神河当時 - 土地で変化
神河当時 - 土地で変化
昨日の記事の続きです。

昼も夜も夜も昼も
デザインチームが昼と夜の移り変わりに従って変化するカードをデザインするのは難しくなかった。真の問題は、どうやって昼から夜へ、夜から昼への変更を行うかだった。当初、チームはターンごとに状況を切り替えるつもりだった。あるターンは昼で、次は夜で、といった具合だ。チームはフォールン・エンパイア のホマリッドのメカニズムを思い出していた。それはゲームの状況が“潮の状況”にしたがって変わっていくものだった。少しプレイしてみて、彼らはこのパターンは追っていくのが少々面倒で、しかも単純に予想ができるという点に同意せざるを得なかった。

ここからさらなる議論が出てきた。チームは移り変わりのキーが夜の状況にあることに気がついた。行ったり来たりする変化の変わりに、単純に一定期間の間だけ夜になるような一方的な変化だけが必要だったんだ。あとはゲームが自然に昼に戻してくれるだろう。

チームが最初に条件にしたのは、土地を捨てることだった。いずれかのプレイヤーが土地を捨てるたび、そのプレイヤーはターン終了時まで環境を昼から夜に変更できる。しかし、テストプレイの結果、これには若干の問題があった。第一に、夜にするのが非常に簡単になってしまったために、バランスを取るためにはボーナスを低いレベルのものにしなくてはいけなくなったことだ。昼/夜は、その変化が十分大きく、それによって強烈なイメージが生まれないのであれば、価値が無くなってしまう。第二に、この変化はゲームに大規模なルールを持ち込むことになる。これはブロックの外では意味の無いことだ。チームがこれに関して考えれば考えるほど、この変更がカードによるものでなくてはいけないという事がわかってきた。

興味深いことに、チームが二方向カードというアイデアを思いついたのはこの時だった。チームは地元の喫茶店で会議をしていて、どうやって視覚的に変化を示すかを考えていた時に、それを思いついたんだ。ブレイディは会議から戻ると、様々なやり方で二方向カードの見せ方を考え始めた。二方向の表現は昼/夜に関しては大きな一歩だったが、基本的な問題は解決できなかった。

ここでちょっと余談だけど、アングルード2 のデザイン中、私は[やおもて/うらはら]というカードを作った。こいつは二つの側面を持ったエンチャントだ。各アップキープに、カードのコントローラーはコイン投げをして、このカードを決められた方向に向ける。“やおもて”側はプラスになるエンチャントだけど、“うらはら”側はマイナスなんだ。その後セットの開発が中断されてしまい、このカードはお披露目する機会も無かったから、このカードがメカニズムに影響を与えたなんて思ってはいないけどね。

チームの次の実験は、プレイされたときに夜を誘発する特別な土地だった。ここから、プレイされたときに夜を誘発する呪文というのも生まれた。どちらの場合も、次のターンにゲームの状況はまた昼に戻る。これらのカードはこれまでのバージョンよりもうまくいったけど、プレイヤーは誘発のためのカードをデッキに入れなければいけないという大きな欠点も生まれてしまった。チームは途方に暮れたね。幸運なことに、この問題に関わってたのは彼らだけじゃなかったんだ。

引用元
反転動転驚天動地――神河物語 の反転カードのデザイン
https://web.archive.org/web/20041217003145/http://www.hobbyjapan.co.jp/magic/articles/files/20040922_01.html


昼夜で変化するメカニズムをデザインするため、その条件をどうするか試行錯誤している様子がうかがえます。

同様のメカニズムとして、『フォールン・エンパイア』の《Homarid》が挙げられています。

Homarid (2)(青)
クリーチャー — ホマリッド(Homarid)
Homaridはその上に潮汐(tide)カウンターが1個置かれた状態で戦場に出る。
あなたのアップキープの開始時に、Homaridの上に潮汐カウンターを1個置く。
Homaridの上に潮汐カウンターが1個だけ置かれているかぎり、それは-1/-1の修整を受ける。
Homaridの上に潮汐カウンターが3個だけ置かれているかぎり、それは+1/+1の修整を受ける。
Homaridの上に潮汐カウンターが4個以上置かれるたび、その上からすべての潮汐カウンターを取り除く。
2/2


カウンターの名前通り、潮汐によって強さが変化するのを表しているのはよく分かるのですが、煩雑さは否めません。そこで、何かしらの条件で「一定時間だけ夜になる」とすれば十分と気づきました。

これをもとにして、初期案は土地を捨てるものになりました。この場合、変化することはどのデッキでも容易です。しかし、アドバンテージで損をするメカニズムにしようとしていたのは意外でした。

その後、戦場に出すことで夜に変える土地というのも考えられていました。ここでもまた土地です。どのデッキでも土地は入れることから、有力候補とされていたのかもしれません。ただ、リミテッドと構築でのバランスが難しそうです。

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