神河資料 - ブロック間のバランス
ミラディンと神河のスタンダード環境についてです。

Latest Developments -デベロップ最先端- 2015.10.17 パズルのような環境
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0015815/

昔を振り返ってみると、ブロックの戦略はそれぞれで全く違い、しばしば互いの戦略が逆を向いていることもありました。つまり、あるブロックが前のブロックより少し弱い場合、『神河物語』で見たように全く変化が起きなくなるということです。

『神河物語』は現在の標準からすればかなり強力なセットです。しかし『ミラディン』のカード・パワーには全く敵わず、『ミラディン』ブロックの戦略に組み入れることもできませんでした。『ミラディン』ブロックを可能な限り強くするようにしたせいで、親和デッキは機能するために他のブロックのカードを全く必要としなかったのです。事態は信じられないほど停滞しました。


当時の環境となると、何はともあれ「親和」の話になります。

親和は当時最強クラスのデッキで、神河のカードではそれに対抗できなかった。あるいは、対抗できるカードが出るのがミラディンがローテーション落ちする直前で手遅れだった。といった理由により、親和が当時のスタンダード環境を支配しつづけてしまいました。

「ミラディンとウルザ・ブロックは本当に(※1)マジックを終わらせかけた」とマローに言われています。

https://markrosewater.tumblr.com/post/57702786455/so-did-anything-actually-almost-kill-magic

greenpm33 asked: So did anything actually almost kill magic?

Yes, the things that almost killed Magic are a completely different list. And the only real threats happened early in the game although the breakdown of both Urza’s Saga block and Mirrodin block caused real issues.


その一方で、後に続くラヴニカやコールドスナップを含んだ環境は、「過去最高に楽しい」という評価もあるのが興味深いところです(※2)。環境のバランスは1つのブロックだけでは決まらない、ということの現れかもしれません。

※1
本当に、というのは、「これでマジック終わった、と言われた(けど実際にはマジック終わってない)変更点」の記事に対するものです。
Making Magic -マジック開発秘話- 2013.8.14 マジック「オワタ」二十撰
https://mtg-jp.com/reading/mm/0004238/

※2
プロイベントが少なく、熱心に解析されなかったから、そう見えるという指摘もありますが。
Latest Developments -デベロップ最先端- 2017.2.27 『霊気紛争』一問一答
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0018441/

以下、神河・ラヴニカのスタンダードを称賛する例です。
https://wpn.wizards.com/ja/article/best-standard-ravnica-standard
http://gathered.tokyo/archives/1671
http://gathered.tokyo/archives/1923
http://gathered.tokyo/archives/2544
http://gathered.tokyo/archives/3153
https://52378.diarynote.jp/201705182210161347/
https://noblewhite.diarynote.jp/201709272307314214/

多様性のあるスタンダードだったことが、以下のサイトでもわかります。
ただし、メカニズムをテーマとしたようなデッキは少ないのが特徴でしょうか。
http://mtgwiki.com/wiki/カテゴリ:神河ブロックを含むスタンダードデッキ
http://mtgwiki.com/wiki/カテゴリ:ラヴニカ・ブロックを含むスタンダードデッキ

いわゆる世紀末ゲームバランス(※3)の下方修正であることがいいのかもしれません。
また、10色のギルドがあり、2色カードが多いので、それらのバランスが取れていれば、単純計算で2色デッキ10個が活躍できます。
ただ多色カードが強いだけだと、それらを全部ぶち込んだ3~5色デッキが強くなりそうですが、2色に特化したマナ基盤がそれを阻止できたのかもしれません。
マナ基盤であるカード自体も、ショックランド、印鑑、バウンスランドと多様性があり、コントロールでもアグロでもコンボでもどれかを採用できます。
メカニズムはギルドごとに分かれること、枚数は少ないことから、孤立的や直線的なものになれず、親和やエネルギーのような暴走が起きにくいです。
孤立的や直線的なものの場合、セット内のカードプールで強さが決まって、変化が起きません。

また、以下のような日記を見つけました。
問題はスタンダードのブロック構築化である
http://52378.diarynote.jp/201705182210161347/
神河-ラヴニカ期のスタンダードは、《梅澤の十手》が存在しても高いバランスが保たれたのはなぜか?
その理由を、十手を使わないデッキが成立した、マナ加速もカウンターも火力も強かったから、と考察しています。

同様のchannelfireballの記事があります。
【翻訳】スタンダードの直しかた byブライアン・デマース
https://enokitake.diarynote.jp/201703172305397824/
神河-ラヴニカ期のスタンダードが最高だったのに対し、現在のスタンダードが楽しくない理由として、「楽しくない」戦略が不在であることを挙げています。
神河-ラヴニカ期は、ランデス、カウンター、ロックがどれもデッキとして成立していました。
今であれば、「楽しくない」戦略として、弱くデザインされているものです。
その逆が、WotCの推奨するミッドレンジ一辺倒のスタンダードということです。

弱体化ではなく、強化による調整という点では(格ゲーですが)以下の動画が参考になります。
格ゲー分析:なぜ弱体化よりも強化調整をしたほうが良いのか
https://www.youtube.com/watch?v=bsC8io4w1sY
https://honyakukof.wordpress.com/2017/01/31/【動画翻訳】なぜ弱体化より強化調整をするべき/

脅威と回答、両方を強くすることでゲームバランスを調整する、と考えると以下の記事とコメント欄も参考になるかもしれません。
http://gathered.tokyo/archives/1647

※3
世紀末 - ニコニコMUGEN Wiki
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/1683.html
https://dic.nicovideo.jp/a/世紀末
https://dic.pixiv.net/a/世紀末
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/2394.html
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/757.html
https://dic.nicovideo.jp/a/北斗の拳%28アーケード%29
https://dic.pixiv.net/a/AC北斗の拳

単純に「全員が即死もってるから」だけではなく、「即死の難易度は高い」からこそ(そして人間がプレイするからこそ)、ミスによるチャンスが生まれるので、バランスが取れるということです。
極論、全員が小パンチ一発で10割だったら、バランスはとれていても、クソゲー以外の何物でもありません。

理論上は、将棋も同様と言えます。
ゲーム理論では、先手必勝か後手必勝(か引き分け)なので、やる前から勝負が決まってるクソゲーです。
人間では最善手を指し続けることが不可能なので、楽しめるゲームとして成立します。

コメント

nophoto
Sin
2020年1月4日22:31

忌みの像のマナコストが2だったら親和に対するブレーキになっていたでしょうか?

研究者
2020年1月4日22:41

軽ければ、その分有効に働く機会が多くなるとは思います。

しかし、《忌みの像》がイマイチ扱いだった原因は、「《頭蓋囲い》をつけたアタッカー1体をアンタップするだけでも十分」「アーティファクトでない親和持ちのアタッカーもいる」ということでした。

軽くしただけでは、そういった点を克服しきれないと思います。

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