神河教訓 - 伝説の扱い方
神河教訓 - 伝説の扱い方
神河教訓 - 伝説の扱い方
神河の伝説の扱い方の失敗から生まれたのが、ドミナリアの歴史的であることは話しました。今回はその補足です。

Making Magic -マジック開発秘話- 2018.5.15 こぼれ話:『ドミナリア』 その1
https://mtg-jp.com/reading/mm/0030568/

Q.神河での伝説関連の扱い方は、このセットにどれぐらい影響しましたか?

A.『神河物語』ブロックの伝説テーマの扱い方は、いろいろとすべきでないことを教えてくれたという意味で非常に有意義だった。

1.「開封比(そのテーマがブースターから出てくる割合)」を低くしすぎないこと。
『神河物語』は、「テーマがコモンに存在しないなら、それはテーマではない」という私の有名な言葉の元になっている。テーマが主にレアに存在するというだけでは、すぐに気がつけるものにはならず、リミテッドではほとんど存在しないようなものになる。『ドミナリア』はこの教訓を踏まえており、このセットを成立させるために歴史的と「ブースターに必ず1枚の伝説のクリーチャー」を組み合わせることが重要だった理由になっている。

2.アンコモンの伝説のクリーチャーの扱いに気をつけること。
『神河物語』ブロックにもアンコモンの伝説のクリーチャーはいたが、その数は非常に少なく、デザイン的にも単純過ぎるものだった。テーマを作用するようにするために、そのテーマをプレイすることにかなりの深みを与えることができるようにレアの中から何枚かをアンコモン枠に引き下げるのだ。

3.伝説を助けるカードがテーマ以外でも働くようにすること。
『神河物語』ブロックには、充分な伝説のクリーチャーがいた場合にだけ役に立つカードが多すぎた。『ドミナリア』には、伝説のカード、多くは伝説のクリーチャーと組み合わせることで強化されるが、組み合わせなくても働くカードが、特に低いレアリティに、大量に存在する。

4.伝説テーマを他のテーマと無関係なものにしないこと。
『神河物語』ブロックには他にもメカニズム的テーマが存在したが、ほとんどの部分で、それは伝説テーマとうまく噛み合うものではなかった。それと対照的に、『ドミナリア』では他のあらゆるメカニズムがこのテーマとシナジーをもたらす助けになるようになっており、セット全体がこのテーマを際立たせるためのものになっているのだ。

私は、失敗は成功の母、という話をよくする。この場合、特にすばらしい母ということになる。

Q.あなたや開発部は、また伝説関連にするという発想が出たとき、『ドミナリア』が『神河物語』のような大失敗になることを危惧しませんでしたか?

A.成功したセットにあるすべてが良いものではないし、成功しなかったセットにあるすべてが悪いものではない。上述の通り、ここで重要なのは好評になる可能性があるとわかっているテーマ(そう、『神河物語』ができた当時は統率者戦はまだフォーマットとして生まれたばかりだったのだ)を取り上げることと、それを成立させるために現代のデザイン感覚を用いることである。『ドミナリア』に関して言えば、単に伝説の存在だけでなく歴史的を用いることでテーマを拡張し、他の要素もテーマを成立させるために用いることができるようにしていることが大きい。


Making Magic -マジック開発秘話- 2018.5.29 こぼれ話:『ドミナリア』 その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0030596/

Q: 伝説のクリーチャーをすべてのパックに入れることで、「テーマがコモンに存在しなければ、それはテーマではない」という決まりを回避することができていますか?

A.私の「テーマがコモンに存在しなければ、それはテーマではない」は決まりではなく、そのセットのやっていることをユーザーが理解できるようにするための格言である。実際、それは「テーマが充分な開封比で存在しなければ、それはテーマではない」と言うべきだが、それはキャッチーではないし、開発部語がわからなければ理解できないものになってしまう。私が初めてそれを口にしたとき、レアリティ以外にテーマが確実にプレイヤーの目に触れるようにするために使える道具はあまりなかったのだ。

テーマを各ブースターパックに並べ入れることができる新しい技術のおかげで、デザイナーがテーマを簡単に目に触れ、気づかれるようなものにする選択肢が大きく増えたのである。

Q.『神河物語』の売れ行きの悪さを踏まえて、なぜ「伝説関連」のブロックをもう1度作ろうと思ったのですか?新しい統率者戦フォーマット、ブロールの影響はどれぐらいありましたか?

A.統率者戦の人気によって「伝説関連」テーマの価値がかなり変わり、もう1度挑戦する価値があると感じるようになった。『ドミナリア』は『神河物語』ブロックの教訓を踏まえており、いくつかの変更を加えている。その中でも大きな2つが、より広い「歴史的」テーマを使ったことと、全体の開封比を高めるための新しい包括技術を使ったことである。

ブロールというフォーマットは『ドミナリア』のセットデザインがほぼ終了するころまで社内で検討されていなかったので、『ドミナリア』に影響を与えたと言うよりも、『ドミナリア』が影響を与えたと言うべきだろう。



Making Magic -マジック開発秘話- 2018.8.21 デザイン演説2018
https://mtg-jp.com/reading/mm/0030991/

『ドミナリア』
良かったところ
伝説というテーマはうまくいった
『神河物語』ブロックは、伝説というテーマに挑み、そして大失敗した。『ドミナリア』ではそのテーマに再び挑み、うまく実装することができることを示す必要があった。伝説のクリーチャーの開封比を上昇させ、各ブースターに必ず1枚入るようにしたことで、このテーマが常に存在する目立つものにすることができたのだ。歴史的メカニズムも、このテーマをこの世界の歴史感とメカニズム的につなぐ助けとなっている。


神河の伝説テーマの問題の1つが「開封比の低さ」です。

それを解決する方法の1つが、伝説と他の要素を包括した「歴史的」でした。こうすることで、コモンでも伝説を扱うことができるようになりました。
さらに、技術の向上により各ブースターパックに必ず「伝説のクリーチャー」を入れることができるようになったこと、伝説に関係するメカニズムを複数作ったことも、伝説がテーマであることを伝える上で重要な役割を果たしたと言えます。

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