先日の午後、僕は地元の支援団体、「ローカル・エンチャント・アノニマス(無名の個別魔術依存症者の会)」のメンバーの話を伺ってきた。そしてこの場合の「話を伺う」ってのは、個別魔術を「小突き回す」ってことになるのかな?! 誰だって、個別エンチャントがこのゲームにおける最悪のカードだってのを知っている。こいつらみたいなバカを除いてはね。
「《灰色熊/Grizzly Bears》が殴る直前に《聖なる力/Holy Strength》をつけるのがすきなんだよねぇ」といったのは、乳首ひねりの犠牲者のルイス・フリューゲルビッフルだ。
「1体のクリーチャーに5枚もエンチャントをくっつけるのはやめられないわね」と大声を上げるのはフランシーン・オルジポンモで、彼女は自分を殴り続けるのもやめられないみたいだ。
こいつらは「カードアドバンテージの損失」って単語を聞いたことが無いのか? クリーチャーに個別エンチャントをつけたとすると、相手に1枚のカード、例えば《肉体の奪取/Rend Flesh》とか《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》とかで両方をふっ飛ばさせるチャンスを持たせることになるんだから。これはいい考えじゃないね。
個別エンチャントの中には、これらの内包された不均衡を独自に解決しているものがある。例えば、自分のじゃなくて相手のクリーチャーの上につくものとか。こいつは2対1交換を食わないし、この手のエンチャントはたいてい除去能力を持っている。他には、インスタントとしてプレイできるエンチャントがある。《聖なる力》は攻撃前にプレイしなくちゃいけなくて、ブロックに関する最終決定は相手が行うことになる。一方、《不退転の意志/Indomitable Will》は相手のブロックが決定した後や、相手が焼き呪文をプレイしようとした直後に使うことができて、相手の計画をかわす奇襲的な効果が期待できる。その後も残り続けるのはおまけみたいなもんさ。最後に、自分の弱点を自分でどうにかしている個別エンチャントもある。《象の導き/Elephant Guide》はクリーチャーが死んだときに3/3のトークンを産んでくれる——なんで、個別エンチャントは失っても、クリーチャーは残るんだ。《怨恨/Rancor》とその仲間は勝手に戻ってくるから、長い目で見ればそのカードを失うことはない。《疑いなき権威/Unquestioned Authority》はカードを引けるから、今後に出るであろうアドバンテージの損失を補填してくれる。わかったかな? 個別エンチャントも悪いもんじゃない。ご愛読感謝。それじゃまた来……。
何?
何か忘れてないかって?
いいだろう。いくよ。
《脂火玉/Tallowisp》
個別エンチャントのアドバンテージの損失をどうにかしたいのかい? それなら、毎ターン1枚なり2枚なりをタダで探してこれるようにしたらどうだい? そうなれば、個別エンチャントは純粋にアドバンテージだから、ひどいことになっても君はカードの無アドバンテージに戻るだけだ。プラスマイナスゼロバンテージ。いこーるばんてーじ。えーと、何かいい言い回しはあるかい?
引用元
パンツを買いに 更新日 Feature on 2005年 1月 13日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/feature/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%84%E3%82%92%E8%B2%B7%E3%81%84%E3%81%AB-2005-01-13
《脂火玉/Tallowisp》のプレビュー記事です。
オーラの問題点である「アドバンテージの損失」を補うことが出来るのは、オーラ好きプレイヤーにはたまらないでしょう。実際、スピリットが多めのデッキで、《不眠の晒し台/Pillory of the Sleepless》《アルマジロの外套/Armadillo Cloak》などをサーチしてくる活躍を見せていました(例:ゴースト・ダッドやファントム・メナスなど)。
次のラヴニカブロックにて、《門番の猟犬/Gate Hound 》のような「これがエンチャントされているかぎり、〜」というタイプのオーラ強化計画がありますが、そちらよりも活躍していたと言っていいでしょう。やはり、サーチのアドバンテージや柔軟性が大きいのでしょうか。また、オーラの欠点である、「クリーチャーとオーラが揃わないと役に立たない」を、解消する点もあるかもしれません。デザインの多様性という観点からみても、「支援するテーマ」に対して修整を与えるのは定番ですが、ワンパターンすぎるきらいもあるので、このようなタイプのテーマ支援カードもまた必要でしょう。
後に、このようなオーラをサーチするクリーチャーとして、《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》《ヘリオッドの巡礼者/Heliod’s Pilgrim》などのが登場しています。オーラであればクリーチャーでなくてもよくなったのは利点です。その分、コストは上がり、サーチは1発限りなので、上位互換でも下位互換でもありません。また、神河特有のメカニズムであるスピリットクラフト要素がなくなったので、再録もしやすくなりましたし、実際に再録されています。
このようなタイプのオーラ支援カードが何度も登場するキッカケとなったのが《脂火玉/Tallowisp》ではないかと考えています。
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