神河当時 - 日本神話が選ばれた理由
昨日の記事の続きです。

トップダウン・デザインでブロックを作成することが決まりました。次は、何をモチーフとするかです。

現実の世界
チームの最初の仕事は、どの現実世界を発想の元とするかを決めることだった。そこで彼らは、思いつく限りの地球上のあらゆる神話を調べ上げた。様々な世界が、様々な理由で除かれていった。あるグループ(ギリシャやローマ)は、普通のマジックの演目と内容が似すぎていた。別なグループ(アラビア、北欧、アフリカ神話など)は、これまでのセットでその文化に触れていたことを理由に排除された。第三のグループ(ネイティブ・アメリカンやインカ)は、例えば特定の種族が使用できる能力などの点で、マジックのセットにはちょっと向いていなかった。そして最後に残った勝者が日本だったんだ。それは非常にイメージに満ちていて、我々のこれまでのものと主題的に似ておらず、伝統的なマジックのセットに必要とされる物に適応させるのに十分な内容的近さを持っていた。

しかし、特定の世界を選ぶことはあくまで始まりに過ぎない。チームが元になる現実世界を選んだら、次に始まるのは調査だ。クリエイティブチームは、毎年世界を作り上げるのが仕事だ。その制限は、チームが興味深い世界を作り上げることという、ただそれだけなんだ。しかしアースにおいては、このことはすなわち現存する文化からエッセンスを引っ張ってきた世界を作り上げることを意味する。世界の創造は、日本の文化の注意深い研究と組み合わせていかなくちゃいけない。この仕事における大きな助けとなったのは、日本の市場で働くウィザーズ社の社員や契約関係者たちだ。

この時点では、メカニズムに関してはほんの少ししか進められていなかった。チームはまず世界のイメージを掴み、そこから出てくるメカニズムを作ろうとしたのだ。デザインチームは時間をかけて、これまでのメカニズムの中でイメージとよく結びついたものを研究した。数週間の検討の結果、一つのメカニズムが傑出してイメージ基準のセットにぴったりなのが明らかになったんだーーそれがレジェンドだ!

引用元
さらに一味のイメージを 更新日 Making Magic on 2004年 8月 30日
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/making-magic/%E3%81%95%E3%82%89%E3%81%AB%E4%B8%80%E5%91%B3%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%92-2004-08-30

※アースは、神河物語の開発時のコードネーム

日本神話が選ばれた理由は、一言で言えば消去法です。良くも悪くも独自性(これまでのマジックとは似てない)が強かったことが大きかったのでしょう。

また、この記事では語られていませんが、最後まで残ったのは日本神話とエジプト神話の2つであり、最終的にビル・ローズの一存で日本神話が選ばれました。


この話は何年も前に遡る。トップダウンのブロックを作ること、文化に基づいた世界にすること、できうるならばその地域の古代の神話に紐付けられるものにすることは決まっていたが、どういった影響を選び取るべきかについては議論が続いていた。我々は現実世界のあらゆるものを調べた。古代スカンジナビアからネイティブアメリカン、オーストラリアのアボリジニーまで。最終的に、候補は2つに絞られた。日本と、エジプトである。

どちらの文化もポップカルチャーで存在感が非常に強かった。どちらにも強いイメージがあり、独特の外観を持っていた。どちらにも豊かな神話があり、そこから引用することでクールなマジックのクリーチャーが作れることもわかっていた。どちらにもファンがいて、長年に渡ってプレイヤーたちから要求されていたものだったので、我々はこの2つの選択肢の間で長い時間悩んでいたのだ。

最終的に、我々では決定できないということになり、決定は上層部へ送られ、ビル・ローズ/Bill Roseに委ねられた。ビルはどちらの選択肢も良いものだと言い、選ばなかった方もいつか作ってほしいと言ったが、ビルが熟慮の結果選んだのは日本だった。

そして、『神河物語』を作ることになったのだった。

引用元
Making Magic -マジック開発秘話- 2017.4.4 『アモンケット』に入ろう その1
https://mtg-jp.com/reading/mm/0018637/


その点では、日本神話が選ばれた真の理由は、彼のみぞ知る、と言ったところでしょうか。

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