神河自作 - 考察:バニラクリーチャー
大抵のエキスパンションでは、バニラクリーチャーが入っています。基本セットでは各色に2枚、その他のセットでは各色に1枚、というのが標準的です。

バニラクリーチャーを入れる意義は、主に初心者プレイヤーのため、複雑さを減らすことです。そのことは、例えば以下の記事に書かれています。

Latest Developments -デベロップ最先端- 2012.8.13 マジック2013のカード達 特別編
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0004100/
《真珠三叉矛の人魚》
マジックが能力を持たないただの1マナ1/1バニラを印刷するのは何年ぶりだろう。我々はこのカードが収録されることが《真珠三叉矛の達人》が印刷されることにどのように結びついたかについて以前話したことがある。 (ざっくり言えばアルファ版的に)歩兵が将軍の助けを借りて多くの実質的な成長をすることができるところから来ている。しかし、だからといってなぜこのカードがファイルに入ることになったのかを示してはいない。

我々は、入門するプレイヤーへの複雑さを最小化するために、基本セットの全ての色に2枚のバニラを入れてみた。それらは複雑さを最小化するために入れられたとはいえ、ゲームプレイの中で仕事ができないという意味ではない。それらを上手くデザインできれば良いのだ! 私のお気に入りの例はイニストラードの《腐敗した沼蛇》で、ルール・テキストが全く印刷されていないが、陰鬱のメカニズムとゾンビのアーキタイプの両方の支援に寄与している

《真珠三叉矛の人魚》と共に我々が発見したのは、青のデッキの多くが《モグの下働き》からの《無謀な粗暴者》で始まる赤の早いデッキに先手を取られるということだ。青の最序盤に出てくるクリーチャー《天空のアジサシ》はそれを阻むことはできず、また《クラーケンの幼子》は(無意味ではないが)《モグの下働き》をパワーアップさせる《無謀な粗暴者》を戦場に残す。さて、我々はこの問題に対処するために明らかにスロットにパワーとタフネスを備えたいずれかのクリーチャーを入れることができたが、しかし印刷されるカードが良いほど、恐らくそれを慎重に使おうとする人を悩ませる。いつかは、カードはパワーレベルだけでピックされてしまうようになるだろう! 解答は青いデッキが13番目か14番目に取ることができるようなとても弱いクリーチャーを印刷することで、この問題に対処するためだけにサイドボーディングするようなカードなのだ。


一方で、ただバニラクリーチャーを入れるだけでなく、セットにおいての役割を与えることも可能だと言われています。

特に分かり易いのは部族でしょう。《真珠三叉矛の達人》は、部族カードの多いマーフォークなので、その手の恩恵は受けやすいです。実際、初期のMTGにおいては構築でも採用されていました。流石に現代ではパワー不足ですが。

また、3/1の《無謀な粗暴者》を打ち取るために1/1の《真珠三叉矛の達人》を入れたように、パワータフネスにも意味があるようです。最近だと、リミテッドのアーキタイプとして赤緑に「パワー4以上」が与えられることがあるので、それを満たすようなバニラクリーチャーも一つの例と言えます。

特殊な例ですが、『テーロス還魂記』では、エンチャントでもあるバニラクリーチャーもいます。エンチャントがテーマだからこそ成立したことです。

ここで挙げられている《腐敗した沼蛇》は、ゾンビの部族参照に引っかかりやすく、また、タフネスが1で死亡しやすいので陰鬱を誘発させやすい、という二つの意味を持たせることまで出来ました。



一方で、今回のオリジナルエキスパンションではバニラクリーチャーをほとんど入れていません。深い理由はなく、単純に作り忘れただけです。

オリジナルエキスパンションなのだから、初心者が(どころか上級者も)プレイすることはないのだから、気にするほどでもない、という見方もできます。

ただ、上記のように、バニラクリーチャーにも意味を持たせたデザインがあると分かったので、次回以降ではそのようなデザインをやってみようと考えています。

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