プレビューの週に何を書くかは毎度難しいところなんですけど、コラムがMagic Online絡みだとするとそれがなおさらの話になります。私はMagic Onlineのプログラマーのアラン・カマーとレイチェル・レイノルズに、今回のプレビューカードに関して何か面白い話があったか聞いてみました。答はノーでしたが、一方で神河謀叛そのものには興味深い話が多数あったようで、それは今後の週のお楽しみということです。なので、それまでは私と皆さんだけで、このカードの世界に跳びこんでいきましょうか。
《霧の用心/Heed the Mists》
行ってやろうじゃないですか!
(JMSは水泳帽をかぶり……
……芝居がかったように腕を振り回し……
点々渦巻く霧に跳びこんでいく。)
イメージに用心
先に言っときますけど、《霧の用心》という名前をつけたのは私じゃないですよ。かっこいい名前がそうじゃないってのは残念ですけどね。神河の物語をわかっている皆さんなら、滝の上に建つ水面院についてよく知っているでしょう。その滝は神の世界との接点で、「霧」とか「帷」とかの言葉はあちらの世界を示す言葉なんですよ。例えば、《霧中の到達/Reach Through Mists》は滝を抜けて不死の世界の知識へと到達するってことですし、《帷の切断/Part the Veil》は神が滝を抜けて自分の世界へ引っ込むことを暗示してるんです。《帷の切断》のフレイバーも見て見ましょう。ということで、《霧中の到達》も《帷の切断》も《霧の用心》も(人間世界じゃなくて)神の魔法とつながってるので、秘儀になるんです。
まあそれはそれとして、私は《霧の用心》の何たるかが好きですね――あなたはプレインズウォーカーで、神のつぶやきに耳を傾けようと思って、その結果古代の知識が与えられるのです。時にはあなたはラッキーで、非常に劇的な知識を送られることもあるでしょう(《語られざるもの、忌話図/The Unspeakable》の知識なんか得た日には、カード9枚という爆発的な知識を手に入れられますし)。かつては霧から知識を得ようと目を向けたもの。今はただ理解できるを願うのみ。
はあ、《霧の用心》のフレイバーを書いたのも私じゃないんですよねぇ。ここで滝の帷の話をしているのは、水面院のお偉いさんの密師範です。
密が《不自然な速さ/Unnatural Speed》や《いましめの切断/Cut the Tethers》や《魂の裏切りの夜/Night of Souls’ Betrayal》のフレイバーで語っていた頃の“チキン・リトル”風の腰の引けっぷりから少し変わってくれたのは、私たちにとってはありがたいですね。それに、彼が最初の頃の予想をひっこめて、霧ばっかり見続けないようにしていたなら、彼は、《横殴り/Sideswipe》のフレイバーに書かれていたシチュエーションは回避できたんじゃないでしょうか。
真面目な話をすると、神河謀叛のフレイバー・テキストに書かれている神の乱の状況は実に絶望的です。密の口調が、(神河物語の頃の)心配から無力さへと変わっていくことには不思議はないです。
さて、ここでは密師範が帷の向こう側の神の声を聞こうとしています。クリストファー・ラッシュはうまい具合に霧自身を擬人化していますが、普通は神の姿ってのはこんな二つのまともな頭じゃなくて、もっと奇妙なやつですよね。まあ、このイラストの構成とか筆捌きについて一席ぶてるってんなら、しないでもないですが。一言で言うなら、こいつはかっこいいですし、青っぽいですし、密の顔も写真のように目を見張るほどリアルです。
え。何ですって? このカードの使い方について聞きたかったんですか?
引用元
電脳世界の用心 更新日 Feature on 2005年 1月 18日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/%E9%9B%BB%E8%84%B3%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E7%94%A8%E5%BF%83-2005-01-18
《霧の用心/Heed the Mists》のプレビュー記事です。最初にフレイバー面から解説されています。
「霧」というのは一般的な用語ですが、神河での霧は神の世界と関係が深い単語です。《霧中の到達/Reach Through Mists》もその一例として挙げられています。どちらも秘儀であることからもそれが分かります。
ただ、このイラストが「密師範が帷の向こう側の神の声を聞こうとしている」ということになっているのが不思議です。どうみても《水面院の師範、密/Hisoka, Minamo Sensei》とは似ても似つかないのですが……。フレイバーテキストにあるように「かつて」の姿なのかもしれませんが、そうだと考えられる材料もとくにありません。
2021/03/12 追記
以下の記事において、「イラストは密師範ではなく、その学徒の一人である」と訂正が入りました。
INTOTHEAETHER GOES GIANT HUNTING Posted in Feature on January 25, 2005
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/intotheaether-goes-giant-hunting-2005-01-25
また、人物のモデルはラストサムライでの真田広之(清麻呂の末裔は同作の福本清三)というツイートも見かけました。
https://twitter.com/tamatamafurufur/status/899478413072781315
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