神河当時 - 反転と他メカニズムとの組み合わせ
2021年2月12日 Magic: The Gathering
昨日の記事の続きです。
反転メカニズムをどう拡張するか?過去のメカニズムのパターンを検討した結果、「新たな使い方を見つける」パターンから、「反転条件を変更する」というアイデアが出されました。
最初は時間経過が条件でしたが、それではアクティブさに欠け、他のカードとのシナジーも発生しません。そこで、「メカニズムの組み合わせ」パターンから、スピリットクラフト(秘儀/スピリット誘発)になった、という経緯のようです。
ここでは明言されていませんが、反転後がスピリットになったのも、その兼ね合いでしょう。ただ、気になるのは、反転前がスピリットでないことです。『神河物語』では反転前後が両方とも神でない住民だけでした。反転条件がスピリット側のメカニズムなのですから、反転前後が両方とも神である方が自然です。神でない住民が神になることがあるのは分かりますが、それとは別に作られても良さそうなものです。こういう場合、単純に枚数の都合で作られなかった、という理由なのかもしれません。
他のメカニズムとの融合という点では、『神河物語』でも反転後の《冷酷なる者、謙造/Kenzo the Hardhearted》が武士道を持っていますが、ただそれだけです。反転前の《新参の武士/Bushi Tenderfoot》の反転条件は、それと関連性が薄いと言うか、むしろそれを反転前にこそ持っているべきものですから。そういう点からみても、反転条件が反転後の能力にも活かされている、スピリットクラフトとカウンターは、見事な融合と言えるでしょう。
ぐるっと回して
神河謀叛の反転カードが異なった反転条件を持つとしたらどうだろうか?
様々な選択肢を探ってみた結果、マイクは最後の方法に引かれていったようだ。反転カードを使う新しい方法は無いか? その答えとしては、カードのキーになる部分を変更する方法を見つければいい——反転条件だ。神河物語においては、カードはある目的を達成すると反転した。それじゃ、神河謀叛の反転カードが異なった反転条件を持つとしたらどうだろうか? そんなわけで、マイクは新しいタイプの誘発を考え始めた。最終的に、彼が採用したのは時間だった。必要な時間が経過したら反転するカードというのはどうか? そこで、新たなバージョンの反転カードが作られた。これらのカードは毎ターンカウンターを得て、カウンターが3個たまると反転する。そして、これらのカウンターが、反転後のカードにおいて資源として用いられるのだ。
このカードには二つの問題点があった。第一に、時間のバージョンは能動的じゃない。プレイヤーがこのカードの反転に働きかける方法が無いんだ。第二に、これはセット内の他のカードとシナジーを持たない。そこでマイクは、「他のメカニズムとの組み合わせ」作戦に戻ってみた。セットに使えるメカニズムで、変更を行わせる能力をプレイヤーに与えるものはあるか? その答えはイエスだった。秘儀/スピリット誘発だ。そこでマイクはカードを変更し、毎ターンカウンターを得つつ、秘儀かスピリット呪文のプレイでも誘発するようにした。こうすれば、通常と同様に進化もできるし、速度を意図的に速めることもできるだろう。
テストプレイの結果、マイク(ともう一人のデザインのメンバーのランディ)には、秘儀/スピリット誘発だけで十分であることが伝えられた。そうすれば、プレイヤーたちはマイクがやりたかった時間の経過も感じられるし、よりセットに有機的に組みあうだろう。そして、新しいバージョンを同じ程度の時間枠で実現するため、必要なカウンター(最終的に“気カウンター”になった)は3個から2個にへらされた。
そして、最終的に神河謀叛の反転カードのサイクル(そう、これはそれぞれの色にあるんだよ)が完成したんだ。で、ここまでメカニズムの紹介を読ませた上で実際のカードを見せないのは意地悪すぎるだろうから、ここらで《狡猾な山賊/Cunning Bandit》の紹介をしよう。
反転天満の天神さん
そんなわけで、これが神河謀叛の反転カードができるまでだ。今回の旅もお楽しみいただけただろうか。
それではまたお会いするときまで。来週はまた開発部の頭の中身を覗きに行こう。
それまでの間、君の人生の何かを進化させる方法を見つけることを祈念しつつ。
マーク・ローズウォーター
引用元
反転免許 更新日 Making Magic on 2005年 1月 17日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/making-magic/%E5%8F%8D%E8%BB%A2%E5%85%8D%E8%A8%B1-2005-01-17
反転メカニズムをどう拡張するか?過去のメカニズムのパターンを検討した結果、「新たな使い方を見つける」パターンから、「反転条件を変更する」というアイデアが出されました。
最初は時間経過が条件でしたが、それではアクティブさに欠け、他のカードとのシナジーも発生しません。そこで、「メカニズムの組み合わせ」パターンから、スピリットクラフト(秘儀/スピリット誘発)になった、という経緯のようです。
ここでは明言されていませんが、反転後がスピリットになったのも、その兼ね合いでしょう。ただ、気になるのは、反転前がスピリットでないことです。『神河物語』では反転前後が両方とも神でない住民だけでした。反転条件がスピリット側のメカニズムなのですから、反転前後が両方とも神である方が自然です。神でない住民が神になることがあるのは分かりますが、それとは別に作られても良さそうなものです。こういう場合、単純に枚数の都合で作られなかった、という理由なのかもしれません。
他のメカニズムとの融合という点では、『神河物語』でも反転後の《冷酷なる者、謙造/Kenzo the Hardhearted》が武士道を持っていますが、ただそれだけです。反転前の《新参の武士/Bushi Tenderfoot》の反転条件は、それと関連性が薄いと言うか、むしろそれを反転前にこそ持っているべきものですから。そういう点からみても、反転条件が反転後の能力にも活かされている、スピリットクラフトとカウンターは、見事な融合と言えるでしょう。
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