeno,,ja
八ツ尾半
https://web.archive.org/web/20050404192211/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/chk/eighthalf,,ja
安全
https://web.archive.org/web/20050101113457/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/chk/horobi,,ja
囁かれる言葉
http://web.archive.org/web/20050224232843/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/chk/unspeakable,,ja
龍の手下
https://magic.wizards.com/ja/ja_ur_20150506
https://mtg-jp.com/reading/ur/MM2/0014892/
恩知らずの子
https://web.archive.org/web/20050224232530/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/chk/iname,,ja
氷と炎の縛め
http://web.archive.org/web/20050204115215/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/chk/yamazaki,,ja
龍の盾
https://web.archive.org/web/20070831000058/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/chk/jugan,,ja
囁かれる言葉
https://web.archive.org/web/20050224232843/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/chk/unspeakable,,ja

『神河謀叛』
僕 ( しもべ ) の使命
https://web.archive.org/web/20071120070325/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/bok/inkeyes,,ja
悪忌の守護神
https://web.archive.org/web/20060630031347/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/bok/patron,,ja
己が闘い
https://web.archive.org/web/20050214213716/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/bok/iwamori,,ja
償いの笑み
http://web.archive.org/web/20050301015638/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/bok/kentaro,,ja
蟋蟀鳴くや
https://web.archive.org/web/20081026173037/http://www.wizards.com/Magic/TCG/Article.aspx?x=magic/bok/higure

『神河救済』
戦の報い
http://web.archive.org/web/20060319141218/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/sok/kataki,,ja
The Face Behind the Mask
http://web.archive.org/web/20080312005743/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/sok/sakashima
The Meeting
http://web.archive.org/web/20080415035815/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/sok/kirin
Iizuka the Ruthless
http://web.archive.org/web/20080415035810/http://www.wizards.com/default.asp?x=magic/sok/iizuka
The Last Visitor
http://web.archive.org/web/20140715002804/http://archive.wizards.com/Magic/tcg/article.aspx?x=magic/sok/ayumi


壁紙
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https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-jugan-rising-star-2004-10-15
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-unspeakable-2004-10-22
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-ink-eyes-servant-oni-2005-01-07
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-patron-akki-2005-01-14
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-iwamori-open-fist-2005-01-21
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-kentaro-smiling-cat-2005-01-28
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-higure-still-wind-2005-02-04
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-cursed-ronin-2005-02-11
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-honden-seeing-winds-2005-02-25
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-hearth-kami-2005-03-11
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-gods-eye-gate-reikai-2005-03-25
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-genju-falls-2005-04-08
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-yomiji-who-bars-way-2005-04-15
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-body-jukai-2005-04-22
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-kataki-wars-wage-2005-05-06
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-sakashima-impostor-2005-05-13
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-infernal-kirin-2005-05-20
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-iizuka-ruthless-2005-05-27
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-azumi-last-visitor-and-skyfire-kirin-2005-06-03
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/arcana/wallpaper-evermind-2005-06-17
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-hail-arrows-2005-06-24
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-masumaro-first-live-2005-07-08
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-oboro-palace-clouds-2005-07-15
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/wallpaper-week-eternal-dominion-2005-07-22


補足
2022/02/28 ネオ神河についても追記

< 37 38 39 40 41 42 43

 

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