最近では、リミテッド向けに、アンコモンのサイクルが作られています。リミテッドでは2色でデッキが組まれることが基本です。そのため、各2色に戦略を用意し、それに沿ったカードとなっています。
Latest Developments -デベロップ最先端- 2017.1.7 新セットをリミテッド面で評価する
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0018221/
ただし、色のテーマによっては、2色10種とはならないようです。それでも、10通りの戦略を用意しようとはしていますが。
Latest Developments -デベロップ最先端- 2013.10.7 リミテッドでの色のペア・パート1
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0004153/
それに倣う形で、今回のオリジナルエキスパンションでも、10通りの戦略と10枚のサイクルを作成しました。
しかし、作っていて、「やりづらい」と感じたこともあります。
[1] 楔3色の部族を戦略にすると、2色の組み合わせが3通り存在し、同じ部族なのに3パターンも個性を付ける必要が出てくる。
[2] 侍や忍者の部族を戦略にしても、クリーチャーの半数はスピリットなので、戦略に関係するクリーチャーの枚数があまり取れない。
[3] 侍でも忍者でも使えるような、複数の戦略共通カードのデザインが難しい。
[4] シャーマンは同じ色のスピリットと関連づける能力にしたため、他の色と絡めづらい。結果、2色の戦略に関係しにくい。
[5] 侍は1色ごとに個性をもたせたので、2色の戦略は後付けになった。
[6] 部族が特にない2色は、こじつけのような戦略になってしまった。
無理に2色10種にこだわることもなかったのかもしれません。
あくまでも公式の方針であり、オリジナルエキスパンションがそれに縛られる必要性は薄いです(公式で販売されそうなセットを作りたい、という考えがあるなら別ですが)。
また、公式でも、『イクサラン』においては、2色10枚ではなく8枚のサイクルになっています。これは、主要部族が楔3色2つ+2色2通りであるため、特定の2色には共通する部族がないためです(※1)。部族をテーマにすると、この点は難しくなるのかもしれません。
こうした点を踏まえて、次のオリジナルエキスパンションでは、2色10枚のアンコモンサイクルを作らないか、作り易くなるように部族の色の振り分けを見直す予定です。
余談1
この方針が始まったのは、『テーロス』の頃のようです。
Latest Developments -デベロップ最先端- 2013.10.7 リミテッドでの色のペア・パート1
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0004153/
『テーロス』における、実際の例は以下の通りです。
Latest Developments -デベロップ最先端- 2013.10.14 リミテッドでの色のペア・パート2
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0004154/
続く『神々の軍勢』では、友好色の2色神サイクルに合わせて、友好色が2色サイクルを持っていました。そのままだと、敵対色がプレイされなかったため、そちらには敵対色の起動型能力を持つサイクル、を作ったようです。
※青緑だけは、キオーラ関係の2色カードがありました。
Latest Developments -デベロップ最先端- 2014.2.10 リミテッドでの色のペア・『神々の軍勢』版
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0008474/
定着したのは、『マジック・オリジン』のころの様です。
多色カード
http://mtgwiki.com/wiki/%E5%A4%9A%E8%89%B2%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89
というのも、『テーロス』の後が、3色テーマの『タルキール覇王譚』であったため、2色サイクルが定着したのはその後から、ということでしょう。
ただ、リミテッドで2色10通りの戦略、というのは『テーロス』の前の『Modern Masters』からありました(再録のみのセットなので、2色サイクルは作れません)。両者の評価を受けて、『マジック・オリジン』から定番化するようになったのかもしれません。
余談2
提唱したのはエリック・ラウアー/Erik Lauerのようです。
Latest Developments -デベロップ最先端- 2013.10.7 リミテッドでの色のペア・パート1
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Making Magic -マジック開発秘話- 2019.6.24 目に見えるよりもっと『基本』
https://mtg-jp.com/reading/mm/0032647/
余談3
最近、この点をテーマに基本根本の記事が書かれました。
Making Magic -マジック開発秘話- 2020.3.10 基本根本 #12 その1:リミテッド(メカニズム)
https://mtg-jp.com/reading/mm/0033871/
Making Magic -マジック開発秘話- 2020.3.17 基本根本 #12 その2:リミテッド(テーマ)
https://mtg-jp.com/reading/mm/0033884/
ここでは、実際に10通りの戦略を作る様子が、最新セットの『テーロス還魂記』を例にして、描かれています。
また、この方針が定着したとされる『マジック・オリジン』についても、その様子が書かれています。
Making Magic -マジック開発秘話- 2015.6.30 『マジック・オリジン』の起源 その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0015216/
※1
Play Design -プレイ・デザイン- 2017.10.30 Mファイル『イクサラン』編・パート2
https://mtg-jp.com/reading/pd/0019846/
Latest Developments -デベロップ最先端- 2017.1.7 新セットをリミテッド面で評価する
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色のペアの動きを判断するときにどんなセットでも最初に見るべきものは金色のアンコモンです。全てのセットに10枚あるわけではありませんが、10種全てが収録されていないことよりも収録されていることのほうを我々は多くしようとしています。
ただし、色のテーマによっては、2色10種とはならないようです。それでも、10通りの戦略を用意しようとはしていますが。
Latest Developments -デベロップ最先端- 2013.10.7 リミテッドでの色のペア・パート1
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0004153/
『ラヴニカへの回帰』や『ギルド門侵犯』のような10種のペアが現実的な選択肢でないセットについては、我々はそれぞれのギルドに早いデッキと遅いデッキがあるようにし、さらにそれらには隣のギルドと上手く働く色の扇状の戦略があるようにしました。
それに倣う形で、今回のオリジナルエキスパンションでも、10通りの戦略と10枚のサイクルを作成しました。
しかし、作っていて、「やりづらい」と感じたこともあります。
[1] 楔3色の部族を戦略にすると、2色の組み合わせが3通り存在し、同じ部族なのに3パターンも個性を付ける必要が出てくる。
[2] 侍や忍者の部族を戦略にしても、クリーチャーの半数はスピリットなので、戦略に関係するクリーチャーの枚数があまり取れない。
[3] 侍でも忍者でも使えるような、複数の戦略共通カードのデザインが難しい。
[4] シャーマンは同じ色のスピリットと関連づける能力にしたため、他の色と絡めづらい。結果、2色の戦略に関係しにくい。
[5] 侍は1色ごとに個性をもたせたので、2色の戦略は後付けになった。
[6] 部族が特にない2色は、こじつけのような戦略になってしまった。
無理に2色10種にこだわることもなかったのかもしれません。
あくまでも公式の方針であり、オリジナルエキスパンションがそれに縛られる必要性は薄いです(公式で販売されそうなセットを作りたい、という考えがあるなら別ですが)。
また、公式でも、『イクサラン』においては、2色10枚ではなく8枚のサイクルになっています。これは、主要部族が楔3色2つ+2色2通りであるため、特定の2色には共通する部族がないためです(※1)。部族をテーマにすると、この点は難しくなるのかもしれません。
こうした点を踏まえて、次のオリジナルエキスパンションでは、2色10枚のアンコモンサイクルを作らないか、作り易くなるように部族の色の振り分けを見直す予定です。
余談1
この方針が始まったのは、『テーロス』の頃のようです。
Latest Developments -デベロップ最先端- 2013.10.7 リミテッドでの色のペア・パート1
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0004153/
人々のドラフトの計画、あるいはどのカードを重視または軽視するかの違いは、当然ながら様々な戦略を時間とともに強くしたり弱くしたりします。我々はこの過程を、デザインでそのフォーマットの基礎的な10のデッキタイプをリストにすることから始めます。そしてその10のデッキタイプとは、ほとんどの場合2色のペアです。
(中略)
もうお気づきかもしれませんが、『テーロス』には10枚の多色アンコモンからなるサイクルが存在します。これらはプレイヤーが早期に2色のペアを固定する錨の役目だけではなく、そのペアにある程度方向性を与える目的もあります。
『テーロス』における、実際の例は以下の通りです。
Latest Developments -デベロップ最先端- 2013.10.14 リミテッドでの色のペア・パート2
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青白:英雄的シナジー
青黒:(黒の信心)コントロール
赤黒:ミノタウルス
赤緑:怪物ランプ
白緑:+1/+1カウンターとコンバット・トリック
白黒:ライフ獲得
赤青:インスタント/ソーサリーと占術デッキ
緑黒:墓地活用
赤白:一気呵成
青緑:テンポ・デッキ
続く『神々の軍勢』では、友好色の2色神サイクルに合わせて、友好色が2色サイクルを持っていました。そのままだと、敵対色がプレイされなかったため、そちらには敵対色の起動型能力を持つサイクル、を作ったようです。
※青緑だけは、キオーラ関係の2色カードがありました。
Latest Developments -デベロップ最先端- 2014.2.10 リミテッドでの色のペア・『神々の軍勢』版
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0008474/
『神々の軍勢』で登場する神々は友好色だけなので、このセットに含まれている金色のアンコモンがそれらの神々のものであることや、敵対色のカードを『ニクスへの旅』に温存したことが分かります。
(中略)
我々が『神々の軍勢』のシールドに取り組んでいるときに全てが良い感じに見えたので、我々はドラフトへと進みました。何回かドラフトをした後、我々は敵対色よりも友好色の方にとんでもなく傾いていることに気づきました。
(中略)
ほとんどのイラストが発注済み(そしていくらかはすでに完成していました)であることを考えると、このセットに金色のカードを追加するのは困難で、そしてより高いレベルでは、5体の友好色の小神がこのセットの焦点になることを邪魔するかもしれませんでした。多くの議論を経て、トムはこれら5つのペアを支援するために敵対色の起動型能力を持つサイクルを試すことを決定しました。
定着したのは、『マジック・オリジン』のころの様です。
多色カード
http://mtgwiki.com/wiki/%E5%A4%9A%E8%89%B2%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89
多色カードは多色テーマのブロック以外ではレア以上の稀少度で収録されることが多かったが、マジック・オリジンよりほぼ毎セットに2色10種類の色の組み合わせのアンコモンのサイクルが収録されるようになった。これはリミテッドでの色のペアの戦略のヒントを示すようになっている。
というのも、『テーロス』の後が、3色テーマの『タルキール覇王譚』であったため、2色サイクルが定着したのはその後から、ということでしょう。
ただ、リミテッドで2色10通りの戦略、というのは『テーロス』の前の『Modern Masters』からありました(再録のみのセットなので、2色サイクルは作れません)。両者の評価を受けて、『マジック・オリジン』から定番化するようになったのかもしれません。
余談2
提唱したのはエリック・ラウアー/Erik Lauerのようです。
Latest Developments -デベロップ最先端- 2013.10.7 リミテッドでの色のペア・パート1
https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0004153/
これはエリック・ラウアー/Erik Lauerの指揮の下で我々がグループで取り組む1つの構想に結びつきます――それは「隠れた案内」です。
Making Magic -マジック開発秘話- 2019.6.24 目に見えるよりもっと『基本』
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エリック・ラウアー/Erik Lauerが開発部で働き始めたときにデザインに導入した革新の1つが、金色のアンコモンの、ドラフト・アーキタイプ・カードだった。これらは、それらの色がドラフトですることを声高に主張するアンコモンの多色(大抵は2色)カードである。それらのカードを早い順目でドラフトすれば、そのセットにある他のカードで強化されるであろう方向性を教えてくれる、というアイデアである。
余談3
最近、この点をテーマに基本根本の記事が書かれました。
Making Magic -マジック開発秘話- 2020.3.10 基本根本 #12 その1:リミテッド(メカニズム)
https://mtg-jp.com/reading/mm/0033871/
Making Magic -マジック開発秘話- 2020.3.17 基本根本 #12 その2:リミテッド(テーマ)
https://mtg-jp.com/reading/mm/0033884/
ここでは、実際に10通りの戦略を作る様子が、最新セットの『テーロス還魂記』を例にして、描かれています。
また、この方針が定着したとされる『マジック・オリジン』についても、その様子が書かれています。
Making Magic -マジック開発秘話- 2015.6.30 『マジック・オリジン』の起源 その2
https://mtg-jp.com/reading/mm/0015216/
※1
Play Design -プレイ・デザイン- 2017.10.30 Mファイル『イクサラン』編・パート2
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