神河当時 - 反転の発想元
昨日の記事の続きです。

このアイデアがどこから来たの?
こっちの方がもっと興味深い話だろう。まあ、少なくともこれはデザインのコラムだしね。いったい、どんな経緯で反転カードが生まれたのか? 毎度のことだけど、その答えは少々複雑だ。

昼と夜

神河ブロックのすべてのメカニズムと同様に、物事は物語から始まる。デザインチーム(ブライアン・ティンズマン、ビル・ローズ、マイク・エリオット、ブレイディ・ドマーマス)は、まず現存する日本の神話を検討することからデザインを開始した。興味のある人たちのために言っておくと、チームはこの辺に大きな影響を受けたとのことだ。

・宮崎駿の映画、特に「千と千尋の神隠し」と「もののけ姫」
・ビデオゲーム「鬼武者」シリーズ
・アニメ「獣兵衛忍風帖」
・アニメ「犬夜叉」

そして、すぐに明らかになったのが、日本の神話の共通するテーマが“変身”だということだった。この環境のイメージを反映するため、ブロックにはいくつかの変身っぽい要素を含んだメカニズムが必要になった。さらに、チームは多くの日本の神話が精霊の世界という考えに関係していることを発見した。生命のある世界の者は、それぞれ平行世界に精霊を持つというのだ。これも重要な表現事項だ。そして、良いデザイナーの伝統に従い、彼らはこの二つを一緒にまとめた。

このメカニズムは、最初は“昼/夜”と呼ばれていた。この考えの背景にあるのは、ゲームには二つの状態があり、昼は生命の世界を、夜は精霊の世界を表すというものだ。クリーチャーの中には、昼にボーナスを受けるものもいれば、夜に得るものもいるという寸法だ。そして、通常のゲームの状態は昼であるということになった。昼は我々が知っている世界を表すからだ。そして、ある種の条件がゲームを夜に変え、夜の効果が発揮されるという寸法だ。

デザイン的な用語で簡単に言うなら、これはスレッショルド(これもすべてに影響を与える全体的な変化だ)のキーが少々変わったものということになる。第一に、条件は墓地のカードがどうこうというものではない。第二に、変更はすべてのプレイヤーに影響するんだ。

引用元
反転動転驚天動地――神河物語 の反転カードのデザイン
https://web.archive.org/web/20041217003145/http://www.hobbyjapan.co.jp/magic/articles/files/20040922_01.html


「日本の神話の共通するテーマが“変身”」という考えが、反転のスタート地点だったようです。

ただ、この点には非難が少なくないようです。

このメカニズムの開発秘話での「日本の神話の共通するテーマが“変身”だということだった」というMark Rosewaterの発言には大きなブーイングが起こったそうで…。

引用元
反転カード - MTG wiki
http://mtgwiki.com/wiki/%E5%8F%8D%E8%BB%A2%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89


私は日本神話について「古事記」「日本書紀」の解説書などをみていますが、「テーマが変身」とは思いませんでした。

また、強く影響を受けたとされる作品を基に日本神話のテーマを決めてしまうのもどうかと思います。それらは和風ファンタジーではありますが、日本神話の要素がメインとも言い難いでしょう。

もっとも、「元ネタではなく、プレイヤーのイメージに忠実であるべき」(※1)という点からすれば、人気の和風ファンタジー作品をベースにする事自体はおかしくないのですが……。いずれにせよ「変身」がテーマとはならないと思います。

反転カードを改良したのが両面カードです(※2)。神河に再訪することがあれば両面の代わりに使われる可能性はあります。ただ、元々の発想がおかしいのですから、どちらも使わないということもあるでしょう。

とにかく、「テーマが変身」という考えの基に、反転のメカニズムは作成され始め、最初は“昼/夜”と呼ばれていました。

この名前と反転から、イニストラードの両面カード、特に狼男を連想しました。和風世界とホラー世界は一見つながりがありません。「変身」の条件としては、昼と夜というのが一つの定番だからでしょうか。

※1
神河教訓 - トップダウン・デザインの手法
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/201912061829517801/

※2
神河教訓 - 反転
https://researchofkamigawa.diarynote.jp/201912052133285463/

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