神河資料 - レジェンド・ルール
神河資料 - レジェンド・ルール
レジェンド・ルールに関する記事です。

翻訳記事その他 2011.5.16 問題は伝―ちょっと待って―説だ
https://mtg-jp.com/reading/translated/0003957/

レジェンドというサブタイプへの次の変化は、神河物語というエキスパンションとともに訪れた。開発部は、ルールを内包したサブタイプ2つ、「壁」と「レジェンド」の存在が長い間ずっと嫌いだった。壁問題を解決するため、開発部は「防衛」というキーワードを作り、壁というサブタイプを持つ全てのクリーチャーに遡って防衛を与えたのだ(今日でも、サブタイプが「壁」のクリーチャーは当然に防衛を持っていると思われている)。こうして、壁とその内包されていたルールを切り離したのだ。

壁の修正は簡単だった。では、レジェンドはどうか? 我々は、壁に対してやったのと本質的に同じことをレジェンドにもしようというアイデアをこねくり回した。全てのレジェンドが「伝説」というキーワードを持つとしたらどうだろうか?

サブタイプとの関連を脇に置いて、レジェンドにはもう一つの問題があった。レジェンドの導入時、レジェンドのメカニズム的な働きは以下のようなものだった。あるレジェンドが戦場にない限り、誰でもレジェンドを使うことが出来る。同名のレジェンドが戦場にあれば、そのカードは使えず、オーナーの手札にあるままになる(望むなら唱えることは出来るけれども、新しい方のレジェンドは即座に墓地に置かれるので唱える道理はない)。

この問題はメルカディアン・マスクス・ブロックの間に顕著な問題になった。トーナメント環境を支配していたデッキが、レベル・デッキと呼ばれるデッキ(レベル・メカニズムを使ったデッキ。そのメカニズムそのものには名前はないが、その能力を持ったカード全ては同じように働くのだ)だった。レベル・デッキのキーとなったカードが、《果敢な勇士リン・シヴィー》というレジェンドだったのだ。

このカードはこのデッキのキー・カードだったので、レベル・デッキ同士の対戦になると、先に《果敢な勇士リン・シヴィー》を出した側が圧倒的に有利になる。開発部はこのゲームの状況をあまりにひどいと感じ、必死になって解決策を探した。浮かび上がってきた解決策の一つに、2枚目のレジェンドは全てのレジェンドを破壊するというものがあった。この方法で、対戦相手が先に戦場にレジェンドを出している時にそのレジェンドを引いたとしたら、その引いたレジェンドを使って、少なくとも相手のレジェンドを対消滅させることができるのだ。

開発部はこの変更について話し合ったが、いつどのように変更するかは判らなかった。やがて訪れた神河物語、このセットには全てのレア・クリーチャーがレジェンドである、というギミックが組み込まれていた。

閑話。私はしばしば、私のすんばらしいアイデアを印刷まで持って行くために否定者たちとの闘いをくぐり抜けなければならなかった、という話をする。これは、誰かが止めてくれればいいと思った私のアイデアの一つだ。見ての通り、私は神河物語(や、その宇ロックの他のセット)のデザイン・チームのメンバーではなかったが、神河物語のデベロップ・チームの一員だった。私がデベロップ上で何度も繰り返していたテーマの一つは、このセットの中心的テーマが何なのかを理解してなかったことである。

やがて、このセットはレジェンドがテーマだと言われ、プレイヤーに見えないものをテーマにするのは難しいと答えた。プレイヤーが気づく機会を与えるためには、全てのレア・クリーチャーと一部のアンコモンのクリーチャーをレジェンドにするしかないと。結局そうなったのだが、まずそれでは充分ではなかった(「asfan」実際にブースター・パックを剥いてカードを目にする頻度の重要さに関する理解は当時まだ充分ではなかった)。そして、何か特別なものを取り上げ、そしてあまりにも多くのそれを作る、ということは、その作ったものが特別でなくなるという最悪のプランだったのだ。

なんにせよ、神河物語は名高い帽子をレジェンドの輪の中に投げることが決まったので、我々は今こそレジェンドに変化をもたらすときだと感じた。レジェンドは文章で書くには冗長になりそうだったので、我々は「壁の解決」をせず、文章欄の場所を取らない解決策を探すことになった。これが特殊タイプを使おうという発想の元である。「基本」という特殊タイプはこの前年に導入されていたので、そういう技法が存在することは判っていた。

特殊タイプは名詞であるカード・タイプの前につくものなので、自然に聞こえるように「レジェンド」は「伝説の」に変わった(インスタントはマジックの文脈で充分に使い込まれて、名詞として扱っても違和感がなくなっているよね)。我々はこの変更を神河物語の中で行ない、それ以来ずっと「伝説の」の働きは変わっていない。


最初のレジェンド・ルールは「同じ名前の伝説がある場合、先に出した方がそのまま残る」という先攻有利な物でした。

前々からこのルールを変えたいと思っていたこと、神河ブロックが伝説テーマということもあって、神河物語の登場時にルールが変更されました。「同じ名前の伝説がある場合、それら全部が墓地に置かれる」いわゆる、対消滅です。

しかし、これはこれで問題があったと分かってきたため、現在のレジェンド・ルールに変更されました。

ただ、これでも不十分というか、そもそもなくしたい、というのが今のマローの考えのようです。「マジックを1からやり直せるなら?」という記事でそう述べています。

Making Magic -マジック開発秘話- 2015.1.27 やり直し
https://mtg-jp.com/reading/mm/0012043/

「そうそう、特殊タイプと言えば、もう一つ重大なやつがある。『伝説の』の特殊タイプに、メカニズム的意味を持たせないようにしたい」

「『伝説の』?」

「唯一性を持つ人や物や場所を示すものだ。これは非常にフレイバー的なので、非常に注目を集めることになる。伝説のクリーチャーを中心にした人気のカジュアル・フォーマットも存在するほどだ。我々の現在におけるルールの問題は、この『伝説の』がほとんど欠点だということである。私は、ユーザーに愛されたいと思う類のカードに必ず欠点があるというのは望ましくないと思う。この欠点を前提にして長年開発してきたので、このルールを取り除くことは非常に難しいのだ。しかし、もし最初からこの欠点がなければ、マジックはその欠点がないことを前提に形作られていっただろうし、より良い結果になっていたことだろう。他のカードとの問題が出るかもしれないが、私は『伝説の』を欠点ではなく長所にしただろうと信じている」

「なるほど、それについてかなり考えたようだね」

クリーチャー・タイプのように、それ単体ではルール上の意味を持たない、マーカーにしたいようです。もっとも、最初は本当に『レジェンド』というクリーチャー・タイプだったのですが(『レジェンド』がでた当時は、『壁』と同様に特別にルール上意味がありました)。

もし、そのように「やり直し」た場合、神河はどうなっていたのか、興味深いところです。

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