『神河物語』11日目のプレビュー記事です。
今回の記事はマローではなく、「連繋」の視点から書かれています。この手の擬人化は、マローの記事では何度かあるものです。
まず、連繋の起こりは、キッカーとフラッシュバックを組み合わせてみたらどうなるか?という発想でした。インベイジョン・ブロック+オデッセイ・ブロック期のスタンダードでしょう。
その結果、キッカーのように呪文を唱える際に追加でマナを支払い、フラッシュバックのように墓地のカードを唱える、という最初のバージョンができました。
数あるメカニズムの中でも、特に人気が高く、再録回数も多いキッカーとフラッシュバックが元になった訳ですが、そこから生まれたメカニズムがあまり人気を獲得できなかったのは意外な結果です。もっとも、作った当時としてはキッカーもフラッシュバックも登場したばかりですから、そんな考えすらなかったでしょうが。
人気メカニズムを「元にしたのに」と言うよりは、人気のメカニズムを「変に弄ってしまったために」、そうした結果になったのかもしれません。
キーワードメカニズムの自伝
スプライス 著
まず最初に、今回のコラムが、いつもの真実や気品を犠牲にしてメカニックのすべてを暴露する類のものではないことを表明しておく。今回この本を書いているのは、私が自分の物語を世界中と分かち合いたいからだ。ここで説明するのは、フィフス・ドーンのちょっとしたデザインが、どうやって神河物語のキーワードメカニズムになったかという話だ。私の文章が、デザインファイルの中でいつか偉大なるゲームにたどり着くことを夢見ているメカニズムたちに訴えるところがあることを願っている。
第一章――二つのメカニズムの出会い
私の物語は、私がまだ父親の目の輝きだった頃から始まる。話を先に進める前に、まずは微妙な問題を語っておこう。そう、我が父とはマーク・ローズウォーターだ。確かに彼は多くのメカニズムの生みの親だが、多くの味気の無い本で語られているそれらの物語は、真実の上辺でしかないのだ。そう、彼はメカニズムを作るのが好きだが、彼はそれをしばしば意識の奥底にしまいこむ。しかし、彼が求めるものを探そうとする際には、いつもこれがゲームに最良のものとなる。記憶の曲がり角の陰に隠れているメカニズムを見つけてふさわしい場所を与える記録に関しては、誰も追いつけていないのだ。しかし、父親の話はもういいだろう。話を自分に戻そう。
私はとあるプロツアーのフィーチャー・マッチ・エリアで生まれた。父はその時ジャッジであった。マッチの観戦中、彼はあるプレイヤーが、あるカードをキッカーつきで使い、次にあるカードをフラッシュバックで使ったのを見た。これを見た彼は、この二つのメカニズムを組み合わせたら何が起こるかを考えたのだ。彼がなぜこの接点に思い至ったかは定かではないが、そうでなかったとしたら私はここで物語を語ってはいないのだ。とにかく、その瞬間に私はぼんやりと姿を現した。彼は考えた。あるカードについたフラッシュバック風のコストで、別なカードにキッカー効果を付け加えるとどうなるだろうか、と。本質的に、それは墓地にいる携帯型キッカーだろう。
彼はやる気になり、サンプルのカードを書きつけた。その時、私は自分の名前を得た――それは“抱き合わせ”という名だった。狙って撃て
{R}
インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。[カード名]はそれに2点のダメージを与える。
抱き合わせ ― 1R(このカードが墓地にある場合、あなたは抱き合わせコストを支払ってこの効果をプレイしている呪文につけてもよい。)
私の最初の姿について、いくつか興味深い点がある(後に明らかになるが、私は成長に従って数多くの変更を受けた)。第一に、最初の段階から基本の効果と融合させる効果が同じだった点だ。この二つは明らかに別々にすることが可能だが、それが美的観念をめちゃめちゃにすることを父も理解していた。第二に、この呪文は、第二の呪文としてスタックに乗るのではなく、存在する呪文に付け加える呪文としてデザインされている。その理由は、これがキッカーから思い浮かんだというのが主だ。さらに、これまでのどのメカニズムも他の呪文に融合することはなかったので、私をこのように作ることで新たな領域の開拓ができるだろう。
プロツアーから飛行機で帰ると、父は私のために数枚のカードを作った。それから? 彼は私を意識の奥にしまいこんだのだ。確かに人聞きは悪いかもしれないが、これは皆さんが思うほど孤独なことじゃない。父は多くのメカニズムをそこにしまっていた。私は“染色”という名のテンペストの却下されたメカニズムや、単に“毒”として知られているメカニズムと親友になった。毒は一晩中かけて父が自分のために考えている計画について語るのが好きだった。「いつか、さ」と彼はいつも言っていた。「いつかだよ。」
ただ、父が非常に多くのメカニズムをつぶしてきていることに対して皆さんが騒ぎ出す前に、デザインの命中率は皆さんが考えているよりも遥かに低いことを言っておきたい。その理由は二つ。第一は、多くのメカニズムは、ありていに言って、面白くないことが判明するから。第二は、私のようなよいメカニズムは、入るべき正しいセットが必要になるからだ。十分面白いだけでは十分ではないのだ。君の周りのメカニズムにも納得していただきたいものだ。そんなわけで、私は“裏小屋”に格下げされた時も、恐れはしなかった。自分には特別な何かがあったし、父はいつか私に完璧な居場所を見つけてくれるだろうと信じていたのだ。
引用元
連繋的な人生 更新日 Making Magic on 2004年 9月 13日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/making-magic/%E9%80%A3%E7%B9%8B%E7%9A%84%E3%81%AA%E4%BA%BA%E7%94%9F-2004-09-13
今回の記事はマローではなく、「連繋」の視点から書かれています。この手の擬人化は、マローの記事では何度かあるものです。
まず、連繋の起こりは、キッカーとフラッシュバックを組み合わせてみたらどうなるか?という発想でした。インベイジョン・ブロック+オデッセイ・ブロック期のスタンダードでしょう。
その結果、キッカーのように呪文を唱える際に追加でマナを支払い、フラッシュバックのように墓地のカードを唱える、という最初のバージョンができました。
数あるメカニズムの中でも、特に人気が高く、再録回数も多いキッカーとフラッシュバックが元になった訳ですが、そこから生まれたメカニズムがあまり人気を獲得できなかったのは意外な結果です。もっとも、作った当時としてはキッカーもフラッシュバックも登場したばかりですから、そんな考えすらなかったでしょうが。
人気メカニズムを「元にしたのに」と言うよりは、人気のメカニズムを「変に弄ってしまったために」、そうした結果になったのかもしれません。
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