神河当時 - 枚数と秘儀と連繋
2020年4月29日 Magic: The Gathering
昨日の記事の続きです。
『神河物語』以前に『フィフスドーン』でも採用が検討されたようです。この時は少ない枚数のメカニズムを求めていた、ということで、連繋は入りませんでした。ただ、その直後のセット『神河物語』に入ることになった訳ですが。
ちなみに、「10枚かそこら」ということからして、代わりに入ったのは占術だと思います(フィフスドーンの占術カードは9枚)。
さて『神河物語』に入ることになった訳ですが、先に入ったのは神独自の呪文であることを表す呪文タイプ「秘儀」でした。その時に、連繋を復活させ、連繋先として秘儀のみとした、ということです。
個人的に、これは意外な話でした。というのも、先に連繋メカニズムができて、どの呪文とも連繋できると思わぬ相互作用がおきる危険性を考えて、秘儀呪文に限定したのではないかと思っていたからです。
結果的には、秘儀に限定したことは「対象が狭くなりすぎる」という問題点の方が大きかったようですが……。
さて、この手の融合能力と言うと、最近では「変容」が登場しました。これも、対象が限定されたものです。その理由はフレイバー的な物だそうですが(※1)。
少し気になったのは、変容(人間でない)とせず、変容のみとしている点です。連繋は、連繋(秘儀)が対象を限定しすぎたことから、連繋(インスタントかソーサリー)に拡張されました。変容だとこうはいきません。
「人間でない」というのは幅が広いので、連繋のように対象が狭すぎるいうことはありません。しかし、将来的に人間も変容させたくなった場合に困りそうな気もします。エコーのように書式を変えるだけかもしれませんが(※2)。
※1
Making Magic -マジック開発秘話- 2020.4.6 『イコリア』に出会う以上に
https://mtg-jp.com/reading/mm/0033923/
※2
ウルザ・ブロックの時点では単に「エコー」とのみ表記され、エコー・コストは自身のコストと同じ、としていました。時のらせん・ブロックで再録されたときに、エコー・コストも記載する書き方に変わりました。
第二章――夜明けの中断
そして、棄却メカニズムとしての人生を送っているある日、私は倉庫から引きずり出された。父はフィフス・ドーンのデザインチームをやっていて、呪文のメカニズムが必要になったのだ。特に、インスタントやソーサリーに使える単色のメカニズムだ。そこで父は私を披露したのだ。チームは私を気に入ったが、私は彼らが必要としたものとしてはしっくりこなかった。彼らは 10 枚かそこらの穴を埋めるものが欲しかったのだが、私は明らかにブロック全体にまたがる大きさを持っていた。
ここでちょっと、サイズに関する余談を語ろうと思う。メカニズムに関して言えば、サイズは非常に重要な事項だ。デザイナーはそこからどのぐらいのカードが生み出せるかを把握する必要がある。作れるカードが5枚だけなら、サイクルのメカニズムになるだろう。8枚から 15 枚ほどまでいけるのなら、小型セットの第一候補になるだろう。しかし、16 枚以上のカードが作れるとなれば、デザイナーは大型エキスパンションを念頭にし始めることになる。私が父の頭の中に戻された基本的な理由がこれだ。私はフィフス・ドーンが必要とするものより大きかったのだ。最終的に、その栄誉は占術なるちょっとしたメカニズムが勝ち得た。
またそれに関連して、どれだけのメカニズムがセットとは無関係にデザインされるかも記しておこう。私は自分をフィフス・ドーンのメカニズムと呼んでいる。それはつまり、私が最初に考慮されたのがそのセットだからだが、デザインチームが私に与えていた日付はそれを数年遡る。フィフス・ドーンの議論において最も重要だったのは、私が父の同僚の何名かの注目を受けたことだ。ランディ・ビューラーとアーロン・フォーサイスの両名は、このメカニズムに目を通す機会を得た。これが後に重要な事項となってくる。
第三章――アースの結線
そんなわけで、私はさらに数ヶ月を父の頭の中で過ごした。クリエイティブな人物が何を追求しないかを選ぶことを知るのは面白いことだろうと思う。父は頭の中に何か奇妙なものが回っているようだ。しかし、私には私の運命があった。父は同じアイデアを数年にわたってはまる場所が無いか探すことで知られていたのだ。
話を自分に戻して、開発部は神河物語(当時はアースというコードネームだった――次はウィンドとファイヤーだ)のデザインを始めていた。その開始の時点で、デザインチームは日本の神話のイメージをセットの背景とすることにしていた。その世界では、自然界の生き物が別世界の精霊と戦争をしている。これはつまり、セットには何通りかの“現実世界”と精霊との違いが必要だということだ。
この考えを突き詰めていくうちに、面白い考えに至った。精霊が独自の魔法を持っているとしたらどうだろうか? それがどうなるかを考えていくことは、実際にはより大きな問題を招くことになった。その結果、当時は“神秘”と呼んでいた秘儀への道筋となった(詳しくは、父の先週のコラム秘儀的才能をお読みいただきたい)。もう一つ興味深かったのは、父はこのデザインチームには関わっていなかったのだ。しかし、ビューラー氏は(マジック開発部ディレクターとして)たびたび訪れていたし、彼は面白い呪文のメカニズムを常に見張っていたのだ。
ある日、ビューラー氏は父に私を復活させてはどうかと尋ねてきた。父はファイルを見ながら一つの提案をしてきた。私を秘儀呪文と直接結び付けてはどうか? あらゆる呪文に融合するのではなく。秘儀カードにのみ融合が可能にするのだ。ランディは喜んだ。父も喜んだ。そして神河物語のデザインチームも喜んだ。しかし、私の話はこれで終りではなかった。
引用元
連繋的な人生 更新日 Making Magic on 2004年 9月 13日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/making-magic/%E9%80%A3%E7%B9%8B%E7%9A%84%E3%81%AA%E4%BA%BA%E7%94%9F-2004-09-13
『神河物語』以前に『フィフスドーン』でも採用が検討されたようです。この時は少ない枚数のメカニズムを求めていた、ということで、連繋は入りませんでした。ただ、その直後のセット『神河物語』に入ることになった訳ですが。
ちなみに、「10枚かそこら」ということからして、代わりに入ったのは占術だと思います(フィフスドーンの占術カードは9枚)。
さて『神河物語』に入ることになった訳ですが、先に入ったのは神独自の呪文であることを表す呪文タイプ「秘儀」でした。その時に、連繋を復活させ、連繋先として秘儀のみとした、ということです。
個人的に、これは意外な話でした。というのも、先に連繋メカニズムができて、どの呪文とも連繋できると思わぬ相互作用がおきる危険性を考えて、秘儀呪文に限定したのではないかと思っていたからです。
結果的には、秘儀に限定したことは「対象が狭くなりすぎる」という問題点の方が大きかったようですが……。
さて、この手の融合能力と言うと、最近では「変容」が登場しました。これも、対象が限定されたものです。その理由はフレイバー的な物だそうですが(※1)。
少し気になったのは、変容(人間でない)とせず、変容のみとしている点です。連繋は、連繋(秘儀)が対象を限定しすぎたことから、連繋(インスタントかソーサリー)に拡張されました。変容だとこうはいきません。
「人間でない」というのは幅が広いので、連繋のように対象が狭すぎるいうことはありません。しかし、将来的に人間も変容させたくなった場合に困りそうな気もします。エコーのように書式を変えるだけかもしれませんが(※2)。
※1
Making Magic -マジック開発秘話- 2020.4.6 『イコリア』に出会う以上に
https://mtg-jp.com/reading/mm/0033923/
※2
ウルザ・ブロックの時点では単に「エコー」とのみ表記され、エコー・コストは自身のコストと同じ、としていました。時のらせん・ブロックで再録されたときに、エコー・コストも記載する書き方に変わりました。
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