今回の神河謀叛のプレビューカードを見たとき、僕は一年前に時を遡るたびに出ていた。ミラディンは新しいカード枠の新セットで、現在はアーロン・フォーサイスが書いてる「最新開発事情」も、当時はランディ・ビューラーの担当だった。そのランディの記事の中に、彼が《クラークの親指/Krark’s Thumb》のルール文を書くのにどれだけ苦労したかが書かれている。引用してみよう。「ミラディンには、我々が同時に複数を場に出したくないという理由によりレジェンドになったものがある」だそうだ。ランディ曰く。テンプレート・チームが新しいカードに対しルールの地雷原を慎重に進んでいく中で、開発部はしばしば……ルールのエキスパートが怪しいと思うでっぱりのあるところまで進み、そいつをとがった棒でつついてみるわけだ。ドカーン! とまあそれが、実際に《クラークの親指/Krark’s Thumb》に起こったことだ。……我々が本当に気にしていたのは、こいつが複数出ていたときに何が起こるかをプレイヤーが理解できるかどうかだった。……これによりもたらされた怪しげな事情が、マジックのルールのシステムの中でこのカードをあいまいで不確かなものにしてしまったのだ。
我々がエレガントな書式を作り出すたびに、あらゆる類のわかりづらいルール上の問題が持ち上がり続けた(大抵は無限ループになるか、まったく何もしないかどちらかだった)が、かといってルールに厳しい書式は不恰好だったし解釈も面倒だった。しばらくの間この問題に頭を悩まし続けた後、それはそれとしてクリエイティブ・チームがこのカードを伝説のパーマネントにしてはどうかと言っていたのを思い出した。そこで私は、これを伝説のアーティファクトにしてしまえばもう2個が同時に場に出ることはないということを提案してみた。そうすればもう我々がパズルを解く必要はなくなるからだ。
一部を斜体(※)にしたのは僕だ。なぜかって? ここが重要なところだからさ。なぜかって? いまやこんなカードが出るからさ。
《鏡の画廊/Mirror Gallery》
ルールだかプールだかなんだか知らないけどさ。
かつては2つの伝説のパーマネントを同時に出しておくことが不可能——不可能!——だったのを覚えてるかい? 昨日までの話しだけどさ? そんな日々は過去になったのさ。まあそれが問題になることはそんなになかった(《Gosta Dirk》が4枚並んで困るやつはいないだろう――島渡り持ちはずいぶんと島渡れずな気分になるだろうけど)けど、それが問題になるときは、とんでもない話になる。最初に気になったのは《クラークの親指》の件だ。僕だって、内部的な話とか、ミラディンの発売後に起こった話題をよく覚えてるよ。こいつが2枚同時に場に出たらどうするんだ、って話さ。結局、色々と回避してきた結果、《銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golem》と《人工進化/Artificial Evolution》と修繕テープとこっくりさんを全力で使っても、2枚の《クラークの親指》が同時に並ぶことはなくなった。でも、状況は変わるのさ (だからこそこっくりさんがいるってことだ)。
で、だ……《クラークの親指》が2枚出たらどうなるのか? この件についてはランディが一年前に答を出している。コイン1枚の代わりに4枚投げるんだそうだ。
引用元
鏡の画廊画の鏡 更新日 Feature on 2005年 1月 20日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E9%8F%A1%E3%81%AE%E7%94%BB%E5%BB%8A%E7%94%BB%E3%81%AE%E9%8F%A1-2005-01-20
※ここでは、斜体ではなく太字にして引用しています。
《鏡の画廊/Mirror Gallery》のプレビューですが、その前にミラディンのカードの話があります。
《クラークの親指/Krark’s Thumb》というカードは、「コイン投げの勝率は50%」という前提を変えてしまいます。コインを投げる枚数を1から2にしてしまうので、「複数並べると?」という疑問が出てくるところですが、「伝説にしてしまえば複数並ばない」として解決したようです。
これはこれでいい発想であるのですが、その「伝説にしたから複数並ばない」というところから逆転して「伝説が複数並ぶようになったら?」という発想にいたり、《鏡の画廊/Mirror Gallery》が出来たのだとしたら、それはもっと面白いものだと思います。逆転の発想で作られたカードの名前に「鏡」が入っているのなら尚更です。
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