『神河物語』7日目のプレビューです。
この時点で既に、トーナメントプレイヤーからの『神河物語』の評判があまり良くないということが伺えます。この評判は発売後から現代にいたるまでそう変わらないと思います。《砂の逆流》も低評価カードの1枚でしょう。
しかし、これはそもそも多人数ゲーム用カードだ、と言われています。そして、スタンダード以外の、多用な楽しみ方を提供するのも重要なことでしょう。特に最近だと、統率者戦向けのカードは毎年恒例となっているほどです。
8マナというのはマジックの多人数ゲームでは境界線になっている。《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath》は、おそらく間違いなくゲームで最も恐ろしいクリーチャーだ (《新緑の魔力/Verdant Force》ってやつもいるだろうが、こっちも8マナだ)。《暴動/Insurrection》や《強奪する悪魔/Reiver Demon》といったゲームをひっくり返す巨大な効果 も同じ点数で見たマナ・コストを持っている。
そして、今回のコラムの最も重要な目的であるオンスロートの緑のレア、《生命の律動/Biorhythm》も、8マナで劇的にライフを調整するカードだ。
で、なんでこんな話になったかって? つまり、次に見せるカードが出たら、多人数ゲームのプレイヤーは8マナに近づきつつある白使いに特に注意を払いたくなるだろうなってことさ。
(中略)
白の生命吸収?
俺はこのカードにすぐさま感動したしやられちまった。そんなわけで、俺はこいつがセットに入るのが嬉しい――ウィザーズのスタッフには、俺たちをここまで混乱させるような革新的なアイデアに、ぜひともきちんとした給料を受け取るべきだな。
最初に、こいつの気に入らないところを言っておく。こいつは序盤や中盤でうまくやったプレイヤーを手ひどい目にあわせる。そいつは唯一の減点だが、そいつが俺をどれだけ厄介なことだか、過小評価するつもりはないぜ。序盤や中盤は、俺の対人数ゲームにおける哲学の基礎だ。プレイヤーは序盤から強く出て、それを強力なインスタントでフォローし、緩やかに状況を従えていくんだ。しかしこのカードがあることで、白使いは8ターンの間土地を置く以外何もしないでいい……そして突然、20点と1点のライフが入れ替わるんだ(他のプレイヤーを計算に入れなければな)。暦が変わるまでの間、俺が少なくとも1ダースはこのカードに呪いの言葉を吐くこと、保証してもいいね。それに、俺の仲間の中でどの三人がこのカードをプレイするかも正確にわかっている。くそったれが。
皮肉なことがあるとすれば、その三人のくそったれのうち一人は俺なんだけどな。どうしてかって? このカードは面白いじゃないか? その理由は(少なくとも)六つある。
1) こいつは明らかに多人数ゲーム用レアカードだ。俺はトーナメントプレイヤーがあっちでもこっちでも神河物語のレビューを見て嘆いているのを面白く見させてもらっているね……「なんでウィザーズはこうかなぁ?……使えないじゃん!……こんなのシールドデッキで引くなんて信じられねぇよ……このクソレアが!……」等々、うんざりだね。この類の輩が、世界が彼の周りを回るのに目が眩んでるのを見るのはぞくぞくするな。だから、戦術的な可能性を語る前から、おれはこいつに点をやるのさ。
2) こいつは強烈で、印象的で、ゲームを変える効果だ。ゲームに真のインパクトを与えるカードを好きにならないのは難しいことだ。マジックをプレイする楽しみの一部は、とんでもないことが起こった昔のゲームを覚えていることだ。今から数年後、とある台所のテーブルの周りについた小さなグループが、何某が4人のプレイヤーから80点ばかりのライフを奪って、他のほとんど死に掛けていたはずの4人のプレイヤーに与えた話なんかを思い出すかもしれない。そうだとしたら素晴らしいことだ。なにせ、《砂の逆流/Reverse the Sands》はこの手の効果をいつでも保証するってものじゃない(席についた全員が5ライフだの10ライフだのだったりとか)からだ――なので、ここまでとんでもないことが起こったら、そいつは最高に面白いだろう。
3) 目的のあるライフの獲得だ。《集い/Congregate》よりも《魂の消耗/Consume Spirit》の方が俺の悩みの種にならないのはなぜか? それは、《魂の消耗》のライフ獲得が起こるのと同じタイミングで、誰かがゲームを先に進める行為を行っているからだ。《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》、《スパイクの飼育係/Spike Feeder》、《賛美されし天使/Exalted Angel》――これらはみんな勝ちに向かう手段で、ついでにライフの獲得がついてるやつらだ。《砂の逆流》も同じことが可能だ――こいつは安定している状況を揺さぶり、多くのやつらに脅威を復活させ、新たなプレイヤーを死の寸前の危機まで追い込むのさ。
4) こいつはチーム戦では化け物だ。ある種の多人数ゲームマニアにとっては。このカードはでたらめな一枚に見えるだろうが、こいつは実際はチーム戦での貴重な道具だ。俺はぐちゃぐちゃの多人数ゲームが大好きだが、チーム戦の多人数ゲームもそれ以上に大好きだ。これまで、俺はここで堂々と、ウィザーズはある種のチーム戦を認定すべきだと圧力をかけてきている。正直言って、そこにどれほどのインパクトがあったかはわからない――しかし、ウィザーズは多人数ゲームのルールをまとめようとしているし、それに明らかにチーム戦に特化した強さを持ったカードも出している……まあ、俺はこの流れを楽しんで、そいつに従うことにするぜ。
5) こいつはライフの獲得を痛めつける。こいつがくだらないライフ獲得カードだなんて勘違いするなよ。かつての《生命の律動》のように、みんなが揃いも揃って5ライフ以下って状況を、うざったいライフ獲得野郎が732ライフの後でニヤニヤ笑っているようになるまで、《砂の逆流》は待っている……そこに止めの一撃が飛んでくるのさ。《対抗呪文/Counterspell》が無ければ、白使いにできることは実に少ない……何だって、対応して《集い》? 何でもいいけどさ。テーブルには他にもライフが3なんて奴もいるだろうから、みんなはそのライフ獲得野郎がそのお大事を引き継いでいくのを死ぬほど見たいだろう。
6) そいつは力の格差を埋めてくれる。多人数ゲームにおける白の効果ってのは、ここ数年は《神の怒り/Wrath of God》のバリエーションをあまり出るものじゃなかった (《怒りの天使アクローマ》と《栄光》は重要な例外だ)。俺の“多人数ゲームの殿堂”じゃ、白は最も印象に乏しい色だ。白にはいいお役立ちカード(ダメージ軽減とか)がある――だが、あまり興奮するような選択肢は無いんだな。《砂の逆流》は多人数ゲームにおける、興味深く、尋常じゃなく、強力な白の効果だ。こいつはマジックのためにいい事だな。
引用元
大量蘇生兵器 更新日 Serious Fun on 2004年 9月 7日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/serious-fun/%E5%A4%A7%E9%87%8F%E8%98%87%E7%94%9F%E5%85%B5%E5%99%A8-2004-09-07
この時点で既に、トーナメントプレイヤーからの『神河物語』の評判があまり良くないということが伺えます。この評判は発売後から現代にいたるまでそう変わらないと思います。《砂の逆流》も低評価カードの1枚でしょう。
しかし、これはそもそも多人数ゲーム用カードだ、と言われています。そして、スタンダード以外の、多用な楽しみ方を提供するのも重要なことでしょう。特に最近だと、統率者戦向けのカードは毎年恒例となっているほどです。
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