神河資料 - タミヨウの《月への封印/Imprisoned in the Moon》
『異界月』の個別カードのデザインについての記事です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2016.7.12 異界の完成 その1
https://mtg-jp.com/reading/mm/0017131/
《月への封印》
セットごとに、「重要なシーン」のカードと呼んでいるものがある。物語上の重要な瞬間を描いたカードのことだ。『異界月』の物語の最後を飾るのは、タミヨウがエムラクールをイニストラードの月(《獄庫》は月の欠片であり、月は牢獄として充分使えるのだ)に封印するシーンだ。タミヨウは基本的に青の魔術師(これについてはまたタミヨウのカードの時に触れよう)で、このカードはタミヨウがその魔法を使ってエムラクールを封印するところなので、青のカードである。しかしこの効果は青というわけではない。
何かを無力化するオーラについて議論したが、それでは当たり前すぎるように思えた。これは一大イベントだ。何かもう少し大きくて魅力的なものが必要だった。それでは、何かを月に封印するということをメカニズム的に一体どう再現できるだろうか。青は破壊はしないし、封印は破壊ではない。クリーチャーを追放することはできるが、それはカラー・パイ的に青ではない。青はクリーチャーを盗んだり手札に戻したりはできるが、それはこのシーンに相応しくない。
青はクリーチャーを変化させることができる。変化させて何とかできるだろうか。クリーチャーを何か他のことをするものに変化させて無力化するというのはどうか。他のことをするもの、というのは、何なら月の一部らしいだろうか。我々は様々なアイデアを試し、そしてクリーチャーをマナ発生源に変化させるという結論に到った。クリーチャーがすべての能力を失い、タップして無色マナを出すだけのものになるとしたらどうだろうか。これはカラー・パイ的にはかなりの冒険だが、違反ではない。このカードにもう少し柔軟性を与えるため、我々は最終的に、クリーチャーだけでなく土地やプレインズウォーカーにもエンチャントできるようにした。
こうして、このセットでもっとも奇妙なカードの1枚が出来上がったのだった。


《月への封印》は、『異界月』のストーリーの結末「タミヨウがエムラクールを月に封印する」シーンを描いたカードです。

タミヨウが基本的には青であることから、青単色にできる効果でこれを再現しようと試行錯誤した様子が分かります。

「対象を無力化する代わりに土地を与える」という点で見ると、白単色の《流刑への道》に近いです。あるいは、対象の広さを考えると、黒緑の《暗殺者の戦利品》の方が近いでしょうか。

「青は破壊はしない」とあります。しかし、一方で言われている「青はクリーチャーを変化させることができる」場合に限っては、破壊することもあります。《猿術》や《急速混成》などがそうです。そのものズバリの名前である《変身》というカードもあります。

そう考えると、《猿術》のように、破壊して土地トークンを生成するのでも、「月に封印する」部分は再現できるでしょう。

ただ、相手が「プロテクション(インスタント)」を持つ《約束された終末、エムラクール》であるため、そうしたカードではストーリーを再現できません。

《月への封印》をオーラにしたのは、そういった理由もあったのかもしれない、と考えています。もっとも、変身というフレイバーであっても、青に「破壊する」効果はあまり持たせたくなかったのかもしれませんが。

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