『異界月』の個別カードのデザインについての記事です。
Making Magic -マジック開発秘話- 2016.7.19 異界の完成 その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0017152/
以前紹介した記事では、「再訪できない次元出身のプレインズウォーカーが今後も作られるかは、《月の賢者タミヨウ》の評価にかかっている」という話がありました。この記事を見ると、幸いなことに、タミヨウは人気を獲得できたようです。
しかも、単なる再登場ではありません。彼女の「月の研究」がストーリー上で重要な意味を持つことから、メインキャラクターとしての登場となりました。
ただ、プレインズウォーカーのバランスの問題があったようです。
(詳しくは記事後半にある通り)ジェイス、リリアナ、ソリン、ナヒリを入れると、残りのプレインズウォーカーとして入れるのが赤緑のプレインズウォーカーとするのがちょうどいいバランスになります。
ここから、さらにタミヨウを入れるとなると、プレインズウォーカーを有するカラーリングのバランスが崩れてしまいます。そこで、3色にすることで、採用できるデッキを制限することで保険をかけることで、セットに入れることができました。
能力は、青単色でもできるけれど、白や緑でもやることがある、と言ったものです。こういった効果を多色でやると、単色よりも強力なものにすることができます。
そうした調整の結果もあってか、強すぎることも弱すぎることもなく、活躍できたようです。
Making Magic -マジック開発秘話- 2016.7.19 異界の完成 その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0017152/
《実地研究者、タミヨウ》
『アヴァシンの帰還』で、我々は神河出身のムーンフォークの科学者で、月の研究をしているプレインズウォーカーを登場させた。彼女は次元を渡る能力を使って様々な世界を見つけ、月について可能な限りのことを学んでいるのだ。特に、イニストラードには非常に珍しい、銀でできた月があった。
イニストラードを再訪するにあたって問題になったのは、タミヨウがどうなっているかだった。彼女は今もイニストラードにいるのか、それとも他の世界の月を調べに旅立っているのか。タミヨウの人気は高まっていたので、クリエイティブ・チームは彼女を物語に登場させることにした。彼女がイニストラードの月を調査していることは、物語上でこの上なく都合が良かったのだ。
しかし、ちょっとした問題があった。プレインズウォーカーの枠5枚のうち4枚は決まっていて、5枚目の色はタミヨウにふさわしくなかったのだ(これについては後述する)。一方、彼女をプレインズウォーカーとしてカード化しないのも問題だと思われた。ゲートウォッチは活動しているので、ある世界でプレインズウォーカー・カードを出さなくても次の世界で登場させることができる。しかし、タミヨウの場合は現在の物語でここにいるだけだった。今回彼女をカード化しなければ、次の機会は何年も先になってしまうことだろう。
クリエイティブ・チームはエリック・ラウアー/Erik Lauer(主席デベロッパーにして最もプレインズウォーカーのバランスを考えている人物)のもとを訪れ、現状を説明した。エリックは、ブロックのプレインズウォーカーの枚数を5枚に制限しているのはスタンダードに存在するプレインズウォーカーの総数を適正に保つためだと説明した。しかし、方法はないわけではない。プレインズウォーカーを狭くすれば、スタンダードで問題が起こることは減るのだ。では、タミヨウを3色のプレインズウォーカーにすることはできるだろうか。そうすればタミヨウが入るデッキは非常に狭くなり、彼女をうまくデベロップできてカードパワーを制御できるようになるのだ。
3色タミヨウでもないよりはマシなので、クリエイティブ・チームは取り組み始めた。もちろん彼女は青でなければならない。科学者なので、シミック(青緑)寄りになる。また、物語上の彼女の役割は、この世界を救うために世界の問題を見つけようとするというものだ。つまり、彼女には白の部分がある。ということで、このセットではタミヨウはバント・カラー(緑白青)なのだ。
3色のプレインズウォーカーをデザインする上で重要なのは、その能力が3色すべてにそぐうものだと感じられるようにすることである。今回のタミヨウは緑や白でもあるが、彼女の核となる色はやはり青なので、青がもっとも強く出ていなければならない。
1つ目の能力は、開発部で「好奇心」と呼ばれている能力(戦闘ダメージでカードを引く)を与える。好奇心は青と緑のものである。2つ目の能力は、「霜」能力と呼ばれているものだ。これはクリーチャーをタップし、次のターンにアンタップできなくするものである。この能力は主に青に存在するが、白にも少し存在する(ただし白は普通タップするだけである。興味深いことに、タミヨウの出身次元である神河では、この能力は緑の蛇が持っていた)。最後の能力は主に青のものだが、緑や白もある種のカードに対して持つことがあるものだ。
全体として、このタミヨウは(彼女らしく)緑や白というよりも青であるが、他の色の性質も能力から見ることができるものになっている。
以前紹介した記事では、「再訪できない次元出身のプレインズウォーカーが今後も作られるかは、《月の賢者タミヨウ》の評価にかかっている」という話がありました。この記事を見ると、幸いなことに、タミヨウは人気を獲得できたようです。
しかも、単なる再登場ではありません。彼女の「月の研究」がストーリー上で重要な意味を持つことから、メインキャラクターとしての登場となりました。
ただ、プレインズウォーカーのバランスの問題があったようです。
(詳しくは記事後半にある通り)ジェイス、リリアナ、ソリン、ナヒリを入れると、残りのプレインズウォーカーとして入れるのが赤緑のプレインズウォーカーとするのがちょうどいいバランスになります。
ここから、さらにタミヨウを入れるとなると、プレインズウォーカーを有するカラーリングのバランスが崩れてしまいます。そこで、3色にすることで、採用できるデッキを制限することで保険をかけることで、セットに入れることができました。
能力は、青単色でもできるけれど、白や緑でもやることがある、と言ったものです。こういった効果を多色でやると、単色よりも強力なものにすることができます。
そうした調整の結果もあってか、強すぎることも弱すぎることもなく、活躍できたようです。
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