昨日の続きです(昨日の記事は編集してあります)。ここ最近のセットでは『基本セット2020』のリミテッドが評価されているそうです。

『基本セット2020』
良かったところ
このセットのドラフトは非常に上手くいった
『基本セット2020』に関して届いた最大の称賛の声は、ドラフトして本当に楽しいセットだというものだった。ヨニ・スコルニク/Yoni Skolnik率いるデザイン・チームは、面白いドラフトの選択肢と、基礎的な基本セットとしての働きを両立するような基本セットを作るためにかなりの時間を費やしたのだ。そしてそれは成功したようだ。

引用元
Making Magic -マジック開発秘話- 2019.8.27 デザイン演説2019
https://mtg-jp.com/reading/mm/0032977/


この点から、基本セット2020のドラフトのデザインについてコラムを読んでいました。

ドラフトにて
『基本セット2020』のデザイン・チームが向上させようと考えた一番大きな部分は、リミテッドとドラフトの体験だった。『基本セット2019』は、2色の組み合わせ10組のドラフト・アーキタイプを基柱としていた。その中には、白青の「アーティファクト関連」テーマや緑白の「オーラ関連」テーマのように、非常に辺境で隣接するドラフト・テーマと組み合わせるのが難しいものがいくつかあった。その結果、カードのパワーレベル的位置づけにプレイデザイン上の問題が生じたのである。強くしすぎれば、そのアーキタイプをドラフトするプレイヤーが1人しかいなかったとき、(他の参加者はそれらのカードを選ぶ理由がないので)強くなりすぎる。また、弱くしすぎれば、誰もそのアーキタイプをドラフトしなくなってしまうのだ。基本セット以外のセットでは、必要な色の組み合わせで重複するテーマを作る助けとなる新メカニズムを利用することができる(例えば、青赤のドラフトを強化したければ、この2色を新メカニズムの主な色にすることができる)。しかし常盤木キーワードしか扱えない基本セットには、そのような道具は存在しない。

『マスターズ25th』と『アルティメットマスターズ』のセットデザインのリードを務めてドラフトのアーキタイプを作った(再録カードだけからなるマスターズ・セットでは、既存の要素だけからドラフト環境を作るという非常に独特な技術が必要とされる。)経験のあるヨニは、この問題を解決するための斬新な手法を思いついた。このセットを、3色の組み合わせを基柱にしたらどうだろうか。

『基本セット2019』には、「弧」3色(1色とその友好色2色)の伝説のドラゴンのサイクルがあった。これらは基柱とするためのフレイバーに富んだカードとしてデザインされており、セットに統率者戦で興奮させるものを加えていた。『基本セット2020』を『基本セット2019』と差別化するため、ヨニは「楔」3色(1色とその敵対色2色)の伝説のクリーチャーに注目するというアイデアを面白いと考えたのだ。そうなると、彼のドラフトの3色は楔(赤白黒、緑青赤、白黒緑、青赤白、黒緑青)になる。

楔の組み合わせを使うことを選んだので、ヨニ率いるチームは、それぞれの楔に含まれる友好色の組み合わせ(楔の中にはそれぞれ友好色の組み合わせが1組だけ存在する)に濃くテーマを持たせ、同じテーマを敵対色にはやや薄く持たせることに決めた。こうすれば、友好色2色でそのテーマのドラフトをすることも、敵対色を加えて3色でプレイすることもできるのだ。展開されるテーマは次の通り。

(中略)

また、このセットには5つしかテーマが存在しないので、ヨニ率いるチームは、経験のあるドラフト・プレイヤーがこのセットでもっと変わったデッキをドラフトできるように、基柱になるカードを、大抵はアンコモンに、デザインする余裕があった。

引用元
Making Magic -マジック開発秘話- 2019.6.17 重点への『基本』
https://mtg-jp.com/reading/mm/0032616/


2色10通りの戦略で、2つの戦略にまたがるカードを作るのは難しい場合があります。

それを解決するため、楔3色5通りのテーマを用意したそうです。

青赤白 飛行
緑青赤 エレメンタル
白黒緑 横並べ
赤白黒 アグロ
黒緑青 ETBコントロール

すると、友好2色は1つのテーマが戦略、対抗2色は2つのテーマを両立させたものが戦略になります。こうすると、自然と2つの戦略にまたがるカードが用意できます。

例えば白の飛行は、青白飛行であり、赤白飛行&アグロの両方に関係することになります。

さらに、従来のやり方で2色ごとに10通りのテーマを作る場合、各色には4つのテーマを入れる必要があります。一方、楔3色で5つのテーマを作る場合、各色に入れる必要があるテーマは3つだけに減ります。変わったデッキを組むための基柱になるカードをデザインする余裕があったのも納得です。

もちろん、従来通り、複数のテーマに使えるカードを作ることもできます。エレメンタル+飛行は分かり易いでしょう。

また、楔3色でなく弧3色の場合でも同様のテーマ作りは可能でしょう。その場合、対抗色の戦略がテーマ1つで、友好色の戦略がテーマ2つの両立になります。

もっとも、こうしたテーマの分け方をそのまま基本でないセットに応用できるかは分かりません。こうした方法もあると覚えておけば、それをひねった形であれ活かせる可能性があります。

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