神河現代 - 指針アンコモンとドラフトアーキタイプ
神河現代 - 指針アンコモンとドラフトアーキタイプ
神河現代 - 指針アンコモンとドラフトアーキタイプ
最近では、リミテッド向けに、アンコモンの2色10枚サイクルが作られています(※1)。
開発部語では、「指針アンコモン/Signpost Uncommon」と呼ぶそうです(※2)。

先日公開されたフルスポイラーから、そうしたカードをまとめ、ドラフトのアーキタイプを考察します。

白青:機体、《神童の試作機》
https://media.wizards.com/2021/neo/jp_F1zHa2BPLW.png

青黒:忍者、《銀毛の達人》
https://media.wizards.com/2021/neo/jp_ZOqUqybdSP.png

黒赤:サクリファイス、《鬼流の金床》
https://media.wizards.com/2021/neo/jp_YfJKS3mcio.png

赤緑:改善、《活力の温泉》
https://media.wizards.com/2021/neo/jp_igfTPsIOMY.png

緑白:エンチャント、《樹海の自然主義者》
https://media.wizards.com/2021/neo/jp_jX9C6tCDLa.png

白黒:調和(※3)、《秩序の柱、直美》
https://media.wizards.com/2021/neo/jp_yljH4oKDcS.png

黒緑:墓地、《闇叫び》
https://media.wizards.com/2021/neo/jp_nuIbmNvGeV.png

緑青:魂力、《巨大な空亀》
https://media.wizards.com/2021/neo/jp_9ronA5Xr9N.png

青赤:アーティファクト、《熱心なメカ乗り》
https://media.wizards.com/2021/neo/jp_G8QF5iiBLF.png

赤白:侍、《浅利の隊長》
https://media.wizards.com/2021/neo/jp_scUjbTvMjh.png

基本的には、ネオ神河のメカニズムをアーキタイプとし、残りを典型的なアーキタイプで埋めている形でしょうか。

少し気になったのは、白黒だけが伝説のクリーチャーであることです。
伝説をテーマとした『ドミナリア』では、2色10枚サイクルは全て伝説でした(※4)。
同じく伝説テーマの神河で、そうしなかった理由が気になりました。
統率者需要の点からも、カードパワーの点からも、伝説である方が利点が多そうです。
ただ、統率者に使用したいであろうクリーチャーという点であれば、アンコモンでなく、神話レアでやれば良いという話です。
例えば、赤白の侍の場合、同じ色の《嵐の切先、雷遊》がありますし、黒にも侍がいることを考えれば《二天一流、一心》も選択肢になるでしょう。
また、伝説のクリーチャーでサイクルとするならば、一部だけただの置物だとバランスに欠けます。
そうしたことから、基本的に伝説でないのかもしれません。
白黒だけ伝説なのは、達成しにくい条件であることを考えて、多少カードパワーを上げるための調整ということでしょう。

また、ドラフトの選択肢を面白くするためには、2つ以上のアーキタイプでも使えるカードが必要です。
その点も、比較的うまくできていると思います。
例えば、英雄譚は、エンチャントテーマや調和に、カウンターが置かれるので改善に、自壊するので墓地利用に、と多数に渡ります。
換装は、新メカニズムでありながら、アーキタイプの主軸にはなっていません。
しかし、改善やアーティファクトテーマに合致するので、そうした橋渡しの役割があれば十分でしょう。
あとは単純に枚数の都合もあるでしょうが。

※1
神河自作 - 考察:2色10枚アンコモンのサイクル
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202003222028244591/

※2
Making Magic -マジック開発秘話- 2022.1.11 開発部語辞典2022
https://mtg-jp.com/reading/mm/0035710/

※3
アーティファクトとエンチャントを両方コントロールすることを指すメカニズムの俗称。
以下の記事を参照。
Making Magic -マジック開発秘話- 2022.2.1 『世界』の創造 その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0035762/

※4
『ドミナリア』公式ギャラリー
https://mtg-jp.com/products/card-gallery/0000154/

補足1
MTG wiki にも「指針アンコモン」の項目ができていました
http://mtgwiki.com/wiki/%E6%8C%87%E9%87%9D%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3

補足2
単色ごとに分類してみます

白:機体、エンチャント、侍、調和
機体のアーティファクトと調和、エンチャントと調和が兼任できる一方、侍は浮いてしまっています。

青:機体、忍者、魂力、アーティファクト
機体とアーティファクトが兼用できるぐらいで、あとは浮いています。強いて言えば、魂力はアーティファクトに付けられる、という程度です。

黒:忍者、サクリファイス、調和、墓地
サクリファイスと墓地や調和が少し兼用できる余地がある程度でしょうか。場に出す、生け贄に捧げる、墓地を再利用する、というのは綺麗な流れとも言えます。

赤:サクリファイス、改善、アーティファクト、侍
サクリファイス、改善の装備品、アーティファクトが兼用できる余地がある一方で、侍が浮いています。

緑:改善、エンチャント、墓地、魂力
改善とエンチャントが兼用できます。魂力と墓地は兼用はしませんがシナジーがあると言えるでしょう。

こうしてみると、アーティファクトとエンチャントを2大勢力としているだけあって、兼用できる余地は自然と大きくなっているのでしょう。
機体はアーティファクトの一部ですし、改善や調和はそれらをまとめて扱います。
サクリファイスはクリーチャーだけでなくアーティファクトもサクることができますし、魂力もアーティファクトやエンチャントにつける方針です。

忍者と侍の部族が他のアーキタイプとの兼用の余地が少ないです。
ただ、忍者は回避能力やETBなどとシナジーを発揮するため、他のカードと組み合わせる面白さはあります。
侍が他とのシナジーが少ないのが残念です。
白青で機体、青赤でアーティファクトと来ているので、赤白の侍は装備品とシナジーがあっても良さそうなものです。
ちょうど、『ゼンディカーの夜明け』においては戦士が装備品シナジーを持っているので、「侍か戦士が〜」とまとめた際に相性がいいでしょう。
同様の忍者とならず者も、サボタージュ能力をサブテーマとしていますし。
なお、赤緑の改善がオーラと装備品とカウンターを参照しているので、装備品だと単純に範囲が狭くなっています。
しかし、青赤がアーティファクトである一方で、白青はその一部である機体になっているので、そこは問題ないでしょう。
範囲が狭い分、効果を強力にすることで調整することも可能ですし。
また、改善が装備していることだけを参照しているのに対して、装備品のマナコストや起動コストを軽減したり、インスタントタイミングで付け替えたり、生け贄に捧げたり、などの方向で差別化することもできます。

部族をアーキタイプにすると、兼用カードが作りづらい、というのは自分でオリジナルエキスパンションを作ったときにも思ったことです。
神河自作 - 考察:2色10枚アンコモンのサイクル
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/202003222028244591/
この点を解消するには、先ほど触れた『ゼンディカーの夜明け』の職業ごとのメカニズム、というアイデアが使えると思います。

単純に部族を参照する場合、以下のような問題点が考えられます。
[1] クリーチャー以外は部族を持てない(というか廃止の方針)ので、クリーチャー以外のカードは、参照「する」ことはできても、参照「される」ことはできません。
強いて言えば、トークンを生成ですが、デザイン空間やバランスの面から多くは作れないでしょう。
[2] 参照するのは自分のパーマネントだけです。
[3] 参照する順番が一方方向です。まずクリーチャーを出して、それを対象に効果を及ぼす順番が基本です。
例:〜をコントロールしていたら効果アップとかコスト軽減というスペルの場合、生物→スペルの順でしか機能しません。
[4] 兼用カードが作りにくいです。
職業ならウィザード・戦士はまだ作れるでしょうが、種族で恐竜・吸血鬼などは難しいでしょう。
[5] フレイバーに欠ける。
ロードは「あなたがコントロールする[部族]は+1/+1の修整を受ける。」になりがちという問題に表されるように、[部族]にどれを入れても成り立ってしまい、その部族らしさが出てきません。

部族にメカニズムを持たせる場合、以下のように問題点を解消できます。
[1] クリーチャーの方が、クリーチャー以外を参照することができます。
例:戦士における装備品や、ウィザードにおけるスペル。
[2] メカニズムによっては対戦相手の何らかの状態・行動を参照できます。
例:ならず者における対戦相手の墓地。
[3] どちらが先でも機能できます。
例:切削するスペルと逆スレッショルドで強化するならず者の場合、生物とスペルを唱えるのはどちらが先でも機能します。
[4] 兼用カードが作りやすくなります。
[5] 部族ごとのフレイバーを出せます。
[6] 部族とメカニズムの両方向で参照することができます。
例:《空飛ぶ思考盗み》
「逆スレッショルドでならず者+1/+0(部族メカニズム→部族)」
「ならず者が攻撃するたび切削(部族→部族メカニズム)」

ただし、メカニズムにおいて格差が生じているのは否定できません。
たびたび例に出しているならず者は一旦達成すればほぼ維持できる上に、妨害されにくく、切削が勝ち手段にもなります。
一方で、戦士は装備品の枚数自体があまり多くないこともあって、今ひとつです。

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